「Kiss」は1986年のアルバム「Parade」からの全米1位ヒット曲です。プリンスの有名曲のひとつであり、また、凄い曲です。ただ、これほどどこがどう凄いかを説明するのが難しい曲も珍しいかもしれません。とにかく実際に聴いてみるしかない、という曲です。

この曲は元々はマザラティというグループのために書かれました。プリンスは最初アコースティックギターの簡単なデモを作りますが、マザラティはこれをファンキーなアレンジに作り変えます。それを聴いて気に入ったプリンスは、即座にこの曲を取り返してしまいます。曲はさらにラジカルなアレンジがなされ、ボーカルはファルセットになり、最初のデモからはすっかり変貌を遂げることになります。そうして出来上がったのがプリンスのリリースバージョンです。

ちなみに私は、期待に胸を膨らませながら初めて「Kiss」を聴いたとき、これは全米1位ヒットシングルだという以外に予備知識を持っていなかったので、その感想は「・・・何だコレ?」でした。第一印象としては、後に「Bob George」を聴いたときと同レベルの「何だコレ」具合でした。上のデヴィッド・Zのインタビュー記事でも、シングルリリースの決定に際してワーナーからは散々な言われようだったことが書かれています。しかし結果は周知の通り、もしこの曲がなかったらどうなっていたんだろう?というほどのヒットになりました。

「Kiss」はとても奇抜な曲に聴こえますが、コード進行自体に奇抜なところはなく、ブルース進行の曲です。トム・ジョーンズなど他人のカバーを聴くと、一転して普通の曲に聴こえるのが面白いです。日本語 Wikipedia にブルース進行楽曲の例が色々と載っていますが、その中でもプリンスの「Kiss」は突出して奇抜な曲なのではないかと思います。また、この曲は「When Doves Cry」と同様、ベースなしの大胆な楽曲アレンジがよく話題になります。しかしこの曲はそれだけではありません。アレンジもさることながら、個人的にはこの曲を傑作たらしめているのはプリンスのファルセットボーカルではないかと思います。

ところでこの曲の歌詞は、綺麗でなくたって構わないという内容だけあって、ミュージックビデオでプリンスと絡むのは黒いベールを被って顔を隠した女性です。顔が見えないので気になりますが、この人は実際はとても綺麗な女性で、Monique Mannen という方です。この方は「Kiss」のビデオだけでなく、映画「Graffiti Bridge」にも出ているみたいです。プリンスの好きな曲は?という咄嗟の質問に「Gett Off」と答えているインタビューがあって (笑)、素敵な人だなと思いました。

また、この曲はライブでは決してスタジオバージョンの質感は再現されない曲でもあります。いや、実際に再現されても困るのですが。下の方にリンクしたのは2003年の Ellen Show でのパフォーマンスです。歌詞のダイナスティの部分は時代によって変わり、ここでは Sex and the City と歌っています。

そういえば、「Purple Rain Era Studio Sessions」の著者 Duane Tudahl が Peach And Black ポッドキャストのインタビューで次のように言っていました。

I feel bad for the people who haven't gone to see Prince, because they missed out on really probably the best performer in my life time, easily.
プリンスを実際に見に行ったことがないというのは残念なことだと思う。なぜならその人達は、おそらく私が生きている時代における最高のパフォーマーを見逃したことになるのだから。それもダントツで最高のパフォーマーを。

ただ同時に、これは映像で見るのではなく、実際にその場で体験しないと理解しづらいことだとも Duane は断っています。そして若い世代はプリンスは偉大だと言われてもピンと来なくなっていて、自分達の世代のアーティストと比較して、「○○はプリンスと同じくらい偉大だ」みたいなことを言う、と。

No! No, no. You don't get it. No. That's not how it works!
いやいやいや。君は分かってない。そういうことじゃないんだ。

だからプリンスは様々な面で特別で偉大な存在であったことを、次の世代の人達にも理解してもらいたいという思いがあると Duane は語っていて、それがとても印象に残りました。


Uh!

U don't have 2 be beautiful 2 turn me on
I just need your body, baby, from dusk till dawn
U don't need experience 2 turn me out
U just leave it all up 2 me, I'm gonna show U what it's all about
特別美人じゃなくたっていいのさ、僕をソノ気にさせるには
必要なのは君のカラダ、夕暮れ時から夜が明けるまで
経験だって要らないさ、僕をアノ気にさせるには
全部僕に任せてちょうだい、何から何まで教えてあげる

Chorus:
U don't have 2 be rich 2 be my girl
U don't have 2 be cool 2 rule my world
Ain't no particular sign I'm more compatible with
I just want your extra time and your... kiss
お金持ちじゃなくても大丈夫、僕の恋人になるにはね
格好つけなくても大丈夫、僕の世界を支配するにはね
どんな星座でも関係ナシ、僕はこの上なく相性バツグン
僕が欲しいのは君のオマケの時間と君の・・・キス

U got 2 not talk dirty, baby, if U wanna impress me
U can't be 2 flirty, mama, I know how 2 undress me (Yeah)
I want 2 be your fantasy, maybe U could be mine
U just leave it all up 2 me, we could have a good time
はしたない口は控えなきゃ、僕の気を惹くにはね
軽々しいのもいけないよ、僕は自分で服を脱げるから
君の妄想を叶えてあげたい、君も僕のを叶えてくれるのかな
全部僕に任せてちょうだい、素敵な時間を楽しめるよ

Chorus:
U don't have 2 be rich 2 be my girl
U don't have 2 be cool 2 rule my world
Ain't no particular sign I'm more compatible with
I just want your extra time and your... kiss
お金持ちじゃなくても大丈夫、僕の恋人になるにはね
格好つけなくても大丈夫、僕の世界を支配するにはね
どんな星座でも関係ナシ、僕はこの上なく相性バツグン
僕が欲しいのは君のオマケの時間と君の・・・キス

Yes, oh
I think I wanna dance, uh
Gotta, gotta, oh
Little Girl Wendy's Parade
Gotta, gotta, gotta

Women, not girls, rule my world, I said they rule my world
Act your age, mama, not your shoe size, maybe we could do the twirl
U don't have 2 watch Dynasty 2 have an attitude, uh
U just leave it all up 2 me, my love will be your food (Yeah)
女の子じゃなくってオトナの女性がイイんだ、オトナの女性がね
歳相応に振る舞わなきゃ、靴のサイズに合わせるんじゃなしにね、クルクルしよう
ダイナスティを観なくてもいいのさ、態度を身に付けるためにね
全部僕に任せてちょうだい、君の食べ物は僕の愛さ

Chorus:
U don't have 2 be rich 2 be my girl
U don't have 2 be cool 2 rule my world
Ain't no particular sign I'm compatible with!
I just want your extra time and your... kiss
お金持ちじゃなくても大丈夫、僕の恋人になるにはね
格好つけなくても大丈夫、僕の世界を支配するにはね
どんな星座でも関係ナシ、僕はこの上なく相性バツグン
僕が欲しいのは君のオマケの時間と君の・・・キス