マイテの本「The Most Beautiful: My Life with Prince」を買いました。私自身まだ断片的にしか内容を把握できていないのですが、これがどんな本なのか興味のある人もいると思うので、Amazon でトップになっている読者レビューを紹介します。ちなみに、私はハードカバーと CD と Kindle を買いました。ハードカバーや CD を買ったのは、私のアカウントでは最初 Kindle や Audible がダウンロードできなかったためです。私には初めてのケースだったのですが、この本の Kindle バージョンは Amazon.com にアカウントがあるだけではダメで、購入するには Kindle サイトのアカウントで米国の住所を設定する必要があるようです。また、この本を読むならば、オーディオも入手することを強くおすすめします。ナレーションはマイテ自身が行っており、オーディオは、これを聴かなければこの本を知ったことにはならない、と言って良いほどのものになっています。

マイテに関して何か言及するときは一言断っておかなければならない雰囲気があるので、最初に私のスタンスを言っておきます。

私は元々そこまでマイテのファンというわけではありません。ただ、マイテを軽々しく嘲るような発言を見聞きする度に、私は心苦しく思っていました。特に、影響力のある批評家的な立場の人までが、物事を表面的にしか捉えずにそういった発言をすることを、内心残念に思っていました。

マイテが本を出版すると知り、私は内心ずっと楽しみにしていました。プリンスという人物に関して何かを語るのに最も相応しい資格を持っている人を一人挙げるとしたら、私はその人はマイテだと思っていたからです。

そして本を手に取りました。内容はある意味予想通りでありながら、それでいて、全く予想していなかったものでした。一切の誇張をせずに言います。これほど美しい本に出会うことは、人生そうそうあるものではありません。これほどの内容を、これほど思慮深く美しく語ることができるというのは、俄かには信じられない気持ちです。

以下は、Amazon.com の商品ページでトップになっている K. Williams という人のレビューを、概ねそのまま日本語に訳したものです。このレビューでは、この本を読めば抱くであろう感想がとても的確にまとめられています。表現は抽象化されていますが、本の内容を知っていれば具体的に何を言っているのか容易に想像できる文章であり、私はこの文章の全てに心から共感します。途中、文が丸ごと太字になっているところが連続しますが、これは私が勝手に太字にしました。このレビューに書かれている通り、先入観からマイテに批判的な印象を持っているとすれば、この本を読めば本当にその偏見を恥じて撤回することになると思いますし、また、人々がマイテに抱くであろう殆ど全ての疑問について、マイテはこの本の中で驚くほど思慮深く、かつ明確に答えてくれています。

Friend, Mother, Lover, Sister, Wife
友人、母、恋人、妹、妻

はい、このレビューは長くなります。この本については言いたいことが沢山あります。

少し心を落ち着けましょう。

深呼吸をしましょう。

4つ数えながら息を吸って。息を止めて。4つ数えながら息を吐いて。

準備はできましたか?

いきます。

マイテ・ガルシアはプリンス界隈で最も評価が割れる人物の一人です。

私達は彼女がプリンスの最初の妻で、プリンスの子の母であることを知っています。二人はいくつかの悲劇を共にしました。彼女はリアリティショウに出演したこともありました。色々なことがありました。

二人が一緒だった頃の情報は、噂のなる木からやってくる風説を除外すると、そう多くはありません。…それにしても何という噂のなる木だったことか。

そしてまたうわさ話を通じて私はこの本を知りました。正直に告白すると、その時の私を満たしていたのは軽蔑、敵意、嘲り、それに妬みでした。ピープル誌の特集記事を読み、私は「なぜ?!」という思いを抱きました。抑えられない不快感が湧き上がるのと同時に、それでもなおあのようなプライベートな情報を知りたいと思う自分に最悪な気分になりました。

しかしふと考えました。私が読んだのはピープル誌です。ピープル誌はしばしば物事をセンセーショナルに書き立てる傾向があり、信頼性にかけてはあまり褒められた情報源ではありません。

そこで私は決断しました。私はこれまでプリンスに関して沢山の書籍や記事を読んできました。それらは元バンドメンバー、研究者、熱狂的ファン、ジャーナリスト、グルーピー、元恋人… 様々な顔ぶれの人々によるものです。それならプリンスの最初の妻である人物が記した本を読まない理由はないだろう、と。

それに、信用を持ってこの本について語りたいのであれば、まずはこの本を読まなければいけません。

そして私はこの本を読みました。

言わせてもらえますか?
私は、彼女に抱いていた全ての批判的思考を、恥じて撤回しなければならかったことを

言わせてもらえますか?
私が彼女に抱いていたほぼ全ての「なぜ?」という質問に、彼女は答えてくれたことを

言わせてもらえますか?
この女性は、驚くほどしっかり自己を把握できているということを。そして、プリンスと共に過ごした時代ですら彼女はおそらくそうだったことを

言わせてもらえますか?
この本がいかに良く書けているかや、彼女がいかに優れた語り手であるかに、私がどれほど驚いたかを。そして、この本を読んだ後、一人の女性として彼女への尊敬の念がどれほど跳ね上がったかを

