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主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

ウエイトトレーニングを行う人にとって、筋力や筋量の成長を促進させるためにどういう栄養摂取をするのが適切なのか?というのは大きな関心事です。大きな (そしてより重要な) 視点では1日の総カロリーや各主要栄養素をどうするかというのもありますが、トレーニング後のタイミングではどういう栄養摂取が適切なのか?というのも重要なポイントだと思います。

歴史を遡ると、トレーニング後の栄養摂取に関する研究は、初期の段階では殆ど全てが持久トレーニングにフォーカスされたものでした。重要なテーマとしてグリコーゲンの回復があり、研究対象の中心となった栄養素は炭水化物でした。90年代半ば頃にグリコーゲン合成に与えるタンパク質の影響についての研究が登場し、さらにその後研究が進められました。グリコーゲンについては今回のトピックではないのでこれ以上触れません。

とにかく、トレーニング後の栄養摂取の研究が持久トレーニング中心に発展してきた経緯から、ウエイトトレーニングに対しても持久トレーニングと同じ栄養摂取の方針が適用されしまい、そのまま指導者やトレーニーの間に定着してしまっている部分があるように見受けられます。

例えば、日本には筋トレにおける超回復という勘違い理論があります。これはグリコーゲン超回復を勘違いしたものと思われます。また、私は個人的に、トレーニング後の栄養摂取で炭水化物が不相応なほど重要視されている傾向を感じるのですが、これはインスリンに対する誤解が大きな原因かもしれませんが、持久トレーニングの栄養摂取との混同も多少関係しているのではないかと思います。

しかし、ウエイトトレーニングで筋力や筋量の成長を促進させるのが目的の場合、持久トレーニングとは違った栄養摂取の方針が必要になります。

●筋肉が成長するとは

多くの人にとって、ウエイトトレーニングに求める一番の効果は筋肉の成長だと思います。筋力やポスーツパフォーマンスの向上が目的な人にとっても、単純に見た目が目的な私のような人にとっても、どちらも結局のところウエイトトレーニングで目指すのは筋肉の成長です。

筋肉(骨格筋)は様々な物質により構成されています。タンパク質(全体の20数パーセント)、水(大部分)、結合組織、グリコーゲン、ミネラルなど。このなかで、筋肉の成長を考えるにあたって最も重要なのは、実際に力を発揮する部分であるタンパク質です。

「筋肉の成長=筋肉のタンパク質量の増加」とすると、それはどのようなプロセスで起こるのでしょう?

筋肉内では、タンパク質に関して常に2つの正反対のプロセスが発生しています。それは、タンパク質合成とタンパク質分解です。タンパク質合成はアミノ酸が結合して筋タンパク質が合成され筋肉が作られるプロセスです。一方、タンパク質分解は既にある筋タンパク質がアミノ酸に分解され筋肉が失われるプロセスです。筋肉量がどうなるかは、この2つのプロセスのバランスによって決まります。

1) タンパク質合成 > タンパク質分解 = 筋肉量の増加
2) タンパク質合成 = タンパク質分解 = 筋肉量は変化なし
3) タンパク質合成 < タンパク質分解 = 筋肉量の減少

筋肉を成長させるなら言うまでもなくゴールは(1)です。そして、(1)の状態にするためのパラメータは2つあることに気付きます。

A) タンパク質合成を促進する
B) タンパク質分解を抑制する

(A)も(B)もどちらも筋肉のバランスをプラスにするのに寄与します。そして一方のみを考えるよりも、両方同時に考えるのがより適切な方針と言えると思います。

●トレーニング後の栄養摂取とタンパク質合成・分解

ウエイトトレーニングを行った後の筋肉は、タンパク質合成もタンパク質分解も増進した状態になります。どちらか一方ではなく、合成も分解も両方が増進します。

そして、栄養が供給されない場合、筋肉は、全体としては分解が合成を上回ったネットカタボリックな状態になります。トレーニング前に長時間食事を取らず、トレーニング後も栄養補給をしないままでいるとトレーニング後の筋肉はネットカタボリックな状態です。これは筋肉の成長に良くありません。

一方、適切な栄養摂取を行えば、筋肉は、合成が分解を上回ったネットアナボリックな状態にすることが出来ます。研究者の間では、トレーニング後における栄養摂取のタンパク質合成と分解への影響について、以下のようなコンセンサスがあります。

