年も明けたことですし、筋トレ初心者向けの記事を書こうと思います。

私は過去にネットで色々と筋トレのアドバイスをしてきましたが、そのアドバイスは、しばしばプロのトレーナーが言うことや、一般的に正しいと認識されていることとは異なるものでした。従来の常識とは異なったり、それまで人が指摘してこなかったりするアドバイスを色々繰り返してきたので、「OneHさんは、(人と違うことを言っているのに) どうして自分の考えが正しいって確信できるの?」なんて聞かれることもありました。

世の中の筋トレに関する情報は玉石混合で、それもほとんど石ばかりなので、初心者にとっては、何を信じて何を指針にトレーニングをしたら良いのかというのは悩ましい問題だと思います。

私は、初心者であろうとなかろうと大部分において筋トレのやり方は変わらないものだと思っています。そのため、何か発言するときは基本的に常に万人向けの情報で、特別にこれは初心者向け、と銘打ってアドバイスをすることはあまりないのですが、今回の一連の記事では特に初心者向けとして、自分の筋トレが正しいのかどうか自信のない人にとって指針となるようなことをいくつか書きたいと思います。ここで書くことが、「どうやったら自分のトレーニングが正しいと確信できるようになるのか」のヒントになればと思います。

記事その1 - 前置き (この記事)
記事その2 - 筋トレ初心者はどうなったら初心者卒業と言えるのか
記事その3 - 筋トレの種目はどのように選択すべきか
記事その4 - おまけ (トレーニングの頻度とか)

ちなみに、筋トレをする目的は様々だと思いますが、この記事は、スポーツクラブや自宅等で体の見た目を変えるために筋トレをしている筋トレ初心者向けに書いています。例えばパワーのジムに通ってパワーリフティングをしている人にとってはそれほど興味を惹かれる話題ではないかもしれません。

● いつもながら、前置き

まず前置きとして、トレーニング種目のカテゴリ分けについて触れておきます。筋トレの種目は、ご存知のように関わる筋肉の部位数によってコンパウンド種目とアイソレーション種目の2つに分けられます。コンパウンド種目の例としては、バーベルを使ったベンチプレス、スクワット、デッドリフトといった種目が挙げられます。アイソレーション種目の例としては、フライ、レッグエクステンション、バックエクステンションといった種目が挙げられます。

コンパウンド種目とアイソレーション種目という分け方は一般的なものですが、私の頭の中では、これと似ているものの微妙に違うカテゴリ分けがされています。そこで次のように名前を付けてみます。

- バーベル中心種目: バーベル等をA点→B点に挙上することを目的とした種目。バーベル等のウェイトを動かした結果として筋肉は刺激されます。パワーリフティングやウェイトリフティングの種目はこれに該当します。普通はコンパウンド種目でもあります。

- 筋肉中心種目: 特定の筋肉を刺激することを目的とした種目。バーベルやマシン等のウェイトは目的の筋肉を動かした結果として動くものであって、ウェイトをフィニッシュポジションに挙上すること自体は第一の目的ではありません。

これを従来のコンパウンド種目、アイソレーション種目に当てはめてみると、アイソレーション種目のフライ、レッグエクステンション、バックエクステンション等は言うまでもなく筋肉中心種目ですが、コンパウンド種目については少し話が複雑になります。一般的にはベンチプレスはバーベル中心種目として行われることが多いと思いますが、例えばボディビルダーがボディ用のフォームでベンチプレスを行った場合は、それは筋肉中心種目です。

ちなみに、胸つながりで他の種目を例に挙げると、マシンのチェストプレスは多くの場合バーベルベンチプレスと互換的な種目と考えられていますが、チェストプレスはここで定義した分類ではフライと同じく筋肉中心種目のカテゴリに入ります。チェストプレスマシンは軌道が直線的になるように設計されているので、厳密には軌道が真っ直ぐにはならないスタンダードなバーベルベンチプレスと同じフォームで行おうとするとスタートポジションから挙上する過程で肩を壊します。スミスマシンのベンチプレスも同様に筋肉中心種目です。

なんだかこの時点で既に初心者向けっぽい雰囲気ではなくなってきているような気もしますが安心してください。最終的にはとてもシンプルなアドバイスに落ち着きます。

前置きが長くなりましたが、今回の一連の記事で対象となるのは、体を変えるために筋肉中心種目でトレーニングを行う場合です。筋肉中心種目を従来のアイソレーション種目のイメージに置き換えてしまうと、人によっては「なあんだこの話は全体の一部でしかないのか、自分のトレーニングはフリーウェイトのコンパウンド種目がメインだから関係ないや」と一瞬思うかもしれませんが、マシンやスミスのチェストプレスの例を挙げましたが、考えてみると、「正しいフォーム」で行おうとすると筋トレの大多数の種目は筋肉中心種目になります。むしろバーベル中心種目の方が少数派です。また、バーベルの挙上重量を第一の目的にトレーニングしている人であっても、主動筋や関連する筋肉をビルドアップするためのトレーニングを行うことはだいたい必須なので、結局は、筋トレをするほぼ全ての初心者にとって関係のある話になると思います。

次の記事では、初心者がどのようにしたら初心者のトレーニングから脱出できるかについて書きたいと思います。今回の話は、実は本当は全部ひっくるめて数行で終わる簡単な話なのですが、説明を交えながらでないと何を言っているのか意味が分からないと文句を言われがちなので、前置きを書いたらいきなり長文になってしまいました。勿体振るようですが、初心者脱出や種目選択の話はそれぞれの記事で書こうと思います。