OneH

主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

今時、音楽を聴いて衝撃を受け、驚愕するなんて、有り得ないことだと思っていました。

優れたアーティストや音楽作品であれば、世の中に音楽が飽和した現在でも生まれ続けていると思います。そして、例えば Britain's Got Talent のポール・ポッツスーザン・ボイルなどのように、意外性を突いた「狙った」驚きであったら、このような現在にあっても起こすことができるかもしれません。しかし、純粋な音楽そのものに驚くとなると話は全く別です。純粋に「作品そのものに衝撃的な力を内在させている」と感じさせる音楽に出会う時代は、もうとっくの昔に過ぎ去ったものだと思っていました。

また、プリンスの音楽は、最初は理解できず、後から徐々に意味が分かってくることが多いものです。思えば、私は、音楽を聴いていきなり衝撃を受けるという経験は殆どしたことがありません。

ところが、それが起こりました。しかも一度に3曲も。

前置きが長くなりましたが、「Purple Rain Deluxe」の Disc 2からもう一曲、「We Can Fxxk」です。これは「Love And Sex」と「Electric Intercourse」と並んで、Disc 2を聴いて私が驚いた曲です。しかも、「We Can Fxxk」に関しては単に驚いただけではありません。今、私がお気に入り曲を選び直すとしたら、この曲は上位に割って入ります。数字がおかしくなってしまいますが、細かいことは気にせずにこれを同率3位にします。ちなみに、他の同率3位の曲は「Last December」と「Crystal Ball」です。


「We Can Fxxk」、あるいはこれまで知られていた「We Can Funk」という曲は、私にとっては積年の思いが詰まった曲です。そしてこの曲は、異なるバージョンの存在がよく話題になる曲でもあります。大まかには次のバージョンが知られていると思います。

  • ジョージ・クリントンが参加した、Graffiti Bridge バージョンの「We Can Funk」
  • ブートレグで流出した、曲の前半部のみで構成される、スローダウンし音も削ぎ落とされた1986年バージョンの「We Can Funk」
  • 一応補完のため、こちらも曲の前半部のみで構成される、Andy Allo がボーカルのアコースティックな「We Can Love」(YouTube リンク)
  • 今回 Purple Rain Deluxe で発表された、1983年12月31日〜に録音された、最初のバージョンである「We Can Fxxk」

時は遡って1991年頃、当時プリンスを聴くようになった私は、「Graffiti Bridge」(1990年) を「Diamonds And Pearls」(1991年) と共によく聴いていました。「We Can Funk」は複雑に作り込まれた凄い曲だと思いましたが、何か引っ掛かるものを感じました。また、「Graffiti Bridge」全般にも言えることですが、「ひょっとして、これってかなり良い曲なんじゃないか」という気持ちと「客観的に判断してかなり良い曲のように思えるのに、なぜかグッとこない」という気持ちが混在する感覚がありました。「Graffiti Bridge」にまで話を広げると収拾がつかなくなるので「We Can Funk」に限って言うと、この曲に関しては「何か誤魔化されているような気がする」という気持ちが常に頭の片隅にありました。

ちなみにこの曲には、私が「プリンスの言葉」を作るとしたら真っ先に入れる次の歌詞があります。私の場合、おそらく大半はこういったユーモラスな言葉で占められることになると思います。

I could tell U things to get U excited, things U never heard
U know the Kama Sutra?
I could re-write it with half as many words
僕は君がワクワクすることを教えてあげられる - 君が今まで聞いたこともないようなことを
カーマ・スートラは知ってるかい?
僕はあれを書き直すことができる - 半分の語数でね

とはいっても、Graffiti Bridge バージョンの「We Can Funk」では、他の歌詞とのバランスからあまりに唐突にこの台詞が出てくるような気がして、どうも妙な感じがしました。

月日は流れ、やがて、ブートで出回っているスローでヘビーな1986年バージョンを知るに至りました。一般的にはこのバージョンは Graffiti Bridge バージョンよりも遥かに優れているという評価ですが、実際私もそう思います。1986年バージョンは、「Girl O' My Dreams」、1986年バージョンの「Can't Stop This Feeling I Got」と3連のメドレーになっているのもまたポイントが高いです。しかし、ファンの間で評価の高いこちらのバージョンを聴いても、「まだ何か誤魔化されているような気がする」という気持ちを完全に拭い去ることはできませんでした。


ちなみに、Graffiti Bridge バージョンは、1986年バージョンと比べると格段に作り込まれていますし、展開も複雑です。しかし、一般にはこれよりも1986年バージョンの方が良いと言われることが多いと思います。この辺は人それぞれの好みの話ですが、Graffiti Bridge バージョンについて私が個人的に不満に思う点は2つあります。

1点目は、Graffiti Bridge バージョンで追加された歌詞です。

I'm testin' positive 4 the funk
I'll gladly pee in anybody's cup
And when your cup overflow
I'm testin' positive and I'll pee some mo'

私はこの歌詞があまり好きではありません。ジョージ・クリントンの P-Funk と尿検査をかけた言葉遊びだというのは分かるのですが、この曲の本来の内容を知った今となっては、ますます微妙な歌詞だと思います。

