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主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

少し気が早いのですが、9月25日にリリースされる「Sign O' The Times Deluxe」の収録曲から「A Place In Heaven」を取り上げます。元々は「Dream Factory」のコンフィギュレーションに含まれていましたが、ザ・レボリューションの解散とプロジェクトの取り下げによってお蔵入りになった曲です。

今回のリリースでは楽しみな曲が沢山あります。それにアルバムの音質がどれくらい改善されているのかも気になります。そんな中で、今回のリリースを知って私の頭に真っ先に思い浮かんだのはこの曲でした。実のところ、私はそれ以来ほとんどこの曲ばかり聴いています。「A Place In Heaven」とはそれほどの曲なのか?と思うかもしれません。それについては私ははっきりと答えられます。

はい、「A Place In Heaven」とはそれほどの曲です。

「A Place In Heaven」はワルツのリズムで奏でられる可愛いらしい子守唄、といった佇まいをしています。尺も3分に満たない小曲なので、他の様々な楽曲の陰に隠れてしまい、あまり注目されることのない曲かもしれません。ですが、この「A Place In Heaven」もまた、紛れもなくプリンスの偉大な曲の一つです。私は、この曲を聴いている間、まるで自分が世界で一番素敵な音楽を聴いているかのような気分になります。私にとってはそれほどの曲です。

「A Place In Heaven」は歌詞がとても意味深い曲です。この曲は、己への哀れみに囚われた一人の女性の描写から始まります。彼女は自らの命を断つことを考えながら生きていますが、そこから歌は展開していきます。人は既に天国にいるかもしれないのに、自ら進んで世界を地獄に作り変えているのかもしれないとプリンスは歌います。歌詞の全体的な調子、それに「Life's what U make it / 人生は自分でつくるもの」や「3-year-old leaders of all colors / あらゆる色からなる三才のリーダーたち」といった言葉は、回顧録「The Beautiful Ones」を思い起こします。過去記事の「プリンスの回顧録: The Beautiful Ones」でも引用した文章を再び引用します。「PART II. FOR YOU - 7. SOUTHSIDE」の注釈からです。

If I want this book to be about one overarching thing, it's freedom. And the freedom to create autonomously. Without anyone telling you what to do or how or why. Our consciousness is programmed. We see things a certain way from a young age - we're programmed to keep doing them that way. Then you have to spend adulthood learning how to overcome it, to read out the programs. Try to create. I want to tell people to create. Just start by creating your day. Then create your life.
もし僕がこの本に全体を跨ぐテーマを持たせたいとしたら、それは自由だ。何を、どのように、なぜするかの束縛を他の誰からも受けずに、自律的につくることのできる自由。僕らの意識はプログラムされたものだ。僕らは幼少の頃から一定の物の見方をするように育ち、その見方を継続するようにプログラムされている。そして大人になるとそれをどのようにして克服し、プログラムを読み解くかを学ばなければならない。つくり始めよう。僕が皆に言いたいのは、つくる、ということだ。まずは君の一日をつくることから始めればいい。そうしたら、次は君の人生をつくろう。

また、回顧録を読んだ方は「PART II. FOR YOU - 3. KISS」の章を覚えていますでしょうか。一緒におままごとの夫婦ごっこをしたローラという名前の女の子との素敵な話です。その中に次の文があります。

We weren't the 1st interracial couple in Minneapolis, but we were no doubt the youngest. All lives mattered back then because race didn't. At least not in r fantasy world.
僕らはミネアポリス初の異人種カップルというわけではなかったが、疑いようもなく最年少の異人種カップルだった。あの当時は全ての命が大切なものだった。なぜなら人種はどうでもいいものだったから。少なくとも僕らの空想の世界ではそうだった。


この曲はプリンスのヴォーカルと、リサ・コールマンのヴォーカルの2つのバージョンがあります。プリンスバージョンの音源には、イントロ部分に "So, do you like environmental records?" から続く面白いセリフが入ったものがありますが、これはこの曲ではなく「Movie Star」のものです。これは「Dream Factory」制作途中のコンフィギュレーションで一時「Movie Star」の後に繋がっていたためで、オフィシャルリリースではセリフが入らないものが収録されるものと思います。

