OneH

主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

前回の記事では「Love... Thy Will Be Done」を取り上げました。簡単な曲の紹介と歌詞の和訳で、これが美しい曲であることは伝えられたと思いますが、なぜこれをこの世で最も美しい歌詞を持つ曲のひとつだと私が思うのか、その理由までは十分な説明をしませんでした。それは曲を単体で聴くだけでは分からないものであり、一つの記事にまとめると話が発散してしまうので、追記の記事を書くことにします。

今回はまず DETAILS という雑誌の1991年11月号の記事を紹介します。この記事は Chris Heath という英国の記者が、新アルバム「Diamonds And Pearls」を発売前に聴かせてもらいにペイズリーパークを訪れたときの出来事をまとめたものです。また、この記事は過去にも別の話題で紹介しています。

時代感を掴むための参考に、作品リリースの時系列情報です。

  • 1990年08月 - アルバム「Graffiti Bridge」発売
  • 1990年11月 - 映画「Graffiti Bridge」公開
  • 1991年08月 - アルバム「Martika's Kitchen」、シングル「Love... Thy Will Be Done」発売
  • 1991年10月 - アルバム「Diamonds And Pearls」発売

この記事から、筆者が「Graffiti Bridge」について訊ねるところを引用します。流れとしては、プリンスの話が、かつてスティーヴィー・ワンダーやジョニ・ミッチェルが批評家達の期待に沿わない作品を発表した時に一斉に批判を浴びせられせたことに及んだのを受けてのやり取りです。

It seems appropriate to mention Graffiti Bridge. He is not the slightest bit defensive.
そろそろ言及しても良さそうな頃合いかと思い、私は「Graffiti Bridge」について訊ねた。プリンスは言い訳がましいそぶりを微塵も見せることなく、平然と答えた。

"Some people got it," he counters. "Martika saw it six times."
「『Graffiti Bridge』を気に入ってくれた人もいたよ。マルティカは6回観たと言ってたしね」

His own mention of Martika leads him into a rapturous appreciation of the young Cuban pop singer. She is clearly the type of person he wishes all his audience, all the world, might be. "She is," he says, "like a flower unfolding."
プリンスはマルティカへの言及は、キューバ出身の両親を持つこの若い歌手への熱烈な称賛へと続いた。彼女は明らかに、プリンスが自身の全リスナーや全世界にこうなってほしいと願うタイプの人だった。プリンスは言う。
「マルティカは、まるでつぼみから咲き開こうとしている花なんだ」

"That's nice," says Martika when I speak to her a few days later. "I feel the same way about him. Though he's sort of unfolded already, I guess." Martika had been thinking about calling Prince for months. When she saw Graffiti Bridge (she says it's true, she has seen it six times) she noticed that a lot of the words were about the same things she had been jotting in her notebooks. So last December she flew out to Minneapolis to be with Prince. They sat down and she showed him her notebooks. He was impressed. She visited several times, taking four tracks they worked on together away to New York to finish on her own. She flew back to play him the whole LP and the video for their hit collaboration, "Love... Thy Will Be Done." When he watched the video, he was moved.
数日後、マルティカにこのことを話すと彼女は言った。
「それは嬉しいわ。私もプリンスに対して同じように感じるの。もっともプリンスの場合、既に花が咲いているとは思うけれどね」
マルティカは何ヶ月もの間プリンスに電話しようと考えていた。彼女は「Graffiti Bridge」を観て (6回観たのは本当なのだそうだ)、その多くの言葉が自分がノートに書き溜めたことと同じことを言っているのに気付いた。昨年の12月にマルティカはプリンスに会いにミネアポリスを訪れ、彼女のノートを見たプリンスは感銘を受けた。彼女はさらに数回ミネアポリスを訪れて共同制作した4曲を持ち帰り (注)、ニューヨークでレコーディングを完成させた。彼女は完成したアルバムと二人のコラボレーション「Love... Thy Will Be Done」のビデオを持って、プリンスの元を再び訪れた。プリンスはビデオを観て感動してくれたのだいう。

(注: 前回のマルティカのインタビューによると、プリンスとの直接のやりとりはノートのコピーのみで、歌詞やテープはファックスや郵送で受け取り、実際にはプリンスと一切会わずにレコーディングを完成させたとのことなので、この部分は記事の筆者が勘違いしたものと思われます。)

