OneH

主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

インスリンについてもう一つ記事を書こうと思っていたのですが、というか前の記事を書いたときに一緒に書いたのがあるのですが、、、グラフとかがあってアップロードや編集が面倒なので別の話題です。

私たちは減量で脂肪を落とすとき、摂取カロリーを維持カロリーよりも減らしてダイエットをするわけですが、減量中でも減量後でもいいのですが、摂取カロリーを維持カロリーに戻すということの効果について考えてみます。

まず、減量で維持を組み合わせる目的の一つには、生理的・精神的の両面でのストレスを軽減させるというのがあります。しかし、今回はこのことについてではありません。まあ結局はこれに関連していることなのですが、ひょっとしたら人によってはそれよりも遥かに重要かもしれない、別な効果について書きます。

その効果について書く前に3つ質問します。

・貴方は、自分が理想だと思う体脂肪率のカラダに容易に到達できますか?
・貴方は、自分が理想だと思う体脂肪率のカラダにして、リバウンドせずにそれを維持できますか?
・そもそも貴方は、自分が理想だと思う体脂肪率のカラダになったことはありますか?

3つともイエスという人にとっては、あんまり関係のない話です。
3番目の質問にノーと答えた人にとって、ひょっとしたら人生何かが変わるような話、、、だったら嬉しいです。

----------------------------------------

減量が「体脂肪を落とすために摂取カロリーを減らそうとする行為」ならば、維持とは「体脂肪を付けないように摂取カロリーを増やさないようにする行為」です。この違いはもの凄く大きいです。

●減量 = 摂取カロリーを維持よりも減らそうとする行為(実際に減らせるかは別として)

基本的に空腹を我慢する必要があり、食欲に対する強い欲求が発生します。それでも実際に摂取カロリーを減らすことができ、思い通りに体脂肪を落とせているうちは良いです。しかし、実際には摂取カロリーを減らすことができずに、減量の進行がストップしているような状態(これって要するに維持カロリーです!)でもストレスになってしまいます。維持ですらストレスになる恐れがあり、ストレスに耐えられなくなったらその先に待っているのは暴食、そしてリバウンドです。

●維持 = 摂取カロリーを維持よりも増やさないようにする行為

摂取カロリーを減らそうとする行為と比べて、格段にストレスは減ります。というか自然に食事をしていれば太らないタイプの人にとっては、意図的な維持カロリーはそもそもストレスではありません。
維持カロリーがストレスになるのは、放っておくと太るというタイプの人や、減量で食事制限が上手くいっていない場合です。

で、意図的に維持カロリーを組み合わせることの効果なのですが、それは、食欲に対する欲望のレベルを下げられる、ということです。減量をより少ないストレスでできるようになるとともに、リバウンドしづらい、太りづらい体質の人間になります。

ちなみに実際、ちゃんと読んだことはないのですが、「減量後に意図的に維持カロリーにする(ノルマとしてそこまで食事を増やす)とリバウンドしづらい」というような研究があったような気がします。無意識のうちに太ってしまう人にとっては、減量中よりも意図的に食事を増やすと、逆に太るのを防ぐ効果が得られる、いうことです。

「私は美味しい物を食べるのが好きなの。食べたい物をガマンしてまで痩せるなんて、私はそんな人生に価値は感じないわ」

ダイエットの話になると、こんなことを言う人がいます。これは美味しい物を食べるのが好きというよりも、どちらかというと「私は食欲に対する欲望のレベルが人よりも高くてそれをむさぼらないと満足できないのよ」という意味に私は受け取ります。

だって、美味しい物って太るまで食べなくたって美味しいです。

美味しい物が好きでも痩せている人は沢山います。太っている人と痩せている人で違うのは、美味しい物が好きかどうかではなく、食欲に対する欲望のレベルです。人の欲望というのはなかなか変えられないものですが、食欲の欲望のレベルについては私はちょっとした工夫で変えられるものだと思っています。

ということでグダグダと書きましたが、維持の効果についてでした。

トレーニングをする人がよく聞くホルモンのひとつにインスリンというものがあります。インスリンは多様な機能を持つホルモンですが、大雑把にいうとエネルギーや栄養素を貯めこむ「貯蔵ホルモン」として働きます。インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、主に炭水化物を摂取すると分泌されます。また、一般にはあまり知られていないかもしれませんがタンパク質の摂取でも分泌されます。

