OneH

主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

一般的なプリンスのイメージから真っ先に名前が挙がる曲ではありませんが、ふとしたときに聴くと、「こんなにも素敵な曲だったか」と、はっとするような曲。「The Arms Of Orion」とはそんな曲だと思います。1989年のアルバム「Batman」からもう1つ、この曲を取り上げます。

「The Arms Of Orion」は、「Scandalous」や「Partyman」、「Batdance」などの陰に隠れ、あまり注目を浴びることがない曲です。また、まるでディズニーアニメを思わせるかのような cheesy で sappy な曲であるため、海外では惨々に言われることも多いです。しかし、普通の日本人の感覚では、これはかなり良い曲だと感じるのではないかと思います。洋楽の割に日本人にも親しみやすいメロディで、シーナ・イーストンによる歌詞もロマンチックで素敵です。ダイアナ・ロスの「If We Hold On Together」が日本で大ヒットして、本国の米国では全然ヒットしなかったみたいな感じ、と言ったら良いのでしょうか。個人的にはこれが大ヒット曲ではないのは少し不思議な感じもします。

そういえば、Peach & Black Podcast の2016年6月2日のトリビュートエピソードで、とても印象的な話があったことを思い出します。9分頃からの話を以下に意訳します。

でも気持ちの浮き沈みはあるね。大丈夫な日が何日か続いても、その次の日になると悲しかったり、憤りを覚えたり、そしてまた大丈夫な日に戻ったり… 僕は (ニュースがあった日から) プリンスを聴きまくっていて、この6週間で、過去6年とは言わないまでも、過去6ヶ月よりも沢山プリンスを聴いているよ。

でも逆に、まだプリンスを聴くことができない人たちもいるよね。そういう心境になれなくて、まだ聴くことができない人たちが。受け止め方は人それぞれ違うからね。

ただ、僕の場合はプリンスをノンストップで聴いている。でも曲によっては気持ちを抑えられなくなってしまうこともある。どうしようもなくなって。

先日、何の曲で泣いたか分かる?

"The Arms Of Orion" だよ。

それは、これが素晴らしい曲ではないから、という理由ではなくってね。

(一同笑い)

実を言うと僕はこの曲が好きなんだ。本当に好きだったりするんだよ。本当にね。

その時僕は車を運転中で、信号待ちになって、周りの人々などを見渡して、そうこうしている内に「一体どうしてこんなことになっちゃったんだよ」って思いが湧いてきて。その時 "The Arms Of Orion" を鳴り響かせていたんだ。それで涙が溢れてしまって…。

半分笑いを誘いつつも、私にとっては強く共感する話でした。やっぱりこれは素敵な曲だな、と思いました。


あまり脈略のない話ですが、割と最近、ふとこの曲を思い出して聴きたくなるような出来事がありました。

それは「Ben And Holy's Little Kindom」という、英国の幼児向けアニメを見ていてのことです。このアニメは、人間社会から隠れて生きる、小さなエルフや妖精たちの世界を舞台にしたもので、そのエピソードのひとつに「Picnic on the Moon」という話があります。

そのエピソードのストーリーは、登場人物たちが月面旅行に挑戦し、アポロ11号が降り立った場所である「静かの海 (Sea of Tranquility)」に着陸して、ドタバタがありながらも無事地球に帰還して、めでたしめでたし、というものです。妖精たちは「静かの海」には本物の海があると勘違いしており、海辺でピクニックをするつもりで月にやって来ました。そこで、ナニー・プラムという妖精が、魔法のピクニックバスケットからサンドイッチと一緒に誤ってゼリーを大量に出してしまい、「静かの海」はゼリーで溢れ返り、一同が流されてしまう、というシーンがあるのです。

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このシーンを見て私が思い浮かべたのは、もちろん次の歌詞です。

Since U've been gone
I've been searching 4 a lover in the Sea of Tranquility
Drowning without U here, my dear
あなたと離れてから
私は静かの海で愛する人を探し求めている
あなたなしでは溺れてしまう - 愛しい人