「Graffiti Bridge」という映画は、リアルタイムで正当な評価を受けるにはあまりにぎこちなく、またナイーブな作品でした。この作品は離れた場所から物事を見下す批評家達の格好の餌食となり、今も私達の多くがその呪縛にとらわれています。

しかしマルティカは違いました。皆が斜に構え、この映画がいかに酷い失敗作であるかを語る中、マルティカは周囲の雑音に惑わされず、正面から「Graffiti Bridge」の世界に向き合っていました。

映画の中で、キッドは疑問を投げかけます。

Are there really angels?
Or are they just in our mind?
It all comes out in the wash... in time.
天使は本当に存在するのだろうか。
それとも頭の中の妄想でしかないのだろうか。
いつか、全てが明らかになる時が訪れる……

そして、人は天使の言葉に触れたとき、その言葉を受け入れることができるのか

映画のストーリーでは、プリンス演じるキッドは時代遅れの神と愛の歌を歌い、流行りの音楽スタイルを取り入れないために仲間からも度々文句を言われます。ラッパーでありながら一度もラップをさせてもらえない T.C. Ellis もキッドへの不満を募らせます。キッドは人々から呆れられ、見放されたかのような状況に陥ります。

しかしヒロインのオーラはキッドを信じていました。オーラはキッドにこう伝えます。

オーラ:
Kid, you can't fight fire with fire.
When a man screams, you must learn to whisper.
You're gonna win, Kid.
Don't give up.
Don't ever give up.
キッド、火では火は消せないわ。
相手が叫び声を上げる時こそ囁かなくてはならないの。
あなたは勝てるわ、キッド。
諦めないで。
決して諦めないで。

キッドは天使の言葉に自分の心を委ねました。オーラの死に突き動かされ、キッドは「Still Would Stand All Time」を歌います。そして皆の心が一つになり、争いは終結します。物語は、キッドから延々と無視され続ける役を演じたラッパーの T.C. Ellis もびっくりのエンディングを迎えます。

T.C. Ellis: Man, can you believe it? The Kid won. And with a ballad. Damn!
おい、信じられるか? キッドが勝っちまったよ。しかもバラードで。何てこった!

ちなみに彼の願いは、物語が終わってエンドクレジットが流れる中で遂に叶えられます。誰もいない場所で一人ラップをする T.C. Ellis の姿は、まるで何かの罰ゲームのようで哀愁を誘います。

それはさておき、上のオーラの言葉は、「Love... Thy Will Done」のメッセージと重なることに気付きましたでしょうか。

Love... Thy will be done
I can no longer hide, I can no longer run
No longer can I resist Your guiding light
That gives me the power to keep up the fight
愛よ・・・あなたの御心のままに
私はもう隠れはしない、私はもう逃げはしない
私はもうあなたの導きの光を拒みはしない
あなたの光が私に戦い続ける力を与えてくれる

「Graffiti Bridge」は当時の批評家達からは見向きもされませんでした。いかにプリンスといえども一人の力では限界がありました。しかし、マルティカという瑞々しく若い、「つぼみから咲き開こうとしている花」を通して、そのメッセージは姿を変え、「Love... Thy Will Be Done」という一つの曲に昇華されることになりました。この曲は二人の共作であることに意味があります。プリンス単独の作品ではなく、あの当時に「Graffiti Bridge」を理解したマルティカからインスピレーションを得て生まれたからこそ特別な美しさがあります。「Love... Thy Will Be Done」は、単に美しいという以上の作品なのです。

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今日はプリンスの61回目の誕生日です。最初はこの日に「Violet The Organ Grinder」を投稿するつもりでいましたが、それは少々強烈すぎるので前倒しにしました。ならば別な曲をと考えているうちに、これしかないな、という気持ちになったので、この曲を取り上げます。


時を遡ること1996年1月8日、ジャパンツアーの武道館でのコンサートで、プリンスは次のように言い、この曲を歌いました。

Right now we'd like to do a love song. A love song to love. Originally recorded by Martika. This is called "Love... Thy Will Be Done". If it feel good to you, grab somebody by the hand, raise them up.