2点目は、Graffiti Bridge バージョンは何となくチャラいことです。所詮は感覚や好みの問題かもしれませんが、プリンスの音楽の良い特徴である濃密さが、このバージョンでは消えてしまっているように思います。個人的には「Jump 'em and funk 'em / Pump 'em and funk 'em」の部分も要らないと感じます。

あと… これを言ってしまうと身もフタもないのですが、2点目と絡めて気になるのが、映画の中でこの曲を歌うジョージ・クリントンの体型です。映画では、たるんだ肉体のジョージ・クリントンがお腹丸出しのファッションで肉体をクネクネするシーンが一瞬あるのですが、ほんの一瞬といえども私はこのシーンが苦手です。これさえなければこのバージョンの印象ももう少し良くなっていたかもしれません。

一方で、Graffiti Bridge バージョンで私が良いと思うところは、「U can blow the candle off baby〜」の後半部の展開があることです。アルバムにおいて、この後「Joy In Repetition」になだれ込むように続く流れは、たった今チャラいと言ったばかりで話が矛盾しますが、アルバムでは場違いに濃密な空気を放っています。


さて…記事もだいぶ長くなりましたが、「Purple Rain Deluxe」で発表された「We Can Fxxk」です。

何というか、これを聴いて驚かなかった人はいないのではないかと思います。なにせ、Graffiti Bridge バージョンの基本的な構成が、この時点で既に完璧に出来上がっていたことが明かされたのですから。そして、Graffiti Bridge バージョンで私が個人的に要らないと思っていた要素は、まだこの時点ではどれも付け加えられていませんでした。そしてこのバージョンは、1986年バージョンと Graffiti Bridge バージョンの2つの「We Can Funk」の良いところを掛け合わせたようなヴァイブを持っています。1986年に追加された格好良いサックスのフレーズは入っていないものの、楽曲の洗練度は凄まじく、とても1983〜1984年に作られた曲だとは思えません。

そして、歌詞です。私の積年の思いが晴れました。今まで誤魔化されていたと思っていたのは、これだったのです…! 「We Can Funk」では取って付けたようなカーマ・スートラの歌詞も、こちらでは非常に強い説得力を持っています。

さらに、このバージョンは全体で10分以上もあります。最初の部分が終わった後、3分50秒頃の「U can blow the candle off baby〜」からは第2の展開になります。そして、曲を聴いて5分過ぎでも「まだ5分も残っている!」とまたまた驚きます。さらに、5分54秒頃の「See this gold chain around my waist?」からは、「ah-ah----, ah-ah----」のバックボーカルでプリンスが叫び始めて、それはもう凄いことになります。

そして、6分以降は、Graffiti Bridge バージョンにもなかった第3の展開を見せます。濃密なのに清々しさのある展開で、プリンスは独り語りモードになります。ここでのプリンスの表現は、何となく「Do Me Baby」など Controversy 期のプリンスを思わせるような生々しい切迫感があります。そして、プリンスの最後の表現は「Please fxxk me again」です。まさかこの曲の本質が「Do Me, Baby」系の受け身の曲だったなんて… 私は思ってもみませんでした。また、終盤の展開に関しては、音などは全々違うのですが、何となく私はアルバムバージョンの「Come」の後半部分も思い起こしました。

そして、少し笑ってしまったのですが、最後はちゃっかり「When Doves Cry」のような綺麗な終わり方をします。いや、惨々こんな展開にしておいて、最後だけ綺麗にまとめても誤魔化せませんから…


この曲の終盤の展開は、プリンスの音楽、ひいては人間性を考えるうえで、とても特徴的なところだと思います。私の言葉では上手く説明できないのですが、スーザン・ロジャースが、まさにこの点について語っているので紹介します。以前「ホームベース - 自分の住むストリート」で記事にしたのと同じインタビュー/レクチャーからです。

動画は 1:03:25 から始まるようにリンクしています。ちなみに、このレクチャーが催された2016年12月の時点で実体が流出していたかどうかは私は知りませんが、ちょうど「We Can Fxxk」の曲名も言及されています。

(1:02:09〜)
プリンスはどこか危険な男だと思われていました。
…(中略)…

そしてプリンスには乱痴気騒ぎをして暮らしている人だというイメージがありました。プリンスは乱痴気騒ぎを繰り返す、性的な捕食者であると。しかし、実際のプリンスはそれとは正反対の人でした。真実のプリンスは勤勉な人であり、日々仕事に向かう人でした。そして、仕事をするということが、プリンスの全てでした。

確かにプリンスは女性と関係を持っていました。しかし、それは通常、ヴァニティ、スザンナ・メルヴォワン、ジル・ジョーンズ、それにシーラ・Eのような、プリンスと普段の関わりがある女性達でした。
…(中略)…

