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主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

ウエイトトレーニングのサプリメントで有名なものに、BCAA と必須アミノ酸 (EAA) があります。特に BCAA は人気があり、BCAA を摂取している人を見聞きすることも多いのではないでしょうか。一時期 BCAA 入りのスポーツドリンクが流行したこともあったので、BCAA はフィットネスに関心のある人だけでなく普通の人でも名前を聞いたことのある栄養素だと思います。

BCAA と EAA は、トレーニーにとっては筋肥大や筋量維持に効果があるサプリメントとして認識されています。BCAA の一つであるロイシンは筋タンパク質合成の調節因子であることが知られています。また、EAA には筋タンパク質合成を亢進させる働きがあります。この働きを誘導するのに非必須アミノ酸 (NEAA) は必要ではありません。

このため、BCAA や EAA のサプリメントを使うことで、従来は得られなかったレベルでウエイトトレーニングの筋肥大効果を引き出すことができるのではないか、という疑問を持っている人もいると思います。そこで最近の研究を一つ紹介します。

Churchward-Venne TA, et, al. Supplementation of a suboptimal protein dose with leucine or essential amino acids: effects on myofibrillar protein synthesis at rest and following resistance exercise in men. J Physiol. 2012 Jun 1;590(Pt 11):2751-65. doi: 10.1113/jphysiol.2012.228833. Epub 2012 Mar 25.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22451437


これは、プロテインの供給が十分でない状況でロイシンまたは必須アミノ酸をサプリメンテーションして、安静時およびレジスタンスエクササイズ後の筋タンパク質合成への効果を比較した研究です。

Churchward-Venne_TA_2012_fig3

図は筋タンパク質合成速度を、サプリメント摂取前 (FAST)、摂取後1-3時間、および摂取後3-5時間に渡って計算したものです。上の図 A はエクササイズなし (FED)、下の図 B はエクササイズあり (EX-FED) です。

サプリメンテーションの条件は以下の通りです。
  • WHEY: ホエイ 25g (ロイシン 3g を自然に含有)
  • LEU: ホエイ 6.25g にロイシンの含有量が WHEY と同じく 3g になるようにロイシンを添加
  • EAA-LEU: ホエイ 6.25g に WHEY と同量の必須アミノ酸を含有するように必須アミノ酸を添加 (ただしロイシンを除く)。ロイシンの含有量は 0.75g

この図で注目に値するのは、右下のレジスタンスエクササイズ後 3-5 時間の筋タンパク質合成です。LEU や EAA は合成速度が低下していますが、WHEY だけは合成速度が亢進した状態が継続しています。

この結果について、著者は次のように考察しています。

while non-essential amino acids (NEAAs) are not necessary to ‘turn on' MPS and/or direct the magnitude of the response... it is conceivable that NEAAs may be required to sustain elevated rates of MPS under conditions of a higher ‘anabolic drive' stimulated by resistance exercise

非必須アミノ酸は筋タンパク質合成を「オン」にしたり反応の大きさを影響付けるのに必要ではないものの...(中略)...レジスタンスエクササイズにより促進される、より高い「アナボリックドライブ」がある状況下では、上昇した筋タンパク質合成速度を持続させるのに非必須アミノ酸が必要であると考えられる

アブストラクトより引用します。

In summary, a low dose of whey protein supplemented with leucine or all other essential amino acids was as effective as a complete protein (WHEY) in stimulating postprandial MPS; however only WHEY was able to sustain increased rates of MPS post-exercise and may therefore be most suited to increase exercise-induced muscle protein accretion.

要約すると、ロイシンあるいはロイシン以外の全ての必須アミノ酸を添加した少量のホエイプロテインでは、通常量のホエイプロテインと同等に、摂取後の筋タンパク質合成を促進する効果が見られた。しかしながら、通常量のホエイプロテインのみがエクササイズ後の筋タンパク質合成の上昇を持続させることが出来たため、エクササイズにより引き起こされる筋タンパク質増加に最も適しているのは通常量のホエイプロテインであることが示唆された。


トレーニーにとって最も興味があるのは、長期的にみてそれが筋肥大に効果的かどうかということですが、科学研究でそれを厳密に立証するのはなかなか難しいことです。この研究も、長期的な効果ではなく、サプリメント摂取後の急性的な筋タンパク質合成への効果を調べたものです。しかしながら、この研究結果から考えると、BCAA や EAA のサプリメントには、どうやら従来のプロテインサプリメントを上回るような筋肉への効果はない、と言えそうです。

何となく思っていることシリーズとして、前回の続きで腰のことについて書こうと思っていたのですが、いざ書こうとしたら思いのほか長くなって放り投げ中です。

私のトレーニングの近況なのですが、このところトレーニング間隔が延び延びになってしまっています。できれば2、3分割で1週間程度で回すルーティンでトレーニングしたいと思っているのですが、それ以上空けてしまうことが多くなっています。トレーニング間隔が空いてしまうと、どうも感覚が鈍ってしまい、最近のトレーニングの流れは以下のような感じです。

「こんなに間隔が空いて本当にまともにトレーニングできるのか」と疑問に思いつつジムに向かう
 ↓
気分が乗らないままトレーニングを開始する
 ↓
セットを行っていくうちに体がトレーニングを思い出して段々調子が戻ってくる
 ↓
「あれ?調子が悪いと思っていたけど、意外と普通にトレーニングできるじゃん」


