初心者向け記事その2です。一言でいうとタイトルの通りなのですが、ここでは筋トレ初心者はどの時点で初心者卒業と言えるのか、初心者とそうでない人を分ける指標は何なのかについて、私の考えを書きます。

このような話題で、初級、中級、上級みたいなランク分けが語られるときによく持ち上がる指標といったら、一つはトレーニングの使用重量が思い付きます。例えばベンチプレスやスクワットで何キロ挙がったら中級者、あるいは上級者、というように、いわば筋力によって分けるやり方です。もう一つ思い付くものとしては、体重とか胸囲とか上腕のサイズとか、いわば筋量を指標にすることもあると思います。

この記事のタイトルを読まずに筋トレ初心者かそうでないかを判断する指標を聞かれたら、たいていの人はこのように筋力や筋量のレベルで判断することをまず思い浮かべるのではないかと思います。そもそも筋トレというのは普通は筋力や筋量を増やす目的で行うものですから、これらは真っ当な判断指標ですし、人によって基準は様々だと思いますがとりあえず数値で示すことができるので初級、中級、上級、みたいにランクを分けやすいです。

ゴールとしてこれだけの筋力や筋量が欲しい、という気持ちは多かれ少なかれ誰しも持っているものと思います。しかし、「これができたら初心者卒業」のようにあるトレーニーが初心者かそうでないかを判断する場合、私には、筋力や筋量といった要素よりも気なることがあります。それは、大多数のトレーニーはそもそもちゃんとしたフォームでトレーニングをしていないということです。普通のスポーツクラブに行ったら、指導する側の人達もひっくるめてだいたい99%くらいの人はまともにトレーニングできていないと言っても大袈裟ではないくらい、ちゃんとしたトレーニングをしている人というのは稀だと思います。

筋力や筋量を向上させることも重要ですが、筋トレ初心者の人はまずはちゃんとしたしたトレーニングをできるようになることを目標にトレーニングをしてほしいと個人的には思います。ということで、私が個人的に思う基準というのは、筋力や筋量といった指標に関係なく、ちゃんとしたトレーニングができるようになったら初心者卒業、ということです。

このように書いてしまうと、じゃあちゃんとしたトレーニングって何なのよ?と突っ込みたくなりますよね。余談ですが、ほとんど行くことがないため今は退会したのですが、私は去年までゴールドジムの他に、もうひとつのスポーツクラブの会員でした。そこではスタッフがたまに新しい会員と思われる人にマシンの使い方を教えていたりするのですが、次のようなやりとりになったりしていました。

スタッフ 「このエクササイズは、ここはこうして、ここはこうして、ここはこうするんですよ〜(おかしなことを言っているので具体的には書きません)」
会員 「はい、ん〜〜」
スタッフ 「あれ、よく分かんないですかー。慣れないうちはそれも仕方ない部分もあります。はい、ここはこうして、ここはこうして…(略)」
会員 「はい、ん〜〜」

人にトレーニングフォームを教えるとき、「ここはこうして」的な説明をしなければならないのはある程度避けられません。前の記事で、筋トレの種目をバーベル中心と筋肉中心の2つに分類しましたが、特にバーベル中心の種目、例えばパワーリフティングやウェイトリフティングの種目に関しては、それぞれの種目毎に注意しなけなればいけないことがたくさんあり、「ここはこうして」的なフォームの矯正は教えてもらうか勉強するかしないと習得が困難です。ただ、各種目の専門性が高いぶん、しかるべき指導があればおかしなアドバイスをもらうことはあまりないと思います。

一方で、今回の一連の記事は筋肉中心の種目を前提にしたものであると書きましたが、その筋肉中心の種目についてはどうでしょうか。前の記事では、「正しいフォーム」で行うと、筋トレの種目は大多数が筋肉中心の種目になるとも書きました。じゃあその「正しいフォーム」とはいったい何なのでしょうか?ここはこうして、ここはこうして、ここはこうすれば正しいフォームなのでしょうか?

いいえ。筋肉中心の種目は、たとえ人と違ったフォームであっても、一般的に受け入れられている普通のフォームに従っていなくても、適切な刺激を受けながら目的の筋肉を使えるようであればそれがひとつの正しいフォームです。筋肉が刺激を受けているかどうかは感覚で分かります。正しいフォームでできているかどうかの最も適切な判断材料は、他でもない自分自身の感覚です。つまり、「ここはこうして」にきっちり従ったフォームで行っても、適切な感覚が得られないようなら「ここはこうしたらダメ」ということです。「教わった正しいフォームで行っているのになぜ上手くいかないんだろう…」とは考えないでください。そのフォームはそもそも正しくありません。「ここはこうして」に囚われすぎて、最も信頼すべき自分の感覚を犠牲にしないようにしてください。

ということで、私の考える「ちゃんとしたトレーニング」というのは、筋肉中心の種目については「自分の感覚に従ったトレーニング」と言い換えてもいいです。それでもまだ抽象的な感じがするので、より具体的なアドバイスにしたのが、今回の記事のタイトルです。他人のトレーニングを見てフォームがおかしいと感じることは多々あるのですが、そういう人を見て共通する特徴を一つ挙げるとしたら、ネガティブの動きが私には特に気になります。

筋トレ初心者の方は、レップのネガティブパートを疎かにしないでちゃんとやるように心掛けてみてください。ネガティブをちゃんとできるようになったらもう初心者卒業です。

もう少し詳しく説明します。筋肉中心の種目を行うときには、その種目のターゲットとなる筋肉が存在するわけですが、その筋肉をバネのようなものだと思ってみてください。金属でできているビヨーンと伸びたり縮んだりするあのバネです。レップのポジティブパートでは力を入れてバネをグググと縮めていきます。ネガティブパートでは一気にビヨーンってならないように少しずつ縮めたバネを元に戻していきます。イメージできましたか?バネですからこの2つの動きでしか機能を発揮しません。伸び縮み以外の方向で、横から力が加わってものれんに腕押し、ぬかに釘です。

このようにイメージすると、レップのポジティブとネガティブは、互いに反対の動きをする動作と捉えることができます。一方が他方の反対の動きから大きくズレてしまっていたら、それは少なくともどちらかで筋肉に刺激が適切に加わっていないことを意味します。また、ネガティブでバネを一気にビヨーンと戻してしまったら、ネガティブの刺激を一気に逃がしてしまうことになります。もし、そのようなトレーニングをしていて気にならないというのなら、筋トレをしているのにもかかわらず筋肉への刺激を意識せずに何か別のことに気をとられているか、あるいは何も考えないでトレーニングを行ってしまっている可能性があります。

スポーツクラブでトレーニングをしている人は、今度ジムに行ったら周りを見渡して、ネガティブが綺麗にポジティブの反対の動きになるようにトレーニングをしている人がいるかどうか探してみてください。ネガティブがポジティブとはズレた動きになっているのに、それを気にせずにトレーニングしている人ばかりだと思います。そういう場合たいていはポジティブの動きもおかしいので、せっかくジムに来ているのにこんなトレーニングじゃ効果が薄いのになあともったいなく感じます。

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一応補足しておくと、筋トレにおいてレップのポジティブとネガティブをどのように重視するかは人によって好みがあると思います。レベルの高い人であってもネガティブを捨てるようなトレーニングをする人もいます。これは意識的にネガティブを捨てているのであって、フォームを気にせずにトレーニングしているのとは違います。こういうトレーニングは、少なくとも初心者のうちは参考にしない方がいいと個人的には思います。