1. アミノ酸 (タンパク質) はタンパク質合成を刺激するが、タンパク質分解を抑制する働きはない
2. インスリン (炭水化物) はタンパク質分解を抑制するが、タンパク質合成を刺激する働きはない

はい。これが方針のベースになるアイデアです。実際はアミノ酸やインスリンの働きはもっと複雑なものかもしれませんが、少なくともトレーニング後の栄養摂取に関して言えば上記は正しく当てはまります。

また、栄養摂取で炭水化物とタンパク質とどちらかを取るなら、明らかにタンパク質の方が重要度が高いです。炭水化物単独ではタンパク質分解の抑制効果があるのみで、合成は促進されないからです。炭水化物はそれ単独では100g摂取したって筋肉はネットカタボリックな状態のままです。

しかし、タンパク質合成を促進して筋肉をアナボリックな状態にするのはタンパク質の役目だからといって、タンパク質の摂取だけを考えればよい、という考えも十分ではありません。確かにタンパク質は相対的に言って炭水化物よりも重要度が高いのですが、タンパク質分解の抑制を見落としています。

ちなみに、実際のところタンパク質分解の抑制効果を最大化させるインスリンレベルはそれ程高いものではありません。炭水化物数十グラム程度でOKなレベルです。ではタンパク質によるインスリン分泌でタンパク質分解は抑制できないのか?という疑問を持つ人もいるかもしれません。私自身どうなのだろうと疑問に思っています。しかし、この点に関しては、おそらく適切な研究がないみたいです。これまで研究で用いられているのは必須アミノ酸6gといったパターンで、例えばホエイ40g以上みたいな一般トレーニーのタンパク質摂取に沿うような形の研究データはないようです。

●まとめ

筋肉の成長を考える場合、トレーニング後の栄養摂取ではタンパク質は炭水化物よりも遥かに重要です。しかし、タンパク質単独よりもタンパク質+炭水化物の両方を摂取した方がより適切です。

●参考
Muscle Growth and Post-Workout Nutrition by Lyle McDonald
http://www.bodyrecomposition.com/muscle-gain/muscle-growth-and-pos-workout-nutrition.html

物事が上手くいかないとき、本質的な問題はしばしば無視されてしまい、どうでもいい些細なことの方に目が向けられてしまうものです。

あ、パワーリフティングのトレーニングフォームの話です。パワー経験者でもない私みたいなのが語っていいのか?というのは置いときます。パワーのフォームって独特です。例えば、スクワットをパワーフォームで行うなら、普通のハイバースクワットとは違ってバーを低い位置で担ぎますが、パワーのフォームに慣れていない初心者の人だとロウバーの位置で上手く担げない、というのはよくあることです。こういう時、問題を解決するためにまず考えなければいけないことはなんでしょうか?

私だったら、担ぎ方が正しいかどうかフォームをチェックします。ロウバーの担ぎ方を簡単に説明します。

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●背中、肩甲骨

- ロウバーでは肩甲骨は必ず寄せます。
- 肩甲骨をしっかり寄せたら、その状態で背中をタイトに(緊張させてロック)します

この2点は必須事項です。これをしないとロウバーで高重量を安定して担ぐことはできません。

●腕、肘、手首

肘は下げ(後方に上げず)、バーは腕で「下から」支える形になります。上の背中の状態をきっちり作れている場合、この姿勢は自然にとれるはずです。

肘が後方に上がりすぎてしまうと、手首が反って手首を痛めやすくなったり、バーが前方にシフトして重量に負けて前方に倒れる恐れがあり危険です。

●手幅

基本は自然にできる範囲で狭めに、だと思います。重量級の選手などではワイドグリップにしているケースもありますが、殆どの人にとっては広くするよりも狭くした方が挙上を安定させやすいのではないかと思います。
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パワーのフォームには、基本原則とでもいうべきポイントが色々とあります。基本原則を知らずにズレたところで一生懸命努力しても適切なフォームに辿り着くことはできません。

いや、これは個人の体型の特異性による問題だ…あるいは筋力の発達具合に原因がある…

ええと、それは初心者にとっては重要なことではありません。確かに個人の体型や筋力の発達具合が重要な意味合いを持つケースはあると思います。例えば、競技を行っている経験者が、自分の特徴を考慮してフォームの些細なディテールを調整する、というのは意味のあることだと思います。しかし、こういったことは基本のフォームができている人が次の段階を目指すときになってから考えるべきことであって、初心者が気にすべきことではありません。

