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主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

前回のアップライトロウに関するブログ記事で、コメント欄に「アップライトロウは、単なるグリップの持ち方を変えたサイドレイズだ」と書きました。こういう言い方をされて、「そうだよね」ってなった人もいれば、違和感を覚えた人もいると思います。とにかく、こういった物の見方は、私にとってはトレーニングのやり方の根幹に関わるところなので、もう少し話を膨らませてみることにします。

以前、初心者向け記事のシリーズで、トレーニング種目のカテゴリを2つに分けて「バーベル中心種目」と「筋肉中心種目」と勝手に名付けました。これは従来からある「コンパウンド種目」と「アイソレーション種目」とは意味が異なる概念なので、ここでもう一度説明します。
  • バーベル中心種目 - バーベルでなくてもダンベルでもマシンでも自重でもいいのですが、バーベルを使用した場合ならば、バーを始点から終点まで移動させ、スタートポジションか らフィニッシュポジションまでもっていくことが目的です。結果として筋肉を鍛えるトレーニングとしても優れていることが多いのですが、あくまでパワーリフ ティングやウエイトリフティングの種目のように挙上を達成することそのものが第一に来ます。
  • 筋肉中心種目 - ターゲットとなる筋肉が存在し、その筋肉を鍛えることが第一の目的です。
私の意識の中では、この2つは明確に別なものとして存在しています。何かトレーニングの種目をするときは、その第一の目的がバーベルを挙げることなのか、それともターゲットの筋肉を鍛えることなのかどちらなのかというのは、常に意識の中にあります。なぜならば、それがどちらかによって、トレーニングのやり方自体が大きく異なるからです。

アップライトロウについて言えば、私にとってはこれは三角筋をターゲットとする筋肉中心種目です。バーベルを挙げることよりも、三角筋を鍛えることが優先されます。それによってトレーニングのやり方が異なるとはどういうことなのか、最終的には何とも身もフタもない話になってしまうのですが、筋肉中心種目のトレーニングのやり方について、少し詳しく書いてみようと思います。

● 私達はトレーニング種目をどうやって覚えたか

トレーニングを長年行っている方もそうでない方も、普段行っているトレーニング種目はそれぞれどうやって覚えたか思い出してみてください。種目毎にどのように身体や器具を動かすのか、そのやり方をどのように覚えたかということなのですが、それを具体的に思い出してみてください。

例えば、アップライトロウは、「バーベル等を肩幅程度の幅で握って立ち、肘を横方向に曲げてグリップを垂直に引き上げる」種目です。しかし、いざこれを試してみると最初はストレス MAX です。僧帽筋とか余計なところを使ってしまうし、だいたい三角筋のトレーニングになっているかどうかもよく分かりません。そうこうしているうちに、よく知っている人に教えてもらったり自分で調べたりして、三角筋により的確にヒットさせるためのコツを覚えます。肘の使い方だったり、グリップだったり、あるいは前回の記事で紹介したような、もっと効きやすいバリエーションだったり。そういうコツを色々試すことによって、「おお!こうすると三角筋に入る!」となります。

アップライトロウはどちらかというとマイナーな種目なので、もう一つ、より一般的な種目からベントオーバーロウを例に挙げます。これも最初は「バーベルを持って上体を前傾させ、バーを引く」ということをするわけですが、広背筋ターゲットのつもりで行っても最初は広背筋に効いているのかどうか分かりません。そこで、バーは上方に引いてしまうのではなく、太ももを滑らせて下腹部目掛けて引くとか、色々とコツやバリエーションを試して、「おお!こうすると広背筋に入る!」となります。

例に挙げたアップライトロウやベントオーバーロウのように、トレーニング種目というものはただ基本の説明書に従っただけでは大抵上手くいきません。それが経験を積むうちに、上級者の頭の中にはインプットされている「アドバンス版の説明書」が存在することを知ります。そこには基本版には載っていない情報があり、それを参考に試行錯誤することでトレーニングがより上手くできるようになってきます。そういった新しい情報は、知れば知るほど、まるで終わりが無いかのように出てきます。こういった「裏情報」に触れて、次のように思ったことは誰もがあるのではないかと思います。

