OneH

主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

先日の記事で、ようやく私が選ぶ曲の筆頭2曲、「Goodbye」と「Condition Of The Heart」を取り上げましたが、まだプリンスについて思うことのごく一部しか書けていないような気がします。そして、あれやこれや中途半端に書いているうちにまた割り込みが入りました。言うまでもなく、その割り込みとは、6月23日に発売された「Purple Rain Deluxe」のセットのことです。

実は私はまだ「Purple Rain Deluxe」を殆どまともに鑑賞できていません。色々と複雑な感情があったり時間が取れなかったりというのもありますが、一番大きな「壁」は未発表曲を収めた Disc 2 の存在です。何というか、Disc 2 の一部の曲があまりにも凄すぎるため、そこで止まってしまい、他のディスクまで手が回らない状態です。

その Disc 2 から、「Computer Blue (Hallway Speech Version)」を取り上げます。


全体で12分超にも及ぶ「Computer Blue (Hallway Speech Version)」は、本当に途轍もない曲です。プリンスの作品という枠に留まらず、音楽史上においても傑出した一曲であり、おそらく、これに比類する曲は、探してもまず出てこないと思われます。例えばプログレの大作など、長尺曲で名作と崇められている曲も世の中には色々とあると思いますが、表現されている世界の深さにおいて、この曲はそれらとは一線を画していると思います。私には、音楽史上、Computer Blue の Hallway Speech Version に肩を並べる曲が存在するとは思えません。

しかも、プリンスはこれほどの曲を30年以上も前に作っておきながら、これまで私たちは、ブートレグ、つまり流出した盗品という形でしかこの曲を聴くことができなかったわけです。

ちなみに、意味を知らずに音楽を聴くというのは罪深いもので、短く編集されたアルバムバージョンの「Computer Blue」しか知らなかった頃、私はこれをはウェンディとリサの同性愛を歌っただけの曲だと勘違いしており、なぜ曲があのような SF チックなテイストになっているのかを理解できませんでした。この曲のせいでアルバム全体に80年代の古臭さが生まれているような感じがして、昔はこの曲があまり好きではありませんでした。本当に知らないというのは罪深いものです。

アルバムバージョンの「Computer Blue」は、意味さえ分かればその素晴らしさに気付くのですが、あれを聴いただけでは表現されている世界がなかなか見えてきません。アルバムバージョンでは、冒頭のリサとウェンディのやり取りの後、ヴァースとコーラスを1回だけやると歌のパートはもう終わりです。その後はギターの展開になり、映画ではウェンディがプリンスの前で膝立ちになるシーンになります。続いて格好良いけれども短すぎる「Father's Song」のギターがあり、それを抜けると展開が最初に戻り、プリンスが叫んで曲は終わってしまいます。

それでは短く編集せずに「Hallway Speech Version」をそのままアルバムに収録していたらどうかというと、それもマズい気がします。それだと、単に「Take Me With U」を入れる余裕がなくなるというだけでなく、映画の中では聴衆を白けさせる役割を持った「Computer Blue」が、アルバムでは逆に突出した傑作としてメインの座に居座ってしまうことになります。おまけにもうひとつの白け役を担った曲である「Darling Nikki」は、プリンスファンにこれを嫌いな人はいないと言っても過言ではないほどの、ある意味最高な曲です。これでは映画のストーリーが破綻してしまいます。

とにかく、「Hallway Speech Version」を聴くと、それまでアルバムの短いエディットでは分からなかった世界がはっきりと見えてきます。なぜこの曲がこんなに SF チックなのか… それは、最早今更な話ですが、それが曲のテーマそのものだったのです。このバージョンでは様々なメロディやノイズが「可哀そうな独りぼっちのコンピューター/SF ロボット」の悩みや苦しみとして、深い意味を持って生命を与えられます。プリンスの最後の叫びも、これほど深い意味があったのかと、はっとさせられます。

なお、この曲にはより長い14分のバージョンも存在します。スピーチなどが入っていないことから、完成版はどちらかというとこの「Hallway Speech Version」の方なのだと想像しますが、最後、コンピューターが壊れた後のノイズが、途中とても切ない感じになりながら3分くらい続くなど、これはこれで興味深いバージョンになっています。


