ここまで、初心者向けと題して、初心者トレーニーが何に気を付けトレーニングすべきか、あるいは「どうやったら自分のトレーニングが正しいと確信できるようになるのか」について、私なりのアドバイスを書きました。しかし、ちゃんとしたトレーニングをしましょう、自分に合ったトレーニングをしましょうといわれても、概観的すぎてどのように自分のトレーニングに適用したらよいのか具体的なイメージを持つのは難しかったかもしれません。

最後に具体的なケースとして、私自身の経験を少し書こうと思います。 基本的に、私はいわゆる「重量にこだわらない」トレーニングを中心に行っているのですが、私の場合、これができるようになって初めて自分のトレーニングに自信を持てるようになり、初心者を脱したと思うようになりました。 後書きとして、その経緯について少し書くことにします。

私がトレーニングを初めたのは大学生の時で、その後やったりやめたりを繰り返していましたが、二十代後半のある時、ふともう一度真剣にトレーニングをしてみようと思い立ちました。 普通のスポーツクラブで一人でのトレーニングでしたから、多くの人がそうするように、有名ビルダーのトレーニング動画を参考にしようと思いました。果たしてボディビルを極めた人がどのようなトレーニングをしているのか…

動画は故マッスル北村とミスターボディビルディングな方のトレーニングです。





ちなみに、知っている人にはいまさらな情報ですが、特にマッスル北村のビデオは食事シーンも含めてすごく面白いです。例えば、上の動画には1分過ぎくらいから 72kg ダンベルでコンセントレーションカールを行っています。音楽が被さっていて本人のせりふが分からないのですが、ビデオでは、「ボクはこれをやって左腕を断裂させちゃったんで、今日は右腕でやりますね (うろ覚え)」みたいなことをさらっと笑顔で言いながら披露しています。

この域までくるととりあえず「すごい」というのが感想として最初に来るのですが、日本人ビルダーのトレーニングには、だいたいこのようなメッセージが暗に込められているように感じます。

「高重量トレーニングこそが自分のポテンシャルを最大限に引き出す」

そして世の中の多くのトレーニー達もこの考えを持っているものと思います。多くの人が他人のトレーニングを扱っているバーベルやダンベルの重量で判断します。大した重量を扱っていない動画には、「このビルダーはあんな体をしてるのに、あんなショボイ重量でヒィヒィいいながらトレーニングをしてるのか。オレの方が凄いゼ」なんてコメントが付いたりします。 そして初心者への定番のアドバイスはこうです。

筋量を増やすのに最適なのはバーベルの基本種目を高重量で行うこと。初心者はまずこれをすべし

私もそのようなトレーニングでやってきましたが、行き詰まりを感じていました。 昔どこかに書いたことがあるのですが、そもそも私が筋トレを始めた切っ掛けというのは「筋トレをすると丈夫な体になって怪我が治るのではないか」というものでした。筋トレを始める以前は、私は筋トレによって自分の体に筋肉が付けられるというイメージを持ってなくて、肩や肘や腰などが悪いのがひょっとしたら筋トレで改善できるのではないか?と思ったのが筋トレを始めた切っ掛けでした。

そんな体なので、プレスは高重量に挑戦すると肘に痛みが出るし、スクワットやベントロウは腰が痛い。 高重量でガンガンではない別のトレーニング方法を模索する必要性を感じていました。 そこで興味が持ったのが海外のプロビルダーのインタビューなどで時々聞く次のような話です。

以前は高重量一辺倒だったが、ある時から重量にこだわらずにトレーニングするようになったんだ。そうしたら、自分の肉体をさらに成長させることができたんだ。

このアイデアは私にはとても興味を惹かれるものだったので、実際自分でもやってみました。重量にこだわらないトレーニング。ベンチプレスの重量を落として、ベントロウの重量を落として、とにかく全体的に重量を落として「ストリクト」な動作でレーニング。

結果、筋量が落ちてショボくなりました。

ところで筋トレの大原則って知っていますよね。え?超回復?いいえ、そういうヘンな理論ではなくって原則の話です。筋トレの大原則は「Progressive Overload / Progressive Tension Overload (漸進的過負荷)」です。筋肉というのはこの原則に従って成長します。 重量にこだわらないトレーニング?それって筋トレの大原則に反していないか?実際自分の筋量は落ちてしまいました。 「重量にこだわらないトレーニング」なんてウソだ。そんなものがあるはずがない。 これが当時の私の結論でした。(続く)