このインスリンというホルモンですが、一般的には筋肉を作るうえでは「アナボリックホルモン」なんて言われています。「(最も)強力なアナボリックホルモン」なんて評されることもあります。

ところで「アナボリック」って意味分かりますでしょうか?アナボリズム、カタボリズム、それにメタボリズム。普段何気なく使う言葉ですが、ここでちょっと言葉の定義をおさらいします。

・メタボリズム (代謝) - 生命の維持活動で生じる化学反応 (=アナボリズム+カタボリズム)
・アナボリズム (同化) - 単純な化合物から複雑な化合物を合成する過程
・カタボリズム (異化) - 複雑な化合物から単純な化合物に分解する過程

さて本題です。前回の記事で、インスリンとタンパク質の代謝の関係について、「インスリンにはタンパク質合成を刺激する働きはない」と書きました。これには「えっ?」と思った人もいたのではないかと思います。

だってネットでも雑誌でも書籍でもインスリンは常にアナボリックホルモンと紹介されていますよね?ついでにたぶん教科書でも。しかも世の中的には「強力な」アナボリックホルモンなんだそうです。「アナボリック」という言葉を定義通りに受け取れば「筋タンパク質を合成する」という意味です。

しかし、実はインスリンには一般的に信じられているようなアナボリックな働きはありません。

筋タンパク質の増加 (ネットアナボリズム) に対するインスリンの寄与は、基本的にタンパク質合成ではなくタンパク質分解の抑制効果によるものです。薬理学的な文脈 (要するに注射) ではまた話が変わってきますが、栄養学的な文脈では、インスリンはアナボリックホルモンというよりもアンチカタボリックホルモンである、というのがより正確な見方です。

ちなみに、インスリンによりカタボリズムを抑制しネットアナボリズムを最大化させるにはどの程度のインスリンレベルが必要かという点については、現在出ている研究データによると 15 - 30 mU/l といったレベルで頭打ちになるようです。これは絶食状態のだいたい2~6倍に相当しますが、それ程高いレベルではありません。普通のプロテイン/カーボシェイクや普通の食事で栄養摂取すれば問題なく到達するレベルです。

●まとめ

- 栄養学的には、インスリンはアナボリックホルモンというよりもアンチカタボリックホルモンです。

- プロテイン/カーボドリンクでも食事でも普通に摂取するならば、ネットアナボリズムを最大化するインスリンレベルには十分に到達します。

ウエイトトレーニングを行う人にとって、筋力や筋量の成長を促進させるためにどういう栄養摂取をするのが適切なのか?というのは大きな関心事です。大きな (そしてより重要な) 視点では1日の総カロリーや各主要栄養素をどうするかというのもありますが、トレーニング後のタイミングではどういう栄養摂取が適切なのか?というのも重要なポイントだと思います。

歴史を遡ると、トレーニング後の栄養摂取に関する研究は、初期の段階では殆ど全てが持久トレーニングにフォーカスされたものでした。重要なテーマとしてグリコーゲンの回復があり、研究対象の中心となった栄養素は炭水化物でした。90年代半ば頃にグリコーゲン合成に与えるタンパク質の影響についての研究が登場し、さらにその後研究が進められました。グリコーゲンについては今回のトピックではないのでこれ以上触れません。

とにかく、トレーニング後の栄養摂取の研究が持久トレーニング中心に発展してきた経緯から、ウエイトトレーニングに対しても持久トレーニングと同じ栄養摂取の方針が適用されしまい、そのまま指導者やトレーニーの間に定着してしまっている部分があるように見受けられます。

例えば、日本には筋トレにおける超回復という勘違い理論があります。これはグリコーゲン超回復を勘違いしたものと思われます。また、私は個人的に、トレーニング後の栄養摂取で炭水化物が不相応なほど重要視されている傾向を感じるのですが、これはインスリンに対する誤解が大きな原因かもしれませんが、持久トレーニングの栄養摂取との混同も多少関係しているのではないかと思います。

しかし、ウエイトトレーニングで筋力や筋量の成長を促進させるのが目的の場合、持久トレーニングとは違った栄養摂取の方針が必要になります。

●筋肉が成長するとは

多くの人にとって、ウエイトトレーニングに求める一番の効果は筋肉の成長だと思います。筋力やポスーツパフォーマンスの向上が目的な人にとっても、単純に見た目が目的な私のような人にとっても、どちらも結局のところウエイトトレーニングで目指すのは筋肉の成長です。

筋肉(骨格筋)は様々な物質により構成されています。タンパク質(全体の20数パーセント)、水(大部分)、結合組織、グリコーゲン、ミネラルなど。このなかで、筋肉の成長を考えるにあたって最も重要なのは、実際に力を発揮する部分であるタンパク質です。

「筋肉の成長=筋肉のタンパク質量の増加」とすると、それはどのようなプロセスで起こるのでしょう?

