「Breakdown」は2014年のアルバム「Art Official Age」に収録されている曲です。この曲については感想が長くなりすぎるため、今回の記事に先立って3つの余談を書いています。

これまで色々と余談を書いてきましたが、今回は本題になります。この曲の歌詞についてです。


「Breakdown」は次の歌詞から始まります。

Listen 2 me closely as the story unfolds
This could be the saddest story ever been told
これから明かす話をきちんと心を注いて聴いてほしい
今までのどんな話よりも悲しい話かもしれないから

ずいぶんと大袈裟な歌詞に思えるかもしれません。実際、この曲の歌詞を上から下まで目を通しても、とてもそこまで悲しい内容が歌われているようには思えません。

しかし、あることに気付くと、この歌は確かにどんな歌よりも悲しい歌かもしれないと感じるようになります。というのも、この曲の歌詞は、ある曲の歌詞に重ね合わせて書かれているように受け取ることができるのです。そして、そのある曲とは「The Holy River」です。最も喜びに満ちた曲であったはずなのに、決して歌われることがなくなってしまったあの曲です。

「The Holy River」は1996年のアルバム「Emancipation」の核をなすとも言える曲です。この曲の中で、プリンスはマイテに出会うまでの人生の苦悩を歌い、マイテに結婚を申し込みます。そして二人は聖なる川を訪れ、神から魂の救済を受けます。以下に、両曲で互いを連想させる部分をいくつか挙げます。

(Breakdown)
I used 2 throw the party every New Year's Eve
1st one intoxicated, last one 2 leave
昔の僕は大晦日になると毎年パーティを開いた
真っ先に酩酊しては、最後の一人になるまで居残った

(The Holy River)
So here we go again, the self analysis
Have another glass of Port and uh.. forget this
The band's playin' at the club 2night and they're bound 2 groove
There U are, U think U're high
U can't ask yourself cuz U'd only lie
だからまた自己分析を試みる
ポートワインをもう一杯飲み… いや、またにしよう
なぜなら今夜のクラブで演奏しているバンドは最高なのだから
そしていつも通り、ハイになった自分を演じる
自分の胸に訊いても嘘で塗り固められた答でしか返せない

(Breakdown)
Give me back the time, U can keep the memories
思い出なら君にあげるよ、僕はただ時間を取り戻したい

(The Holy River)
Looking back y'all, I don't miss nothing except the time
振り返っても、時間以外に何も惜しくはない

(Breakdown)
See, there's a door that U can walk thru where there used 2 be a wall
ほら、以前は壁だった場所に通り抜けられる扉が出来ている

(The Holy River)
U can still see the picture upon the wall
One eye staring at nothing at all
The other one trying 2 focus through all your tears
壁にはまだ絵が飾られている
一つの目は全く何も見つめていない
別の目は涙の先で精一杯焦点を合わせようとしている

そして「The Holy River」は、歌詞の一部が「When Doves Cry」と重なります。「Breakdown」は、これら2曲の上に作られた歌なのかもしれない、と私には感じられます。

(When Doves Cry)
How can U just leave me standing
Alone in a world that's so cold?
なぜ僕を置き去りにできるの
この冷たい世界にひとり

(The Holy River)
So over and over U ask your soul
Why'd U come down 2 a world so cold?
だから自分の魂に何度も聞き返す
どうしてこの冷たい世界に生まれて来たのかと


「Breakdown」は非常にパーソナルな内容が歌われている曲ですが、ここで歌われる "You" とは誰のことなのか定かでありません。そもそも明確な答えが得られる類の疑問ではないのだと思いますが、色々な思いが頭を巡ります。ひとつ個人的に思い出すのは、Emancipation 期に出演したオプラ・ウィンフリー・ショウのやりとりで、プリンスが子供の頃にイマジナリー・フレンドを創り出したと語るシーンです。このやりとりは下のリンクですぐ15秒頃からです。

O(+>: Recent analysis has proved that there's probably two people inside of me. There's a Gemini. And we haven't determined what sex that other person is yet.
最近の自己分析から、僕の中にはおそらく2人の人物が存在することが分かったんだ。ジェミニがね。まだその人物の性別は確定できていないんだけどね。

(中略)

Oprah: It's literally like another personality you're talking about?
それは文字通り別の人格ということ?