「Dream Factory」の最終コンフィギュレーションにはリサ・コールマンがヴォーカルのバージョンが含まれていました。


She wants a place in heaven
But she can not face the truth
She lives on a rope of self-pity
It only requires a noose
彼女は天国に居場所を欲してる
けれども真実と向き合えずにいる
己への哀れみでできた綱の上に生きている
あと必要なのは首を括る輪だけ

Why are the ones so afraid 2 live
Much more afraid 2 die?
It's as easy 2 imagine laughing
When U really hear a cry
In hell, they sound the same
なぜ生きることを恐れるの?
それ以上に死を恐れながら
本当は泣き声が聞こえているのに
それを笑い声だと思うのは簡単
地獄ではどちらも同じに聞こえるのだから

U want a place in heaven
Maybe U're already there
Life's what U make it, stop whining, baby
Love comes 2 those who care
君は天国に居場所を欲してる
もしかしたら君はもうそこに居るのかも
人生は自分で作るものだから
泣き言は終わりにしなきゃ
愛は思い定める者にやって来るもの

There must be children in heaven
Ones who know nothing from hate
3-year-old leaders of all colors
I'd feel safer with them in control
3-year-olds in control
天国にはきっと子供たちがいる
憎しみの欠片も知らない子供たちが
あらゆる色からなる三才のリーダーたち
彼らの権力下にいる方が安全だと感じるよ
三才の子供たちによる治世

We all want a place in heaven
Suites of that level are few
Let's not be lazy, there's no room service
It's all up 2 me and U
Let's not be lazy, there's no room service
it's all up 2 me and U
僕らは皆天国に居場所を欲してる
でもその階の部屋数は限られてる
のんびりするのは程々に
ルームサービスは付かないよ
全ては僕と君しだいさ
のんびりするのは程々に
ルームサービスは付かないよ
全ては僕と君しだいさ

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「I Could Never Take The Place Of Your Man」は1987年のアルバム「Sign O' The Times」の収録曲です。アルバム4番目のシングルとして、US Billboard Hot 100 で10位も記録しています。ポップとロックを混じりけなしで掛け合わせたような気持ちの良い曲で、歌詞は何だかちびまるこちゃんの花輪クンみたいです。

ああハニー、それじゃ袋小路だよベイビー
僕らはそれじゃ満足できないってお互い分かってるはずさ
時間を無駄にしちゃいけないよベイビー

ぴったりなセリフは見つけられませんでしたけれど。

chibimaruko-hanawa-ep49

つい先日、「I Could Never Take The Place Of Your Man」の1979年バージョンが公開されました。これを聴いた人達の間でちょっとしたざわめきが起こっているの感じるのですが、ご多分に漏れず、私の心もざわついています。

これまで、この曲は1982年に最初に書かれ、1986年に再録音が行われたと考えられてきましたが、今回のリリースにより、実際にはこの曲はそれよりも古く1979年5月23日にロサンゼルスのハリウッドサウンドレコーダーズで最初の録音が行われたことが新たに判明しました。「Sign O' The Times Deluxe」のリリースを知って収録曲のリストに目を通した方は、まずこの曲が元々は1979年に書かれたという事実に驚いたのではないかと思います。そして絶対にこう思ったはずです。「へぇ、この曲は最初はファルセットヴォーカルで作られたのか」と。1978年の「For You」も1979年の「Prince」も全曲ファルセットのアルバムです。翌1980年の「Dirty Mind」や1981年の「Controversy」も基本的にプリンスのヴォーカルはファルセットです。地声レンジのヴォーカルが目立つようになってきたのは1982年の「1999」くらいからで、それまでのプリンスのヴォーカルスタイルは基本的にファルセットでした。

そうして出てきたのがこれです。

「Originals」で「You're My Love」のオリジナルバージョンがおふざけが入った地声レンジのヴォーカルで出てきたときも私は驚かされましたが、またもや予想外の音源が登場しました。

