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主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

「If A Girl Answers (Don't Hang Up)」は、プリンスがプロデュースした女性3人グループ Vanity 6 の曲で、このグループで唯一制作された1982年のセルフタイトルアルバム「Vanity 6」に収録されている、傑作おしゃべりファンクです。ハマると頭を離れなくなるのですが、英語がネックになって、存在は知っていてもきちんと聴いたことがないという人も多いのではないでしょうか。今年2月に57歳で亡くなったヴァニティ追悼の意味も込め、ここで取り上げて和訳したいと思います。

この曲のサウンドはなかなかファンキーで、まるで「Partyup」(Dirty Mind 収録、1980年) や「Irresistable Bitch」(Let's Pretend We're Married シングルの B 面、1983年) のタイトさに「Possessed」(オーディオバージョンとしては未発表、1983-4年録音) のリフの一部を足し合わせたような…と言ったら褒めすぎなので、それを3で割ったものをさらに薄めてチープにしたようなサウンドです。作曲にはテリー・ルイス (Terry Lewis) も関わっています。

また、ボーカルは歌ではなくおしゃべりが展開されます。そのストーリーはこうです。いい男を探しにバーへ出掛けたいヴァニティ達は、車を持っているジミーという男をアテにして電話をします。しかし電話に出たのはジミーではなく知らない女の声でした。ヴァニティは女と話をしますがラチがあきません。耐えかねたブレンダが電話を代わりますが、ブレンダは状況を収めるどころかさらに状況をメチャクチャにしてしまいます。今では周知の通り、クレジットはされていないものの、電話相手の変なダミ声の女を演じているのは勿論プリンスです。

1982年といえば、8月にはこの「Vanity 6」の他にも The Time のセカンドアルバム「What Time Is It?」のリリースがあり、さらに10月にはモンスターアルバム「1999」のリリースと、いよいよプリンスの多作家ぶりが表面化してきた時期です。中でもプリンスのやりたい放題ぶりが遺憾なく発揮されているこの曲は、出色の出来だと思います。

英語のためにストーリーをイメージしづらいと思うので、お世辞にも上品な出来ではありませんが、劇が演じられているビデオをリンクします。まあ、元々上品な曲ではないので…これはこれで OK だと思います。


Brenda, how are we gonna get 2 the party?
ブレンダ、私たちパーティーにはどうやって行けばいいかしら?
Call up Jimmy, he's got a car
ジミーに電話しなよ - あいつ車持ってるから
And what if a girl answers?
もし女が出たらどうするのよ?
Hang up
切っちゃえば?
Hang up nothin', Jimmy says I was his girl
切るなんてないわよ - ジミーは自分の女は私だって言ってたわ
Honey, don't you know everyone's Jimmy's girl?
あのさあ、ジミーの女には誰でもなれるって知ってる?
Brenda, I know better than anybody
ブレンダ、それは誰よりも知ってるわ
Well, if a girl answers
じゃあ、もし女が電話に出たら
Don't hang up, just talk about her
切らないで話を付けちゃいなよ
Yes
そうするわ

(リンリン、リンリン)

Hello, this is Vanity
もしもし、ヴァニティだけど
Is Jimmy home?
ジミーはいるかしら?

Yes, but he's taking a shower
いるわよ、でも彼は今シャワーを浴びてるわ

Oh, I see
あらそうなの
Did he just take out the trash?
彼はゴミクズと一緒になったのかしら?

No, that's somethin' he use to do
いいえ、前はゴミクズと一緒だったみたいだけど
Now he's taking out me
今はアタシと一緒なの

Oh, I see, well, tell 'em
それは良かったわね - 彼に伝えてくれる?
He left his pants over here last night
彼ったら昨晩ここにパンツを忘れてったのよ

That's okay, you keep 'em
それならいいのよ、アンタが持ってて
He won't be needin' 'em 2 night
それは今夜は要らないの

Oh, what's the matter
あら、どうしたっていうの
Is he going swimming?
彼ったら泳ぎにでも行くっていうの?

Why no, we was gonna go
違うわよ - アタシたちそうしようかと思ったけど
But he said he did that last night
彼はそれならもう昨日やったって言うの

Well sugar, I know about a great party
ねえ、それより素敵なパーティがあるんだけれど
Why don't you bring us your car?
私たちを車で連れて行ってくれないかしら?

So sorry baby, but I never go to singles' bars
それはごめんなさいね - アタシは独り者の出会いバーには行かないのよ

Singles? Is that what you think?
独り者ですって? なんでそう思ったのかしら?
Tramp, I'm datin' your dad
私はあなたのパパと付き合ってるのよ

Oh, he died about 7 years back
あらアタシのパパは7年前に死んでるわよ
Now ain't that just too bad?
それってすごく残念だわあ

Well, that's how we like 'em
あら、それがいいところなのよ
Tall, stiff and ready
高くて硬くて準備万端
That's positively more than I can say for dead Jimmy
枯れちゃってるジミーよりもずっとイイのよ

That's because he was swallowin' vitamin E
それは彼がビタミン E を飲んでたからよ
Now he's swallowin' me!
今彼が飲み込んでいるのはアタシなの!