今度はラブソングをするよ。これは愛へのラブソング。オリジナルのレコーディングはマルティカ、曲の名前は「Love... Thy Will Be Done」。もしこれを気持ちいいと感じるなら、誰かと手を取り合って、その手を掲げるんだ。

どうでしょうか。

このライブバージョンを聴いて驚いた方もいると思います。

……などと平静を装った物言いをしましたが、これを聴いて心を打たれずにいることは果たして可能なのでしょうか? まず、幻想的で浮遊感のあるスタジオバージョンとは全く違う、力強いアレンジに驚かされます。次にプリンスの歌声がファルセットでなく地声のレンジなことに驚かされます。それだけでは留まらず、4分24秒頃にはプリンスは叫び声を上げながら最後のギターソロに入ります。衝撃的に、美しいです。


「Love... Thy Will Be Done」はプリンスとマルティカの共作で、マルティカのアルバム「Martika's Kitchen」(1991年) でリリースされた曲です。そして6月21日に一般発売される「Originals」にはプリンスのオリジナルバージョンが収録されることになります。

「Love... Thy Will Be Done」は、この世で最も美しい歌詞を持つ曲のひとつです。私は個人的にそう思います。この曲のタイトルはマルティカが歌詞を書き溜めたノートに書かれていた祈りの言葉です。プリンスはそのノートを見て感銘を受け、いくつかのページをコピーし、それをインスピレーションにこの曲を作りました。主にマルティカの言葉を紡いで作られたその歌詞には、言葉のひとつひとつに瑞々しく澄み切った若さと透明感があります。プリンスは、その世界を見事な音楽作品として形にしました。

この曲がどのようにして出来上がったかについての詳しい話は、マルティカが2012年にインタビュー記事で答えてくれています。マルティカは歌詞を書き溜めたノートを持ち、プリンスに会いにミネアポリスのペイズリーパークを訪れます。そのノートを見たプリンスはいくつかのページをコピーすると、後は自分に任せてと言い、マルティカはLAに戻ります。一週間ほどしてマルティカの元に歌詞が記されたファックスが届き、さらにその翌日には「Love... Thy Will Be Done」のトラックが録音されたカセットテープが届きます。その後、「Martika's Kitchen」など他の提供曲も届けられます。結局ノートをコピーさせた後、マルティカはプリンスに一度も会わないまま自分の作品の録音を完成させることになりました。マルティカは、プリンスと働くのは変わった体験だったと回想しています。

この曲タイトルは、多くの人にとってあまり馴染みのない英語表現だと思うので、少し説明します。

タイトルの一部として使われている「Thy will be done」という表現は、「Our Father in heaven / 天にまします我らの父よ」から始まる Lord's Prayer (主の祈り) に出てくるものです。ぱっと見混乱するかもしれませんが、この「will」は助動詞ではなく、「望み / 意図 / 意思」という意味の名詞です。そして「your」の古語である「thy」の主体が、ここでは「我らの父 (神)」ではなく「愛」に置き換えられています。タイトル全体を口語的な日本語にすると、「愛よ、あなたの望みに従います / 愛よ、あなたの意思に委ねます」といった具合になります。歌詞の和訳では「愛よ、あなたの御心のままに」としました。

正規の作品が手に入るのはもう少し先ですが、それと同じか近いと思われる音源はとうの昔に流出しているので……プリンスのオリジナルのスタジオバージョンをリンクします。

こちらはマルティカのバージョンです。

追記) なぜこれがこの世で最も美しい歌詞を持つ曲の一つと言えるのか、その理由を補足する記事を書きました。


Love... Thy will be done
I can no longer hide, I can no longer run
No longer can I resist Your guiding light
That gives me the power to keep up the fight
愛よ・・・あなたの御心のままに
私はもう隠れはしない、私はもう逃げはしない
私はもうあなたの導きの光を拒みはしない
あなたの光が私に戦い続ける力を与えてくれる

Oh Lord, Love... Thy will be done
Since I have found U, my life has just begun
And I see all of Your creations as one perfect complex
No one less beautiful or more special than the next
We are all blessed and so wise to accept
Thy will, Love, be done
ああ主よ、愛よ・・・あなたの御心のままに
愛よ、あなたと出会い私の人生は始まった
あなたの創造は全てで一つの完璧な複合体をなし
そのいずれにも互いに美しさや特別さの優劣はない
私たちは須く祝福され、受け入れる思慮を持つ
愛よ、あなたの御心のままに

