OneH

主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

私は毎年お盆の時期、東京から故郷の岩手まで車で帰省します。距離にして 500km 以上になるその道のりで、今年はひとつ変わったことがありました。それは、車の CD チェンジャーにずっと2014年のアルバム「Art Official Age」を入れたままにしており、「Way Back Home」を聴きながらの道中になったことです。

私は半年ほど前に、このブログで「Art Official Age」の簡単な感想を書いていますが、その時は「Way Back Home」については適当なコメントしかしていませんでした。というのも、この曲についてはちゃんとした感想を書くことができなかったのです。しかし、私がアルバムの中で最も強い印象を受けたのは、実はこの曲でした。

このブログでは、「私の選ぶ曲」として様々なプリンスの曲を取り上げていますが、私は2006年のアルバム「3121」で一度プリンスの新作を追うのをストップしています。このため、選曲はそれ以前の作品からのみで行うつもりでいました。しかし昨年、ようやく「Art Official Age」の封を開け、「Way Back Home」を聴き、その考えは改めさせられることになりました。私は未だこの曲を捉えきることができずにいるので順位をつけることはしませんが、「Way Back Home」は、私にとってプリンスの後半のキャリアにおける最も印象の強い曲です。


「Way Back Home」は、アルバム「Art Official Age」の中心となる曲です。それと同時に、個人的に、これはプリンスの全作品の中でも特別に凄まじい曲のひとつだと思います。

そうはいっても、この曲には、他のプリンスの傑作に見られるような複雑な構成や激しい展開があるわけではありません。この曲の凄まじさを感じ取るためには、この曲の中に入り込み、その奥深くに存在するものに触れるつもりで曲と向かい合う必要があります。

この曲には、「普通でない」と感じさせる要素が色々と散りばめられています。まず最初に普通でないと気付くのは、刻まれるリズムが、心臓の鼓動を思わせるような音に感じられることです。プリンスの作品には、本物の心臓の鼓動そのものを使用した曲がひとつ存在することを思い起こします。それは1996年の「Emancipation」に収録されている「Sex In The Summer」です。その曲では、この世に生を受けながらもほんの僅かな期間しか生きることができなかった息子の Amiir (アミール) が、まだマイテの胎内にいた頃の超音波心音が使用されています。

また、歌詞の方もスムーズに意味を取ることができません。この世に生を受けたことや、子供に関することが少し変わった表現で語られます。

Most of the people in this world are born dead
But I was born alive
I was born with this dream
With a dream outside my head
この世界では多くの人が死んだ状態で生まれる
しかし僕は生きた状態で生まれた
この夢と共に生まれた
頭の外に在る夢と共に

Power 2 the ones who could raise a child like me
僕のような子供を育てることができる者に力を

そして、プリンスの歌い方も通常とはどこか違う雰囲気があります。このように心情を吐露するような歌い方をする曲は、私には他に思い付きません。


また、この曲を聴くにあたっては、アルバムの全体に目を向ける必要もあります。近未来的なサイエンスフィクションの様相を持つ「Art Offical Age」は、コンセプトアルバムでもあり、その流れの中で、英国のシンガーソングライターの Liann La Havas (リアン・ラ・ハヴァス) の語りがひとつのストーリーを作り上げています。彼女の語りが登場するのは、「Clouds」、「Affirmation I & II」、「Way Back Home」、そして最終曲の「Affirmation III」です。

リアンの語りが最初に登場するのは、2曲目の「Clouds」です。ここでプリンスは、45年の仮死状態から目覚めたところであり、時間を必要としない不思議な場所にいることを告げられます。

しばらく間を置いて、9曲目の「Affirmation I & II」にて、プリンスはアファメーション・セラピーのセッションを受けるという展開になります。このアファメーション・セラピーというのがまた珍妙です。

Today though, we'll just start off with some simple affirmations
That will be automatically induced into your memory temple
Which you can upload unto a hard drive,
And review at your desire
ですが今日は、まず簡単なアファメーションから始ます。
これは脳内のメモリ・テンプルに自動的に誘導されるものであり、
メモリ・テンプルは、ハードディスクにアップロードすることもでき、
あなたの望む時に内容を見直すことができます。

この時点で微妙な空気感がするのですが、リアンはお構いなしにアファメーションに入ります。

Affirmation number one: There are no such words as 'me' or 'mine'.
アファメーション その1: '私' または '私のもの' という言葉は存在しません。

