●ダイエット中のタンパク質摂取

これまでの記事でも触れましたが、タンパク質の必要量は、カロリー摂取量によって変動することが知られています。カロリー摂取が増えれば体はより多くのタンパク質を保持し、カロリー摂取が減れば体に保持されるタンパク質は減ります。このことは、ダイエット中は、タンパク質の損失をカバーするために追加でタンパク質を摂取する必要があるということを意味します。研究では、特に運動を行わないオーバーウエイトの人の場合、ダイエット中の除脂肪体重の損失を抑えるために 1.5g/kg のタンパク質摂取を推奨するデータがあります。これは RDI の 0.8g/kg に対して約2倍の量です。

ダイエット中に十分なタンパク質を摂取することには、食事の満足感の向上、熱産生によるカロリー消費の増加、血糖値の安定化といった様々なメリットがあります。また、高タンパク質の食事は、ダイエット後のリバウンド対策の面でも効果的であるという研究もあります。ボディビルダーや他のアスリートでは、体脂肪を落とすためにダイエットを行う際、高タンパク質の食事をするのが一般的であり、高タンパク質ダイエットのアプローチは研究でも現実でも多くの成功例により支持されていると思います。

ダイエット中のアスリートが筋量やパフォーマンスを維持するためにどれくらい追加のタンパク質が必要かということは、明確には分かっていません。上述のように、オーバーウェイトの一般人では RDI の約2倍の 1.5g/kg が必要とのデータがあります。ボディビルダーがカロリーを大幅に制限して急激に体脂肪を落とす場合、3-4g/kg、あるいはそれ以上にタンパク質摂取を増やす例もあるでしょう。

一般的なアスリートでは、体脂肪を落とすのに大幅なカロリー制限をするとしばしばパフォーマンスが犠牲になってしまいます。アスリートの減量では、一般的には軽い食事制限と運動量増加を組み合わせて緩やかなペースで体脂肪を落とすべきです。この理由に加えて、前回の記事で既に多めの推奨量が提案されていることから、タンパク質の推奨摂取量をこれ以上大幅に増やす必要はないと考えられます。

軽くカロリー欠損を作って適度なペースで減量する場合、通常の推奨量の上の値かやや多めくらいの摂取量で十分と考えられます。筋力・パワー系アスリートでは、一般的に 3.0-3.3g/kg で必要量を十分に満たすでしょう。ボディビルやフィットネスのアスリートで、より厳しいコンディションを作らなければいけない場合は、状況に応じてこれよりも増やすことを検討しても良いかもしれません。

持久系アスリートでは、このトピックに関する適切な研究は存在しないかもしれませんが、おそらく 20% 程度も増やせば妥当なところかと思われます。20% とすると、通常の 1.7-2.0g/kg から 2.0-2.2g/kg に増えることになります。