(1:03:25〜)
プリンスについては、ファンを除いて、多くの人々に見落とされていることがあります。それは、プリンスが性について歌っているとき、プリンスは女性に力を与えているということです。その好例に "Do Me, Baby" が挙げられます。"Do Me, Baby" では、プリンスはこういうことを歌っています - "君が僕をするんだ。僕じゃなくて君が。君がオトコになって僕を侵略するんだ。さあ僕をしてちょうだい" - プリンスは、女性が力を持つということが、どれだけ素敵なことであるかについて語っているんです。プリンスの曲は皆… ブートレグを知っている人なら聴いたことがあるかもしれません。"We Can Fxxk" と呼ばれる曲を。

これらの曲は皆素晴らしいものばかりで、どれも私たち女性について歌われています。プリンスは女性を誘惑するにあたって、決して捕食者のような態度をとることはありませんでした。"僕は君を征服する。君は僕の獲物だ" ということは決してなく、プリンスは常に女性と対等に接していました。これは女性がプリンスを愛する理由のひとつだと思います。私たちはプリンスを信頼していました。プリンスと一緒にいて安全だと感じていました。力を与えられていると感じていました。対等だと感じていました。プリンスは常にそういったものを私たちに与えてくれるという点で、常に一貫していました。プリンスとは、そのような人だったのです。


[Verse 1]
I could tell U stories until U get tired
I could play with your mind
But U'd probably say that I was a liar
So I won't waste your time
君がうんざりするまで話を聞かせることもできる
君の心を弄ぶことだってできる
でも君はそれは嘘だと言うだろう
だから無駄なことはしない

I'm scared because though we just met
There's this energy between us
Let's just go somewhere, we can fxxk
僕は怖い - だって出会ったばかりだというのに
僕らの間にはこれほどのエネルギーが溢れている
さあ何処かへ行こう - XXXX できる場所に

[Verse 2]
I could say I'm sorry all my life
And that wouldn't be true
I only say and do the things I do
'Cause I'm not U
僕は一生君に謝り続けることもできる
だけどそれは本当のことじゃない
僕は僕のやることを言い実行するだけ
僕は君ではないのだから

I'm scared because though we just met
I want U so bad, baby
Don't U want to come with me?
We can fxxk
僕は怖い - だって出会ったばかりだというのに
こんなにも君を欲しがっている
一緒にしたくない?
XXXX しよう

[Hook]
Oh oh ooooh
We can fxxk
Oh oh ooooh
We can fxxk

[Spoken Interlude]
What?
No, this isn't something I've said many times before
But what difference does it make?
That was them, this is U
何? いや、これは僕が過去に何回も言ってきたこととは違うんだ
だとしてもそれがどうしたっていうの?
それは別のこと、これは君の話なんだ

Can't U see this room is electric?
OK, well then maybe it's me
But I know the smell of desire, honey
And it's all over U
この部屋が凄いことになっているのが分からない?
そう、ならば僕しか分からないんだね
僕は欲望の匂いを知っている
それが君全体を覆っているんだ

[Verse 3]
I could tell U things to get U excited, things U never heard
U know the Kama Sutra?
I could re-write it with half as many words
僕は君がワクワクすることを教えられる - 君が今まで聞いたこともないようなことを
カーマ・スートラは知ってるかい?
僕はあれを書き直すことができる - 半分の語数でね

I'm scared, because if I don't kiss U
I'm going to go mad, baby
Take off my clothes
We can fxxk
僕は怖い - なぜなら君にキスをしないと
狂乱してしまうだろうから
僕の服を剥ぎ取っておくれ
XXXX しよう

[Hook][x2]
Oh oh ooooh
We can fxxk
Oh oh ooooh
We can fxxk

[Breakdown]
Wait a minute, let me turn on some lights
(We can fxxk)
Is that better?
Yeah, come here
ちょっと待って、灯りを点けるよ
この方が良いかい?
さあ、こっちに来て

U can blow the candle off baby
U can turn the candle on
Which ever one U choose is alright
Because we're going to do it all night long
ロウソクを吹き消したっていい
ロウソクを点けたっていい
どちらを選んでも構わない
なぜなら僕らは一晩中するのだから

Do U want to--
Undress me, babe
Shall I undress U?
U can leave your clothes on if U want to
And I'll still do it all to U
僕の服を… 脱がせたい?
君の服も脱がせてあげようか?
君は服を着たままでも構わないよ
どちらにしろ僕は君に全部のことをするから

Sex between two people is alright
Whether they're in love or not
As long as they're not trying to hurt nobody
Just as long as it's hot
二人の間でする営みは最高だ
愛し合っていてもいなくても
誰も傷付けることがない限り
それを熱く続ける限り

Good Lord, baby, I want to make love to U
Two times maybe three
Yeah, if U want to go four or five, baby that's alright with me
ああ、君を愛したい
2回、いや3回
君がしたいなら4回や5回だって、僕だったら大丈夫

Let me tell U I said I will be your little baby
Yeah, I can be your big strong man
I can be your girl or boy
I can be your toy
Alright, let's dance
It's up to U
僕は君の可愛い赤ん坊になれる
そう、僕は強くて大きな男にもなれる
男の子や女の子にもなれる
君のおもちゃにだってなれる
さあ踊ろう
君の望む通りさ

U can fxxk me, baby
I'll fxxk U
We can fxxk one another
Whatever U want to do
君が僕を XXXX してもいいし
僕も君に XXXX してあげる
交互に XXXX したっていい
何だって君のしたい通りに

U got an electric ass, baby
U got electric thighs, baby
Ow, I can't wait no longer, child
It's getting stronger, baby
Open up your eyes
Ow!
君は、凄いお尻をしている
君は、凄い太腿をしている
ああ、もうこれ以上待てない
どんどん強まっていくんだ
目をちゃんと開いて
ああ!