ちなみにアニメの方では、月に住むエイリアンたちが喜んでゼリーを食べ尽くしたので、登場人物たちは溺れずに済みます。

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下の YouTube リンクは、曲の最初と最後が切れているうえに、昔のブートか?と思うほど音質が悪く、曲の本来の良さが分かりづらくなってしまっているのですが、検索して唯一出てきたのでリンクしておきます。


Orion's arms are wide enough 2 hold us both 2gether
Although we're worlds apart, I'd cross the stars 4 U
オリオンの腕は二人を抱くのに十分広い
遠く離れた世界にいるけれども、星たちを越えて君の元へ向かおう

In the heart of a sleepless moon, I'll be with U 4ever
This is my destiny till my life is through
眠らない月の中心で、私は永遠にあなたと一緒にいるわ
これが私の運命 - 私の命が尽きるまで

Chorus:
The Arms of Orion, that's where I wanna be
Since U've been gone
I've been searching 4 a lover in the Sea of Tranquility
Drowning without U here, my dear
オリオンの腕 - それが私の望む場所
あなたと離れてから私は
静かの海で愛する人を探し求めている
あなたなしでは溺れてしまう - 愛しい人

When I am lost or feeling lonely, I just look 2 heaven
I find my comfort there
God only knows where U are 2night
道を失なった時や孤独な時は、天を見上げる
そこには安らぎがある
神だけが今夜君の居場所を知っている

God only knows where U are 2night
Maybe time will tell me
Till then I close my eyes, say a prayer 4 U
(Say a prayer 4 U 2)
神だけが今夜あなたの居場所を知っているわ
でもやがて時が教えてくれる
その時まで私は目を閉じて祈りを捧げるわ

Chorus

Orion's heart is bright enough 2 shine on both of us
The constellations never fail 2 light the way 4 love
オリオンの心は明るく輝き二人を照らす
星座たちは必ず愛への道を照らし導いてくれる

Orion's arms are wide enough 2 hold us both 2gether
Although we're worlds apart (I'd cross the stars 4 U)
I'd cross the stars 4 U
オリオンの腕は二人を抱くのに十分に広い
遠く離れた世界にいるけれども、星たちを越えて向かおう

Chorus

The Arms of Orion, that's where I wanna be
Since U've been gone I've been drowning (Lost)
In the Sea of Tranquility (Lonely)
Drowning without U here (Baby)
My dear (Drowning without U, oh)
オリオンの腕 - それが私の望む場所
あなたと離れてから私は溺れている
静かの海で
あなたなしでは溺れてしまう
愛しい人

Arms of Orion
That's where I wanna be (Where I...)
That's where I wanna be (The Arms of Orion) {x2}
Since U've been gone, babe
Since U've been gone, I've been drowning (Drowning)
Drowning, drowning without your love
The Arms of Orion (Arms of Orion)
オリオンの腕 - それが私の望む場所
あなたと離れてから
私は静かの海で溺れている
あなたの愛なしでは溺れてしまう
オリオンの腕

今週のプリンスのオフィシャル YouTube チャンネルでは、1989年の「Batman」からのミュージックビデオがアップロードされています。

「Batman」といえば、「Batdance」の有名な空耳に、"農協牛乳" というのがあります。個人的にはあれはかなり無理矢理で、私には元の歌詞通り "Don't stop dancing" と叫んでいるようにしか聴こえないのですが、まあそれを言っちゃあつまらないですよね。

一方で、空耳とは少し違うのですが、私は、同アルバムの「Scandalous」という曲を初めて聴いたときから、とある別のフレーズが重なって聴こえてしまうという現象に悩まされています。そのフレーズは、私にとっては「Scandalous」と表裏一体であり、切り離すことができないものです。

しかし、よくよく考えると、私はずっとイメージで重ねてきただけで、実際にこれを聴き比べてみたことはありませんでした。それに、両者が似ているという話も聞いたことがありません。ひょっとしたらこれは私の勝手な思い込みかもしれません。なのでこの機会に実際に確認してみることにします (リンクは実際に YouTube に飛ばないと再生できないようです)。