[Spoken Intro - Lisa Coleman and Wendy Melvoin]
Wendy?
Yes, Lisa?
Is the water warm enough?
Yes, Lisa
Shall we begin?
Yes, Lisa
ウェンディ?
はい、リサ?
お湯の加減は丁度良いかしら?
はい、リサ
じゃあ始めましょうか?
はい、リサ

[Verse 1 - Prince]
Where is my love life?
Where can it be?
There must be something wrong with the machinery
僕の恋愛生活は何処にあるの?
何処にあるっていうの?
これは機械が何かおかしいに違いない

Where is my love life?
Tell me, where has it gone?
Somebody please please tell me what the hell is wrong
僕の恋愛生活は何処にあるの?
何処へ行ってしまったの?
お願い誰か、一体何がおかしいのか教えて

[Chorus - Prince]
Till I find the righteous one
Computer blue
Till I find the righteous one
Computer blue
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー

[Verse 2 - Prince]
Where is my baby?
Where can she be?
Somebody please, please tell me what is wrong with me?
僕の愛する娘は何処なの?
何処にいるの?
お願い誰か、一体何がおかしいのか教えて

Where is my baby?
Tell me, where has she gone?
Somebody please, please tell me what the hell is wrong?
僕の愛する娘は何処なの?
何処へ行ってしまったの?
お願い誰か、一体何がおかしいのか教えて

[Chorus - Prince]
Till I find the righteous one
Computer blue
Till I find the righteous one
Computer blue
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー
最愛の人に出会えるまで
コンピューター・ブルー

[Solo]
[Ad lib]
(Father's Song のギターパートなど)

The computer's on the verge of breakdown!
コンピューターは今にも故障で止まりそう!

Come on
Aw baby, don't make me...
ああ
よしてくれよ…

[Spoken Interlude - Wendy Melvoin & Lisa Coleman]
Poor lonely computer
It's time someone programmed you
It's time you learned love and lust
They both have four letters
But they're entirely different words
可哀そうな独りぼっちのコンピューター
貴方にプログラムを組込む時が来たわ
貴方が愛 (love) と欲望 (lust) を学ぶ時
それはどちらも4文字
だけど全く意味が違う言葉

Poor lonely computer
Poor, poor lonely computer
Do you really know what love is?
可哀そうな独りぼっちのコンピューター
哀れな哀れな独りぼっちのコンピューター
貴方は一体愛が何かを知っているの?

[Hook - Prince]
(Na, na, na, na, na)
Wave your hands in the air
Now everybody sing it (Na, na, na, na, na)
Everybody work out
Work out, work out (Na, na, na, na, na)
Everybody work out
Work out, work out (Na, na, na, na, na)
Everybody work out
(フック)

[Spoken Interlude - Prince]
He didn't like living home alone
The house where he lived had many hallways
It was a long walk to his bedroom
Because to him each hallway represented an emotion
Every one vastly different from the next
男は独りで住むのが好きではなかった
男の家には沢山の廊下があり
寝室まで長い道のりを歩かねばならなかった
各廊下は各々が別々の感情を象徴しており
どれをとっても他とは著しく異なっていた

One day while she was with him he decided to name each one of them
She was at his side, one hand on his thigh
No, wait
She was sort of half a step behind him
Yeah
ある日、女が訪れた時、男はそれぞれの廊下に名前を付けることにした
女は片手を男の太腿に添え、男の隣にいた
いや、というより
女は半歩ほど退いて男に付いていった

The grip on his thigh intensified as they walked slowly through the corridor
He named the hallway "Lust"
And as they passed thru the next one
He named it "Fear"
The grip she now loosened so he walked faster
二人がゆっくりと廊下を進むに従い、男の太腿を掴む女の力は強まった
男はその廊下を "欲望 (Lust)" と名付けた
二人が次の廊下を通り過ぎようとした時
男はその廊下 "恐れ (Fear)" と名付けた
女が太腿を掴む手を緩めたのを感じ、男は歩を速めた

Her hands now trembling
She let drop to her side as he wrote the word "Insecurity"
He looked in her eyes and smiled a demon smile
And quickly walked on to the next
女の手は震えだした
女が手を落とすと、そこで男は "不安 (Insecurity)" と記した
男は女の目を見つめると、悪魔の微笑みを浮かべ
素早く次の廊下へ進んだ

Corridor after corridor he named almost all when suddenly
He stopped
次から次へと廊下を通り、殆ど全てに名前を付けた時、突然に
男は立止まった

He picked up the word "Hate"
She was gone
男が選んだ言葉は - "憎しみ (Hate)"
女は去った

So he picked up the last one
"Pain"
そして男は最後の廊下に名前を付けた
"痛み (Pain)"

[Solo]
[Ad lib - Prince]
On the verge of a breakdown
What is life without love?
It's hell Computer Blue!
コンピューターは今にも故障で止まりそう!
愛のない人生って何?
それは地獄、コンピューター・ブルー!

