最近、スーパームーンとやらで月が大きかったような気がします。本当はトレーニングのことを書こうとしたのですが、どうやって書こうか決めかねているうちに、またプリンスの記事です。

「Moonbeam Levels」は元々は遡ること1982年7月6日に書かれた曲で、時期としては同年10月末にリリースされたアルバム「1999」のレコーディングセッション中に書かれた曲です。ちなみに princevault.com によると、翌日の7月7日は「Lady Cab Driver」のベーシックトラッキングがされた日だとのことです。この曲は長年ブートレグでは有名な曲で、正式なタイトルが判明するまではブート業者が付けた「A Better Place 2 Die」というタイトルで知られていました。生前は未発表のままであり、昨年2016年11月のコンピレーションアルバム「4Ever」に収録され、2016年以降にオフィシャルリリースされた最初の未発表曲となりました。

この曲は、ただの音楽として聴き流すと、ちょっと良い (そしてちょっと風変わりな) 曲くらいにしか聴こえないかもしれません。しかし、中身をきちんと聴いて、これほどの曲を作れるような人は他に誰かいるのか?と考えてみると、プリンス以外の人には決して作ることのできない曲であることを痛切に感じます。メロディ、アレンジ、ボーカル、そして歌詞。はっきり言って、異常な曲です。しかもこんなものを未発表にしてしまうのです。プリンスを基準にすると色々と感覚がおかしくなります。


タイトルの "moonbeam levels" というのは詩的で独特な表現なので、これだけでは何を意味しているのか少々イメージが掴みづらいかもしれません。しかし歌詞全体を見渡すと、何となく情景が見えてきます。

最初、曲の主人公は小説を書こうと思い立ちますが、話の筋が決まらないままに、やがて草の上に寝そべり、大地を感じようとします。そうこうしているうちに、1982年当時の社会情勢を背景に、冷戦の末に核戦争が起こり、恋人を失った若者の姿が映し出されます。

その若者は夜空を見上げ、月の差す光が自分をどこか幸せな場所に運んでくれることを望みます。それは現実とは別に存在する新しい世界なのかもしれません。それとも土星の輪が見下ろせるような宇宙の遥か彼方なのかもしれません。結局のところ、彼は自分自身でも一体何を望んでいるのか分からないのかもしれません。そして彼は、それが本当の望みではないことを悟りながらも、自分を天国へと、より良い死に場所へと連れていってくれることを月の光に願います。

この曲はブリッジの展開や歌詞もまた印象的です。

生まれたばかりの赤子は破滅も知らず
愛も憎しみも知らない
その中で起こることは謎であるまま
なぜなら人は彼の運命など気にも留めないのだから

やや謎めいた歌詞なので勝手な解釈が入っているかもしれませんが、月を見るたびに、ふとこの曲が思い出されます。


[Verse 1]
Yesterday I tried to write a novel but I didn't know where to begin
So I laid down in the grass tryin' to feel the world turn
Boy loses girl in a rain storm, nuclear World War III
All that's left is pain and sorrow, as far as he's concerned
昨日僕は小説を書こうとしたけれども、どこから書き始めたらいいのか分からなかった
だから僕は草の上に寝そべり、大地が回転するのを感じようとした
少年は豪雨と第三次世界大戦の核の中で少女を失う
彼に関する限り、その後に残されたのは痛みと悲しみだけ

[Chorus]
He says please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
I'm lookin' for a better place to die
彼は言う - どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
より良い死に場所へと私を導いてほしい

[Verse 2]
Maybe he's lookin' for a different world
Maybe he's lookin' for a brand new high
Maybe he would like a nice condo overlookin' the rings of Saturn
Maybe he wants affection instead of a plastic life
Maybe he doesn't know what he wants at all
たぶん彼は違う世界を探しているのかもしれない
たぶん彼は経験したことのないハイを求めているのかもしれない
たぶん彼は土星の輪を見下ろせる素敵なマンションが欲しいのかもしれない
たぶん彼は作り物の人生ではなく愛情が欲しいのかもしれない
たぶん彼は一体自分が何が欲しいのかも分かっていないのかもしれない

[Chorus]
He says please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
I'm lookin' for a better place to die
彼は言う - どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
より良い死に場所へと私を導いてほしい

[Bridge]
A newborn child knows nothing of destruction
Nothing of love and hate
What happens in between is a mystery
Because we don't give a damn about his fate
生まれたばかりの赤子は破滅も知らず
愛も憎しみも知らない
その中で起こることは謎であるまま
なぜなら人は彼の運命など気にも留めないのだから

[Verse 3]
He said he'll never keep diaries to learn from his mistakes
Instead he'll just repeat all the good things that he's done
Fight for perfect love until it's perfect love he makes
When he's happy then his battle will be won
(It's never too late)
彼は日記をつけて過去の過ちから学ぶことはしないと言った
その代わり自分が今までにした善い行いを繰り返すのだと
そして完璧な愛と呼べるものを成し遂げるまでそれを求めて戦うのだと
彼が幸せならばその戦いは勝利となるだろう

[Chorus]
He says please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
I'm lookin' for a better place to die
彼は言う - どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
より良い死に場所へと私を導いてほしい

He says please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
Please send all your moonbeam levels to me
I'm lookin' for a better place to die
彼は言う - どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
どうか全ての月の光を私に送ってください
より良い死に場所へと私を導いてほしい

[Outro]
He don't, he don't, he don't really wanna die
He don't wanna, he don't wanna, he don't wanna die
He don't wanna, he don't wanna, he don't wanna die
He don't really wanna die
彼は本当は死を望んでなどいないのに
彼は本当は死を望んでなどいないのに
彼は本当は死を望んでなどいないのに