サウンドは当時製作中であった「Prince」のサウンドではなく、翌1980年の「Dirty Mind」に繋がるようなニュー・ウェイブの雰囲気を感じさせるのも驚きですし、ヴォーカルが地声レンジなのも驚きです。最初のコーラス前の "If I thought I was qualified" など、所々で声のトーンがムキになったような感じになって、初期によくみられる歌い方の特徴が出ているのも面白いです。

そして何より一番面白いと思ったのが歌の内容です。なんと最後のコーラスで物語の展開が逆になります。プリンス本人の検閲が入っていたら、ひょっとしたらこの音源は世に出ていなかったのではないでしょうか (笑)。

Baby, stop waisting your time
I know what's on your mind
I won't be satisfied with a one night stand
And I could never take the place of your man
But I'll try
I'll sure as hell try
ベイビー、時間を無駄にするのはよすんだ
君の頭に誰がいるのかは分かってる
僕は一晩限りの関係じゃ満足できないよ
それに僕は君が愛する奴の替わりにはなれないかもしれない
だけどやってみるよ
間違いなく絶対やってみるよ


ここで時系列を簡単に振り返ってみます。

この曲が書かれた1979年5月時点、プリンスはまだ「For You」というアルバムを1枚出しただけで、キャリアを駆け出したも同然の状況でした。オーバープロダクションで大幅な予算超過となったファーストアルバムの反省を踏まえ、セカンドアルバムでは録音の技術的な完成度を追求せずに、どんどん効率的に捌いていくスタイルで制作を進めていくことになりました。そしてセカンドアルバム収録曲のベーシック録音を終え、ミキシングのためスタジオを移した先で「I Could Never Take The Place Of Your Man」は録音されました。

  • 1978年4月8日 - 「For You」リリース
  • 1979年4月下旬-5月下旬 - 「Prince」ベーシック録音 at Alpha Studios
  • 1979年5月下旬-6月13日 - 「Prince」オーバーダブ、ミキシング at Hollywood Sound Recorders
  • 1979年5月23日 - 「I Could Never Take The Place Of Your Man」ベーシック録音 at Hollywood Sound Recorders
  • 1979年7月10-21日 - 「The Rebels」未リリースプロジェクト、レコーディングセッション
  • 1979年8月某日 - ワーナーからツアー承認の判断を得るためのライブセット演奏
  • 1979年10月19日 - 「Prince」リリース
  • 1979年11月26日-1980年2月17日 - Prince ツアー
  • 1980年2月22日-1980年3月3日 - Rick James ツアー'80
  • 1980年5-6月 - 「Dirty Mind」ベーシック録音、オーバーダブ、ミキシング
  • 1980年10月8日 - 「Dirty Mind」リリース

Alex Hahn と Laura Tiebert 著「The Rise Of Prince 1958 - 1988」の「10. No Girls Allowed」の章からこの時期の記述を一部翻訳して紹介します。デズ・ディッカーソンのコメントがちょっと面白いです。

セカンドアルバムのレコーディングセッションは、ボブ・カヴァロ (Bob Cavallo) の友人であるエンジニアのゲーリー・グラント (Gary Grandt) が所有する、アルファスタジオという質素なスタジオにおいて行われた。レコードプラント (補足: ロサンゼルスの有名なスタジオ) には程遠いスタジオであったが、実際のところ、それはプリンスのニーズやワークスタイルにより適した場所だった。そのスタジオには24トラックのレコーディングマシンがあったものの、プリンスは曲をオーバーダブで散らしづらい、制限のある16トラックのマシンを使うことを選んだ。レコーディングセッションは通常少なくとも12時間以上に及び、他者の立ち入りは最小限に抑えられた。ブラントはこう回想する。
「女の子はスタジオ立ち入り禁止だった (No girls were allowd in the studio)。それがプリンスの要求だったんだ」

(中略、「Prince」のベーシック録音の話)

主要なベーシック録音が完了すると、スタジオのスケジューリングの都合により、ロサンゼルスのハリウッドサウンドレコーダーズへと場所を移すことになった。プリンスとのオーバーダブの作業は、スタッフエンジニアの Bob Mockler がアサインされ、アルバムは7月には完成し、ワーナーは広報キャンペーンの準備に取り掛かった。