「この人は何でそんなことを知っているの?」
「どうやったらそういった情報は手に入るの?」
「やっぱトレーニングって奥が深い」

なにしろ基本の説明書にはないことばかりですから、そう思ってしまうのも無理はありません。

● トレーニング種目の幹と枝葉

しかしながら、ここだけの話ですが、「アドバンス版の説明書」にあるような「裏情報」というのは実はそんな大したものではありません。それどころか、他人のことなのでよく知りませんけど、おそらく上級者の人達は、口ではどう言っていても、本当の心の底ではそういったことはあまり深く考えずにトレーニングしているのではないかと私は思っています。

私はこれまで基本の説明書に載っていないようなトレーニングのアドバイスを色々としてきたと思います。実際、プロビルダーなどがたまに動画等でトレーニングの Tips をチラっと話してくれたりすると、やっぱりすごく参考になるし嬉しいものです。しかしちゃぶ台を引っくり返すようですが、実は少なくとも私の場合、普段の自分のトレーニングではこういったアドバイスを意識することはほとんどありません。

「人にはアドバイスをしておきながら、自分ではそのアドバイスは意識していない」だなんて、なんじゃそれ?となったかもしれませんが、これを理解してもらうためには、トレーニング種目に対する意識改革をしてもらうことが必要です。

ということで、さて、ここで問題です。

基本説明書にも「アドバンス版説明書の裏情報」にも大抵共通していることがあります。それが何であるか気付きますでしょうか?

それは、ターゲットの筋肉そのものは動作の中心としては語られないということです。私の前回の記事だと「立つ替わりに寝る」ですし、上述のベントオーバーロウの例なら「バーを太ももに滑らすように」です。その他よくあるのでは、「肘を〜」「目線やアゴを〜」「グリップを〜」とか、ターゲットの筋肉そのものを幹とすると、まあだいたい枝葉の部分でどうこうするということが語られます。そして、それに従うと、不思議なことに「ターゲットの筋肉に入る」わけです。

しかし考えてもみると、基本説明書には書かれておらず、どこか奥深いところに潜んでいるように思われる「裏情報」も、言ってしまえばたかが枝葉の部分、と思いませんか?ターゲットの筋肉はそこに幹として「でーん」と存在しています。その幹は枝葉の部分を工夫してやっと刺激を入れるようなものですか?「幹自ら中心となって稼動する」、そんな意識をもってトレーニングしてみようという気になってきませんか?

● 「ターゲットの筋肉に刺激を入れる」から卒業する

筋肉中心種目にはターゲットとなる筋肉がありますが、基本説明書でも「アドバンス版の説明書」でも、鍛えられる筋肉はターゲットとして紹介されるだけです。これを参考にする限り、「ターゲットの筋肉に刺激を入れる」ための動作を考えながらトレーニングすることになります。色々コツを覚えなければいけなくって大変です。それに「いわゆる上級者」のアドバイスもそれぞれです。生真面目に物事を受け取るタイプの人は、ダンベルベンチプレスをするときはフィニッシュでダンベルをコツンと当てるべきか、グリップをクイッとさせるべきか、そんな作法をするかどうかで悩むことになるかもしれません。それに、自分にはまだ知らない「裏情報」があるのではないかと、自分のトレーニングにどこか自信が持てない気持ちになります。

しかし、そのように思えるのは枝葉のことばかり意識するからです。意識の転換をして幹に目を向けると、事態は一変して非常にクリアなものになります。それが標題の、「ターゲットの筋肉に刺激を入れる」から卒業する、ということです。つまり、「こうすればターゲットの筋肉に刺激が入る」ではないのです。それは枝葉の考え方です。幹に目を向けて、「ターゲットの筋肉を負荷に抵抗して自ら稼働させる」ことをすれば、トレーニングはとてもシンプルなものになります。

例えば、アップライトロウのメインターゲットは三角筋中部です。やり方によっては前部も強く動員できます。三角筋はどういう動きをすると収縮したり伸展させられるか、ある程度トレーニングの経験があれば知っているでしょうし、三角筋が負荷に抵抗する感覚も知っているはずです。