言わせてもらえますか?
二人の最も幸せな時期のエピソードを読んでも、私は一切の嫉妬を感じず、ただ二人が愛し合っていることにどれほど心が躍り嬉しくなったかを

言わせてもらえますか?
人が行動を起こすとき、その行為の内容や動機を考えるにあたって、どれだけ前後関係や背景が重要であるかを

この本はマイテ・ガルシアについて書かれたものです。

この本はマイテの人生について書かれたものです。そこにプリンスが現われても、それでもマイテの人生です。プリンスが去った後も… やはりマイテの人生です。

この本を読んだことで、私は人として成長しました。決め付けで人を非難することの愚を学び、また、なぜプリンスに関する事柄や他の一般的な事柄に対して反応したり憤りを感じたりするのか、その理由について自己を省み深く考えました。こういった内省を通して、自分の思い込みを勝手に投影させることなく、他者の人生経験をありのままに吸収し、尊重することの大切さを実感しました。

はっきり言って、これは非常に読むのが難しい本です。特にプリンスが去って一年が経とうとしている今はなおさらのことです。しかし、その難しさは本の内容そのものから来るものではありません (この本に書かれているプリンスの気質や振舞いは、Per Nilsen の Dance, Music, Sex, Romance や Alex Hahn の Possessed を読んでいるファンにとっては目新しいものではありません)。それは、この本が産み出されるうえで核となる場所に、精神的に直接触れることになるために生じるのです。

この本を読むと、誰もが巨大な鏡の前に立たされることになります。その鏡に映るのは、一人の人間として全てが曝け出されたあなたの姿です。

もしあなたがマイテへの敵意を胸に抱き、それを確認するためにこの本を手にしたのであれば、あなたはそれを裏付ける証拠を見つけることでしょう… なぜならば、それはあなたが探し求めているものだからです。あなたの目に映るのはそれが全てになることでしょう。

もしあなたの心にあるプリンスの人物像が、素晴らしく、愛に溢れ、セクシーで、惜しみない寛大さを持った音楽の天才というものであったら、心の準備が追い付かないほど予想以上に人間らしさを持ったプリンスの姿に、あなたは心を乱される体験をすることになるかもしれません (特に、前述の本を読んだことがない場合)。

もしあなたがプリンスに関する背景知識を持たず、ちょっとした興味本位でこの本を手にしたら、そこに描写されている人物は、一人の欠陥を抱えた天才に映ることでしょう… そして、プリンスの生まれ育った境遇をおもんばかることがなれば、それに加えてプリンスに対していくつかの好意的でない評価を下すことになるでしょう。

しかし、もしあなたが厳しくも Love4OneAnother の広く柔軟な心で真摯に向き合い、腰を据えて、自分自身や自身の感受能力、先入観、偏見に挑む努力を惜しまなければ、凄まじく難しい体験ではあるものの、あなたに謙虚な気持ちと精神浄化をもたらすことでしょう。

私はこの深い共鳴と喚起の旅をしっかりと楽しみました。私は厳しくも柔軟な心構えでこの本と向かい合い、数ページ毎に自分自身の感情をリセットする必要に迫られ… そして読み進めるに従い、やがてはその必要もなくなりました。そして、私にもたらされたのは、マイテに対する巨大な尊敬の念です。大部分の情報はプリンスを長年聴いていればさほど新しいものではないにも関わらず、マイテのレンズに通され、確かにプリンスは以前にも増してかなりの人間らしさを持って描かれています。

この本にプリンスが登場するのは確かに興味深いことです。しかし、それでありながらこの本は全くプリンスについての本ではありません。この本からは、プリンスという人物のほんの一部分を覗き見ることしかできません。私には、この本に描かれている、複雑で人間らしさを持ったプリンスという人物を、やはり強く愛し、擁護したいという思いがあります (他者としてできる範囲で)。プリンスはやはり素晴らしく、愛に溢れ、セクシーで、惜しみない寛大さを持った音楽の天才です。非常に難しい局面ですら、プリンスはそんな面を垣間見せてくれるのです (笑)。プリンスは、透明さと、純粋な意図を持ち、実際あらゆるものへの対応に見事なまでの一貫性を見せてくれます。

この本をどのように受け取るかによらず、この本を読むことで、あなたはなぜプリンスのファム (註: プリンスの中では "ファン" は "fanatic" の短縮形で良くないということになっているので、替わりに使われる "family" から取った言葉) であるかについて、その理由を深く試され、非常に直接的に真実と向き合わされることになります。消化するのに時間がかかるため、じっくり馴染ませ考えを巡らしながら読むのが良いでしょう。 たとえそれがどんな結果になろうとも、躊躇する必要はありません。打ち寄せるものをそのまま受け入れ、自己内省を深めていきましょう。もしそれが上手くいけば、それは素晴らしい癒しをもたらす旅になり得るでしょう。それがこの本を読んでの私の体験でした。あなたにとっても、この旅が、心を開き、学び、成長し、癒しを得られるものとなることを願います。