プリンスの次のタスクは、セカンドアルバムのサポートツアー実現に向けて、ワーナーの承認を得るために、ライブバンドの能力と結束力を向上させることだった。しかしプリンスは、新アルバムのマテリアルを練習する替わりに、バンドと共にコロラド州ボルダーに飛び、「The Rebels」と名付けられたサイドプロジェクトに取り掛かった。プリンス達はマウンテン・イヤーズ・スタジオを拠点にして、デズ・ディッカーソンやアンドレ・シモンらのアイデアも取り入れつつ作業を進めた。

スーアン・カーウェルのプロジェクト (補足: Sueann Carwell、プリンスがデビューアルバムもリリースする前なのにワーナーを通してプロデュースを画策した女性シンガー。プロジェクトは二人の関係悪化などにより立ち消え) のように、プリンスの目標は、たった1作品しかリリースしていないアーティストには場違いとも取れるものだったが、ワーナーがリリースしプロモーションできるようなアルバムを制作することだった。作業には11日程の期間を掛け、ローリング・ストーンズ・スタイルのブルースロック「Hard 2 Get」や、アンドレが歌うファンク・ロック・ハイブリッドでより野心的な「Thrill You Or Kill You」など様々な試みを行った。

デズ・ディッカーソンは一人、新マテリアルの制作に疑問を感じ、なぜバンドが「Prince」のリハーサルをしないのだろうと思ったのだという。彼は後にこう回想する。
「オレ達は何をやってるんだ? オレ達はどこに向かってるんだろう?」
しかしプリンスの狂気的な方針には意図があった。一連の共同作業によってバンドの士気や親和力が高められることになったのだ。セッションが終わる頃、The Rebels プロジェクトそのものに対するプリンスの興味は失われていたが、ボルダーに到着した頃と比べ、バンドは疑いの余地もなくより強固なものとなった。

出したアルバムは1枚だけ、しかもそれが期待通りにいかずレコード会社から次作のプレッシャーを受けているとなると、普通は追い詰められてセカンドアルバムでの挽回に全力を注ぐことになるはずですが、プリンスの行動の常識外れ具合が面白いです。プレッシャーなどどこ吹く風で、意欲的に様々な可能性を模索する中で「I Could Never Take The Place Of Your Man」という曲も作られたのだと思います。

「Sign O' The Times」のアルバムバージョンです。


最後に少し余談です。娘と子供向け YouTube チャンネルを見ていると、著作権フリーの音楽を耳にタコができるくらい聴かされることになります。去年くらいまでよく見ていたチャンネルに「サンサンキッズ TV」というのがあって、そこで、YouTube Audio Library にある Payday - Jason Farnham という曲をよく聴かされていました。

この曲の33秒頃からのメインリフが、「I Could Never Take The Place Of Your Man」のコンサートフィルムバージョンの本イントロに入る前の旋律に似ていて、これを聴くたびに私の中で、ピアノを弾くボニー・ボイヤーと、そこに「レッツ・ダーンス」と割り込んでくるプリンスが混ざる、という現象がよく起きていました。

プリンスのコンサートバージョンでは、下の動画で17秒からのリフです。まあ、余談でした。


It was only last June when her old man ran away
She couldn't stop cryin' cuz she knew he was gone 2 stay
10:35 on a lonely Friday night
She was standin' by the bar... mmm, she was lookin' alright, yeah
彼女が男に去られたのはつい6月のこと
彼女は泣くのを止められなかった
彼がもう戻って来ることはないと知っていたから
10時35分、一人きりの金曜の夜
彼女はバーの所に立っていた
うん、なかなかの美貌だったよ

I asked her if she wanted 2 dance
And she said that all she wanted was a good man
And wanted 2 know if I thought I was qualified, yeah
僕が踊らないかと誘ってみると
彼女の望みはただ良い男と出会うことだと言った
興味があるのは僕が相応しい男かどうかだと

And I said - "Baby, don't waste your time
I know what's on your mind
I may be qualified 4 a one night stand
But I could never take the place of your man"
だから僕は言ったのさ
「ベイビー、時間を無駄にしちゃいけないよ
君の頭に誰がいるのかは分かってる
一夜限りの関係だったらいいかもしれない
でも僕は君が愛する奴の替わりにはなれないよ」