筋肉内では、タンパク質に関して常に2つの正反対のプロセスが発生しています。それは、タンパク質合成とタンパク質分解です。タンパク質合成はアミノ酸が結合して筋タンパク質が合成され筋肉が作られるプロセスです。一方、タンパク質分解は既にある筋タンパク質がアミノ酸に分解され筋肉が失われるプロセスです。筋肉量がどうなるかは、この2つのプロセスのバランスによって決まります。

1) タンパク質合成 > タンパク質分解 = 筋肉量の増加
2) タンパク質合成 = タンパク質分解 = 筋肉量は変化なし
3) タンパク質合成 < タンパク質分解 = 筋肉量の減少

筋肉を成長させるなら言うまでもなくゴールは(1)です。そして、(1)の状態にするためのパラメータは2つあることに気付きます。

A) タンパク質合成を促進する
B) タンパク質分解を抑制する

(A)も(B)もどちらも筋肉のバランスをプラスにするのに寄与します。そして一方のみを考えるよりも、両方同時に考えるのがより適切な方針と言えると思います。

●トレーニング後の栄養摂取とタンパク質合成・分解

ウエイトトレーニングを行った後の筋肉は、タンパク質合成もタンパク質分解も増進した状態になります。どちらか一方ではなく、合成も分解も両方が増進します。

そして、栄養が供給されない場合、筋肉は、全体としては分解が合成を上回ったネットカタボリックな状態になります。トレーニング前に長時間食事を取らず、トレーニング後も栄養補給をしないままでいるとトレーニング後の筋肉はネットカタボリックな状態です。これは筋肉の成長に良くありません。

一方、適切な栄養摂取を行えば、筋肉は、合成が分解を上回ったネットアナボリックな状態にすることが出来ます。研究者の間では、トレーニング後における栄養摂取のタンパク質合成と分解への影響について、以下のようなコンセンサスがあります。

1. アミノ酸 (タンパク質) はタンパク質合成を刺激するが、タンパク質分解を抑制する働きはない
2. インスリン (炭水化物) はタンパク質分解を抑制するが、タンパク質合成を刺激する働きはない

はい。これが方針のベースになるアイデアです。実際はアミノ酸やインスリンの働きはもっと複雑なものかもしれませんが、少なくともトレーニング後の栄養摂取に関して言えば上記は正しく当てはまります。

また、栄養摂取で炭水化物とタンパク質とどちらかを取るなら、明らかにタンパク質の方が重要度が高いです。炭水化物単独ではタンパク質分解の抑制効果があるのみで、合成は促進されないからです。炭水化物はそれ単独では100g摂取したって筋肉はネットカタボリックな状態のままです。

しかし、タンパク質合成を促進して筋肉をアナボリックな状態にするのはタンパク質の役目だからといって、タンパク質の摂取だけを考えればよい、という考えも十分ではありません。確かにタンパク質は相対的に言って炭水化物よりも重要度が高いのですが、タンパク質分解の抑制を見落としています。

ちなみに、実際のところタンパク質分解の抑制効果を最大化させるインスリンレベルはそれ程高いものではありません。炭水化物数十グラム程度でOKなレベルです。ではタンパク質によるインスリン分泌でタンパク質分解は抑制できないのか?という疑問を持つ人もいるかもしれません。私自身どうなのだろうと疑問に思っています。しかし、この点に関しては、おそらく適切な研究がないみたいです。これまで研究で用いられているのは必須アミノ酸6gといったパターンで、例えばホエイ40g以上みたいな一般トレーニーのタンパク質摂取に沿うような形の研究データはないようです。

●まとめ

筋肉の成長を考える場合、トレーニング後の栄養摂取ではタンパク質は炭水化物よりも遥かに重要です。しかし、タンパク質単独よりもタンパク質+炭水化物の両方を摂取した方がより適切です。

●参考
Muscle Growth and Post-Workout Nutrition by Lyle McDonald
http://www.bodyrecomposition.com/muscle-gain/muscle-growth-and-pos-workout-nutrition.html

↑このページのトップヘ