普通、"affirmation" とは肯定的な言葉で進められるものだと思うのですが、何といきなり否定から始まります。しかも、"me" や "mine" という言葉は存在しないと言っておきながら、実際にはその「言葉」を発しているので、この文はおかしなことを言っています。さらにおまけに、これを言った後、"タララララララン♪" と自信満々に効果音が付きます (笑)。これって笑っていいんでしょうか? それとも私の受け取り方は間違っているのでしょうか? とにかく個人的にはツボに入るポイントです。さらに、「アファメーション その1」の最中にそのまま「Way Back Home」に繋がっていくので、「え? その2はどこ?」となります。たったこれだけの間に、畳みかけるような凄いユーモアセンスだと思います。私はこれを聴くと毎回吹き出しそうになります。

そして曲は「Way Back Home」に移りますが、なおもリアンの語りは続きます。

Any person or object whatsoever that requires ur attention
Is something that has veered from its path
And preordained destiny of total enlightenment
あなたが心を傾注する必要があるのなら
それはいかなる人や物であれ、道を逸脱しており
予め運命づけられた完全なる悟りの境地からは外れているのです

どうやら人や物には予め運命づけれられた完全な悟りの境地が存在すると言っているようです。何だか人だけでなく、物にまで予め運命づけられた悟りの境地があると言っていますが、そういうものなのでしょうか。そして、おそらくは、曲の流れ的にそれが人や物にとっての帰るべき "家" であるようです。「Affirmation I & II」のユーモラスでどこか珍妙な雰囲気から、一層の奇妙さを漂わせつつプリンスの歌が始まります。

「Way Back Home」が終わった後、次にリアンの語りが登場するのは、アルバムの最終曲「Affirmation III」となります。この曲は「Way Back Home (Reprise)」と名付けても差し支えないような曲で、「Way Back Home」のバックコーラスなどが繰り返され、非常に美しく幻想的な曲です。プリンスは新しい境地に立った自分を発見し、「自分自身」という目指すべき目的地を確かめます。

U've probably felt many years in your former life
U were separate from not only others, but even yourself
Now U can see that was never the case
U are actually everything and anything that U can think of
All of it is U
あなたはおそらく前世の幾年もの歳月
他者だけでなく、己からも切り離されていたと考えていました
しかし今、実はそうではなかったことにあなたは気付きました
あなたは実はあなたが考えるあらゆるものであり、全てのものです
その全てがあなたです

Remember there really is only one destination
And that place is U
All of it, everything is U
目的地はたったひとつしかありません
その場所とはあなたです
その全部、全てがあなたです

それにしても、ここで展開されるアファメーション・セラピーの内容は、いささか奇妙なものですが、個人的にはそこがまた面白いところでもあります。


「Way Back Home」に戻ります。

少し話が逸れるかもしれませんが、私には、この曲のイメージと重なる言葉があります。それは、三島由紀夫の「若きサムライのために」という本の冒頭の言葉です。この本の冒頭は「人生について」と題されたエッセイで、次の言葉から始まります。

人は、人生を始めてから、徐々に芸術を始める。私の場合は逆で、芸術を始めてから人生を始めたような気がしている。

「Way Back Home」で特にひっかかる歌詞といえば、"Most of the people in this world are born dead / But I was born alive (この世界では大抵の人は死んだ状態で生まれる / しかし僕は生きた状態で生まれた)" が挙げられると思います。しかし、上で引用した言葉を重ねると、私には何となく歌詞が腑に落ちるような気がするのです。

また、このエッセイには、「Way Back Home」の歌詞に出てくる言葉と似た表現が出てきます。曲と同じように観念的な意味での "故郷"、それに "少年期" や "幼少期"、また、"夢" といった言葉が出てきます。

作家にとって、まだ人生の経験が十分でない、最も鋭敏な感受性から組み立てられた、不安定な作品であるところの処女作こそが、彼の人生経験の、何度でもそこへ帰っていくべき、大事な故郷になる
...(中略)...
少年期のみならず、幼年期も、作家にとって大切な故郷である。そこでは、人生は経験でなく、夢にすぎない。理性ではなく、感性にすぎない。

実際にプリンスが何を思いながらこの曲を書いたのかは想像するしかありません。そうするとき、このエッセイで語られている話と重ねて「Way Back Home」を聴くと、私には何となく、歌の世界に、より直に触れることができるように感じます。


