●まとめ

タンパク質の必要量に関しては研究や議論が盛んに行われていますが、研究者の間でも意見は一致していません。トレーニングによりタンパク質の必要量が増加するという主張と、逆に減少するという主張の双方に研究データがあり、今後も研究者の議論は続くものと思われます。

一方で、現実のアスリートにとってはアカデミックな議論はそれほど重要なものではないということもあります。結局のところ、アスリートにとって重要なのは最高のパフォーマンスを得るためにどうするのが最適なのか?ということですが、研究ではこの点については十分にフォーカスできていません。

タンパク質の必要量の設定を多めにするか、少なめにするか、それぞれメリットとデメリットを考えると、アスリートにとっては少なめよりも多めに推奨するのがより良い方針と言えます。タンパク質を多めに摂取することには、研究レベルでは効果に違いが見られなくとも、高いレベルを目指すアスリートにとっては重要な差となって現れる可能性があり、その一方でタンパク質を多く摂取することにデメリットは特にないからです。

この考えから Lyle McDonald は、著書の The Protein Book にてタンパク質摂取を以下のように推奨しています。

- 男性・筋力/パワーアスリート
通常時: 2.5-3.0 g/kg、減量時: 3.0-3.3 g/kg
- 女性・筋力/パワーアスリート
通常時: 2.4-2.6 g/kg、減量時: 2.6-3.0 g/kg
- 男性・持久アスリート
通常時: 1.7-2.0 g/kg、減量時: 2.0-2.2 g/kg
- 女性・持久アスリート
通常時: 1.3-1.6 g/kg、減量時: 1.6-1.9 g/kg

上記の推奨量はちょっと多過ぎると感じる方もいるかもしれません。実際、この推奨量は上に述べた理由により多めに設定されています。特に、筋トレ初心者など、それまで高タンパク質の食事を経験したことのない人にとっては、2.5-3.0 g/kg というのはとんでもない量に思えるかもしれません。

個人的には、筋トレ初心者にとってのタンパク質の摂取目標は、男女とも 2g/kg 程度が丁度良いスタートポイントになるかと思います。適切なトレーニングをしているのであれば、初心者ならタンパク質 2g/kg に加えて適度な余剰カロリーを摂取することで十分満足のいく結果が得られると思います。

タンパク質の適切な摂取量については人によって考え方が様々あると思いますが、この一連の記事が、タンパク質の摂取量をどうすればいいのか悩んでいる人にとっての参考になればと思います。