ウエイトトレーニングでは、一般的に模範とされる「良い」フォームとダメなフォームは素人目にも一見して区別ができ、違いが分かりやすいものです。トレーニングを初めるとき、殆どの人はとりあえずは「良い」フォームを学び、ダメなフォームにならないように気を付けます。

しかし、トップレベルのパワーリフターやボディビルダーを見ると、しばしば「良い」フォームには当てはまらないフォームで動作していたりします。それどころか彼らの動作はむしろダメなフォームに見えることさえあります。これって不思議に思ったことはありませんか?

彼らのフォームは「良い」フォームには見えないために、「ああいうのは本当は良くないんだけど彼等は上級者で特別だからオッケー」みたいな訳の分からない理屈が付けられたりします。これってまるで、和尚さんが一休さんに水あめを見つかって、「これは大人は食べても大丈夫だけど、子供には毒だから絶対に食べてはいけないよ」と言い訳しているみたいで、個人的には納得のできる説明ではありません。

一つ例を挙げます。Konstantin Konstantinovs という人の 426kg (939lbs) ベルトなしのデッドリフトを見てみてください。この試技はノーベルトのデッドリフトとして世界記録になっているみたいです。

Konstantinovs Deadlift 426kg(939lb) RAW,no belt


一般のプロフェッショナルトレーナーや自称トレーニングに詳しい人達にとって、これはダメなフォームに分類されるのではないかと思います。

「この背中の丸まり方はすごく危険だよ!それにバーが床から離れたときの腰の位置が高くてこれじゃあまるでスティフレッグだよ!デッドリフトっていうのはもっと腰を落として脚を使わないと高重量は挙げられないよ!」

一般のトレーナー達からはこんなアドバイスが飛んできそうです。しかし、コンベンショナルなタイプのデッドリフトで超高重量を挙げるトップレベルのリフターは、大体このような姿勢でバーを引き上げます。これって、本当は良くないんだけど彼らが特別だからオッケーという話なんでしょうか?一休さんの和尚さんが言うように、私たちにとっては毒だから食べてはいけないものなのでしょうか?私はそうは思いません。本物の良いフォームは、超高重量を挙げるリフターの方であって、こういう人達の言ういわゆる「良い」フォームは本当は良いフォームではないんです。

デッドリフトの例を挙げましたが、様々な種目において「良い」フォームとダメなフォーム、それと本物の良いフォームについては、次のような関係があるように思います。

・「良い」フォームとダメなフォームは全然違うように見えるけど、本質を外しているという点で実は両者は似ている。
・ダメなフォームと本物の良いフォームは全然違うものだけれど、表面上は似ているように見えることがある。
・「良い」フォームと本物の良いフォームは、なんというか、全然違う。