着地点が見えなくなってきたので、この辺で終わりにしたいと思います。

結局のところ、「Way Back Home」という曲から感じ取るべきものとは何なのでしょうか。そして、プリンスの "家に帰る路" とその先に見えるものとは何なのでしょうか。それは音楽を聴いて感じ取ったものがそのまま答えになるのであり、そもそも言葉で完全に説明できるようなものではないのかもしれません。ただ、いささかユーモラスでもあるアファメーション・セラピーとは対照的に、「Way Back Home」は、プリンスという凄まじい人生を辿ってきたアーティストの心が深く表現されている、とても特別な曲だと私は思います。


Any person or object whatsoever that requires ur attention
Is something that has veered from its path
And preordained destiny of total enlightenment
あなたが心を傾注する必要があるのなら
それはいかなる人や物であれ、道を逸脱しており
予め運命づけられた完全なる悟りの境地からは外れているのです

I never wanted a typical life
Scripted role, huh, trophy wife
All I ever wanted, 2 be left alone
See, my bed's made up at night cuz in my dreams I roam
Just tryin' 2 find
Tryin' 2 find my way back, back home
普通の人生を望んだことなど一度もなかった
台本通りの役も、それにトロフィーワイフも
僕の望みの全ては、独りでいられること
夜には整えられたベッドで夢の中を彷徨う
ただ見つけるために
家に帰る路を、見つけるために

So many reasons why
There's so many reasons why I don't belong here
But now that I am I
Without fear I am gonna conquer with no fear
理由なら幾らでもある
ここに僕の居場所がない理由なら、幾らでもある
しかし今僕は僕であり
臆することなく、打ち克つ

Until I... (Until I)
Find... (I find my)
My... (My way back)
Way back home (Home, home)
Until I... (Until I)
Find... (I find my)
My... (My way back)
Way back home (Home, home)
家に帰る路を、見つけるまで
家に帰る路を、見つけるまで

Find my way back home
家に帰る路を、見つけるまで

Most people in this world
Most of the people in this world are born dead
But I was born alive
I was born with this dream
With a dream outside my head
この世界では大抵の人は死んだ状態で生まれる
しかし僕は生きた状態で生まれた
この夢と共に生まれた
頭の外に在る夢と共に

That I... (Until I)
Could find... (I find my)
My... (My way back)
Way back home (Home, home)
My... (Until I)
My... (I find my)
Way... (My way back)
Way back home (Home, home)
家に帰る路を、見つけるという夢と
家に帰る路を

Is this the way?
これがそうなのだろうか?

Power 2 the ones
Power 2 the ones who could raise a child like me
The path was set but if U look the truth will set us free
I've heard about those happy endings, but still a mystery
Let me tell U about me
僕のような子供を育てることができる者に力を
道は定められていようが、真実は我々を自由に解き放つだろう
ありふれたハッピーエンドの話を聞いても謎は謎のまま
ならば僕のことを話そう

I'm happiest when I can see (Until I)
(I find my, my way back)
My way back home (Home, home)
Can U see? (Until I, I find my)
Oh (My way back)
My way back, my way back home (Home, home)
僕が最上の幸せを感じるのは
家に帰る路を見られる時
そう、家に帰る路を

前回からの続きで、Disc 2 に関する雑感です。

Disc 2 - From The Vault & Previously Unreleased

全体の印象

Disc 2 を一通り聴いてまず思ったのは、収録されている曲がどれもパープルレインという感じがしない、ということです (個人的には「Computer Blue」もアルバムとこちらのバージョンは別物です)。Purple Rain Deluxe の Disc 2 としてリリースされたこのディスクですが、単に録音時期がパープルレインと被っているだけで、作品としては独立した感じがします。それだけバラエティーに富んだ楽曲を作っていた時期なのだと思います。Prince.org のスレッドでは、これを Disc 2 という無機質な呼び方で扱うのはもったいないので、"HitnRun: 1984" や "The Dance Electric アルバム" といった別のタイトルにしても良かったくらいだ、と言っている人達がいて、確かにそうだなと思いました。

1. The Dance Electric

アンドレ・シモンに提供された曲のプリンスバージョン。ビート感が後にリリースされた「Mountains」に似ています。調べてみたら、この曲は2012年によくライブで演奏されており、その際に「Mountains」と「The Dance Electric」の2曲が連続で演奏されることもあったようです。また、曲自体が似ているわけではないのですが、"Dance the Dance Electric - Listen 2 the rhythm of your soul♪" という歌詞は、個人的には後のマイテの "Listen 2 the rhythm of your heart♪" を思い起こさせます。ちなみにマイテのオフィシャル YouTube に「Rhythm Of Your Heart」のビデオがありました。こちらは割と普通の90年代っぽい曲です。