Oh, you mean you were swallowin' him
あら、それってあなたが彼を飲み込んでたってこと?
Why don't you just tie a mattress to your back?
背中をマットレスに縛り付けたらどうかしら?

I'm gonna need it 'cause if I ever see your face
それはないとダメよ - だってもしアンタの顔を見ることになったら
I'm gonna fall and have a heart attack!
アタシは心臓マヒで倒れちゃうもの!

All that's gonna fall is the wig off your head
そうなるのはあなたが頭に被っているカツラの方じゃないの?
Now what you think about that?
それは気にしなくて大丈夫かしら?

I think I'd rather wear a wig
そうね、カツラを着けていた方がマシね
Than run a motel for roaches, ants and lice
アタシの帽子でゴキブリとアリとノミのためにモーテルを経営するよりもね
Dogs and cats in my hat!
それとイヌとネコもね!

Hey, that's goin' too far
ねえちょっとやりすぎよ
Here, give me the phone
ほら電話を貸して

Hey tramp, take a bath in puke
このアバズレ、ゲロの風呂にでも入りなよ
What's more, you can kiss
オマケにキスをしてもいいわよ
Where the sun don't shine
日の当たらないところにね
If that don't work, we can duke
それでダメなら殴り合いでどうかしら?

You see, the only kinda man hat would play with you
ねえ、アンタと遊んでくれるようなオトコって
Is one that plays with himself
自分で×××するしか能がない奴だけね
None of my friends Could stand the sight of you
私の友達にアンタの見た目に耐えられる人はいないわよ
Much less the smell
臭いはなおさらね

And if I weren't a lady I'd take my money
もし私が女でなかったら私がお金を出して
And buy you a brand new face
アンタに新しい顔を買ってあげるのにね
Then I'd take my underwear and stick it in your mouth
そして私の下着を口に突っ込んであげるわ
And you'd love it
きっと気に入るわよ
'Cause you got no taste
アンタ趣味が悪いから

And if that don't work
それがダメなら
Call back your dead daddy
死んだパパに電話して
And show him what you look like now
今のアンタがどんな姿になってるか教えてあげなよ
Honey, I'd bet he never come back
きっとパパは戻ってこないわよ
'Cause you one ugly cow (Ooh wee)
だってアンタってブサイクな牛みたいだから

Girl, you tell your boyfriend, Jimmy
ねえ、アンタのボーイフレンドのジミーに言っといてよ
He can go and get hit by a car
車にでも轢かれちゃいなって
'Cause as far as I see it
だって私が見る限り
He can't afford to bite the beat of this star
アイツはこのスターのビートについてこれないもの

There's two things we can't stand
私たちがガマンできないものは2つあるの
One's a jive talk man
ひとつは口だけのマヌケ男
The other's a jive talk man with no money
もうひとつはお金のない口だけのマヌケ男よ
Can you dig it?
おわかり?

Click
ガチャ

(リンリン、リンリン)

If a girl answers, don't hang up
もし女が電話に出たら - 切らないで
Don't hang up
切らないで
Don't hang up
切らないで
If a girl answers, don't hang up, don't hang up
もし女が電話に出たら - 切らないで
Don't hang up
切らないで

Dearly beloved
親愛なる皆さん
We are gathered here today
我々が今日集まったのは
2 get through this thing called... rehearsals
リハーサルと呼ばれるものをやり抜くためです

これは、ブートで出回っている、Diamonds And Pearls ツアーのリハーサル音源でのプリンスのセリフです。文字だけでは伝わらないのですが、実際に聴くと、口調が演説トーンになりきらないのが少し面白いです。こんなふうに、リハーサル音源で、プリンスが面白いことをしているのをいくつかピックアップしてみたいと思います。

Let's Go Crazy

これも「Let's Go Crazy」のイントロの演説で、Purple Rain ツアーのリハーサルからです。

Dearly beloved
親愛なる皆さん
We are gathered here today / 2 get through this thing called life
我々が今日集まったのは - 人生と呼ばれるものをやり抜くためだ
Electric word life / It means forever and that's a mighty long time
人生という電撃的な言葉 - それは永遠を意味するとてつもなく長い時間
But I'm here 2 tell U / There's something else
だけど僕は訴えたいんだ - 別なものがあるのだと

Yo Mom
それは君のママだ
A sexy woman with big legs, long hair, greasy lips, all that
セクシーな女性 - 大きな脚に長い髪、それに艶やかな唇、その他諸々