It hurt me so bad when she told me with tears in her eyes
(Tears in her eyes)
He was all she ever had and now she wanted 2 die
He left her with a baby and another one on the way, yeah
She couldn't stop cryin' cuz she knew he was gone 2 stay, yeah
涙を浮かべて話す彼女に酷く心が痛んだよ
彼は自分の全てだった、もう死んでしまいたいだなんて
彼は赤ん坊を残して去ってしまった
さらに彼女のお腹にはもう一人宿ってる
彼女は泣くのを止められなかった
彼がもう戻って来ることはないと知っていたから

She asked me if we could be friends
And I said - "Oh honey, baby, that's a dead end
U know and I know that we wouldn't be satisfied, no"
彼女は僕に友達になって欲しいと言ってきた
僕は言ったさ
「ああハニー、それじゃ袋小路だよベイビー
僕らはそれじゃ満足できないってお互い分かってるはずさ」

And I said - "Baby, don't waste your time
I know what's on your mind
We wouldn't be satisfied with a one night stand
And I could never take the place of your man"
そして言ったのさ
「ベイビー、時間を無駄にしちゃいけないよ
君の頭に誰がいるのかは分かってる
一夜限りの関係だったらいいかもしれない
でも僕は君が愛する奴の替わりにはなれないよ」

Yeah, yeah, the place of your man
1 2, 1 2!

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「Witness 4 The Prosecution」は1986年に書かれた未発表曲で、9月25日に遂にリリースされる「Sign O' The Time Deluxe」の収録曲の一つです。割と晴天の霹靂で発覚したリリースですが、遂にこの日がやって来るのかという感じです。

1987年のアルバム「Sign O' The Times」は、一般にプリンスの最高傑作と呼ばれています。素晴らしくハイクオリティな楽曲が並び、しかも全16曲2枚組という圧巻の大作です。しかしながら、長年のファンにはよく知られている通り、「Sign O' The Times」という大作は、実は大幅に縮小された作品であり、当時制作されたマテリアルの一部でしかありません。そして恐るべきことに、アルバム収録から漏れてしまった楽曲を集めると、「Sign O' The Times」と同等のサイズで同等以上のアルバムを作ることができるという、非常におかしなことができてしまいます。最高傑作のボツ曲でさらにもう一つ最高傑作を作ることができ、しかもそれは世に出た最高傑作を凌駕してしまうという。この底の知れなさは、本当にもうなんなんだろうね、と言うしかありません。

どうしてこんなことになったかというと、それは「Sign O' The Times」が出来上がるまでの経緯が関係しています。「Sign O' The Times」が出来上がるまでにプリンスは大きく3つのプロジェクトを行ったものの、結局取り下げることになりました。その3つのプロジェクトとは、ザ・レボリューションの彩りが添えられた「Dream Factory」、カミールというオルター・エゴによる「Camille」、そして3枚組の「Crystal Ball」です。最終的にリリースされた「Sign O' The Times」からは、役割が被る曲を外さなければなりませんでした。例えば楽曲の「Sign O' The Times」と並ぶ主役級の楽曲「Crystal Ball」や、「Adore」に対する「Crucial」などがそれに当たります。「Rebirth Of The Flesh」も「Sign O' The Times」がアルバムオープナーを兼任するとなると居場所の確保が難しい曲です。

そしてもう一つ重要な要素があります。それはザ・レボリューションの解散です。プリンスは、「Dream Factory」の内、ザ・レボリューションの彩りが添えられた楽曲を後継のプロジェクトに持ち越すことはせず、全て取り下げる決断を下しました。

今回遂にオフィシャルの日の目を見た「Witness 4 The Prosecution (Version 1)」は、そんなザ・レボリューションの彩りが添えられた楽曲の一つです。プリンスの観点では検討の余地もなく「Sign O' The Times」のアルバムから外されたであろう曲ですが、聴く者の感想としては、なぜこんな凄い曲をお蔵入りにして平気でいられるのかと思うような曲です。