Love... Thy will be mine
And make me strive for the glorious and divine
I could not be more, more satisfied (Satisfied)
Even when there's no peace outside my window, there's peace inside
And that why I no longer run (I no longer run)
Love... Thy will be done
愛よ・・・あなたの御心を私に
私を輝かしく神聖なものへと突き動かしてくれる
私にはこれ以上満ち足りた状態はない
たとえ窓の外には安らぎがなくとも、内には安らぎがある
だから私はもう逃げはしない
愛よ・・・あなたの御心のままに

Love... Thy will be done
I can no longer hide, I can no longer run
Oh Love... Thy will be done
Thy will, Love, be done
愛よ・・・あなたの御心のままに
私はもう隠れはしない、私はもう逃げはしない
ああ、愛よ・・・あなたの御心のままに
愛よ、あなたの御心のままに

Oh, no longer can I resist (No)
The guiding light (Guiding light)
The light that gives me power to keep up the fight
I couldn't be more satisfied (No)
Even when there's no peace outside my window, there is peace inside
And that's why I can no longer run
Love, thy will be done
Love, thy will be done
Love, thy will be done
Oh!
もう私は拒みはしない
その導きの光
私に戦い続ける力を与えてくれる光
私にはこれ以上満ち足りた状態はない
たとえ窓の外には安らぎがなくとも、内には安らぎある
だから私はもう逃げはしない
愛よ、あなたの御心のままに
愛よ、あなたの御心のままに
愛よ、あなたの御心のままに
ああ!

Love... Thy will be done
I can no longer hide, I can no longer run
Oh Love... Thy will be done
Thy will, Love, be done
愛よ・・・あなたの御心のままに
私はもう隠れはしない、私はもう逃げはしない
ああ、愛よ・・・あなたの御心のままに
愛よ、あなたの御心のままに

Oh Love... Thy will be done
I can no longer hide, I can no longer run
Oh Love... Thy will be done (Sing it)
Thy will, Love, be done (Glory, glory, glory)
Thy will, Love, be done (Glory)
Thy will, Love, be done
ああ、愛よ・・・あなたの御心のままに
私はもう隠れはしない、私はもう逃げはしない
ああ、愛よ・・・あなたの御心のままに
愛よ、あなたの御心のままに
愛よ、あなたの御心のままに
愛よ、あなたの御心のままに

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I am Violet the Organ Grinder
And I grind all the live long day
I live 4 the organ, that I am grinding
I'll die, but I won't go away
我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
我はひねもすグラインドし続ける
我は生きる、我がグラインドするこのオルガンのために
我はいずれ死ぬ、だが我が消え去ることはない


フィットネスとダイエットの話題がメインだったこのブログに、プリンスの話題が割り込むようになって3年と少しの月日が経ちました。いつのまにかブログの比重も変わって、今では記事数もプリンスの方が多くなりました。

フィットネスとダイエットの話題を期待して私のブログを見た方は、私のブログがこんなことになったことを不思議に思うかもしれません。なので、過去にどこかで言ったことの繰り返しになりますが改めて言います。私がこうしてプリンスについてブログ記事を書くようになった理由は、私がプリンスが好きだから、ではありません。私にいわゆるプリンス愛があるから、でもありません。そのような小さな理由ではなく、それよりもずっと大きな理由があります。

私たちが生きている時代において、プリンスというアーティストは、才能という点では世界最高の存在です。二番目以降が誰になるのかは知りませんが、世界最高は誰かと訊かれたら、私にはその人物はプリンス以外考えられません。

私はずっと、プリンスが音楽評論家から殆ど語られることがないのは、プリンスの存在があまりに畏れ多いからだと思っていました。少なくとも私がプリンスの話題をずっと避けてきたのはそれが理由です。しかし、雑誌の追悼特別号を買ってその内容の酷さに驚き、実はプリンスは畏れ多いから避けられていたわけではなく、単にまともに聴かれていなかったのだと気付きました。

プリンスは他者に影響を与えても、その影響は常にプリンスのサブセットにとどまります。そこからさらに発展し、オリジナルを超越した芸術が花開くことはありません。そしてそんなことは今後も起こらないでしょう。皮肉にもプリンスは唯一無二であったがために、それを受け継ぎ発展させる人物がおらず、歴史上の特異点としてでしか存在できません。語られることがなくなれば、価値を知る人もいなくなります。プリンスがいかに偉大なアーティストであったのか、たとえ上手く言葉にできなくとも、それを語るのはとても大切なことだという思いから、私はこのブログを書いています。