また、この曲はギターが入ったバージョンがブートレグで出回っており、最近はさらに別のバージョンもリークされています。Prince.org を見ると、今回のオフィシャルバージョンよりもこれらのバージョンの方が良いという声がちらほら見受けられます。個人的には、最もすっきりしている、オフィシャルに選ばれたバージョンに特に不満はありません。ただ、より手が加えられたバージョンが存在するのに、どうしてこれが選ばれたのか説明があれば良かったな、とは思います。

2. Love And Sex

Uh, come on, baby, hurt me!

Sha la la la, sha la la boom!

この曲は何と言ったら良いのか、もう言葉が出てきません。5分間、プリンスのリードボーカルはひたすら叫びながら歌い続けます。終盤のバックボーカルは性別不詳な声も混じっているように聴こえて自分の耳では判断できないのですが、PrinceVault によると、ボーカルも演奏も全てプリンスなのだそうです。こういった常軌を逸したノリの曲は、得てしてプリンスの一人パフォーマンスにより作られているものです。他の常軌を逸した曲として、例えば「Tamborine」や「Thunder」なども、PrinceVault を確認するとレコーディング欄に書かれているのはたったの一行、"Prince - all vocals and instruments" です。「Thunder」は日本では駄曲の烙印を押されていたりもしますが、「これってボーカルも演奏も、全部プリンスが一人でやったのか…」と思うと、あまりの凄さに自然と変な笑いが込み上げてきます。こういった曲を聴くと、私はプリンスに畏敬の念を抱かずにはいられません。

ちなみに、最近リークされた曲のひとつに、同名異曲の「Love And Sex (Sheila E.)」というのがあります。「シーラ E がこの曲を? 一体どうやって?!」と思って聴いたら、全くの別曲でした。恐ろしいのが、それがとんでもない極上のポップソングであったことです。どうしてこれほどの曲を保管庫に眠らせたまま放っておけるのでしょうか。全く常人の理解を越えています。

3. Computer Blue (Hallway Speech Version)

個人的に、音楽史上これに比類する曲はない、と言えるほどの傑作だと思います。感想はここでは書ききれないので、別途記事を書いています。

4. Electric Intercourse (Studio Version)

このディスクで最も純粋に感激した曲です。これも感想はここでは書ききれないので、別途記事を書いています。これまでは、この曲はかなり感触の異なるライブバージョンで知られていました。結局、あの素晴らしいライブバージョンがオフィシャルリリースされる日は来ないのでしょうか。

5. Our Destiny / Roadhouse Garden

「Our Destiny」の最初に流れる美しいオーケストラのフレーズは、後に「The Ladder」に使われています。オーケストラといい、打ちつけるキックドラムといい、個人的には何となく1985年の The Family のアルバムにも通じる、爽快で気持ちの良い曲です。

このバージョンのボーカルはリサ・コールマンですが、ジル・ジョーンズがボーカルを取ったバージョンも存在します。ジルのボーカルの方が格段に存在感が強いので、両者を聴き比べた場合、ジルのバージョンの方が良いと言う人の方がおそらく多いのではないかと思います。ただ、今回のリリースに入れるのであれば、個人的には、より素直に歌っているリサのバージョンの方がしっくりきます。それにリサのバージョンの方が、演奏も追加されていて曲としてより仕上がっています。ちなみに、ペイズリーパークの保管庫から取り出してリリースされたオフィシャルバージョンよりも、ジルが個人的に所有していたバージョンの方が音質が良いような気がします (笑)

6. Possessed

ライブで演奏されるようなファンキーで激しいバージョンを想像していたら、オリエンタルな風味と繊細なボーカルで、ちょっと予想外なアレンジでした。

7. Wonderful Ass

一度聴いたら忘れないフックの効いたメロディと、それにぴったりな歌詞で、ブートを聴く人達の間では長年有名だった曲です。よく1985-86年頃の曲と一緒にまとめられているイメージがあったのですが、最初のレコーディングは1982年に行われ、1984年に追加のレコーディングがされました。Prince.org のスレッドで、ジル・ジョーンズの以下の発言が紹介されています。これは元々1999ツアー中に書かれ、ヴァニティに贈られた曲で、ヴァニティはコンサート前にこの曲をひっきりなしに流していたそうです。

Wonderful ass was written originally on the 1999 tour and gifted to Vanity. She played it non stop before the shows during that time.

