最近、隠れた名盤「The Family」(1985年) を聴き直しています。

このアルバムには「言葉は分からなくても聴けば分かる」的なストレートな良さがあります。歌詞を気にする必要がないインストゥルメンタル曲も2つ含まれており、そのひとつの「Yes」などはアグレッシブで素晴らしくクールな曲です。

それにしても、このアルバムは隠れた名盤だけあって、本当に隠れています。検索しても語っている人は殆ど見つかりません。それでは忍びないということで、既に取り上げた「Nothing Compares 2 U」の他に、もう2曲取り上げることにします。まず今回は、情緒的で歌詞も印象的な「The Screams Of Passion」です。それに、ロマンチックで個人的に好きな曲「Desire」についても書くつもりです。


「The Screams Of Passion」という曲は、いかにも「プリンスが作曲しました」というシンプルな骨格をしているのですが、どことなくつかみどころがありません。言葉に対するメロディの乗せ方もちょっと変わっています。そんな中で、きびきびと軽やかに演奏されるオーケストラのストリングスが良い味を出しています。全体としては、少し不思議な雰囲気がする曲です。

私は、この曲には「詩人・プリンス」という印象を持っています。この曲では、他のプリンスの曲ではあまり見られないような情緒的な風情が歌われます。個人的にはコーラス (といっても歌われるのは一度きりですが) の歌詞などが印象的です。

A robin sings a masterpiece that lives and dies unheard
コマツグミは傑作を歌い、生き、そして死ぬ - 誰にも知られることなく

American Robin (コマツグミ) で画像検索しました。こんな鳥です。 prince-american-robin

それにしても、「Nothing Compares 2 U」などもそうですが、自分のサイドプロジェクトに惜しげもなくポンとあげていることからしても、おそらくこれらは別にそこまで心血を注いで作られたものではなく、プリンス本人はこういうのは大したことではないと思っていそうです。この曲の歌詞は、例えるなら、学校の課題で適当に詩を書いたら先生が勝手にコンクールに送って、結果コンクールで特選をもらいました、という感じがします。

ちなみに、歌詞の最後に出てくる「Is it Sunday? Or is it passion?」は唐突ですが、短くエディットされていないアルバムの方だと「I thought I heard a church bell」と言う台詞があるので、どうやら教会の鐘が聞こえた気がしたから今日は日曜日なの?と言っているようです。また、Passion には単に「情熱」という意味だけではなく「キリストの受難、苦しみや死」という意味もあり、Passion Sunday という言葉もあるので、そちらの方も連想させたかったのかもしれません。

この曲の突っ込みポイントは、リンクしたミュージックビデオでは3分9秒頃に起きます (アルバムバージョンは曲の入り方が違うので2分45秒頃)。スザンナは、くるくる回った後、甲高い叫び声をあげます。セント・ポールは「しーっ、そんな大きな声出さないでベイビー」と言うのですが、スザンナはそれを無視してさらに一層甲高い叫び声をあげます…笑

Yeaaahhh! (Shhh... Not so loud, baby)
Yeaaaaaaaahhh!! (Shhh! shhh!)

ちなみに、この叫び声は本当にスザンナが出しているらしいです。まあ、プリンスとは微妙に違う感じがするし、何よりもポールが「ベイビー」と呼んでいるのでプリンスだったらおかしいのですが、「これって誰?」と思うような叫び声です。

この曲はビデオも印象的です。時代を感じさせるチープな映像で、バンドとオーケストラは浜辺で曲を演奏します。アルバム収録曲の「スザンナのパジャマ」にならってパジャマを着ているスザンナはちょっと妖艶ですし、歌詞の区切りごとにやる階段を降りて昇る真似みたいな踊りも何だか良いです。


There's a gentle autumn breeze / That blows whenever we be lyin' / Lyin' in my bed
私たちが寝そべる - 寝そべるベッドに - 穏やかな秋風が吹く
The moon appears and disappears, U look at me / My clothes I quickly / I quickly shed
月が現れては隠れ、あなたは私を見る - 私の服は素早く - 素早く脱ぎ落ちる

The curtains dance a minuet, autumn plays the music, baby / Come on, hold my hand
カーテンはメヌエットを踊り - 秋は音楽を奏でる - さあ私の手を取って
Leaves are fallin', velvet splash / Only U and I can under / Only U can understand
木の葉が落ちてできるベルベットの飛沫 - あなたと私だけに - あなただけに理解できる

The sunlight draws a picture / Through the silky lace that hangs above your / Hangs above your door
陽の光が - ドアの上に掛かるシルクのレースを透けて - 絵を描く
A picture that is waving / That it seems 2 be with every thrust U / Make me beg 4 more
絵はまるで協調するように波揺れる - あなたに駆り立てられる衝動が突き上げるたびに - もっと欲しい

Oh, a robin sings a masterpiece / That lives and dies unheard / 4 screams of passion
ああ、コマツグミは傑作を歌い、生き、そして死ぬ -誰にも知られることなく - 情熱の叫び声で
A sound produced by 2 in love / Curtains dance and autumn plays on / The screams of passion
愛し合う二人が作る音 - カーテンは踊り、秋は奏で続ける - 情熱の叫び声を

All I hear in my head echoing like a volcano, baby / The screams of passion
ただ私の頭に聞こえるのは - 火山のようにエコーする - 情熱の叫び声
Back and forth the raging seas of lust, I want U madly
荒れ狂う欲望の海が前後に揺れる - あなたが欲しくてたまらない
Can't U tell, can't U tell, can't U tell, can't U tell, Oww!
分かるでしょう?分かるでしょう?分かるでしょう?分かるでしょう、ああ!

Take me in your arms, oh baby / The crime is done, I'd rather die here in your / Screams of passion
ねえ私をあなたの腕に包み込んで - 罪は既に起こしてしまった - ここで死なせてほしい - あなたの情熱の叫び声の中で
Whoa, hold me now, baby / Tell me that U love me / Is it Sunday? / Or is it passion?
ああ、私を抱いて - 愛してると言って - これは日曜日? - それとも情熱?

Yeaaahhh! (Shhh... Not so loud, baby)
いぇぁぁぁぁ! (しーっ…そんな大きい声出さないでベイビー)
Yeaaaaaaaahhh!! (Shhh! shhh!)
いぇぁぁぁぁぁぁ!! (しーっ!しーっ!)