どうでしょう、"スキャーンダラス♪" と "なーんでか♪"。残念ながら、私はもう手の施しようがないほど長年イメージを重ねすぎているため、正常な判断ができません。この曲は、堺すすむの「なんでかフラメンコ」っていうんですね。曲調が全く違うので、両者が似ていると思うのは私だけかもしれません。

普通、この曲で語ることならもっと他にあるような気もするのですが… まあここは私の個人ブログなので許してください。

ビデオはエディットされたバージョンで、歌の途中が色々とカットされています。この曲でたったの4分10秒というのは、凄く短く感じます。


Come closer
Feel what U've been dyin' 4
Don't be afraid, baby
Touch it and explode
もっと近づいて
君がずっと望み焦がれていたものさ
怖がったりしないで、ベイビー
触って、そして爆発させて

Understand, understand that I love U
Oh, but more than that, I want U
Everybody always told me good things come 2 those who wait
But I've got so much on the menu
I just can't, I just can't, I can't wait, baby
I can't wait, baby
Till I can wrap my legs all around U, girl
解って - 僕の愛を解っておくれ
だけどそれよりも強く、僕は君が欲しい
皆はいつも言う、良きものは待つ者に訪れるって
だけど僕にはやりたいことが沢山ありすぎて
もう待つことができない
もう待つことができないのさ、ベイビー
僕の足を絡ませ君を包み込まないと

Cuz sugar, U know, U're just the kind of lover
That I've been lookin' 4
2night why don't we skip all the 4play, mama
And just get down here on the floor
だって君は僕がずっと探し求めていた恋人だから
今夜は前戯は全て飛ばしてしまって
このまま床の上で愛し合おう

Scandalous
I'm talkin' about U and me
Marvelous
Baby, baby, can't U see?
Anything U've ever dreamed of I'm willin' 2 be
2night is gonna be scandalous
Cuz 2night I'm gonna be your fantasy
スキャンダラス - 君と僕のことさ
マーヴェラス - ベイビー、分かるかい?
君が夢見てきたことなら何でも、僕は叶えてあげる
今夜はスキャンダラスな夜になるのさ
僕が君のファンタジーになってあげる

Yeah
My dearest, my dearest
Ooh
愛しい人、愛しい人
ああ

Whisper
Whisper a question
With my body, body, I'll scream a reply
Anything's acceptable, just ask me and I'll try it
2 hell with hesitations
2 hell with the reasons why
囁いて
質問を囁いて
僕はこの肉体の叫びで、答えてあげる
何だって大丈夫 - 答えてあげるから聞いて
ためらいなどかなぐり捨てて
理由だって考えないで

Scandalous
I'm talkin' about U and me
Marvelous
Baby, baby, can't U see?
Anything U've ever dreamed of I'm willin' 2 be
2night is gonna be scandalous
Cuz 2night I'm gonna be your fantasy
スキャンダラス - 君と僕のことさ
マーヴェラス - ベイビー、分かるかい?
君が夢見てきたことなら何でも、僕が叶えてあげる
今夜はスキャンダラスな夜になるのさ
僕が君のファンタジーになるのだから

Baby...
Baby...
Baby

Oh girl, the things U make me do
Genius is the only way 2 describe U
Anything U've ever dreamed of, baby
Just ask me, I'll do, I'll do, I'll do it 4 U, baby
Anything at all
Spirits rise and spirits fall
Anything U've ever dreamed of I'm willin' 2 b
2night is gonna be scandalous cuz 2night I'm...
2night I'm gonna be your fantasy
ああ、君が僕にさせることは
天才という以外に君を表現する術はない
君が夢見てきたことなら何だって
僕に聞いて - 僕は叶えてあげる - 君のためなら
それが何であろうとも
精神が昇り、精神が沈む
君が夢見てきたことなら何でも、僕が叶えてあげる
今夜はスキャンダラスな夜になるのさ
なぜなら僕が…
今夜は僕が君のファンタジーになるのだから

