1996年の3枚組アルバム「Emancipation」からひとつだけ曲を選ぶとすると、私の場合、それは前回挙げた「One Kiss At A Time」となるのですが、もう少し枠を広げるとさらに2曲入ってきます。その2曲とは、「Dreamin' About U」と「The Holy River」です。

今回はまず「Dreamin' About U」を取り上げることにしますが、何を書けばいいのでしょう… これは、言葉で表現できる境界を越えたところに存在する曲です。曲に釣り合う言葉は見つからないのですが、少しだけ何か書くことにします。

この曲の歌詞は妖艶で情熱的であり、それでいてプリンスらしくユーモラスな部分も持ち合わせています。私には上手く訳せないのであまり深入りはしませんが、とても幻想的で詩的な世界が歌われます。例えば次のフレーズなどは、個人的には特にインパクトがあります。

Your tongue is a great persuader
君の舌は偉大な説得者だ

ちなみに、"persuader" という単語を辞書で調べると、文字通り単に "説得する人" という意味だけではなく、インフォーマルな用例として、"something used to intimidate or deter, as a weapon or punishment" とあります。この単語には、それをちらつかせて脅せば有無を言わさずに言うことを聞かせられるもの、という意味もあり、その場合は通例、恋人の舌ではなく、銃などの武器や罰など、脅しに使われるものを指して使われるようです。

また、演奏の方では、女性ベーシストのロンダ・スミスによるベースや、エリック・リーズのサックスもこの曲に重要な彩りを添えています。個人的には、途中からサックスのフレーズが入ってくると、The Family の「Desire」を思い起こします。どちらも官能的な曲ですが、「Desire」が穏やかでロマンチックな曲であるのに対し、「Dreamin' About U」はより激しく情動に駆られた雰囲気なのが対照的です。

後は… 言葉が見つかりません。代わりにプリンスの音楽を聴くこと全般について、前提となる話を少し付け加えておきます。


プリンスの音楽は他のアーティストの音楽とは違う聴き方をする必要があります。プリンスの音楽を他のアーティストの音楽と同じように消費してしまうと、プリンスがどれほど特異なアーティストであるかに気付くことは難しいのではないかと思います。

これは具体的に何を言っているかというと、単にプリンスの音楽をきちんと鑑賞するためにはヘッドホンやイヤホンを使うのが望ましいという話なのですが、実のところ、これはプリンスの音楽を聴くにあたって一番最初に知っておくべき話だと私は思っています。というのもプリンスの場合、ヘッドホンやイヤホンが必要になる理由が他のアーティストとは本質的に異なるからです。

「Dreamin' About U」の曲に関しては、刻まれるリズムが右でしか聴こえない音と左でしか聴こえない音に分離されているのに気付くくらいで、ヘッドホンを使っても使わなくても基本的に同じ音楽が流れますが、プリンスの場合、ヘッドホンで聴くのと普通に聴くのとでは違う音楽が流れる、ということがよく起こります。そして、このようなアーティストが他に誰か存在するだろうか?というと、おそらくプリンス以外には他に誰も存在しません。この話は極めて重要であるにもかかわず、論じようとしても比較対象になりうるアーティスト自体が他に存在しないためか、音楽評論家によって明確に語られることはまずありません。

これは前提の話なので最初に知っておくべきことではあるのですが、最初に書いても伝わりづらいことでもあるし、その特異性に馴染むのにはおそらく時間が掛かると思われるので、とりあえず少しずつ曲を取り上げて、区切りが付いたところでこの話を、と思っていたら、区切りが付かないまま既に1年以上経ってしまいました。この調子ではいつになるのか分からないので、とりあえず少し触れておくことにします。

また、このブログは元々トレーニングのブログで、最近になって私自身もぼちぼちトレーニングを再開しています。トレーニングのことも何か書こうかなとは思っているのですが…


以下のリンクは7分46秒の動画ですが、曲自体は3分50秒頃までです。


If the wind blew every petal from your precious red rose
Would U be afraid of what U'd find inside?
もし風が君の大切な赤い薔薇の花びらを全て吹き飛ばしてしまったとしたら
君はその中にあるものを知ってしまうことに怯える?

When I'm alone in my room
I can't stop dreaming about U, dreaming about U
When I'm alone in my room
I can't stop dreaming about U, dreaming about U
僕は部屋に独りでいる時
君を夢に想うことを止められない
僕は部屋に独りでいる時
君を夢に想うことを止められない

And every time I do what I need 2 do
I can't stop dreaming about U, dreaming about U
しなければいけないことをするときも何時も
君を夢に想うことを止められない

Revolving around every word that is spoken
Like the planets around the sun
I want U
まるで太陽の周りに存在する惑星のように
発せられる言葉の全ての周りで周回する
僕は、君が欲しい

Your tongue is a great persuader
Yeah, U got me sold
And when I'm alone in my room just watching a rose
I dream about U, I dream about U
君の舌は偉大な説得者だ
そう、僕はすっかり心を奪われてしまった
そして僕は部屋で独り薔薇を見つめているだけで
君を夢に想う - 君を夢に想う

When I'm alone in my room, yeah
I can't stop dreaming about U
When I'm alone in my room, baby, baby
I can't stop dreaming about U, dreaming about U
僕は部屋に独りでいる時
君を夢に想うことを止められない
僕は部屋に独りでいる時
君を夢に想うことを止められない

And every time I do what I need 2 do
I can't stop dreaming about U, dreaming about U
しなければいけないことをするときも何時も
君を夢に想うことを止められない

When my sane twin reigns
Claiming your aim is 2 maim my subconscious into being with U
I dream about U
僕の良識を持った双子の片割れが支配する時
君の照準を求めることで僕の潜在意識は損なわれ君と同化し
君を夢に想う

Betting on the notion that if my lustier twin prevails
Like the ruins of Rome, I'll lie helpless at your feet
Yeah, when I'm alone
I dream about U, I dream about U
僕の欲望にまみれた双子の片割れが優位に立つ時
まるでローマの廃墟のように、僕は君の足元になす術もなく横たわる
そう、僕は独りでいる時
君を夢に想う - 君を夢に想う

I dream about U, baby
When I'm alone in my room
I dream about U, my baby
I dream about U, U, U
君を夢に想う
僕は部屋に独りでいる時
君を夢に想う
君を夢に想う

(And here we stand)
And here we stand amidst your core (U)
Like the petals on this rose I adore (U)
The inside (The inside)
If the inside is kind
Kind in a sense that one would come from all
そして僕らはここにいる - 君の核心部のただ中に
この薔薇の花びらのように、僕は君を崇め愛でる
その内部
その内部に慈愛があれば
全てから来るものとしての慈愛

And the wish that U wish will come true if U call
But if not, (U will fall) U will fall
And I'll still be alone (Just dreaming about U)
With this ball in my stomach just dreaming about U (Dreaming about U)
そして君が求めるのなら君が望む願いはかなうだろう
しかし、さもなければ君は落ちてしまう
そして僕はなおも独りのまま
この球体をお腹に、ただ君を夢に想う