I am a witness 4 the prosecution of a hate in this love affair
I, who am guilty of nothin' but always wantin' U 2 be there
Mama, I swear I love U
I always have
In school I once traded chairs
If I couldn't be near U
I wanted what was yours
Now I just want U 2 care
I am a witness (Witness)
I am a witness 4 the prosecution of a hate in this love affair
Oh yeah
僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人
有罪なのは僕さ、ただ君にいて欲しいと願うために
ねえ誓って言うよ、愛してる、いつだってそう
学校じゃ椅子を交換したこともある
君の傍にいられないのなら
せめて君の物が欲しかった
ただ君にかまって欲しいんだ
僕は証人さ
僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人さ

Whatever it is U think that I did
U'r wrong, I wouldn't even dare
Cuz U know I am a witness 4 the prosecution of a hate in this love affair
Yes I am
Don't U know I am, I am a witness, witness?
君の中で僕が何をしたことになっていようとも
君の誤解だよ、僕はそんなこと思いもしない
だって僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人なんだ
僕は証人さ、証人なんだ

Witness 4 the prosecution
検察側の証人さ

Witness 4 the prosecution
Witness 4 the prosecution
検察側の証人さ
検察側の証人さ

I am a witness 4 the prosecution of a hate in this love affair
Yeah
I, who am guilty of nothin' but always wantin' U 2 be there, be there
Oh, I swear by heaven I love U
I always have
In school I once traded chairs
If I couldn't be near U
I wanted what was yours
Now I just want U 2 care
僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人さ
有罪なのは僕さ、ただ君にいて欲しいと願うために
天に誓って言うよ、愛してる、いつだってそう
学校じゃ椅子を交換したこともある
君の傍にいられないのなら
せめて君の物が欲しかった
ただ君にかまって欲しいんだ

I am a witness 4 the prosecution of a hate in this love affair
Yes I am (Witness 4 the prosecution)
Let me tell U, whatever it is U think that I did
U'r wrong, I wouldn't even dare, no no no (Witness 4 the prosecution)
僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人さ
ねえ君の中で僕が何をしたことになっていようとも
君の誤解だよ、僕はそんなこと思いもしない

Witness 4 the prosecution
Witness 4 the prosecution
Witness, witness
Witness, witness
Witness, ooh witness
Witness 4 the prosecution
Hate in this love affair
検察側の証人さ
検察側の証人さ
証人さ、証人さ
証人さ、証人さ
この恋に孕む嫌悪における検察側の証人さ

Witness, witness
Witness 4 the prosecution
Witness 4 the prosecution
Guilty! 7 years hard labor! Take him away!
証人さ
証人さ
検察側の証人さ
検察側の証人さ
有罪! 7年の重労働に処す! 連れて行け!


この曲には Version 2 もあります。これはデボラ・アレン (Deborah Allen) に提供する意図で録音されたバージョンで、こちらも「Sign O' The Times Deluxe」に収録予定です。今回初めてリリースされる未発表曲には、「Dream Factory」、「Camille」、「Crystal Ball」、プロジェクト不明曲の他にも、「他人への提供曲」の位置付けで書かれた曲があり、それぞれに違う聴き方で愉しむことができます。今回のリリースで他人用の曲として分かっているものでは、「Eggplant」のオリジナルプリンスヴォーカルと「Love And Sex」(「Purple Rain Deluxe」に収録されているものとは全くの別曲で、ポップで楽しくて凄く良い曲です。Sheila E. ヴォーカルはブートでリークされていますがプリンスヴォーカルも存在するのでしょうか) が特に気になっています。

こちらの Version 2 は全く違うアレンジの曲になっています。Version 1 のおどろおどろしい「うーらーめーしーやー」感は失くなっており、軽快なリズムは気持ちが高揚するようでさえあります。一方で歌詞は具体性を増していて、「20年の刑でも、21年でも22年でも出所したらすぐに駆け付けるよ」とか、こんな曲をもらってもちょっと困るような感じになっています。デボラ・アレンはこの曲は採用せず、もう一つ提供された「Telepathy」の方を受け入れ、アルバムのタイトルトラックとして採用しました。