See this gold chain around my waist?
I want to give it to U
When people tell me I got no taste
Then blow this candle out
Let's see if it's true
僕の腰に架かっている金のチェーン
そう、これを君にあげる
僕のセンスが悪いって言う人もいるけれど
このロウソクを吹き消してよ
それが本当かどうか確かめよう

[Spoken]
Oh baby, this is excellent
No, no, it is really
It's like
Oh I'm sorry, it's just
I don't know
I've just never felt this way before
No, I'm really happy, really
Well I guess I met U and I just don't deserve it
Because U're so special
No I'm not, not like U
U're perfect
U really are
ああ、とても凄いよ
本当に、本当にだよ
これは
これはまるで
言葉では表現できない
こんなことは初めてなんだ
いいや、とても嬉しいんだ
君に出会えたなんて僕にはとても勿体ないよ
君はとても特別だから
いや、僕はそうじゃないから
君は本当に完璧だよ
本当に完璧だ

There are so many things I want to do with U
There are so many things I want to do for U
So so many things
君としたいことが沢山ある
君のためにしたいことが沢山ある
沢山のことが

Listen, don't let anybody hurt U
No, U don't have any reason to feel insecure
U're the best
Do U believe that
ねえ、他の誰にも傷付けられないで
君が不安に思う理由など何も存在しないから
君は最高だ

No one can ever ever hurt U
Yes, I love U
I know it sounds strange, but I do
I do
誰も君を傷付けることはできないよ
そうさ、愛してる
変に聞こえるだろうけど本当なんだ
本当さ

I knew I loved U, the split second before we kissed---
Oh darling, kiss me now
Oh please
Please fxxk me again
キスをする一瞬前にはもう分かったよ、君を愛してしまうことになるって
ああダーリン、今すぐキスして
ああ
お願いもう一度 XXXX して

先日の記事で、ようやく私が選ぶ曲の筆頭2曲、「Goodbye」と「Condition Of The Heart」を取り上げましたが、まだプリンスについて思うことのごく一部しか書けていないような気がします。そして、あれやこれや中途半端に書いているうちにまた割り込みが入りました。言うまでもなく、その割り込みとは、6月23日に発売された「Purple Rain Deluxe」のセットのことです。

実は私はまだ「Purple Rain Deluxe」を殆どまともに鑑賞できていません。色々と複雑な感情があったり時間が取れなかったりというのもありますが、一番大きな「壁」は未発表曲を収めた Disc 2 の存在です。何というか、Disc 2 の一部の曲があまりにも凄すぎるため、そこで止まってしまい、他のディスクまで手が回らない状態です。

その Disc 2 から、「Computer Blue (Hallway Speech Version)」を取り上げます。


全体で12分超にも及ぶ「Computer Blue (Hallway Speech Version)」は、本当に途轍もない曲です。プリンスの作品という枠に留まらず、音楽史上においても傑出した一曲であり、おそらく、これに比類する曲は、探してもまず出てこないと思われます。例えばプログレの大作など、長尺曲で名作と崇められている曲も世の中には色々とあると思いますが、表現されている世界の深さにおいて、この曲はそれらとは一線を画していると思います。私には、音楽史上、Computer Blue の Hallway Speech Version に肩を並べる曲が存在するとは思えません。

しかも、プリンスはこれほどの曲を30年以上も前に作っておきながら、これまで私たちは、ブートレグ、つまり流出した盗品という形でしかこの曲を聴くことができなかったわけです。

ちなみに、意味を知らずに音楽を聴くというのは罪深いもので、短く編集されたアルバムバージョンの「Computer Blue」しか知らなかった頃、私はこれをはウェンディとリサの同性愛を歌っただけの曲だと勘違いしており、なぜ曲があのような SF チックなテイストになっているのかを理解できませんでした。この曲のせいでアルバム全体に80年代の古臭さが生まれているような感じがして、昔はこの曲があまり好きではありませんでした。本当に知らないというのは罪深いものです。

アルバムバージョンの「Computer Blue」は、意味さえ分かればその素晴らしさに気付くのですが、あれを聴いただけでは表現されている世界がなかなか見えてきません。アルバムバージョンでは、冒頭のリサとウェンディのやり取りの後、ヴァースとコーラスを1回だけやると歌のパートはもう終わりです。その後はギターの展開になり、映画ではウェンディがプリンスの前で膝立ちになるシーンになります。続いて格好良いけれども短すぎる「Father's Song」のギターがあり、それを抜けると展開が最初に戻り、プリンスが叫んで曲は終わってしまいます。

