「Forever In My Life」は2枚組アルバム「Sign O' The Times」(1986年) の1枚目の最後の曲です。この曲は1986年8月6日に Galpin Blvd Home Studio でベーシック録音が行われました。また、今回リリースされた Super Deluxe Edition Vault Track part 2 にはこれまで世に知られていなかった Early Vocal Run-Through バージョンが収録されています。この曲は当時の恋人であったスザンナ・メルヴォワンへの想いを歌った曲で、当時一緒に住んでいたスザンナが、プリンスからこの曲を聽かせてもらったときのことをポッドキャストで少し語っています。

Forever In My Life (アルバムバージョン)

「Forever In My Life」のアルバムバージョンはとてもユニークで印象深い曲です。簡素で独特な楽曲アレンジも気を惹きますが、何よりもこの曲の最大の特徴は、メインヴォーカルとバッキングヴォーカルに奇妙なズレがあるように感じられるところだと思います。しかもバッキングヴォーカルが時にメインかと思うくらいミックスの前面に出ているので、余計にそれが気になります。スーザン・ロジャースによると、これはレコーディング中の「ハッピー・アクシデント」によるものなのだそうです。先に録音したバッキングヴォーカルをミュートにした状態でメインヴォーカルを入れたところ、メインヴォーカルの歌い出しのタイミングを誤って遅らせてしまったことでこの奇妙なズレが生まれたということです。元々はレコーディングのミスになりますが、この結果をプリンスは気に入り、このままゴーサインを出しました。偶然の産物にはなりますが、この曲は言うなればまさしく珍妙無類 (ちんみょうむるい)、個人的には男塾死天王最強にして恐るべき毒手の使い手、影慶 (えいけい) と対峙した厳娜亜羅十六僧 (ガンダーラじゅうろくそう) の囀笑法師 (てんしょうほうし) のセリフを思い起こします。

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歌詞の中では、「Juggling hearts in a three ring circus」という表現が当時のプリンスの私生活を絶妙に上手く言い表しているのですが、私の和訳ではそのニュアンスが欠落しているので補足します。Three-ring circus とは3つ並べられたリングで同時にショウが進行するサーカスのことで、転じてめまぐるしく様々な出来事が起こっている状況を意味します。そこでいくつもの (女) 心をジャグリングするのはもう疲れてしまったということで、プリンスはスザンナ以外の他の身近な女性とも関係を持っていたことを認めつつ、そんな生活はもう終わりにしたいと告白しています。

Forever In My Life (Early Vocal Run-Through)

アルバムバージョンの「Forever In My Life」はとてもユニークで面白いのですが、個人的にはひとつ問題がありました。歌詞の内容的には「Adore」や「Emancipation」の「Saviour」や「Friend, Lover, Sister, Mother/Wife」のような美しく心を打つ曲になってもおかしくないように思われるのに、トリッキーな曲の印象が先立って、私には歌詞に釣り合う感情が込められていないように感じられたのです。まあこれはこれで男の浪花節的な味があって染み入りますし、「Adore」と被る曲調になってもいけませんし、それにその後スザンナとの関係は破局に至ったので、アルバムに収録するにはこれで良かったのかもしれません。しかし私にはずっと、どうにも腑に落ちない気持ちがありました。

そこで今回世に出てきたのがこの Early Vocal Run-Through バージョンです。はい、これを聴いて私の長年の胸のつっかえは取れました。YouTube のコメントで「The released version is genius, but this is AMAZING」と書かれている方がいますが、私もそう思います。アルバムバージョンは確かに独創的で興味深いのですが、このバージョンは、ただただ素晴らしく感動的です。

凄い曲がギュウギュウに詰まっている2枚組アルバム「Sign O' The Times」は、その収録曲のクオリティの高さから一般にプリンスの最高傑作とされています。しかし、その偉大な作品にもひとつ決定的に欠けているものがありました。それは「ハッピーな空気感」です。ザ・レボリューションの解散、そしてスザンナとの破局を経て発表されたこのアルバムは、表面上はハッピーな作品であるかのように取り繕われていますが、根底には暗く沈んだ心が隠されています。従来のアルバムカバーもそれを象徴するかのように、プリンスの顔はぼやけて表情がよく分からなくなっています。ちなみに、それだけに今回アルバムカバーが刷新されたのには個人的に大きなインパクトがありました。新しいアルバムカバーでは、プリンスは半透明人間になりながらも、真ん中に立ってこちらをしっかりと見据えています。

