前回からの続きで、私がウエイトトレーニングの「正しいやり方」の鎖を断ち切るにあたって、その後押しをしてくれたことを具体的に3つ紹介します。今回の BGM も同じくプリンスの1996年のアルバム「Emancipation」から、タイトルトラックです。
Emancipation - free 2 do what I wanna
Emancipation - see U in the purple rain
Emancipation - free 2 do what I wanna
Emancipation - break the chain, break the chain
解放 - 自由にやりたいことができる
解放 - 紫の雨の中で会おう
解放 - 自由にやりたいことができる
解放 - 鎖を断ち切れ、鎖を断ち切れ
1. ビクター・マルティネス、2004年の Titans ビデオ
ビクター・マルティネスは、私のトレーニングに最も強い衝撃を与えてくれた人です。私のトレーニング観は、この人のビデオ、具体的には2004年のミスター・オリンピア前に撮影された「Titans」シリーズのビデオを見て変わりました。ネットにはこの人の動画は色々と見つかりますが、他の動画は結構普通だったり、インストラクション動画も平凡なことしか喋っていなかったりするので、「Titans」に限定しておきます。「Titans」は当時のトップビルダー達のトレーニングを収めたビデオシリーズで、そのパート3にこの人が登場します。
YouTube に全体が挙がっているのでリンクします。背中のトレーニングは44分頃〜1時間3分30秒頃までです。
この動画に、私は強い衝撃を受けました。ビクターは、トレーニングの手本を示すべきトップビルダーの一人でありながら、教科書的な「正しいフォーム」を完全に無視してトレーニングしていたからです。この動画で、ビクターは様々な背中の種目を行っていますが、そのフォームは、どれもこれもフィットネスのインストラクターから駄目出しをされそうな「間違った」フォームばかりです。
一例として、V字グリップのプルダウンを GIF にしました。
私は「こんなんで背中のトレーニングになるのか?」と驚きましたが、実際に真似をして二度驚きました。「こんなんでいいのか?」どころか、私は「 背中のトレーニングとはこうするものなのか!」ということが生まれて初めて分かったのです。そして、「正しいフォーム」が、いかに意味のないことに拘っており、本質を見誤ったやり方であるかに気付かされました。
2. ロニー・コールマンは胸のトレーニングでフライを一切しなかった
1998年から2005年まで8度のミスター・オリンピアを獲ったロニー・コールマンは、チャンピオンとして君臨した時代、マシンでもダンベルでも、胸のトレーニングでフライ種目を一切しませんでした。
これを知ったときも私は驚きました。私がトレーニングを初めた当時、胸のトレーニングではマス種目のプレスで筋量を作り、アイソレーション種目のフライで形を整える、という考え方が一般にありました。このことは、プレスとフライは互いに補完し合い、両方やってこそ完璧な胸は作れるものだと信じて疑わなかった私には、衝撃の事実であり、胸のトレーニングについて考え直す切っ掛けになりました。
これについては過去に記事を書いています。
ロニーが「Yeah, buddy! Light Weight!」と言って200ポンドのダンベル・プレスをする動画です。
3. ドリアン・イェーツは背中のトレーニングでワイドグリップのプルダウンやチニングを一切しなかった
ドリアン・イェーツといえば1992年から引退となる1997年まで6度のミスター・オリンピアのタイトルを獲り、ロニー・コールマンと並んでボディビル史上最高の背中を作り上げた人です。そのドリアン・イェーツは、チャンピオンとして君臨した時代、ワイドグリップのプルダウンやチニングを1セットたりとも行いませんでした。
もう三度目になりますが、これはまたしても私には衝撃の事実でした。ワイドグリップのプルダウンやチニングといえば、背中の超基本種目で、バーベルのベントロウと並んで、トレーニングを始めた人が背中で最初に覚える種目です。それを一切行わなかったというのは、一体どういうことなのか・・・。これは要するに、ワイドグリップのプルダウンやチニングは完璧な背中を作るにあたって必須な種目ではないということです。たとえボディビル史上最高の背中であっても、です。
これについては、少し先になるかと思いますが、また機会を改めて記事を書くつもりです。ここではとりあえず、ドリアン・イェーツの「Blood And Guts」のビデオをリンクしておきます。背中のトレーニングは35分22秒頃からです。
ちなに、過去にも同じことを言っていると思いますが、私はこのビデオはボディビルトレーニングの最高のお手本だと思っています。見事なフォームでトレーニングをしている動画なら他にもあります。とんでもない高重量でトレーニングをしている動画も他に見つかります。しかし、その両方を同時に行っているトレーニングビデオは、私はこれ以外に知りません。一見すると特殊なことは何も起きていないように見えるかもしれませんが、実はドリアンは、誰にも真似のできない非常におかしなことをやっています。
各種目のスクリーンショットを貼っておきます。
ノーチラスのプルオーバー・マシンです。
ハンマー・ストレングスのプルダウンです。ナロウグリップのマシンであることに注意してください。
バーベル・ベント・オーバー・ロウです。上体が結構立っていることに気付くと思います。教科書的には平行近くまで上体を下げるのがセオリーですが、ドリアンはそのフォームに肯定的な考えを持っていません。
ハンマー・ストレングスのシーテッド・ロウです。
ドリアンは他にもリアデルトの種目やデッドリフトを行っています。
コメント
コメント一覧 (1)
昔ベンチプレスの記録持ってる人が筋肉つけるにはベンチプレスよりもダンベルプレスやダンベルフライのほうがいいって言ってました
それに通じるものがある気がします
自分はバーベルベンチプレスだけだと可動域が狭い気がしてダンベルプレスとディップスしかしませんね
フライ系はマシンがなかったのと、ダンベルフライで一度肘を痛めたことがあってからやってませんでした。
はー筋トレって自由なんですね