それでは短く編集せずに「Hallway Speech Version」をそのままアルバムに収録していたらどうかというと、それもマズい気がします。それだと、単に「Take Me With U」を入れる余裕がなくなるというだけでなく、映画の中では聴衆を白けさせる役割を持った「Computer Blue」が、アルバムでは逆に突出した傑作としてメインの座に居座ってしまうことになります。おまけにもうひとつの白け役を担った曲である「Darling Nikki」は、プリンスファンにこれを嫌いな人はいないと言っても過言ではないほどの、ある意味最高な曲です。これでは映画のストーリーが破綻してしまいます。

とにかく、「Hallway Speech Version」を聴くと、それまでアルバムの短いエディットでは分からなかった世界がはっきりと見えてきます。なぜこの曲がこんなに SF チックなのか… それは、最早今更な話ですが、それが曲のテーマそのものだったのです。このバージョンでは様々なメロディやノイズが「可哀そうな独りぼっちのコンピューター/SF ロボット」の悩みや苦しみとして、深い意味を持って生命を与えられます。プリンスの最後の叫びも、これほど深い意味があったのかと、はっとさせられます。

なお、この曲にはより長い14分のバージョンも存在します。スピーチなどが入っていないことから、完成版はどちらかというとこの「Hallway Speech Version」の方なのだと想像しますが、最後、コンピューターが壊れた後のノイズが、途中とても切ない感じになりながら3分くらい続くなど、これはこれで興味深いバージョンになっています。


[Spoken Intro - Lisa Coleman and Wendy Melvoin]
Wendy?
Yes, Lisa?
Is the water warm enough?
Yes, Lisa
Shall we begin?
Yes, Lisa
ウェンディ?
はい、リサ?
お湯の加減は丁度良いかしら?
はい、リサ
じゃあ始めましょうか?
はい、リサ

[Verse 1 - Prince]
Where is my love life?
Where can it be?
There must be something wrong with the machinery
僕の恋愛生活は何処にあるの?
何処にあるっていうの?
これは機械が何かおかしいに違いない

Where is my love life?
Tell me, where has it gone?
Somebody please please tell me what the hell is wrong
僕の恋愛生活は何処にあるの?
何処へ行ってしまったの?
お願い誰か、一体何がおかしいのか教えて

[Chorus - Prince]
Till I find the righteous one
Computer blue
Till I find the righteous one
Computer blue
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー

[Verse 2 - Prince]
Where is my baby?
Where can she be?
Somebody please, please tell me what is wrong with me?
僕の愛する娘は何処なの?
何処にいるの?
お願い誰か、一体何がおかしいのか教えて

Where is my baby?
Tell me, where has she gone?
Somebody please, please tell me what the hell is wrong?
僕の愛する娘は何処なの?
何処へ行ってしまったの?
お願い誰か、一体何がおかしいのか教えて

[Chorus - Prince]
Till I find the righteous one
Computer blue
Till I find the righteous one
Computer blue
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー

[Solo]
[Ad lib]
(Father's Song のギターパートなど)

The computer's on the verge of breakdown!
コンピューターは今にも故障で止まりそう!

Come on
Aw baby, don't make me...
ああ
よしてくれよ…

[Spoken Interlude - Wendy Melvoin & Lisa Coleman]
Poor lonely computer
It's time someone programmed you
It's time you learned love and lust
They both have four letters
But they're entirely different words
可哀そうな独りぼっちのコンピューター
貴方にプログラムを組込む時が来たわ
貴方が愛 (love) と欲望 (lust) を学ぶ時
それはどちらも4文字
だけど全く意味が違う言葉

Poor lonely computer
Poor, poor lonely computer
Do you really know what love is?
可哀そうな独りぼっちのコンピューター
哀れな哀れな独りぼっちのコンピューター
貴方は一体愛が何かを知っているの?

[Hook - Prince]
(Na, na, na, na, na)
Wave your hands in the air
Now everybody sing it (Na, na, na, na, na)
Everybody work out
Work out, work out (Na, na, na, na, na)
Everybody work out
Work out, work out (Na, na, na, na, na)
Everybody work out
(フック)

[Spoken Interlude - Prince]
He didn't like living home alone
The house where he lived had many hallways
It was a long walk to his bedroom
Because to him each hallway represented an emotion
Every one vastly different from the next
男は独りで住むのが好きではなかった
男の家には沢山の廊下があり
寝室まで長い道のりを歩かねばならなかった
各廊下は各々が別々の感情を象徴しており
どれをとっても他とは著しく異なっていた

One day while she was with him he decided to name each one of them
She was at his side, one hand on his thigh
No, wait
She was sort of half a step behind him
Yeah
ある日、女が訪れた時、男はそれぞれの廊下に名前を付けることにした
女は片手を男の太腿に添え、男の隣にいた
いや、というより
女は半歩ほど退いて男に付いていった