この曲でちょっと可笑しいのが、4分16秒頃、バックコーラスが高らかにこう叫ぶところです。

The Revolution will be heard!

このすぐ後、もう一度これを繰り返すのですが、今度は一転して "The revolution will be heard..." とトーンがガクッと落ちて自信なさげな声になります (笑)。30年以上もかかりましたが、ようやくこの曲も、日の目を見てファンに声が届きました。良かったね、と言ってあげたくなります (笑)。

また、再生時間が前後しますが、1分55秒からの、"Educate, tolerate, negotiate, ...ate, ...ate" と続く部分はジル・ジョーンズが一緒に考えたらしいです。ネットで手書きの歌詞が見つかり、見ると上のヴァース部分と下の単語リストは違う筆跡で書かれています。タイトルのお絵描きといい、何とも楽しそうなノートです。

prince-wonderful-ass-lyrics

今回のリリースでは、何となくジル・ジョーンズが蚊帳の外に置かれている感じがして少し不憫です。ちなみに、アルバム「Purple Rain」の制作過程において、1983年11月のアーリーコンフィギュレーションには、おそらくジルがボーカルをとることを念頭に書かれた、「Wednesday」という愛らしい小曲が含まれていました。ブートによっては「There's No Telling What I Might Do」というタイトルになっている曲です。ジルは、自分がボーカルをとったバージョンの「Wednesday」を、「Our Destiny」などと共に自らネットに流しています。個人的には、「Wednesday」も今回のリリースに含めてほしかったな、と思います。

8. Velvet Kitty Cat / 9. Katrina's Paper Dolls

特別なボーカル能力を必要としない、シンプルでキュートな2曲です。私はどちらも結構好きで、Disc 2 を通して再生した場合、丁度良い具合に一息つくタイミングができます。また、「Katrina's Paper Dolls」は、何も起こらないような雰囲気で曲が進行するので油断してしまいますが、"Love will make U lonely" の歌詞の部分が最後だけ "Love will make U horny" に変わるので、聴いているとギョッとします (笑)。Katrina はヴァニティのミドルネームということなので、さすが一筋縄ではいきません。

10. We Can Fxxk

サプライズだらけのこのディスクにあって、私がとりわけ衝撃を受けた曲です。感想はここでは書ききれないので、別途記事を書いています。

11. Father's Song

ピアノ独奏のしっとりした美しい曲を想像していたら… 思ったよりも変わったアレンジの曲でした。不思議な余韻が残ります。

去る6月23日にリリースされた、Purple Rain Deluxe の雑感です。といっても、未発表曲が収録された Disc 2 以外、私は未だにまともに観賞できていません。全体では断片的に確認しただけの状況ですが、気持ちの区切りのために少し書いておきます。

購入と初試聴

とりあえず、このリリースに関しては購入の前と後で印象がガラリと変わったので、そこから書くことにします。実のところ、このリリースの発売については複雑な心境があり、元々は直ぐに購入するつもりはありませんでした。

それでも何だかんだで結局、発売日の夜、あまり気乗りがしないままに会社帰りにフラッと店に立ち寄って購入しました。帰りの電車でケースを眺め、これまでブートでしか聴くことのできなかった「Wonderful Ass」や、プリンス自身が選定に関わっていたならば自己検閲でおそらく収録されなかったと思われる、「We Can Fxxk」というタイトルがトラックリストに含まれているのを見て、少々複雑な気分になりました。ブックレットをパラパラめくっても、なぜこのようなトラックリストになったのか、その説明は一切なされていないので、何だか奇妙なモノを手にしてしまったという思いがしました。そういえばブックレットといえば、スーザン・ロジャースの寄稿は感慨深いものでした。彼女がどんな思いでこれを書いたのかを推し量りながら読むと、心に残る箇所が色々とありました。

何はともあれ家に帰り、あの扱いにくいケースから頑張ってディスクを取り出し、どんなものか聴いてみることにしました。最初に聴くのは、まあ自然と Disc 2 になります。1曲目は挨拶替わりにひたすらジャブ連打を浴びせかけるような「The Dance Electric」です。他にもまだまだ曲があるのにこの曲だけで11分29秒はさすがに長いので、途中でスキップして2曲目の「Love And Sex」に行きました。

One, two, three, four
Uh huh, huh, Yeahhhh!!!
Uh
Come on, baby, hurt me!