[Modified Hook - Prince]
Father, Father, the sun is gone
(Father, Father) The dawn, the dawn
Father, Father, where is the dawn?
(Where is the dawn, Father?)
Na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na (Na, na, na, na, na)
父よ、父よ、太陽が消えてしまった
父よ、父よ、夜明けが、夜明けが
父よ、父よ、夜明けは何処へ?
(再びフック)

[Verse 3 - Prince]
Shall I go to church on Sundays
Shall I stay home and pray
Shall I try to make her happy
Shall I try to make her stay
日曜日は教会に行くべきだろうか
家から出ずに祈りを捧げるべきだろうか
彼女を幸せにするように努めるべきだろうか
彼女を留まらせるように努めるべきだろうか

[Spoken Interlude - Wendy Melvoin & Lisa Coleman (Prince)]
Narrow-minded computer
(Somebody please, please tell me)
It's time someone programmed you
(Somebody please, please tell me what's wrong with me)
It's time you learned women are not butterflies
They're computers too
Just like you Computer Blue
(Where is my baby?)
狭量的なコンピューター
貴方にプログラムを組込む時が来たわ
貴方が女性達は蝶々ではないのだと学ぶ時
女性達だってコンピューターなのよ
ちょうど貴方のようにね、コンピューター・ブルー

Chauvinistic computer
It's time someone programmed you
(Na, na, na, na, na)
You fall in love too fast and hate too soon
And take for granted the feeling's mutual
(The feeling's mutual!)
We're computers too
Just like you Computer Blue
男尊主義なコンピューター
貴方にプログラムを組込む時が来たわ
貴方はすぐに恋に落ちてあっという間に憎しみに変えてしまう
そして相手も同じ感情を共有して当然だと考える
でも私達もコンピューターなのよ
ちょうど貴方のようにね、コンピューター・ブルー

「Condition Of The Heart」は私の選ぶ曲の2位になります。この曲はアルバム「Purple Rain」から僅か10ヶ月後にリリースされた、1985年のアルバム「Around The World In A Day」に収録されています。私の中では、この曲は「Goodbye」と並んで特別な場所に位置する曲です。

「Condition Of The Heart」は紛れもなく天才の作品です。安易に「天才」という言葉は使いたくないのですが、この曲をそう表現しなかったら「天才」と呼べる作品などこの世に存在しないことになってしまうので、これはもう仕方がありません。これはそのくらい特別な曲です。

この曲について思うことを1つの文章にまとめきることは、私にはできません。私には、プリンスに関わることならおよそ全てのことがこの曲と繋がっているように感じられます。プリンスの可愛らしい子供の頃の写真を見ても、初めての TV 出演で American Bandstand の番組ホストと噛み合わないやりとりをする映像を見ても、「Dirty Mind」や「Controversy」の尖った時代の映像や音に触れても、1996年に子供を失った直後に平静を装って出演したオプラショウを見ても、2007年の Super Bowl ハーフタイムショウの「Purple Rain」でギターをかき鳴らし、マイクスタンドを押し倒して観衆の合唱を求める姿を見ても、「HITnRUN Phase Two」を聴いても、Piano & A Microphone ツアーの音源を聴いても、様々な時期のインタビューを読んだり聴いたりしても、いずれの場合も私は心のどこかでこの曲を思います。私がプリンスについてこれまで書いてきたブログ記事も、全て心のどこかでこの曲を思いながら書いたものです。


そうは言っても、この曲を特別なお気に入りとして選ぶというのは非常に珍しく、意外な選曲だと映るかもしれません。ファンの間でも、「Condition Of The Heart」が美しい曲だということまでは一応認知されていると思いますが、そこまで特別な評価はされていないと思います。