The grip on his thigh intensified as they walked slowly through the corridor
He named the hallway "Lust"
And as they passed thru the next one
He named it "Fear"
The grip she now loosened so he walked faster
二人がゆっくりと廊下を進むに従い、男の太腿を掴む女の力は強まった
男はその廊下を "欲望 (Lust)" と名付けた
二人が次の廊下を通り過ぎようとした時
男はその廊下 "恐れ (Fear)" と名付けた
女が太腿を掴む手を緩めたのを感じ、男は歩を速めた

Her hands now trembling
She let drop to her side as he wrote the word "Insecurity"
He looked in her eyes and smiled a demon smile
And quickly walked on to the next
女の手は震えだした
女が手を落とすと、そこで男は "不安 (Insecurity)" と記した
男は女の目を見つめると、悪魔の微笑みを浮かべ
素早く次の廊下へ進んだ

Corridor after corridor he named almost all when suddenly
He stopped
次から次へと廊下を通り、殆ど全てに名前を付けた時、突然に
男は立止まった

He picked up the word "Hate"
She was gone
男が選んだ言葉は - "憎しみ (Hate)"
女は去った

So he picked up the last one
"Pain"
そして男は最後の廊下に名前を付けた
"痛み (Pain)"

[Solo]
[Ad lib - Prince]
On the verge of a breakdown
What is life without love?
It's hell Computer Blue!
コンピューターは今にも故障で止まりそう!
愛のない人生って何?
それは地獄、コンピューター・ブルー!

[Modified Hook - Prince]
Father, Father, the sun is gone
(Father, Father) The dawn, the dawn
Father, Father, where is the dawn?
(Where is the dawn, Father?)
Na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na (Na, na, na, na, na)
父よ、父よ、太陽が消えてしまった
父よ、父よ、夜明けが、夜明けが
父よ、父よ、夜明けは何処へ?
(再びフック)

[Verse 3 - Prince]
Shall I go to church on Sundays
Shall I stay home and pray
Shall I try to make her happy
Shall I try to make her stay
日曜日は教会に行くべきだろうか
家から出ずに祈りを捧げるべきだろうか
彼女を幸せにするように努めるべきだろうか
彼女を留まらせるように努めるべきだろうか

[Spoken Interlude - Wendy Melvoin & Lisa Coleman (Prince)]
Narrow-minded computer
(Somebody please, please tell me)
It's time someone programmed you
(Somebody please, please tell me what's wrong with me)
It's time you learned women are not butterflies
They're computers too
Just like you Computer Blue
(Where is my baby?)
狭量的なコンピューター
貴方にプログラムを組込む時が来たわ
貴方が女性達は蝶々ではないのだと学ぶ時
女性達だってコンピューターなのよ
ちょうど貴方のようにね、コンピューター・ブルー

Chauvinistic computer
It's time someone programmed you
(Na, na, na, na, na)
You fall in love too fast and hate too soon
And take for granted the feeling's mutual
(The feeling's mutual!)
We're computers too
Just like you Computer Blue
男尊主義なコンピューター
貴方にプログラムを組込む時が来たわ
貴方はすぐに恋に落ちてあっという間に憎しみに変えてしまう
そして相手も同じ感情を共有して当然だと考える
でも私達もコンピューターなのよ
ちょうど貴方のようにね、コンピューター・ブルー

「Condition Of The Heart」は私の選ぶ曲の2位になります。この曲はアルバム「Purple Rain」から僅か10ヶ月後にリリースされた、1985年のアルバム「Around The World In A Day」に収録されています。私の中では、この曲は「Goodbye」と並んで特別な場所に位置する曲です。

「Condition Of The Heart」は紛れもなく天才の作品です。安易に「天才」という言葉は使いたくないのですが、この曲をそう表現しなかったら「天才」と呼べる作品などこの世に存在しないことになってしまうので、これはもう仕方がありません。これはそのくらい特別な曲です。

この曲について思うことを1つの文章にまとめきることは、私にはできません。私には、プリンスに関わることならおよそ全てのことがこの曲と繋がっているように感じられます。プリンスの可愛らしい子供の頃の写真を見ても、初めての TV 出演で American Bandstand の番組ホストと噛み合わないやりとりをする映像を見ても、「Dirty Mind」や「Controversy」の尖った時代の映像や音に触れても、1996年に子供を失った直後に平静を装って出演したオプラショウを見ても、2007年の Super Bowl ハーフタイムショウの「Purple Rain」でギターをかき鳴らし、マイクスタンドを押し倒して観衆の合唱を求める姿を見ても、「HITnRUN Phase Two」を聴いても、Piano & A Microphone ツアーの音源を聴いても、様々な時期のインタビューを読んだり聴いたりしても、いずれの場合も私は心のどこかでこの曲を思います。私がプリンスについてこれまで書いてきたブログ記事も、全て心のどこかでこの曲を思いながら書いたものです。


そうは言っても、この曲を特別なお気に入りとして選ぶというのは非常に珍しく、意外な選曲だと映るかもしれません。ファンの間でも、「Condition Of The Heart」が美しい曲だということまでは一応認知されていると思いますが、そこまで特別な評価はされていないと思います。