(中略)

O(+>: Well, what they seem to find was that it was someone I had created when I was five years old.
どうやら分かったのは、それは僕が5才の時に創り出した存在だということなんだ。

(中略)

Oprah: Being of smaller stature, did it ever make you question yourself, question your ability to get dates, get women in the beginning?
背が低いことで悩んだりはしたのかしら? その、デートの相手になってくれる女の子を見つけるのとかで。

O(+>: No. N -- No. It questioned my ability to play basketball, because I like to hoop, but...
いや、そんなことはなかったね。バスケの能力については悩んだけど。僕はシュートを打つのが好きだから。

Oprah: Did you ever feel ridiculed as a child because of your size?
子供の頃は背が低いことでからかわれたりしたの?

O(+>: Mm-hmm.
そうだね。

Oprah: You did?
そうなの?

O(+>: Oh, yeah. All the time.
そうだね。常にね。

Oprah: And how did you handle that?
どうやって対処したの?

O(+>: That's probably when that person got created...
だから僕の中でその存在が生まれたんだと思う。

Oprah: Yeah.
そう。

O(+>: You know, somebody to care about you and love you and be your friend and not ridicule you.
自分を大切にしてくれて、愛してくれて、友達でいてくれて、決して自分をからかったりしない存在がね。

Oprah: Uh-huh. OK, what would they call you?
他の子達からは何て呼ばれたりしたの?

O(+>: Just everything they could think of - anything small.
ありとあらゆるものだね。小さいものなら何でも。


Listen 2 me closely as the story unfolds
This could be the saddest story ever been told
I used 2 want the house with the biggest pool
Reminiscing now, I just feel like a fool
これから明かす話をきちんと心を注いて聴いてほしい
今までのどんな話よりも悲しい話かもしれないから
昔の僕は巨大なプール付きの家が欲しかった
今振り返ると、なんて愚かだったのだろうと思う

U keep breaking me down, down, down
Keep breaking me down, down, down
Keep breaking me down, down, down
U keep breaking me down, down, down
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる

I used 2 throw the party every New Year's Eve
1st one intoxicated, last one 2 leave
Waking up in places that U would never believe
Give me back the time, U can keep the memories
昔の僕は大晦日になると毎年パーティを開いた
真っ先に酩酊しては、最後の一人になるまで居残った
目を覚ますのはきまって途方もない場所だった
思い出なら君にあげるよ、僕はただ時間を取り戻したい

U keep breaking me down, down, down
U keep breaking me down, down, down
Oh, U keep breaking me down, down, down
U keep breaking me down, down, down
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる

Every book I've read said that I would meet somebody like U
Whenever I was sorry, so sorry 4 the things I used 2 do, oh
A journal full of numbers that I used 2 go thru
1 2 3 4 5 6 7 all behind me now, all because of U
これまで読んだどの本にも書いてあった - いつか君のような人に出逢えると
過去の行いを悔やむならば、激しく悔やむほどに
番号でいっぱいの手帳をめくったのも
1 2 3 4 5 6 7、今や全ては過去のこと、君が全てを変えてくれた

U keep breaking me down, down, down
U keep breaking me, U keep breaking me down! (Down, down, down)
I don't wanna, wanna, wanna go!
No no no no! Oh-ooh! (Keep breaking me down, down, down)
Don't wanna go down... (Keep breaking me down, down, down)
Baby, baby (Down, down, down)
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる
君は僕をメチャメチャにしてくれる

See, there's a door that U can walk thru where there used 2 be a wall
I don't care, it's cool as long as U catch me, baby
If there's ever a fall
The closer 2 the breakdown
The closer we get...
2 the breakdown
ほら、以前は壁だった場所に通り抜けられる扉が出来ている
何が待っていようが構わない、君が僕を掴んでくれるなら
たとえつまずくことがあったとしても
近付くにつれて
僕らが・・・近付くにつれて