When Doves Scream

「When Doves Cry」のパンクバージョンです。これはつい最近まで YouTube にもあったのですが、今は見つからなくなってしまいました。Purple Rain ツアー中の1985年の音源です。

このバージョンは、プリンスのブートとして出回っていてもなお、プリンスだとは信じられないくらい正体不明な声で歌われていて唖然とします。実際、ネットを検索すると「誰が歌ってるの?」といった質問があったりします。プリンスは最後の方で一回叫びますが、いつものプリンス的な叫び声ではなく、本当にただの絶叫をします。原曲との乖離具合にどう反応して良いのか分からなくなるのですが、とにかく一度聴くと忘れられず、「プリンス」という概念の再考を迫られるような強烈なインパクトがあります。また、アレンジやボーカルだけでなく、歌詞も次のようにパンクっぽく変えて歌われています。

Dig if U will the picture of U and I engaged in some sex!
The sweat of your body covers me
Can U my darling, can U picture that???
Dream if U can a garage
.....
How can U just leaving standing alone in a world that's so f**king cold!
Maybe I'm just 2 demanding
Maybe I'm just like my f**king father 2 bold!
Maybe U're just like my f**king mama!
.....
This is what it sounds like when doves scream, AAAAHHHH!!!

D.M.S.R.

Dance, Mark, Sex, Hamburgers, Hot dogs, Pizza, Root beer!!! Pu$$y!
That's a perfect weekend!

これは1983年のリハーサルからです。5月頃には YouTube にもあったのですが、大分前に消されてしまいました。曲の始めにプリンスが「Dance, Music, Sex, Romance」のコーラスを改変してこう連呼し、バンドメンバーは戸惑いながらもついていきます。このやり取りはリサの反応がまた面白いです。プリンスが変な声で「Root beer!!!」と叫ぶと、リサも素っ頓狂な声で応えますが、最後のはさすがに「Pu$$y???」となります。

Still Would Stand All Time

Who's the fool singing "will"? It's "WOULD"!

これはリハーサルではなく、有名ブートの Small Club として知られる、1988年8月19日のオランダ Trojan Horse でのアフターショウからです。演奏しながら曲名を何度か言っているのに、バックボーカルで延々と "will" と歌うシーラ・E (?) にしびれを切らしてプリンスが言うセリフです。ちなみに、後のアルバム「Graffiti Bridge」(1990年) に収録されることになるこの曲は、この時点では歌詞もまだ適当で作りかけっぽいのですが、ギターソロがあったりとアルバムバージョンとは少し異なる趣きでなかなか良いです。

ちなみに昔は、「D.M.S.R」は容量の関係でアルバム「1999」の CD には収録されていなかったため、私はこのブートで初めて「D.M.S.R」を聴きました。そのため、「D.M.S.R.」といったら私は未だにこちらのバージョンの方に馴染みがあります。最初聴いた時は「こんな荒々しい曲はアルバムでは浮いてしまうので、道理で CD の収録曲からもれてしまうわけだ」と思ったのですが、後に全曲収録された「1999」の CD を買い直したら、アルバムバージョンの「D.M.S.R」は「1999」全開なサウンドでびっくりしました。

聖者の行進 (When The Saints Go Marching In)

これは1984年12月の音源で、「聖者の行進」でのボーカルウォームアップです。プリンスは "Trust me, I'm a musician" と言ってピアノをポロロンと弾いて "アーーー" と発声したり、聴いているだけで楽しい気分になります。これだけまだ YouTube に残っているのでリンクします。

また、prince.org のスレッドで会話の内容が紹介されていたので引用します: prince.org/msg/7/104581

Prince: Alright, let's have vocal rehearsal first. Ready? Matt, Wendy... first, me and Matt, "When The Saints Go Marching In," ok? Did you warm your voice up before you came here? Sure you did, trust me, I'm a musician, aaahhhhh!

Prince: You know that song?
Wendy: No
Prince: You'll learn it. You know who the Rolling Stones are? (laughs) Nope!

Prince: (Prince recites the lyrics to them). If you want to hit a harmony it's fine with me.

Prince: I can't hear ya.
Matt (Dr. Fink): Cause I'm blending so well with you.
Prince: Oh, I see. I understand.
Matt: It's amazing
Prince: (laughs) Good answer. Lisa you sing with me. Matt you stop... big white suit...

Prince: Wendy... you gotta be kidding, come on. What are you funky or what? Come on, sing something, anything. Craig help me. What do you teach these people when they're away from here? What do you talk to them about? Come on sing, ready? Hum do anything. I got a deal that way, woman... I said "I don't know the words" they said HUM! (band laughs) You, sing something. You want this money?
Prince: She said, you can come stay at my apartment. I'm 17, she's 36. Waaah! Sexy!
Wendy: Oh my God!
Prince: Sexy. Ready? Here we go... uuuunnnngh. Warmed up?... aaaAAAAHHHHH!