また、この曲を予備知識なしに聴いた場合、多くの人にとっての第一印象は、おそらく「何この変な曲?」となると思います。例えばこの曲では、本編に入る前に、初聴者を置いてきぼりにするような即興っぽい前奏が2分も続きます。これは「パリに住むとある少女に恋し、"foolhardy" (馬鹿げているほど無鉄砲) な思い付きで手紙を送る、時に孤独な音楽家」による情緒的な前奏です。私ぐらいになると "foolhardy" という単語だけで少し感傷的になってしまうのですが、耳に慣じむまでに時間がかかる曲であることは確かだと思います。また、曲の本編に移ってからのボーカルや演奏の表現力も、実際凄まじいの一言に尽きるのですが、とにかく全体的に「普通でない」ため、第一印象ではこれが美しい旋律を持った曲であるというところまでは注意がいかないのではないかと思います。

この曲について私が思うことを選んで書くのは難しいので、替わりに何か参考になる説明はないかと思っていたところ、スーザン・ロジャースの最近のインタビューでこの曲の名前が挙がっているのを見つけました。スーザンは、自身が関わったプリンスの作品の中で、最も愛着を覚える作品として「Around The World In A Day」を挙げ、その理由を、「Condition Of The Heart」が入っているから、と答えています。リンク動画の55分10秒頃からになります。正確に聞き取れているか分かりませんが、大筋の意味は取れていると思います。

  • Curtin Call: Susan Rogers Interview On Prince, Early Beginnings, Life After Prince, and Teaching

インタビュアー: So, which brings me to my next question. Do you, I know this is tough, but do you have a favorite album from your work with Prince? Either working on, or just listening back. I know it's tough, but you know. There's gotta be a favorite, or one that's closest to you.
次の質問に移ります。これが難しい質問だというのは承知の上でお聞きしますが、あなたが制作に関わったプリンスのアルバムの中で、一番のお気に入りの作品はどれですか? 制作に関わってでも、振り返って聴いてでもどちらでも構いません。難しい質問だというのは分かっていますが、特別なお気に入りって絶対あるものでしょう。最も愛着を覚えるものが。

スーザン: There kind of is. And um, the albums I did with him include these four that we've talked about, plus all but one track on the Black album that was the next ill fated record that came after this, or should I say didn't come out after this. Anyway, of all of them, I'll say I have to say I have a soft spot in my heart for Around The World In A Day.
まあ、あると言えると思います。私が関わったプリンスのアルバムはこれまでに話した4つ (「Purple Rain」、「Around The World In A Day」、「Parade」、「Sign O' The Times」) と、その次にリリースされた、もといリリースされなかったと言うべきでしょうか、不遇な運命を辿った「The Black Album」の8曲中7曲、になります。とにかく、その中で選ばなければいけないとしたら、私が特別に感傷的な愛着を抱くのは、「Around The World In A Day」になると思います。

I think, me personally, Condition Of The Heart is a work of genius. The whole album of Purple Rain is a work of genius. No question. Sign O' The Times is a work of genius. But, Condition Of The Heart is Prince, doing something he did very rarely. He's telling us how he feels. Because he did it so rarely, I think audiences probably didn't recognize it when they heard it.
私の個人的な意見では、「Condition Of The Heart」は天才の作品です。「Purple Rain」はアルバム全体が天才の作品です。これに疑問の余地はありません。「Sign O' The Times」も天才の作品です。しかし、「Condition Of The Heart」では、プリンスは極めて稀なことをしているんです。プリンスは、自分の心の内を語っているんです。これは非常に稀なことなので、おそらく曲を聴いたリスナーからも見落とされてしまうことかもしれません。

When he sings, "Acting on a whim is only good for a condition of the heart"... When he talks about "Wasn't that a foolhardy notion on the part of a sometimes lonely musician?"... He was lonely.
プリンスが、"気まぐれな行いは、せいぜい心臓の患いに良いくらいのもの" と歌う時、"時に孤独な音楽家の、馬鹿げた無鉄砲な想いだったのではないか?" と語る時… プリンスは、孤独だったのです。

Because he did what he needed to do in order to protect himself to be a star. You must cut off a part of your psyche to keep it alive. So that you can continue to create. And after Purple Rain, I think he was well aware, he'd be famous from them on. And life would never be normal.
プリンスは、スターでいる自分を守るために必要なことをしなければなりませんでした。それを守り続けるために、活動を続けるために、自分の精神を一部切り捨てなければならなかったんです。「Purple Rain」を発表した後、プリンスははっきりと気付いていたように思います。これでもう、以降の人生は有名人として生きることになったということに。そして、普通の人生に戻ることはもう不可能になったということに。

So, the people who wanted him, whether it's a dame in Paris, or a woman in London, or just whatever. The people who wanted him, the people who wanted to be near him, the people who spoke to him, From this point on, he would never know what they wanted. And he would always have to be skeptical.
だから、それがパリの婦人であっても、ロンドンの女性であっても、プリンスを求める人達、プリンスに近付きたいと願う人達、プリンスに話し掛ける人達、それ以降、そういった人達が心の底で本当は何を望んでいるのかを、プリンスはもう知ることができなくなってしまったんです。プリンスは常に人を疑って接しなければならなくなりました。

