去る6月23日にリリースされた、Purple Rain Deluxe の雑感です。といっても、未発表曲が収録された Disc 2 以外、私は未だにまともに観賞できていません。全体では断片的に確認しただけの状況ですが、気持ちの区切りのために少し書いておきます。

購入と初試聴

とりあえず、このリリースに関しては購入の前と後で印象がガラリと変わったので、そこから書くことにします。実のところ、このリリースの発売については複雑な心境があり、元々は直ぐに購入するつもりはありませんでした。

それでも何だかんだで結局、発売日の夜、あまり気乗りがしないままに会社帰りにフラッと店に立ち寄って購入しました。帰りの電車でケースを眺め、これまでブートでしか聴くことのできなかった「Wonderful Ass」や、プリンス自身が選定に関わっていたならば自己検閲でおそらく収録されなかったと思われる、「We Can Fxxk」というタイトルがトラックリストに含まれているのを見て、少々複雑な気分になりました。ブックレットをパラパラめくっても、なぜこのようなトラックリストになったのか、その説明は一切なされていないので、何だか奇妙なモノを手にしてしまったという思いがしました。そういえばブックレットといえば、スーザン・ロジャースの寄稿は感慨深いものでした。彼女がどんな思いでこれを書いたのかを推し量りながら読むと、心に残る箇所が色々とありました。

何はともあれ家に帰り、あの扱いにくいケースから頑張ってディスクを取り出し、どんなものか聴いてみることにしました。最初に聴くのは、まあ自然と Disc 2 になります。1曲目は挨拶替わりにひたすらジャブ連打を浴びせかけるような「The Dance Electric」です。他にもまだまだ曲があるのにこの曲だけで11分29秒はさすがに長いので、途中でスキップして2曲目の「Love And Sex」に行きました。

One, two, three, four
Uh huh, huh, Yeahhhh!!!
Uh
Come on, baby, hurt me!

やられました。2ラウンド開始早々でノックアウトです。まさか、これまでブートレグでも流通していなかった完全な未発表曲に、このような、どの曲にも似ていない一点物の逸品が潜んでいたとは。この曲で私の頭はすっかり吹き飛ばされました。

Disc 2 については記事を別途書くことにし、他のディスクについて触れることにします。

Disc 1 - 2015 ペイズリーパーク・リマスター

これは私の持論で個人的に極めて重要なポイントなのですが、プリンスの音楽の特徴に、音質の向上がもたらすことの意味が他のアーティストとは根本的に異なる、というのがあります。普通、音質の向上といったら、より良い音で音楽を楽しむのが第一の目的になると思います。というより、基本的にそれ以外に目的はないような気がします。しかし、プリンスの場合、「音質の向上が、プリンスが音楽の中で何をしているかを知るのに貢献するか」が個人的には最も重要なことになります。それに較べたら、多少の音質の向上を楽しむのは一段下の優先度になります。

その観点でいうと、最初に Disc 1 の音を確認した時は、隅々の細かい部分まできちんとクリアに再生されていることに感激したのですが、旧版と聴き較べてみたところ、それは思い込みによるもので、旧版も音自体は同等にきちんとクリアであることが分かりました。結局、これまで気付かなかった新しい発見があるわけではなく、プリンスが音楽の中で何をしているかを知るうえでは、旧版で十分事足りると感じました。

リマスターの音質については、色々と賛否両論な議論があるようですが、個人的には特に不満はなく、あまり話に付いていけていません。個人的には、音が大きくなって、普通のボリュームでもちゃんと聴くことができるようになったのはとても嬉しいことです。「Parade」や「Sign O' The Times」でも早くこういうことをしてほしいと思います。

で、結局、イヤホンやヘッドホンを使い、ボリュームを調整すれば、個人的にはリマスターと旧版に決定的な違いは感じられないため、Disc 1 はまだ全体を通して聴いたことがありません。細かいところでは、リマスターで「I Would Die 4 U」と「Baby, I'm A Star」のトラック分割が適切に修正されたのは嬉しいです。やはり曲がきちんと始まると気持ち良いものです。

Disc 3 - シングル & B サイド

まだ殆ど聴いていません。そういえば、私はいつの頃からか「God」という曲がとても好きになりました。今回のリリースで改めて聴いても本当に素晴らしいな、と思います。そういえばこの曲のインストゥルメンタルバージョンは、映画ではラブシーンに使用されます。プリンスなのでついつい自然に感じてしまうのですが、冷静に考えると随分と大胆なことをやってのけるものです。

Disc 4 - 1985/03/30, コンサート at Syracuse, NY

Alan Light のパープルレイン本「Let's Go Crazy - Prince and the Making of Purple Rain」に、次の言葉が引用されています (翻訳版なら22ページです)。これは映画が公開された当時、Greg Tate という批評家が The Village Voice 誌に書いたものです。

Those of y'all going gaga behind Purple Rain and never seen the boy live ain't seen shit.
パープルレインの映画でゾッコンになりながらもプリンスをライブで見たことがない奴らは皆、まだ本当のプリンスを見たことがない。

まさにその通りだと思います。私は未だ断片的にポツポツ鑑賞しているところなのであまり語ることはできないのですが、本当に "エレクトリック" なコンサートです。例えば映画やアルバムだけでは知ることのできない、ファンキーな「Irresistible Bitch / Possessed」メドレーだとか…最高です。

Everybody stop on the one...... Good god!

実際にコンサートの演奏曲でこの言葉が出てくるのは「Let's Go Crazy」のみかもしれませんが、今回のリリースセットによく出てくる言葉を使って、このコンサートは "エレクトリック" と形容したくなります。

  • Let's Go Crazy - "Electric word, life..."
  • The Dance Electric
  • Electric Intercourse
  • We Can Fxxk - "Can't U see this room is electric?", "electric ass / electric thighs"

それにしても、Housequake の Facebook 投稿から知ったのですが、このオフィシャル DVD、ブートレグより画質が悪いって本当なのでしょうか? どういうことなんでしょう (笑)

prince-purple-rain-deluxe-dvd