また、この曲を予備知識なしに聴いた場合、多くの人にとっての第一印象は、おそらく「何この変な曲?」となると思います。例えばこの曲では、本編に入る前に、初聴者を置いてきぼりにするような即興っぽい前奏が2分も続きます。これは「パリに住むとある少女に恋し、"foolhardy" (馬鹿げているほど無鉄砲) な思い付きで手紙を送る、時に孤独な音楽家」による情緒的な前奏です。私ぐらいになると "foolhardy" という単語だけで少し感傷的になってしまうのですが、耳に慣じむまでに時間がかかる曲であることは確かだと思います。また、曲の本編に移ってからのボーカルや演奏の表現力も、実際凄まじいの一言に尽きるのですが、とにかく全体的に「普通でない」ため、第一印象ではこれが美しい旋律を持った曲であるというところまでは注意がいかないのではないかと思います。

この曲について私が思うことを選んで書くのは難しいので、替わりに何か参考になる説明はないかと思っていたところ、スーザン・ロジャースの最近のインタビューでこの曲の名前が挙がっているのを見つけました。スーザンは、自身が関わったプリンスの作品の中で、最も愛着を覚える作品として「Around The World In A Day」を挙げ、その理由を、「Condition Of The Heart」が入っているから、と答えています。リンク動画の55分10秒頃からになります。正確に聞き取れているか分かりませんが、大筋の意味は取れていると思います。

  • Curtin Call: Susan Rogers Interview On Prince, Early Beginnings, Life After Prince, and Teaching

インタビュアー: So, which brings me to my next question. Do you, I know this is tough, but do you have a favorite album from your work with Prince? Either working on, or just listening back. I know it's tough, but you know. There's gotta be a favorite, or one that's closest to you.
次の質問に移ります。これが難しい質問だというのは承知の上でお聞きしますが、あなたが制作に関わったプリンスのアルバムの中で、一番のお気に入りの作品はどれですか? 制作に関わってでも、振り返って聴いてでもどちらでも構いません。難しい質問だというのは分かっていますが、特別なお気に入りって絶対あるものでしょう。最も愛着を覚えるものが。

スーザン: There kind of is. And um, the albums I did with him include these four that we've talked about, plus all but one track on the Black album that was the next ill fated record that came after this, or should I say didn't come out after this. Anyway, of all of them, I'll say I have to say I have a soft spot in my heart for Around The World In A Day.
まあ、あると言えると思います。私が関わったプリンスのアルバムはこれまでに話した4つ (「Purple Rain」、「Around The World In A Day」、「Parade」、「Sign O' The Times」) と、その次にリリースされた、もといリリースされなかったと言うべきでしょうか、不遇な運命を辿った「The Black Album」の8曲中7曲、になります。とにかく、その中で選ばなければいけないとしたら、私が特別に感傷的な愛着を抱くのは、「Around The World In A Day」になると思います。

I think, me personally, Condition Of The Heart is a work of genius. The whole album of Purple Rain is a work of genius. No question. Sign O' The Times is a work of genius. But, Condition Of The Heart is Prince, doing something he did very rarely. He's telling us how he feels. Because he did it so rarely, I think audiences probably didn't recognize it when they heard it.
私の個人的な意見では、「Condition Of The Heart」は天才の作品です。「Purple Rain」はアルバム全体が天才の作品です。これに疑問の余地はありません。「Sign O' The Times」も天才の作品です。しかし、「Condition Of The Heart」では、プリンスは極めて稀なことをしているんです。プリンスは、自分の心の内を語っているんです。これは非常に稀なことなので、おそらく曲を聴いたリスナーからも見落とされてしまうことかもしれません。

When he sings, "Acting on a whim is only good for a condition of the heart"... When he talks about "Wasn't that a foolhardy notion on the part of a sometimes lonely musician?"... He was lonely.
プリンスが、"気まぐれな行いは、せいぜい心臓の患いに良いくらいのもの" と歌う時、"時に孤独な音楽家の、馬鹿げた無鉄砲な想いだったのではないか?" と語る時… プリンスは、孤独だったのです。

Because he did what he needed to do in order to protect himself to be a star. You must cut off a part of your psyche to keep it alive. So that you can continue to create. And after Purple Rain, I think he was well aware, he'd be famous from them on. And life would never be normal.
プリンスは、スターでいる自分を守るために必要なことをしなければなりませんでした。それを守り続けるために、活動を続けるために、自分の精神を一部切り捨てなければならなかったんです。「Purple Rain」を発表した後、プリンスははっきりと気付いていたように思います。これでもう、以降の人生は有名人として生きることになったということに。そして、普通の人生に戻ることはもう不可能になったということに。