天才。

いえ、真の天才がこの曲にあります。

広い意味では、天才とは優れた才能、または優れた才能により素晴らしい作品を生み出す人を言います。しかし、それだけでは真の天才とは言えません。優れた才能に加え、他の誰にも真似のできないオリジナリティを持ち、信じ難いような突出した作品を創り出して、人は初めて真の天才と呼ばれます。

「The Violet The Organ Grinder」は、1990年代の化け物曲とも言える「Gett Off」からスピンオフして出来た曲です。日本では「Gett Off」と「Cream」のマキシシングルを纏めた全13曲のミニアルバム「Gett Off Remix EP」(1991年) の収録曲としてリリースされました。これは「Gett Off」と「Cream」のそれぞれの曲に収まり切らずに溢れ出たアイデアを掬い取って出来たような作品で、全体的には感じの良い雰囲気の曲が並びます。「Gett Off」のもう一つのスピンオフ曲「Gangster Glam」にも、胸のすくような爽快感があります。他の例として、短くてすぐ聴けるので、1分31秒のインストゥルメンタルの小曲「Get Some Solo」をリンクします。ギターはプリンスなのかリーヴァイ・シーサー・Jr (Levi Seacer, Jr.) なのか分かりませんが、とても小気味の良い曲です。

そんな心地良い作品に、他とは雰囲気を異にする曲が一つ含まれています。それが今回取り上げる「Violet The Organ Grinder」です。

おいてきぼり。

それが私のこの曲との最初の出会いでした。プリンスは一体何を考えてこんな曲を作ったのだろう? この曲を聴いたリスナーは一体どんな反応をすればいいのだろう?

当時の私はただ困惑するばかりでした。「Gett Off Remix EP」には歌詞カードがなく、当時はこれが何を歌った曲なのか分かりませんでしたが、プリンスの不気味なコーラスは私を困惑させるのに十分でした。

そして歌詞を知っている現在、私の困惑はますます強まっています。普通、逆じゃないのでしょうか。歌詞の意味が分かったらスッと腑に落ちて作品の凄さに感激する、それが大抵のプリンスの曲で私に起こることです。いや、この曲を聴いて凄いというのは強く感じます。鬼気迫ると言って良いです。ただ、この曲の凄さは一筋縄では行かなすぎます。

この曲のタイトルにある「organ grinder」とは、大道芸の手回しオルガン奏者のことです (Wikipedia の Street organ のページ)。この曲でプリンスは、かつてオルガン・グラインダーとして史上最高の名コンサートをしたと言います。

That now serves as a reminder
On the wall of U and I the organ grinder
In the greatest concert of them all
それで思い出すんだ
君の壁とオルガン・グラインダーの僕による
史上最高の名コンサートをね

しかし、この曲のミュージックビデオのどこを見ても手回しオルガンは出てきません。

前々回の「Vicki Waiting」のオルガン・ジョークを思い出してください。オルガンをガランとした大聖堂で演奏した、という表現が出てきましたが、その意味は楽器のオルガンではありませんでした。そして前回の「Le Grind」も思い出してください。つまり、この曲のオルガン・グラインダーとは、手回しオルガンの演奏とは全く別なことをやっていることが想像できると思います。いえ、わざわざ想像しなくてもビデオの次のシーンを見ると……

I took all the pictures U gave me
And I placed them right under my bed
And I pumped and I pumped
'Til the 'gasm much as jumped
From my feet 2 the top of my head, oh boy!
君がくれた写真を全部集めて
ベッドの下に入れたんだ
そして僕は突いて、突いたのさ
それは突き抜けるほどの絶頂だったよ
僕の爪先から脳天まで突き抜けるほどのね
ああ、凄い!

violet-the-organ-grinder-oh-boy

[Chorus]
I am Violet the Organ Grinder
And I grind all the live long day
I live 4 the organ, that I am grinding
I'll die, but I won't go away
我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
我はひねもすグラインドし続ける
我は生きる、我がグラインドするこのオルガンのために
我はいずれ死ぬ、だが我が消え去ることはない

