物事が上手くいかないとき、本質的な問題はしばしば無視されてしまい、どうでもいい些細なことの方に目が向けられてしまうものです。

あ、パワーリフティングのトレーニングフォームの話です。パワー経験者でもない私みたいなのが語っていいのか?というのは置いときます。パワーのフォームって独特です。例えば、スクワットをパワーフォームで行うなら、普通のハイバースクワットとは違ってバーを低い位置で担ぎますが、パワーのフォームに慣れていない初心者の人だとロウバーの位置で上手く担げない、というのはよくあることです。こういう時、問題を解決するためにまず考えなければいけないことはなんでしょうか?

私だったら、担ぎ方が正しいかどうかフォームをチェックします。ロウバーの担ぎ方を簡単に説明します。

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●背中、肩甲骨

- ロウバーでは肩甲骨は必ず寄せます。
- 肩甲骨をしっかり寄せたら、その状態で背中をタイトに(緊張させてロック)します

この2点は必須事項です。これをしないとロウバーで高重量を安定して担ぐことはできません。

●腕、肘、手首

肘は下げ(後方に上げず)、バーは腕で「下から」支える形になります。上の背中の状態をきっちり作れている場合、この姿勢は自然にとれるはずです。

肘が後方に上がりすぎてしまうと、手首が反って手首を痛めやすくなったり、バーが前方にシフトして重量に負けて前方に倒れる恐れがあり危険です。

●手幅

基本は自然にできる範囲で狭めに、だと思います。重量級の選手などではワイドグリップにしているケースもありますが、殆どの人にとっては広くするよりも狭くした方が挙上を安定させやすいのではないかと思います。
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パワーのフォームには、基本原則とでもいうべきポイントが色々とあります。基本原則を知らずにズレたところで一生懸命努力しても適切なフォームに辿り着くことはできません。

いや、これは個人の体型の特異性による問題だ…あるいは筋力の発達具合に原因がある…

ええと、それは初心者にとっては重要なことではありません。確かに個人の体型や筋力の発達具合が重要な意味合いを持つケースはあると思います。例えば、競技を行っている経験者が、自分の特徴を考慮してフォームの些細なディテールを調整する、というのは意味のあることだと思います。しかし、こういったことは基本のフォームができている人が次の段階を目指すときになってから考えるべきことであって、初心者が気にすべきことではありません。

基本原則を本質的でない事柄に従属させてはいけない
Do not subordinate fundamental principles to minor details

ということです。パワーにおいては、基本原則とは正しいフォームに従うことです。

「いや、こんな例外があるかもしれない」
「個人の体型、柔軟性、あるいは筋力バランスによってこんなことがあるかもしれない」

…忘れてください。それは「Minor Details」です。そんなことよりも、まず基本的な正しいフォームを学んでください。

ちなみに私は、これはパワーだけでなくウエイトトレーニング一般についても当てはまると考えています。基本的には Fundamental Principle は正しいフォーム。他の要素は Minor Details です。トレーニングをしていてある種目が上手くできないという場合、たいていは、それは単純にフォームがまずいから、というだけの話です。「自分は例外的に特別な問題を抱えているんだ」と考える前に、まずは自分のフォームを疑うべきです。例外を基本原則よりも優先させてはいけません。

●参考

Fundamental Principles versus Minor Details - by Lyle McDonald
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/fundamental-principles-versus-minor-details.html

- Do not subordinate fundamental principles to minor details.
というのは上記リンクからの引用です。

パワーの種目をするかどうか - 肉漢.jp
http://xn--hex348a.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=241