Scandalous
I'm talkin' about U and me
Marvelous
Baby, baby, can't U see?
Anything U've ever dreamed of I'm willin' 2 be
2night is gonna be scandalous
Cuz 2night I'm gonna be your fantasy
スキャンダラス - 君と僕のことさ
マーヴェラス - ベイビー、分かるかい?
君が夢見てきたことなら何でも、僕が叶えてあげる
今夜はスキャンダラスな夜になるのさ
僕が君のファンタジーになるのだから

私は毎年お盆の時期、東京から故郷の岩手まで車で帰省します。距離にして 500km 以上になるその道のりで、今年はひとつ変わったことがありました。それは、車の CD チェンジャーにずっと2014年のアルバム「Art Official Age」を入れたままにしており、「Way Back Home」を聴きながらの道中になったことです。

私は半年ほど前に、このブログで「Art Official Age」の簡単な感想を書いていますが、その時は「Way Back Home」については適当なコメントしかしていませんでした。というのも、この曲についてはちゃんとした感想を書くことができなかったのです。しかし、私がアルバムの中で最も強い印象を受けたのは、実はこの曲でした。

このブログでは、「私の選ぶ曲」として様々なプリンスの曲を取り上げていますが、私は2006年のアルバム「3121」で一度プリンスの新作を追うのをストップしています。このため、選曲はそれ以前の作品からのみで行うつもりでいました。しかし昨年、ようやく「Art Official Age」の封を開け、「Way Back Home」を聴き、その考えは改めさせられることになりました。私は未だこの曲を捉えきることができずにいるので順位をつけることはしませんが、「Way Back Home」は、私にとってプリンスの後半のキャリアにおける最も印象の強い曲です。


「Way Back Home」は、アルバム「Art Official Age」の中心となる曲です。それと同時に、個人的に、これはプリンスの全作品の中でも特別に凄まじい曲のひとつだと思います。

そうはいっても、この曲には、他のプリンスの傑作に見られるような複雑な構成や激しい展開があるわけではありません。この曲の凄まじさを感じ取るためには、この曲の中に入り込み、その奥深くに存在するものに触れるつもりで曲と向かい合う必要があります。

この曲には、「普通でない」と感じさせる要素が色々と散りばめられています。まず最初に普通でないと気付くのは、刻まれるリズムが、心臓の鼓動を思わせるような音に感じられることです。プリンスの作品には、本物の心臓の鼓動そのものを使用した曲がひとつ存在することを思い起こします。それは1996年の「Emancipation」に収録されている「Sex In The Summer」です。その曲では、この世に生を受けながらもほんの僅かな期間しか生きることができなかった息子の Amiir (アミール) が、まだマイテの胎内にいた頃の超音波心音が使用されています。

また、歌詞の方もスムーズに意味を取ることができません。この世に生を受けたことや、子供に関することが少し変わった表現で語られます。

Most of the people in this world are born dead
But I was born alive
I was born with this dream
With a dream outside my head
この世界では多くの人が死んだ状態で生まれる
しかし僕は生きた状態で生まれた
この夢と共に生まれた
頭の外に在る夢と共に

Power 2 the ones who could raise a child like me
僕のような子供を育てることができる者に力を

そして、プリンスの歌い方も通常とはどこか違う雰囲気があります。このように心情を吐露するような歌い方をする曲は、私には他に思い付きません。


また、この曲を聴くにあたっては、アルバムの全体に目を向ける必要もあります。近未来的なサイエンスフィクションの様相を持つ「Art Offical Age」は、コンセプトアルバムでもあり、その流れの中で、英国のシンガーソングライターの Liann La Havas (リアン・ラ・ハヴァス) の語りがひとつのストーリーを作り上げています。彼女の語りが登場するのは、「Clouds」、「Affirmation I & II」、「Way Back Home」、そして最終曲の「Affirmation III」です。

リアンの語りが最初に登場するのは、2曲目の「Clouds」です。ここでプリンスは、45年の仮死状態から目覚めたところであり、時間を必要としない不思議な場所にいることを告げられます。

しばらく間を置いて、9曲目の「Affirmation I & II」にて、プリンスはアファメーション・セラピーのセッションを受けるという展開になります。このアファメーション・セラピーというのがまた珍妙です。