So, the people who wanted him, whether it's a dame in Paris, or a woman in London, or just whatever. The people who wanted him, the people who wanted to be near him, the people who spoke to him, From this point on, he would never know what they wanted. And he would always have to be skeptical.
だから、それがパリの婦人であっても、ロンドンの女性であっても、プリンスを求める人達、プリンスに近付きたいと願う人達、プリンスに話し掛ける人達、それ以降、そういった人達が心の底で本当は何を望んでいるのかを、プリンスはもう知ることができなくなってしまったんです。プリンスは常に人を疑って接しなければならなくなりました。

And life was changing. And he'd always be the boss. He'd always have employees. And the kid he had known was gone. The kid he'd known as himself was gone. The kid, in the movie Purple Rain.
そして生活も変わっていきました。プリンスは常にボスであり、常に従業員を抱えることになりました。そして "キッド" はいなくなりました。映画「Purple Rain」で、プリンスが自身を演じたキャラクターである "キッド" という青年は永遠に失われ、もう二度と戻らない存在になりました。

So, I think I feel a soft spot of affection because I remember him transitioning into that awareness at that time. And I remember the guy that I met going away. And a new guy coming in this place.
私は、プリンスがそのことを自覚した変化の時期を共にしたので、「Condition Of The Heart」に対して特別に感傷的な愛着を覚えるんだと思います。そして私は思い起こすんです。私が最初に出会った頃の "プリンス" が去って行き、新しい "プリンス" と入れ替わったのに気付いた時のことを。

And it's hard to understand unless I went into greater detail about having observed the artist experience the transfer that happens from being, "Huh, you're pretty good." to being "You are world class grade. You will go down in history." Watching an artist go through that process at the tender age of 25 or whatever, 26 at that time It's something to see.
そしてこれは、そのアーティストが通る経験、つまり、"ふーん、キミ、なかなかやるね" から "あなたはワールドクラスのアーティストだ。あなたは歴史に名を刻むことになる" となる時に起こる変化を目の当たりにし、より深く事情を知っていないと理解するのは難しいことです。当時弱冠25、26才のアーティストがその過程を通るのを目の当たりにするというのは、それはもう忘れられない光景なんです。

この曲について、ここまで明確にポイントを押さえた説明を見聞きしたのは私はこれが初めてなのですが、ここでスーザンが語っていることは、この曲が人によっては特別なものに感じられる理由を上手く説明できているように思います。リスナーが気付かないというのもその通りで、私は、この曲が特別なものであることに気付き、自分の中でその感覚が確信になるまでに、10年以上の歳月を要しました。英語では、最初はそこまででもなかった曲に段々と特別な愛着を覚えるようになることを "grow on me" と言ったりしますが、「Condition Of The Heart」は、長い年月をかけて今でも私の中で育ち続けています。


There was a girl in Paris whom he sent a letter 2
Hoping she would answer back now wasn't that a foolhardy notion
パリに住むとある少女に、彼は手紙を送った
返事が貰えることを願いつつ

On the part of a sometimes lonely musician?
Acting out a whim is only good 4 a condition of the heart
時に孤独な音楽家の、馬鹿げた無鉄砲な思い付きだったのではないか?
気まぐれな行いは、せいぜい心臓の患いに良いくらいのもの

There was a dame from London who insisted that he love her
Then left him 4 a real prince from Arabia
ロンドンのとある婦人は、彼が自分を愛していると言い張った
そして彼を置いてアラビアの本物のプリンスの元へと行った

Now isn't that a shame
That sometimes money buys U everything and nothing?
Love - it only seems 2 buy a terminal condition of the heart
なんと悲しいことなのだろう
時にお金で全てが買えて何も買えないなんて
愛 - それで買えるのはせいぜい末期的な心臓の患いくらいのもの

Oh - thinking about U, driving me crazy
Oh - my friends all say it's just a phase, but
Oh - every day is a yellow day
I'm blinded by the daisies in your yard
ああ、君を想うと気がおかしくなってしまう
ああ、友達は皆一時の気の迷いでしかないと言うけれど
ああ、毎日が黄色い日
君の庭のデイジーに目が眩む

There was a woman from the ghetto
Who made funny faces just like Clara Bow
ゲットーにとある女性がいた
まるでクララ・ボウのような面白い顔をする