ならば、アップライトロウではそれを行いましょう。基本説明書にしっかり従おうとは思わなくていいです。あれはしばしばターゲットの筋肉がどこかもよく分かっていないようなメチャクチャな説明が書かれていることがあります。また、「裏情報」的なものを知っていたとしても必ずしもそれを意識する必要はありません。それですら所詮は枝葉の部分です。幹の動きを知っているのならば、幹を自ら動かしましょう。三角筋がターゲットならば、自分の知っている三角筋の動きに従って、三角筋自らを動作の中心にして負荷に抵抗して稼動させましょう。

● 基本説明書にもアドバンス版の説明書にも載っていないトレーニングのやり方


普段、人にこのことをアドバイスをすることはないのですが、私自身がどのようなやり方でトレーニングを行っているかを書きます。これをそのままアドバイスしない理由はというと、まあ言うまでもありませんね。
  • アップライトロウのやり方 (ターゲットが三角筋中部の場合) 
    • 三角筋中部を負荷に抵抗して稼動させる
  • サイドレイズのやり方 (ターゲットが三角筋中部の場合)
    • 三角筋中部を負荷に抵抗して稼動させる
  • ショルダープレスのやり方 (ターゲットが三角筋中部の場合)
    • 三角筋中部を負荷に抵抗して稼動させる

  • ベントオーバーロウのやり方 (ターゲットが広背筋の場合)
    • 広背筋を負荷に抵抗して稼動させる
  • ラットプルダウンのやり方 (ターゲットが広背筋の場合)
    • 広背筋を負荷に抵抗して稼動させる

  • ベンチプレスのやり方 (ターゲットが大胸筋の場合)
    • 大胸筋を負荷に抵抗して稼動させる
  • フライのやり方 (ターゲットが大胸筋の場合)
    • 大胸筋を負荷に抵抗して稼動させる
  • (以下略)
私は、同じ三角筋中部がターゲットであるならば、アップライトロウもサイドレイズも、動作範囲が異なるもののプレス種目でさえ、意識の上では全部同じやり方で行うものとして動作します。実際、一つの方向にしか動かない一つの筋肉を稼働させるだけですので、基本的な動きはどれも同じにしかなりようがありません。同様に、広背筋がターゲットならば、広背筋は動かせる角度が広いですがその角度が同じ限りロウでもプルダウンでも同じものと考えて動作します。同様に、大胸筋がターゲットならばプレスもフライも同じものと考えて動作します。

全体的に、私は筋肉中心種目を行うときは、「今自分はこの種目をしている」という意識を強く持つことはありません。重要なのは、ただ「ターゲットの筋肉を負荷に抵抗して稼働させる」ことです。筋肉の動かせる方向というのは大体限定されているので、ターゲットが同じなら種目が異なっても大抵は共通の意識、共通の動作で行うことになります。

「筋肉中心種目」だなんて我ながら何ともネーミングセンスの感じられない呼び方ですが、なぜこんな名前を付けたのか、これがその理由です。筋肉中心種目とは、効かせるための様々なコツなどを考えなくても、「ターゲットの筋肉を負荷に抵抗して稼働させること」だけを考えれば成立する種目なんです。

一般的に、世の中ではアップライトロウという種目は肩と僧帽筋を複合的に鍛えるものと捉えられているフシがあります。ネットで検索しても、「アップライトロウは肩か僧帽筋か?」とか「アップライトロウは僧帽筋も使うから背中の日にやるべきか?」みたいな海外フォーラムのスレッド等が色々ヒットしますし、どうもアップライトロウで僧帽筋を使うのは当たり前みたいな考えがあるように思えます。

しかし、この種目については私は違うイメージを持っています。私のイメージでは、アップライトロウは三角筋の強烈なアイソレーション種目です。「強烈な」という修飾語はアイソレーションに掛かります。つまり、アイソレーションの度合いが物凄いということです。例えて言うと、私のアップライトロウのイメージはこうです。
  • アップライトロウは、ヘビが獲物をギリギリと締め付けるように、有無を言わせず集中的に三角筋にヒットする無慈悲な種目です。
でも、「アップライトロウで僧帽筋を使ってしまうのはどうやっても避けられないんだけど、何をもって有無を言わせないほどの強烈なアイソレーション種目と言い切ってしまっているのだろう?」と思った方もいると思います。

