トレーニングとは全く関係ない話です。

だいぶ前の話ですがようやく見ました。巷でテレビドラマ史上最高傑作とも評されているアメリカのテレビドラマ「Breaking Bad」。ただ見るだけならば Hulu などでいいのでしょうが、英語を勉強したいので DVD を買って字幕付きで。評判通り、印象深い素晴らしいドラマでした。

このドラマ、華やかなロマンスや壮大なアクションがある訳でもなさそうだし、ちゃんと見るまでは、何故あれほど高評価を受けているのか不思議でした。シーズン1のカバーになっている、おっさんがブリーフ姿で拳銃を持って砂漠で突っ立っているあの絵も、あざとさが感じられて好きではありませんでした。

ちなみに、私はテレビも映画も殆ど見ないし本もろくに読まないタイプです。叶姉妹は駅のスポーツ新聞でよく名前を見るので、長いこと中国のマラソン選手か何かと思っていましたし、一番最後に見たテレビドラマといえば、日本のでいえば、そういえば「砂の城」とかいう昼メロを大学の頃に少し見たなあという程度です。それよりも前になると「おい、薄汚ねえシンデレラ!」とか「イソップー!」とか、そこまでいってしまいます。「倍返しだ!」と言われても私にはよく分かりません。

ところがこの「Breaking Bad」というドラマ、見始めたら引き込まれてしまって、5シーズン全部、ざざっと最後まで見てしまいました。こんな私なので、他のドラマと比べてこれは最高だということも出来ないし、含蓄のあるレビューなども出来ないのですが、せっかく見たので何か書いておこうと思います。

このドラマの主人公は、アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキの公立高校でしがない化学教師をしている Walter White です。苦しい家計の足しに洗車場のパートタイムも掛け持つ Walter は、50歳にして末期の肺癌と診断されます。そのような状況で、妻と障害を持つ息子に財産を残すための窮余の策として麻薬製造に手を染める、というところからストーリーは始まります。やがて Walter は麻薬ビジネスの大物へと変貌し、彼が最期を遂げるシーンでこのドラマは終わります。

このドラマの素晴らしさについては他で色々書かれていると思うので、ストーリーとは関係のないところで印象に残ったことを2つ書こうと思います。

とりあえず、この記事では1つ目について書きます。それは、シーズン2-4「Down」で、Walter が、息子の Walter Jr. との会話で Steely Dan という主に70年代に活躍したバンドについて触れるシーンです。

Walter: In terms of pure musicianship, I would put them up against any current band you can name.
純粋な音楽性でいったら、Steely Dan は今どきのどんなバンドよりも上の存在だろうね。

Walter Jr.: You wouldn't know any current bands.
父さんは今どきのバンドなんて何も知らないじゃないか。


別にこのやり取りがあったからこのドラマが好きになった訳ではないのですが、何を隠そう私は Steely Dan のファンです。Steely Dan のファンがいかにも言いそうなセリフが可笑しいです。昔、Steely Dan の「Deacon Blues」という曲が、人生の敗者の悲哀をいかに美しく描いているかを語って、「何を言っているのか全然わからないニャン」と返事をもらったことを思い出しました。

ちなみに、Steely Dan には、麻薬を化学合成する「cook」として知られた、ある実在の人物をモチーフにした「Kid Charlemagne」という曲があります。ドラマの主人公である Walter は、Heisenberg という通り名で前例のない高純度のメタンフェタミンを合成する、まさにこの曲で唄われているような伝説的な「cook」となります。


という訳で YouTube を探すと、この曲と「Breaking Bad」を結び付けたクリップがいくつか見つかります。一応断っておくと、リンクしたものはネタバレにならないように敢えて重要なシーンを抜いて作られているようで、ストーリーを知っている人にとっては退屈な出来です。ドラマを見たことがない人にとっても「これ、本当に面白いのか?」と思わざるをえないほど華が感じられないかもれませんが、個人的には Skinny Pete で締められているのが妙にツボです。