今回はいつもとは趣向を変えて、プリンスの曲当てクイズです。

プリンスの音楽では、歌詞が重要な役割を持っています。プリンスの作る歌詞は音楽に特別な力を与え、それぞれの曲に合わせた独特の世界を紡ぎ出します。曲の聴き手は、歌詞を知ることで、その世界とより深く交わることができます。しかしその一方で、プリンスの歌詞では「おやっ」と思わせる表現にぶつかることもままあります。これから紹介するのは、私がとある曲を聴いたときに、私の中で重なり合って進むもうひとつの物語です。曲のタイトルは伏せておくので、それが何であるか当ててみてください。


それは、男の子が女の子に恋をするとてもキュートな曲です。歌詞では人物や情景が活き活きと描かれます。ビジュアルイメージとしては青空の印象が強いのですが、歌われるのはどんよりした曇り空の日の出来事で、しかも途中で天候は崩れ、ふたりは雷雨の中で結ばれます。

それでは、歌詞をいくつか取り出して見ていくことにしましょう。

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She wasn't 2 bright, but I could tell...
その娘はちょっと鈍い娘だったけど・・・

どうやらその娘は利発的な印象を与えるタイプではないようです。それにしても、この表現はどう考えても誉め言葉ではないような気がします。プリンスは、なぜ恋に落ちた女の子に対してこのような引っ掛かる表現を使ったのでしょうか? ひょっとして、その娘にはそのような言葉を選ばざるをえない特別な事情があったものの、プリンスは配慮を利かせてあえて直接的な言及を避けたという可能性は考えられないでしょうか? 具体的に言うと、例えば口が不自由だったりとか・・・

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Built like she was, she had the nerve 2 ask me
体つきに似つかわしい大胆さで、その娘は男を浴室に入れました

その娘は思いのほか大胆な体つきをしているようですが、これも引っ掛かる表現です。普通に考えると、これも女性に対する誉め言葉としては気の効いたものではありません。それにしても、この表現からイメージされる娘の体つきとは・・・

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・・・分かりづらいかもしれませんが、他の描写は際どいのでこれだけにとどめておきます。

さて、続きます。

Overcast days never turned me on
but something about the cloulds and her mixed
どんより曇り空の日は乗り気にならないものですが
その日の空模様と彼女の組み合せには妙にそそるものがありました

気が進まないもやむなく混浴に入った男は、いざ娘の姿を見ると衝動を抑えきれず娘に迫ります。最初、娘は驚き抵抗を示しますが、男が何を求めているかを悟ると、浴室の壁に指文字で「へ・や・で」と書き残し、その場を後にします。

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The rain sounds so cool when it hits the barn roof
曇り空はやがて嵐となり、暴風が家々を軋ませます

雨は降っていませんけど。

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She knew how to get her kicks
娘はその時、どうすればいいかをちゃんと分かっていました

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男が戸を開けて娘の部屋へ入った時、男は赤い天狗のお面を被っていました。集落のお婆さんが営む駄菓子屋で見つけたものです。

He wore a red mask of Tengu♪
The kind U find in a grandma's candy store♪
彼は赤い天狗のお面を被ってた♪
お婆さんがやってる駄菓子屋で見つけたものさ♪

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こうして二人は結ばれました。


ここで貼り付けた画像だけでは端折りすぎていてストーリーがさっぱり分からないでしょうが、これはつげ義春の「ゲンセンカン主人」という漫画です。話の内容は以下のリンク先などで読むことができます。リンク先は最初の部分だけなら試し読みができます。

さて、私の頭の中に流れている曲が何であるか分かりましたでしょうか? 一応ヒントを出しておくと、その曲では、女の子が被っていた、あるモノが曲のタイトルになっています。しかし、それは赤い天狗のお面ではありません。気になる答えは次回に書く予定です。