そんな方に試してもらいたいアップライトロウのやり方があります。
  1. プーリーケーブルスタックにロープ等のグリップを付け、滑車の位置を一番下まで下げます
  2. グリップを持ってケーブルスタックに足を向けて床に仰向けに寝ます
  3. アップライトロウをします
デモをしている動画を youtube から引っ張ってきました。

upright rows on the floor(instructional)


Shoulders- Lying Upright Row


ただ寝ただけなのにそれがどうしたの?と思うかもしれませんが、今まで僧帽筋の関与を必死に排除しようとしながらこの種目を行っていた人は、これを試したらかなりびっくりすると思います。こうすると、自然と僧帽筋を関与させる余地がなくなって、三角筋への一点集中種目となります。なぜそうなるのかあれこれ説明するよりも、試してもらった方が早いです。というか、これは実際に試してもらわないと分からないと思います。本当に有無を言わせずというかんじで、自然とアイソレーション種目になります。

「床に仰向けに寝る」というので少し人目が憚られるのと、そもそもアップライトロウの相談を受けること自体が殆どないので、このやり方のアップライトロウは今までほんの数人の人にしか試してもらったことがありません。でも、その人たちもこれを試してびっくりしてくれたように記憶しています。しかし、これがアップライトロウを適切に行った場合に本来得られる感覚なんです。

一つ残念なのは、このやり方を試すためには滑車の位置が可変なプーリーケーブルスタックが必要なので、そういう設備を備えたジムでないとこれを試すことはできないというところです。ただし、「床に仰向けに寝る」というところがポイントだと思うので、試したことはないのですが、同様のやり方であればチューブなどを使っても同じような感覚が得られるのではないかと思います。

アップライトロウやサイドレイズ等の三角筋のアイソレーション種目が苦手で、「ヘビが獲物をギリギリと締め付けるように三角筋にヒットする」という感覚を体験したことがない方には、このやり方のアップライトロウを試してみてほしいです。まさに「無慈悲」という言葉で形容したくなるような感覚を味わうことができると思います。

コラジェン、グライコジェン、ケイスィーン、キートン…などと意味不明な言葉を発しており、というわけではないのですが、何のことを言っているか分かりますか?強調する音節を太字にすると、ラジェン、グライコジェン、ケイスィーン、キートンです。

カタカナの科学用語には元の英語の発音とはかけ離れたものが数多くあります。前回のブログ記事でロイシンが出てきましたが、ロイシンの英語の綴りは leucine です。この綴りを英語として素直に読むと「ルースィーン」となりますが、その通りで、ロイシンは英語だと「ルースィーン」と発音します。

小ネタとして、このように日本語と英語とで発音が全然違う言葉をいくつか挙げたいと思います。
  • コラーゲンは英語では collagen (ラジェン) と発音します。グリコーゲンは英語では glycogen (グライコジェン) です。どちらも強調を付ける場所が日本語とは異なるので、全然違う言葉に聞こえます。
ちなみに、日本語と英語って、発音に関しては共通点がないと言っていいくらい違いますよね。発音はカタカナで表記しましたが、「ラジェン」の「」も「ラ」も「ジェン」も、どれも日本語にはないような音で発声されます。

また、上に挙げたように「-gen」は「ゲン」ではなく「ジェン」の発音になります。アンドロゲンは、英語では androgen (アンドロジェン) です。エストロゲンは、英語では estrogen (エストロジェン) です。
  • ミルクプロテインに含まれるカゼインは、英語では casein (ケイスィーン) です。カゼインとケイスィーン…何だかかすりもしない感じです。
  • 低炭水化物ダイエットでよく出てくる用語のケトンは、英語では keton (キートン) です。ケトン体ならキートン体、まるでキートンの決死隊…よく分かりませんが。
ということで、小ネタとして、日本語での発音が英語と全然違う言葉で、ぱっと思い付いたものをいくつか挙げてみました。

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