Today though, we'll just start off with some simple affirmations
That will be automatically induced into your memory temple
Which you can upload unto a hard drive,
And review at your desire
ですが今日は、まず簡単なアファメーションから始ます。
これは脳内のメモリ・テンプルに自動的に誘導されるものであり、
メモリ・テンプルは、ハードディスクにアップロードすることもでき、
あなたの望む時に内容を見直すことができます。

この時点で微妙な空気感がするのですが、リアンはお構いなしにアファメーションに入ります。

Affirmation number one: There are no such words as 'me' or 'mine'.
アファメーション その1: '私' または '私のもの' という言葉は存在しません。

普通、"affirmation" とは肯定的な言葉で進められるものだと思うのですが、何といきなり否定から始まります。しかも、"me" や "mine" という言葉は存在しないと言っておきながら、実際にはその「言葉」を発しているので、この文はおかしなことを言っています。さらにおまけに、これを言った後、"タララララララン♪" と自信満々に効果音が付きます (笑)。これって笑っていいんでしょうか? それとも私の受け取り方は間違っているのでしょうか? とにかく個人的にはツボに入るポイントです。さらに、「アファメーション その1」の最中にそのまま「Way Back Home」に繋がっていくので、「え? その2はどこ?」となります。たったこれだけの間に、畳みかけるような凄いユーモアセンスだと思います。私はこれを聴くと毎回吹き出しそうになります。

そして曲は「Way Back Home」に移りますが、なおもリアンの語りは続きます。

Any person or object whatsoever that requires ur attention
Is something that has veered from its path
And preordained destiny of total enlightenment
あなたが心を傾注する必要があるのなら
それはいかなる人や物であれ、道を逸脱しており
予め運命づけられた完全なる悟りの境地からは外れているのです

どうやら人や物には予め運命づけれられた完全な悟りの境地が存在すると言っているようです。何だか人だけでなく、物にまで予め運命づけられた悟りの境地があると言っていますが、そういうものなのでしょうか。そして、おそらくは、曲の流れ的にそれが人や物にとっての帰るべき "家" であるようです。「Affirmation I & II」のユーモラスでどこか珍妙な雰囲気から、一層の奇妙さを漂わせつつプリンスの歌が始まります。

「Way Back Home」が終わった後、次にリアンの語りが登場するのは、アルバムの最終曲「Affirmation III」となります。この曲は「Way Back Home (Reprise)」と名付けても差し支えないような曲で、「Way Back Home」のバックコーラスなどが繰り返され、非常に美しく幻想的な曲です。プリンスは新しい境地に立った自分を発見し、「自分自身」という目指すべき目的地を確かめます。

U've probably felt many years in your former life
U were separate from not only others, but even yourself
Now U can see that was never the case
U are actually everything and anything that U can think of
All of it is U
あなたはおそらく前世の幾年もの歳月
他者だけでなく、己からも切り離されていたと考えていました
しかし今、実はそうではなかったことにあなたは気付きました
あなたは実はあなたが考えるあらゆるものであり、全てのものです
その全てがあなたです

Remember there really is only one destination
And that place is U
All of it, everything is U
目的地はたったひとつしかありません
その場所とはあなたです
その全部、全てがあなたです

それにしても、ここで展開されるアファメーション・セラピーの内容は、いささか奇妙なものですが、個人的にはそこがまた面白いところでもあります。


「Way Back Home」に戻ります。

少し話が逸れるかもしれませんが、私には、この曲のイメージと重なる言葉があります。それは、三島由紀夫の「若きサムライのために」という本の冒頭の言葉です。この本の冒頭は「人生について」と題されたエッセイで、次の言葉から始まります。

人は、人生を始めてから、徐々に芸術を始める。私の場合は逆で、芸術を始めてから人生を始めたような気がしている。

「Way Back Home」で特にひっかかる歌詞といえば、"Most of the people in this world are born dead / But I was born alive (この世界では大抵の人は死んだ状態で生まれる / しかし僕は生きた状態で生まれた)" が挙げられると思います。しかし、上で引用した言葉を重ねると、私には何となく歌詞が腑に落ちるような気がするのです。