This is the story of 2 childhood sweethearts
Inseparable till one broke the other one's heart
She wants 2 leave him
But I would die first
Baby, don't leave me, I didn't mean 2 hurt U
By heaven I swear
これはある幼いカップルの話
切っても切れない仲
それも一方が他方の心を壊すまで
彼女は心変わりし別れを望む
ならば僕が死ぬのを先にしてくれ
僕を捨てないで
君を傷付けるつもりはなかったんだ
天に誓って言うよ

I am a witness 4 the prosecution of a hate in this love affair
I, who am guilty of nothin' but always wantin' U 2 be there
Mama, I swear I love U, I always have
In school I once traded chairs
If I couldn't feel U, if I couldn't be near U
I wanted what was yours
Now I just want U 2 care
僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人
有罪なのは僕さ、ただ君にいて欲しいと願うために
ねえ誓って言うよ、愛してる、いつだって
学校じゃ椅子を交換したこともある
君を感じられないのなら
君の傍にいられないのなら
せめて君の物が欲しかった
ただ君にかまって欲しいんだ

I am a witness, yeah (Witness 4 the prosecution)
Witness 4 the prosecution
I am a witness 4 the prosecution
Witness 4 the prosecution
僕は証人さ
検察側の証人さ
僕は証人さ
検察側の証人さ

I'm a witness, uh, 4 the prosecution of a hate in this love affair
Yes I am
I didn't mean 2 hurt U, baby
Oh Lord, I wouldn't even dare, yeah
僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人
君を傷付けるつもりなんてなかった
そんなこと思いもするはずがない

I am a witness
Witness (Witness 4 the prosecution)
Witness (Witness 4 the prosecution)
Witness 4 the prosecution
Oh (Witness 4 the prosecution)
僕は証人なんだ
証人なんだ
証人なんだ
検察側の証人なんだ

Give me 20 years, gimme the electric chair
But nothing's gonna stop me, nothing's gonna stop me
From killin' the hate in this love affair (Witness 4 the prosecution)
Whoo
I love U, I love U and I do care
I am a witness 4 the prosecution
4 the prosecution of a hate in this love affair
I swear
Whoo
I swear
20年の刑をくれ、電気イスをくれ
けれども何も僕を止められない
この恋に孕む嫌悪を消し止める行為は
どうしたって止められない
愛してる、愛してる本当に心から
僕は検察側の証人
この恋に潜む嫌悪における検察側の証人

Give me death row, gimme solitaire
But don't U leave me, baby, leave me, baby
I swear that I love U, huh, I always have
In school I once traded chairs
If I couldn't be near U, if I couldn't feel U, huh
I wanted what was yours
Now I just want U 2 care (Witness 4 the prosecution)
Tell me, baby, tell me do U care? Yeah (Witness 4 the prosecution)
Ooh (Witness 4 the prosecution)
I swear
I will go 2 the electric chair!
死刑囚にしてくれ、独房に入れてくれ
けれども僕を捨てないでおくれ
誓って言うよ、愛してる、いつだってそう
学校じゃ椅子を交換したこともある
君を感じられないのなら
君の傍にいられないのなら
せめて君の物が欲しかった
せめて君にかまって欲しい
僕にかまってくれる?
誓うよ
僕は電気椅子にだって座ってやるさ!

Nothing's gonna stop me from burnin' the hate in this love affair
Love affair
They can give me 21 years, no, make that 22
As soon as I'm free, I will run 2 U
僕のこの恋に孕む嫌悪を焼き消す目論見は
何があろうとも止められない
21年の刑を受けたっていい、いや、22年だって
出所すればすぐに君の元へ駆けつけるよ

I am a witness 4 the prosecution of a hate in this love affair
I...
No, your witness (Witness 4 the prosecution)
Everybody witness, yeah (Witness 4 the prosecution)
C'mon now (Witness 4 the prosecution)
Oh Lord, witness (Witness 4 the prosecution)
Oh, I love U, baby, I love U, baby (Witness 4 the prosecution)
I swear (Witness 4 the prosecution)
Don't leave me, baby (Witness 4 the prosecution)
Don't U leave me
僕はこの恋に孕む嫌悪における検察側の証人
君の証人さ
ああ、証人さ
愛してる、愛してるんだ
僕を捨てないでおくれ
僕を捨てないで

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