How was I 2 know that she would wear the same cologne as U
And giggle the same giggle that U do?
Whenever I would act a fool, the fool with a condition of the heart
彼女が君と同じコロンを付けて
君と同じクスクス笑いをするなんて知りようがあったろうか?
僕が心臓を患うほど君に夢中で馬鹿げた振舞いをする時に

Oh - thinking about U, driving me crazy
Oh - my friends all say it's just a phase, but
Oh - every single day is a yellow day
I'm blinded by the daisies in your yard
ああ、君を想うと気がおかしくなってしまう
ああ、友達は皆一時の気の迷いでしかないと言うけれど
ああ、毎日が黄色い日
君の庭のデイジーに目が眩む

There was a girl whom he sent a letter 2
パリに住むとある少女に、彼は手紙を送った

She never answered back and now
遂に返事が来ることはなかった

He's got a condition of the heart
そして彼は、心臓を患った

歌詞で気になるところだと思いますが、クララ・ボウというのは、1920年代頃のモノクロのサイレントムービー時代に活躍した女優の名前です。

また、曲のタイトルである「Condition Of The Heart」については、"have a heart condition" で、"心臓病である、心臓疾患を抱えている"、といった意味になります。語の並びが変えられていることで、より深い詩的情緒が醸し出されています。

「Condition Of The Heart」は、元々は1985年のアルバム「Around The World In A Day」に収録されている曲です。この曲のプリンスバージョンは私の選ぶ曲の2位になります。ただ、この曲のプリンスバージョンは非常に複雑で意味が深く、説明が難しいので、その前に Susanna and the Magical Orchestra によるカバーバージョンを取り上げます。プリンスバージョンが非常に複雑な曲であるのとは対照的に、こちらは極端に簡素化されたカバーです。

ちなみに、昨年の9月から大変間が空きましたが、YouTube で実質的にプリンスを聴くことができなかった時代に、私が YouTube でよく聴いていたプリンスの曲3つが、これで全部揃いました。他の2曲は次の通り、以前記事にしています。


さて、我ながら了簡の狭い話なのですが、私は他アーティストによるプリンスのカバーを殆ど聴きません。それは大抵プリンスのオリジナルには存在していた要素が色々抜け落ちたものを聴かされることになってしまうためです。同じ理由で、私はプリンスのトリビュートも殆ど聴いていません。最初の頃は、話題になったものは義務感から一応チェックしたりもしたのですが、トリビュートされやすい有名な曲は、一見して親しみやすいように思えて、どこかのポイントで異常な能力幅を要求されるものばかりであるため、どうしてもその大事なポイントを避けた煮え切らないパフォーマンスにならざるをえません。どんなビッグネームがトリビュートをしようが、「プリンスの演奏能力の幅、ボーカル能力の幅、ステージパフォーマンスの幅、これらの全てをカバーできるアーティストは誰も存在しない」ことを再確認して残念な思いをすることになるし、それにプリンスの曲はプリンス以外の人がやるとしばしば曲の意味が失われてしまうので、個人的にはあまり積極的に聴こうという気になれません。

しかし、この「Condition Of The Heart」のカバーだけは例外で、以前から、ふとしたときに聴いています。アレンジはアンビエント系/雰囲気系といった感じで、ボーカルも演奏も極端に簡素化され、オリジナルに存在する様々な複雑な要素はごっそりと欠落しています。ただ、そもそもこの曲をオリジナルになぞって歌うのは無謀ですし、元々美しい曲を染み入るように歌っていて、これはこれでアリなカバーだな、と思います。

このカバーは2006年に発表されたようです。私がいつ頃このカバーを知ったのかは覚えていませんが、YouTube に誰かがアップロードしたものをよく聴いていました。しかしこのカバーは一時期 YouTube から消えており、現在唯一見つかるのは2015年にアップロードされたものです。私のオンラインショッピングの履歴をチェックすると、一時期 YouTube からこの曲が消え、梯子 (ラダー?) を外されてしまった私は、2013年にこれを単体 MP3 で購入していました。

とりあえず、カバーバージョンについてはこれで終わりにします。続いてプリンスのオリジナルバージョンを取り上げるつもりですが、そちらは曲の持つ意味があまりにも特別でありすぎるために、おそらく上手く纏められないであろうことを予め断っておきます。


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