とにかくです。この Early Vocal Run-Through バージョンには、「Sign O' The Times」にはないハッピーな空気感がありました。そして歌詞に釣り合うような心も感じられました。リードヴォーカルが演奏に合ったタイミングで歌われており、珍妙無類なアルバムバージョンを聴き慣れていると逆に違和感があって戸惑うのですが (笑)、プリンスの当初の意図では、「Forever In My Life」とはこんな風に綺麗な流れの曲だったことも分かりました。

そうは言っても、今回リリースされた Early Vocal Run-Through バージョンの感動が今一つよく分からない方もいると思います。このため再び影慶に登場してもらいます。

先の囀笑法師を倒した影慶は、続く颱眩法師 (たいげんほうし) との闘いであっさりと死亡してしまいます。しかしそれは味方を欺く影慶の芝居でした。実は、影慶は塾長の密命を受け、陰から仲間を援護する役割を任されていたのです。

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死んだと見せかけて皆の前から姿を消した影慶は、陰から度々仲間の命を救います。男塾死天王を束ねる者としていかなる状況下でも沈着冷静に振る舞うクールな男・影慶ですが、その胸の中には仲間を思う熱い血が流れていたのです。

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話は前後しますが、さらには影慶は正体を隠し、覆面の助っ人としても登場します。人間の武闘大会なのにハチやピラニアの大群などと闘わせられるという理不尽な役回りもこなすのでした。

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影慶の話を交えつつ話を綺麗にまとめるつもりだったのですが、何だかおかしなことになってきたような気がします。中途半端ですが今回はこのまま終わりたいと思います。


La da da da da da da da
La da da da da da da da

There comes a time, in every man's life
When he get's tired of fooling around
Juggling hearts in a three ring circus
Someday will drive a body down 2 the ground
男の人生には必ず訪れるものさ
遊び回るのにくたびれてしまう時が
同時にいくつもの舞台を掛け持てば
いつかは疲れ果て地に倒れてしまう

I never imagined that love would rain on me
And make me want 2 settle down
Baby it's true, I think I do
And I just want 2 tell U that I wanna with U
(Baby, if U do 2)
全く思いもしなかった
我が身に愛が降り注ぎ
身を固めたい気持ちになるなんて
でも本当さ、これは本気なんだ
そしてその伴侶は君であって欲しいんだ

And baby if U do 2
そしてもし君も同じ思いなら

Forever, forever, baby I want U forever
I want 2 keep U 4 the rest of my life
(U can make right)
All that is wrong in my world
(U are my savior)
U can make right
(U are my light)
U are my savior, U are my light
(Forever I want U in my life)
Forever I want U in my life
永遠に、永遠に、永遠に君が欲しい
残りの人生を君を離さずにいたい
僕の世界の過ち全てを君は正してくれる
君は僕の救世主、君は僕の光
永遠に、我が人生に君が欲しい

La da da da da da da da
La da da da da da

(Every man's journey)
There comes a road in every man's journey
(Don't be afraid)
A road that he's afraid 2 walk on his own
(I'm at that road)
I'm here 2 tell U that I'm at that road
(I'd rather walk it with)
And I'd rather walk it
(U than walk it alone)
With U than walk it alone
男の旅路には必ず行き着く道があるものさ
それは自分一人で歩むのは不安な道
君に伝えたいんだ
僕は今まさにその道に立っている
僕は一人でなく君と一緒にこの道を歩みたい

(U are my future)
U are my hero, U are my future
(No past)
When I am with you, I have no past
Oh baby my one and only desire
(Make this feeling last)
Is find some way in this dog gone world
(Sugar, it's true)
2 make this feeling last
(I know I do)
Oh baby it's true, I know I do
(2 with U)
And I just want 2 tell U that
I want 2 with U, yeah
君は僕の英雄、君は僕の未来
君と一緒ならば僕には過去もない
僕がただひとつの望むことは
この厭わしい世界の中にいても
いつまでも絶えることなく
この気持ちを持ち続けることさ
本当さ、これは本気なんだ
そしてその伴侶は君であって欲しいんだ

And baby if U do 2
そしてもし君も同じ思いなら

Forever, forever, I want U baby, baby forever
(U can make right)
I want 2 keep U 4 the rest of my life
(U are my savior)
All that is wrong in my world
(U are my light)
U can make right
(Forever I want U in my life)
U are my savior, U are my light
(La da da da da da da da)
Forever I want U in my life
(La da da da da da da da)
永遠に、永遠に、永遠に君が欲しい
残りの人生を君を離さずにいたい
僕の世界の過ち全てを君は正してくれる
君は僕の救世主、君は僕の光
永遠に、我が人生に君が欲しい

[Refrain]
La da da da da da da da
La da da da da da

[Outro]
Forever in my life
Forever in my life