私は、部位にもよりますが、1部位に対してだいたい4セット程度行います。私は自分のトレーニングスタイル的にそれほどウォームアップを必要としないので、ウォームアップは殆どか全く行わず、いきなり本番のワークセットを行います。

こういうウォームアップを殆どしないトレーニングは長年やっていて慣れているのですが、最近のように間隔が空いてしまうと、調子が狂った状態でワークセットを始めることになってしまいます。そこで最近は、あんまり調子が悪いときには、ウォームアップセットを行なって調子を戻してからワークセットに取り掛かる、ということをしています。

前置きが長くなりましたが、最近の私のように、調子が悪いなあと思いつつもトレーニングしているうちに調子が戻ってきて、「あれ、普通にトレーニングできるじゃん」となる感覚、分かってくれる人は多いと思います。そこまでいかなくても、ウォームアップセットをして本番の準備をしたつもりだったけれども、1セット目よりも2セット目の方が調子が良い、という経験はよくあることだと思います。

今回のブログ記事は、そんなときのウォームアップの方法の一つです。

● オーバーウォームアップ

オーバーウォームアップとは、本番のワークセットよりも高重量を扱ってウォームアップをする方法です。ウォームアップなのに本番より高重量というのは一瞬滅茶苦茶なように思えますが、例を挙げると分かり易いと思います。例えば、ベンチプレス80kgを10レップできる人が次のようなトレーニングをしたとします。

ウォームアップセット: 20kg x 10、40kg x 10、60kg x 10、 70kg x 6
ワークセット: 80kg x 9, 80kg x 10, 80kg x 9.....


上の例は普通のウォームアップです。このときは調子が乗らなくて、80kgの1セット目は9レップで潰れてしまいました。

ウォームアップセット: 20kg x 10、40kg x 10、60kg x 10、 70kg x 6、95kg x 1
ワークセット: 80kg x 10, 80kg x 10, 80kg x 9.....


ウォームアップの最後に95kgで1レップのセットを挟んでいます。これがオーバーウォームアップです。このように、オーバーウォームアップでは高重量の1レップセットをワークセット前に挟むことで、ワークセット前に体を「Prime」な状態に持っていきます

この方法、私もそうですけど、あまり考えずに自然に行っていたという方もいると思います。最近ネットを見ていたら、これをオーバーウォームアップと名付けている人がいて、なるほどと思ってブログ記事にしました。

● リンク
Saving a potentially shitty workout - Paul Carter

ウエイトトレーニングでは、一般的に模範とされる「良い」フォームとダメなフォームは素人目にも一見して区別ができ、違いが分かりやすいものです。トレーニングを初めるとき、殆どの人はとりあえずは「良い」フォームを学び、ダメなフォームにならないように気を付けます。

しかし、トップレベルのパワーリフターやボディビルダーを見ると、しばしば「良い」フォームには当てはまらないフォームで動作していたりします。それどころか彼らの動作はむしろダメなフォームに見えることさえあります。これって不思議に思ったことはありませんか?

彼らのフォームは「良い」フォームには見えないために、「ああいうのは本当は良くないんだけど彼等は上級者で特別だからオッケー」みたいな訳の分からない理屈が付けられたりします。これってまるで、和尚さんが一休さんに水あめを見つかって、「これは大人は食べても大丈夫だけど、子供には毒だから絶対に食べてはいけないよ」と言い訳しているみたいで、個人的には納得のできる説明ではありません。

一つ例を挙げます。Konstantin Konstantinovs という人の 426kg (939lbs) ベルトなしのデッドリフトを見てみてください。この試技はノーベルトのデッドリフトとして世界記録になっているみたいです。

Konstantinovs Deadlift 426kg(939lb) RAW,no belt


一般のプロフェッショナルトレーナーや自称トレーニングに詳しい人達にとって、これはダメなフォームに分類されるのではないかと思います。

「この背中の丸まり方はすごく危険だよ!それにバーが床から離れたときの腰の位置が高くてこれじゃあまるでスティフレッグだよ!デッドリフトっていうのはもっと腰を落として脚を使わないと高重量は挙げられないよ!」

一般のトレーナー達からはこんなアドバイスが飛んできそうです。しかし、コンベンショナルなタイプのデッドリフトで超高重量を挙げるトップレベルのリフターは、大体このような姿勢でバーを引き上げます。これって、本当は良くないんだけど彼らが特別だからオッケーという話なんでしょうか?一休さんの和尚さんが言うように、私たちにとっては毒だから食べてはいけないものなのでしょうか?私はそうは思いません。本物の良いフォームは、超高重量を挙げるリフターの方であって、こういう人達の言ういわゆる「良い」フォームは本当は良いフォームではないんです。

デッドリフトの例を挙げましたが、様々な種目において「良い」フォームとダメなフォーム、それと本物の良いフォームについては、次のような関係があるように思います。

・「良い」フォームとダメなフォームは全然違うように見えるけど、本質を外しているという点で実は両者は似ている。
・ダメなフォームと本物の良いフォームは全然違うものだけれど、表面上は似ているように見えることがある。
・「良い」フォームと本物の良いフォームは、なんというか、全然違う。

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