Prince: Yes! Truly wonderful (starts imitating a preacher) Truly wonderful yes He is. We gonna take a offering pretty soon and we, and we want ya'll to dig deep! Cause you know what? We got a new wing we got to build on the back of my crib, see? And (band laughs) we want it to be nice don't we? Amen!

「Snow Man」は1993年に書かれたプリンスの未発表曲です。オフィシャルでは発表されていないため音源はブートレグで流出したものになってしまうのですが、私にとっては冬が近付くとふと思い出す曲です。この曲のボーカルはプリンスではなく、ミュージシャンのマーヴィン・ゲイ (Marvin Gaye) を父親に持つ、ノーナ・ゲイ (Nona Gaye) が歌います。

この曲のリードボーカルのメロディは一つだけで、サビもそれ以外も全部基本的に同じメロディの繰り返しです。このように、たった一つのメロディーの繰り返しからきちんとした曲を丸々成立させてしまうのはプリンスの特徴の一つなのですが、曲の構成をどうこう言う前に、この曲を聴くとまずノーナのボーカルに意識を奪われます。ノーナの声色からは、これは普通の曲ではなく、何か特別なことを歌っているのではないか、という雰囲気が感じられます。それもそのはずで、実はこの曲は、ノーナが亡き父のことを歌ったものです。1980年代初めに、ノーナが子供の頃に一時期住んでいたベルギーでの思い出が歌にされており、ノーナは、幼い頃に弟と作った雪ダルマに父の姿を重ねます。

複雑な人生を送ったノーナの父親マーヴィン・ゲイは、ベルギーから米国に戻った後、45歳の誕生日を目前にした1984年4月1日、マーヴィン自身の父親との口論の末に拳銃で胸などを撃たれ、帰らぬ人となります。この時ノーナは9歳でした。曲では「Everything seems so perfect / That nothing would dare go wrong (全てが完璧に思えた - 何も起こりようはなかった)」と歌われる1分47秒頃、バックでカチャッという音と共に銃声が響きます。

「Snow Man」はオフィシャルリリースの機会を失なってしまった曲ではあるものの、背景を知りつつ聴くと心に印象を残す、美しくも哀しい曲です。

ちなみに、プリンスは1994年に「Love Sign」という銃反対のメッセージを含んだ曲を書いています (コンピレーションアルバム「1-800-NEW-FUNK」収録)。売られ方次第ではかなりのヒットになっていてもおかしくないようなポップな曲で、リードボーカルをとるのはノーナ・ゲイです。個人的には、もし「The Gold Experience」(1995年) に、社会メッセージソングの枠として「We March」に差し替えて「Love Sign」が入っていたら、このアルバムはもっとピリッとしたものになっていたかも、と思ったり思わなかったり…という気がします。


Christmas in Belgium was different / Than the ones spent in L.A.
ベルギーでのクリスマスは L.A. で過ごすクリスマスとは違った
The Christmas I got no presents / Still me and my brother played
プレゼントのないクリスマス - けれども私は弟と一緒に遊んだ
Near the ocean makin' the snow man / On his face we were makin' a smile
海岸の近くで雪ダルマを作り - その顔には笑顔を描いた
'cause just like a daddy / The snow man had style
だってパパみたいに - その雪ダルマは格好良かったから

CHORUS:
Snow man, snow man / Another Christmas gone
雪ダルマ、雪ダルマ - またクリスマスが過ぎた
I got a chess game this time / A bishop takes the pawn
今年はチェスゲームをもらった - ビショップがポーンを取る
Sometimes I wanna go back where / The ocean swallows the shore
時々戻りたくなる - 波が海岸を飲み込むあの場所に
I could still see him smiling / When my snow man is no more, no more
あの雪ダルマはまだ微笑んでいる - なのに私の雪ダルマはもう微笑んではくれない

Winter seldom passing / Where the memory doesn't sway
冬は通り過ぎることがない - 揺らぐことのない思い出に
2 the smell of a Christmas dinner / Shared the family way
家族一緒に囲んだクリスマスの夕食の匂いに
Everything seems so perfect / That nothing would dare go wrong
全てが完璧に思えた - 何も起こりようはなかった
But tears come with the summer / So long, so long
だけど夏は涙と共に訪れた - 別れの挨拶

CHORUS

I look at my hands and I wonder / Will they ever make anyone smile
私は自分の手を見て思う - この手は誰かを微笑ませてあげられるだろうかと
The way the snow man made me
あの雪ダルマが私にしてくれたのと同じように

CHORUS

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