やられました。2ラウンド開始早々でノックアウトです。まさか、これまでブートレグでも流通していなかった完全な未発表曲に、このような、どの曲にも似ていない一点物の逸品が潜んでいたとは。この曲で私の頭はすっかり吹き飛ばされました。

Disc 2 については記事を別途書くことにし、他のディスクについて触れることにします。

Disc 1 - 2015 ペイズリーパーク・リマスター

これは私の持論で個人的に極めて重要なポイントなのですが、プリンスの音楽の特徴に、音質の向上がもたらすことの意味が他のアーティストとは根本的に異なる、というのがあります。普通、音質の向上といったら、より良い音で音楽を楽しむのが第一の目的になると思います。というより、基本的にそれ以外に目的はないような気がします。しかし、プリンスの場合、「音質の向上が、プリンスが音楽の中で何をしているかを知るのに貢献するか」が個人的には最も重要なことになります。それに較べたら、多少の音質の向上を楽しむのは一段下の優先度になります。

その観点でいうと、最初に Disc 1 の音を確認した時は、隅々の細かい部分まできちんとクリアに再生されていることに感激したのですが、旧版と聴き較べてみたところ、それは思い込みによるもので、旧版も音自体は同等にきちんとクリアであることが分かりました。結局、これまで気付かなかった新しい発見があるわけではなく、プリンスが音楽の中で何をしているかを知るうえでは、旧版で十分事足りると感じました。

リマスターの音質については、色々と賛否両論な議論があるようですが、個人的には特に不満はなく、あまり話に付いていけていません。個人的には、音が大きくなって、普通のボリュームでもちゃんと聴くことができるようになったのはとても嬉しいことです。「Parade」や「Sign O' The Times」でも早くこういうことをしてほしいと思います。

で、結局、イヤホンやヘッドホンを使い、ボリュームを調整すれば、個人的にはリマスターと旧版に決定的な違いは感じられないため、Disc 1 はまだ全体を通して聴いたことがありません。細かいところでは、リマスターで「I Would Die 4 U」と「Baby, I'm A Star」のトラック分割が適切に修正されたのは嬉しいです。やはり曲がきちんと始まると気持ち良いものです。

Disc 3 - シングル & B サイド

まだ殆ど聴いていません。そういえば、私はいつの頃からか「God」という曲がとても好きになりました。今回のリリースで改めて聴いても本当に素晴らしいな、と思います。そういえばこの曲のインストゥルメンタルバージョンは、映画ではラブシーンに使用されます。プリンスなのでついつい自然に感じてしまうのですが、冷静に考えると随分と大胆なことをやってのけるものです。

Disc 4 - 1985/03/30, コンサート at Syracuse, NY

Alan Light のパープルレイン本「Let's Go Crazy - Prince and the Making of Purple Rain」に、次の言葉が引用されています (翻訳版なら22ページです)。これは映画が公開された当時、Greg Tate という批評家が The Village Voice 誌に書いたものです。

Those of y'all going gaga behind Purple Rain and never seen the boy live ain't seen shit.
パープルレインの映画でゾッコンになりながらもプリンスをライブで見たことがない奴らは皆、まだ本当のプリンスを見たことがない。

まさにその通りだと思います。私は未だ断片的にポツポツ鑑賞しているところなのであまり語ることはできないのですが、本当に "エレクトリック" なコンサートです。例えば映画やアルバムだけでは知ることのできない、ファンキーな「Irresistible Bitch / Possessed」メドレーだとか…最高です。

Everybody stop on the one...... Good god!

実際にコンサートの演奏曲でこの言葉が出てくるのは「Let's Go Crazy」のみかもしれませんが、今回のリリースセットによく出てくる言葉を使って、このコンサートは "エレクトリック" と形容したくなります。

  • Let's Go Crazy - "Electric word, life..."
  • The Dance Electric
  • Electric Intercourse
  • We Can Fxxk - "Can't U see this room is electric?", "electric ass / electric thighs"

それにしても、Housequake の Facebook 投稿から知ったのですが、このオフィシャル DVD、ブートレグより画質が悪いって本当なのでしょうか? どういうことなんでしょう (笑)

prince-purple-rain-deluxe-dvd

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