ウェイトトレーニングには、絶対的真理として人々から支持されている事柄が色々あると思います。例えば、トレ直後のゴールデンタイム、スクワットで膝を出すな、などなど、重要ではない、あるいは間違ってさえいるのに絶対に守らなければならないルールとして広まってしまったことが色々とあります。

そして最近になって、物事を判断するうえで極めて重要であるはずの「文脈」が無視されて絶対的真理のリストに加えられてしまったかと思われるものがあります。静的ストレッチです。

・静的ストレッチをすると筋力が低下します。だから筋トレ前に静的ストレッチをするのはタブーです。

これは筋トレをしている人なら誰もが聞いたことがあると思います。このことが気になってトレーニング前にストレッチをするのを避けているという人は結構いるのではないかと想像します。

というわけで、以下の論文を、内容をいくつか引用して紹介します。

Taylor KL, et al. Negative effect of static stretching restored when combined with a sport specific warm-up component. J Sci Med Sport. (2009) 12(6):657-61.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18768355

タイトルがズバリ結論です。静的ストレッチのネガティブな影響は、競技用のウォームアップと組み合わせることで打ち消される、という研究です。

There is substantial evidence that static stretching may inhibit performance in strength and power activities. However, most of this research has involved stretching routines dissimilar to those practiced by athletes.

静的ストレッチにより筋力またはパワーパフォーマンスが低下する可能性があることは、多くのエビデンスから明らかになっています。しかしながら、そういった研究の大部分は、静的ストレッチを、パワーパフォーマンスの直前に、通常よりも時間をかけて行わせるという、アスリートなら通常行わないようなウォームアップルーティンから結論を得ています。

The most important findings from this study were that a dynamic warm-up routine is superior to static stretching when preparing for powerful performance; however, these differences can be eliminated if followed by a moderate to high intensity sport specific skill warm-up.

結論としては、確かにパワーパフォーマンスの直前に行うならば、動的ウォームアップルーティンの方が静的ストレッチよりも優れています。しかしながら、その差は、(アスリートが通常行うように) ストレッチ後に中~強度の競技ウォームアップを行えば打ち消されます。

●まとめ

静的ストレッチは、パフォーマンスの直前に、やり過ぎというくらい念入りに行った場合には問題となります。でも筋トレで本番セットの直前にそんなストレッチをするような人はいないはずです。

静的ストレッチは筋トレ前に行っても大丈夫です。

●参考

Lyle McDonald, Static Stretching and Refined Grain Intake by Paleo Man - Research Review
http://www.bodyrecomposition.com/research-review/static-stretching-and-refined-grain-intake-by-paleo-man-research-review.html