And life was changing. And he'd always be the boss. He'd always have employees. And the kid he had known was gone. The kid he'd known as himself was gone. The kid, in the movie Purple Rain.
そして生活も変わっていきました。プリンスは常にボスであり、常に従業員を抱えることになりました。そして "キッド" はいなくなりました。映画「Purple Rain」で、プリンスが自身を演じたキャラクターである "キッド" という青年は永遠に失われ、もう二度と戻らない存在になりました。

So, I think I feel a soft spot of affection because I remember him transitioning into that awareness at that time. And I remember the guy that I met going away. And a new guy coming in this place.
私は、プリンスがそのことを自覚した変化の時期を共にしたので、「Condition Of The Heart」に対して特別に感傷的な愛着を覚えるんだと思います。そして私は思い起こすんです。私が最初に出会った頃の "プリンス" が去って行き、新しい "プリンス" と入れ替わったのに気付いた時のことを。

And it's hard to understand unless I went into greater detail about having observed the artist experience the transfer that happens from being, "Huh, you're pretty good." to being "You are world class grade. You will go down in history." Watching an artist go through that process at the tender age of 25 or whatever, 26 at that time It's something to see.
そしてこれは、そのアーティストが通る経験、つまり、"ふーん、キミ、なかなかやるね" から "あなたはワールドクラスのアーティストだ。あなたは歴史に名を刻むことになる" となる時に起こる変化を目の当たりにし、より深く事情を知っていないと理解するのは難しいことです。当時弱冠25、26才のアーティストがその過程を通るのを目の当たりにするというのは、それはもう忘れられない光景なんです。

この曲について、ここまで明確にポイントを押さえた説明を見聞きしたのは私はこれが初めてなのですが、ここでスーザンが語っていることは、この曲が人によっては特別なものに感じられる理由を上手く説明できているように思います。リスナーが気付かないというのもその通りで、私は、この曲が特別なものであることに気付き、自分の中でその感覚が確信になるまでに、10年以上の歳月を要しました。英語では、最初はそこまででもなかった曲に段々と特別な愛着を覚えるようになることを "grow on me" と言ったりしますが、「Condition Of The Heart」は、長い年月をかけて今でも私の中で育ち続けています。


There was a girl in Paris whom he sent a letter 2
Hoping she would answer back now wasn't that a foolhardy notion
パリに住むとある少女に、彼は手紙を送った
返事が貰えることを願いつつ

On the part of a sometimes lonely musician?
Acting out a whim is only good 4 a condition of the heart
時に孤独な音楽家の、馬鹿げた無鉄砲な思い付きだったのではないか?
気まぐれな行いは、せいぜい心臓の患いに良いくらいのもの

There was a dame from London who insisted that he love her
Then left him 4 a real prince from Arabia
ロンドンのとある婦人は、彼が自分を愛していると言い張った
そして彼を置いてアラビアの本物のプリンスの元へと行った

Now isn't that a shame
That sometimes money buys U everything and nothing?
Love - it only seems 2 buy a terminal condition of the heart
なんと悲しいことなのだろう
時にお金で全てが買えて何も買えないなんて
愛 - それで買えるのはせいぜい末期的な心臓の患いくらいのもの

Oh - thinking about U, driving me crazy
Oh - my friends all say it's just a phase, but
Oh - every day is a yellow day
I'm blinded by the daisies in your yard
ああ、君を想うと気がおかしくなってしまう
ああ、友達は皆一時の気の迷いでしかないと言うけれど
ああ、毎日が黄色い日
君の庭のデイジーに目が眩む

There was a woman from the ghetto
Who made funny faces just like Clara Bow
ゲットーにとある女性がいた
まるでクララ・ボウのような面白い顔をする

How was I 2 know that she would wear the same cologne as U
And giggle the same giggle that U do?
Whenever I would act a fool, the fool with a condition of the heart
彼女が君と同じコロンを付けて
君と同じクスクス笑いをするなんて知りようがあったろうか?
僕が心臓を患うほど君に夢中で馬鹿げた振舞いをする時に

Oh - thinking about U, driving me crazy
Oh - my friends all say it's just a phase, but
Oh - every single day is a yellow day
I'm blinded by the daisies in your yard
ああ、君を想うと気がおかしくなってしまう
ああ、友達は皆一時の気の迷いでしかないと言うけれど
ああ、毎日が黄色い日
君の庭のデイジーに目が眩む

There was a girl whom he sent a letter 2
パリに住むとある少女に、彼は手紙を送った

She never answered back and now
遂に返事が来ることはなかった

He's got a condition of the heart
そして彼は、心臓を患った

歌詞で気になるところだと思いますが、クララ・ボウというのは、1920年代頃のモノクロのサイレントムービー時代に活躍した女優の名前です。

また、曲のタイトルである「Condition Of The Heart」については、"have a heart condition" で、"心臓病である、心臓疾患を抱えている"、といった意味になります。語の並びが変えられていることで、より深い詩的情緒が醸し出されています。

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