基本原則を本質的でない事柄に従属させてはいけない
Do not subordinate fundamental principles to minor details

ということです。パワーにおいては、基本原則とは正しいフォームに従うことです。

「いや、こんな例外があるかもしれない」
「個人の体型、柔軟性、あるいは筋力バランスによってこんなことがあるかもしれない」

…忘れてください。それは「Minor Details」です。そんなことよりも、まず基本的な正しいフォームを学んでください。

ちなみに私は、これはパワーだけでなくウエイトトレーニング一般についても当てはまると考えています。基本的には Fundamental Principle は正しいフォーム。他の要素は Minor Details です。トレーニングをしていてある種目が上手くできないという場合、たいていは、それは単純にフォームがまずいから、というだけの話です。「自分は例外的に特別な問題を抱えているんだ」と考える前に、まずは自分のフォームを疑うべきです。例外を基本原則よりも優先させてはいけません。

●参考

Fundamental Principles versus Minor Details - by Lyle McDonald
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/fundamental-principles-versus-minor-details.html

- Do not subordinate fundamental principles to minor details.
というのは上記リンクからの引用です。

パワーの種目をするかどうか - 肉漢.jp
http://xn--hex348a.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=241

現在、私の筋トレは基本的に現状維持(というか緩やかに衰退?)になってしまっていますが、数年前はよく短期間でハイペースの増量と減量と繰り返していました。ハイペースで減量を進めて体脂肪がずいぶん落ちてきたけどもう少し落とそうかという段階で、何度か面白い経験をした記憶があります。

それは、まだ腹筋周りに体脂肪が残っているなと思っていたのに、一晩寝て起きたら昨日までそこに存在していたはずの脂肪が消えて無くなっており、体重も一気に減っている、というものです。多分、勘違いではありません。

あれは一体何だったのでしょう。当然ながら、一晩のうちに莫大な熱量が発生して一気に体脂肪が分解&リリースされ燃焼された、なんていうのはあり得えません。それでは一体…ということで、それを話題に取り上げたのが参考リンクの Lyle McDonald の記事です。

記事の内容を簡単に説明すると、実際には何日あるいは何週間(?)も前に脂肪は無くなっているが、脂肪細胞が水でリフィルされているために体脂肪が見かけ上残っているように見え、ある日何かのきっかけでリフィルされていた水が無くなって突然体脂肪が無くなったように見えるということではないか?というものです。

通常、脂肪細胞の大部分を占めるのは、いわゆる脂肪というやつです。よりテクニカルな言い方をすると、トリグリセライド(3分子の脂肪酸と1分子のグリセロールが結合した物質)です。普通は脂肪細胞には水は殆ど含まれていません。しかし、脂肪細胞からトリグリセライドが無くなった時に、一時的に水でリフィルされる場合があるのではないだろうか、というのがこの記事で書かれている考えです(グリセロールは水を引き寄せますが、これがメカニズムの一部になっているかもしれません)。

科学的に詳しく研究されている現象ではありませんが、とにかく見かけ上存在していた体脂肪が突然消えるというのは、特にボディビル的な減量をしたことがある人には経験のある人はいるのではないかと思います。

この体脂肪が消える現象が起きるきっかけとしては、リンクの記事ではドライカーボリフィード(水をあまり飲まずに炭水化物のリフィードを行う)が挙げられています。カーボリフィードにより水が筋肉内に引き込まれるので、他の組織(脂肪細胞)の水が奪われる、という考えですが、確かにありそうなきっかけです。私の過去の経験では、何がきっかけだったかはよく分かりません。記憶では有酸素運動をやったときに起きたような気がするようなしないような、、、やっぱりよく分かりません。

この現象を見た目の変化としてはっきり確認するには体脂肪率がかなり低くなっている必要があると思います。しかし、体脂肪や体重の減少というものが一定のペースではなく、止まったり進んだりを繰り返す断続的なプロセスに見える場合がある、という経験をしたことがある人は多いと思います。そういえば、ダイエットには停滞期があるなんてよく言われます。特に女性ダイエッターにそういう主張をする人が多いです。一般に女性は男性よりも水分を貯留しやすい傾向がありますが、もし、停滞期を抜けて体重が落ち始めた!なんて場合、ひょっとしたら脂肪細胞の水分というのも多少関係していることがあるのかもしれません。

●参考

Of Whooshes and Squishy Fat - by Lyle McDonald
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/of-whooshes-and-squishy-fat.html

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