また、このエッセイには、「Way Back Home」の歌詞に出てくる言葉と似た表現が出てきます。曲と同じように観念的な意味での "故郷"、それに "少年期" や "幼少期"、また、"夢" といった言葉が出てきます。

作家にとって、まだ人生の経験が十分でない、最も鋭敏な感受性から組み立てられた、不安定な作品であるところの処女作こそが、彼の人生経験の、何度でもそこへ帰っていくべき、大事な故郷になる
...(中略)...
少年期のみならず、幼年期も、作家にとって大切な故郷である。そこでは、人生は経験でなく、夢にすぎない。理性ではなく、感性にすぎない。

実際にプリンスが何を思いながらこの曲を書いたのかは想像するしかありません。そうするとき、このエッセイで語られている話と重ねて「Way Back Home」を聴くと、私には何となく、歌の世界に、より直に触れることができるように感じます。


着地点が見えなくなってきたので、この辺で終わりにしたいと思います。

結局のところ、「Way Back Home」という曲から感じ取るべきものとは何なのでしょうか。そして、プリンスの "家に帰る路" とその先に見えるものとは何なのでしょうか。それは音楽を聴いて感じ取ったものがそのまま答えになるのであり、そもそも言葉で完全に説明できるようなものではないのかもしれません。ただ、いささかユーモラスでもあるアファメーション・セラピーとは対照的に、「Way Back Home」は、プリンスという凄まじい人生を辿ってきたアーティストの心が深く表現されている、とても特別な曲だと私は思います。


Any person or object whatsoever that requires ur attention
Is something that has veered from its path
And preordained destiny of total enlightenment
あなたが心を傾注する必要があるのなら
それはいかなる人や物であれ、道を逸脱しており
予め運命づけられた完全なる悟りの境地からは外れているのです

I never wanted a typical life
Scripted role, huh, trophy wife
All I ever wanted, 2 be left alone
See, my bed's made up at night cuz in my dreams I roam
Just tryin' 2 find
Tryin' 2 find my way back, back home
普通の人生を望んだことなど一度もなかった
台本通りの役も、それにトロフィーワイフも
僕の望みの全ては、独りでいられること
夜には整えられたベッドで夢の中を彷徨う
ただ見つけるために
家に帰る路を、見つけるために

So many reasons why
There's so many reasons why I don't belong here
But now that I am I
Without fear I am gonna conquer with no fear
理由なら幾らでもある
ここに僕の居場所がない理由なら、幾らでもある
しかし今僕は僕であり
臆することなく、打ち克つ

Until I... (Until I)
Find... (I find my)
My... (My way back)
Way back home (Home, home)
Until I... (Until I)
Find... (I find my)
My... (My way back)
Way back home (Home, home)
家に帰る路を、見つけるまで
家に帰る路を、見つけるまで

Find my way back home
家に帰る路を、見つけるまで

Most people in this world
Most of the people in this world are born dead
But I was born alive
I was born with this dream
With a dream outside my head
この世界では大抵の人は死んだ状態で生まれる
しかし僕は生きた状態で生まれた
この夢と共に生まれた
頭の外に在る夢と共に

That I... (Until I)
Could find... (I find my)
My... (My way back)
Way back home (Home, home)
My... (Until I)
My... (I find my)
Way... (My way back)
Way back home (Home, home)
家に帰る路を、見つけるという夢と
家に帰る路を

Is this the way?
これがそうなのだろうか?

Power 2 the ones
Power 2 the ones who could raise a child like me
The path was set but if U look the truth will set us free
I've heard about those happy endings, but still a mystery
Let me tell U about me
僕のような子供を育てることができる者に力を
道は定められていようが、真実は我々を自由に解き放つだろう
ありふれたハッピーエンドの話を聞いても謎は謎のまま
ならば僕のことを話そう

I'm happiest when I can see (Until I)
(I find my, my way back)
My way back home (Home, home)
Can U see? (Until I, I find my)
Oh (My way back)
My way back, my way back home (Home, home)
僕が最上の幸せを感じるのは
家に帰る路を見られる時
そう、家に帰る路を

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