I am Violet the Organ Grinder
And I grind all the live long day
I live 4 the organ, that I am grinding
I'll die, but I won't go away
我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
我はひねもすグラインドし続ける
我は生きる、我がグラインドするこのオルガンのために
我はいずれ死ぬ、だが我が消え去ることはない

[Ad lib]
Ooh, wait a minute, I think U better trip on this
Ooh, wait a minute, I think U better trip on this
ちょっと待ちなよ、君もコイツでトリップしなよ
ちょっと待ちなよ、君もコイツでトリップしなよ

[Verse 1]
I was on my way 2 another room
When an image of U sweetly
Appeared in the mirror
Perhaps U recall
U and I were neatly
In the middle of a Crystal Ball
That now serves as a reminder
On the wall of U and I the organ grinder
In the greatest concert of them all
僕は別の部屋に行く途中だったよ
そしたら君の姿が素敵にも
鏡越しに現れたんだ
君も覚えてるかな
君と僕は丁度良く
クリスタルボールの真ん中にいた
それで思い出すんだ
君の壁とオルガン・グラインダーの僕による
史上最高の名コンサートをね

[Chorus]
I am Violet the Organ Grinder
And I grind all the live long day
I live 4 the organ, that I am grinding
I'll die, but I won't go away
我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
我はひねもすグラインドし続ける
我は生きる、我がグラインドするこのオルガンのために
我はいずれ死ぬ、だが我が消え去ることはない

[Verse 2]
Did U know that I still have your stockings?
I keep 'em in a drawer next 2 your brassiere
Come hither, my sweet, lend me your attention
Come hither lend my your ear
I do believe that my piano was stolen
I do believe that U want me near
Well I can deal with a sucker
If he's in your mouth
But I can't deal with insincere
I'm the one that lives in your heart
U love me, no matter what U say
Swear U don't miss the organ grinder
Grinding on U every day
僕がまだ君のストッキングを持ってるのは知ってるかな?
君のブラジャーと一緒に引出しに保管しているよ
こちらに来てよ、ちょっと注意を傾けてほしいんだ
こちらに来て耳を貸してよ
僕のピアノは盗まれたに違いないと僕は思うんだ
君は僕に傍にいてほしいに違いないと僕は思うんだ
僕はクズなんかに取り乱したりはしないさ
そいつが君の口の中に入ったとしてもね
だけど僕は不誠実は許さない
君の心の中で生きているのは僕なのさ
君は僕を愛してる、君が口では何と言おうともね
言ってみなよ、オルガン・グラインダーは恋しくないって
オルガン・グラインダーが君にグラインドする毎日は恋しくないって

[Modified Chorus]
I am Violet the Organ Grinder
(I am Violet the Organ Grinder)
And I grind all the live long day
(And I grind all the live long day)
(Check this out)
我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
(我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット)
我はひねもすグラインドし続ける
(我はひねもすグラインドし続ける)

[Ad lib]
Ooh, wait a minute, I think U better trip on this
ちょっと待ちなよ、君もコイツでトリップしなよ

[Verse 3]
I took all the pictures U gave me
And I placed them right under my bed
And I pumped and I pumped
'Til the 'gasm much as jumped
From my feet 2 the top of my head, oh boy!
君がくれた写真を全部集めて
ベッドの下に入れたんだ
そして僕は突いて、突いたのさ
それは突き抜けるほどの絶頂だったよ
僕の爪先から脳天まで突き抜けるほどのね
ああ、凄い!

[Chorus]
I'm Violet the Organ Grinder
And I grind all the live long day
I live 4 the organ, that I am grinding
I'll die, but I will not go away
我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
我はひねもすグラインドし続ける
我は生きる、我がグラインドするこのオルガンのために
我はいずれ死ぬ、だが我が消え去ることはない

[Ad lib]
Ooh, wait a minute, I think U better trip on this
ちょっと待まちなよ、君もコイツでトリップしなよ

[Bridge]
Like a puppy, I licked your devotion
From your neck from your eyes from your ears
When U cry, I became your emotion
And if U ever cry like that again
I'll be here
君の献身的な愛を、僕はまるで仔犬のように舐めたよね
君の首からも、君の目からも、君の耳からも
君が泣く時は、僕は君の感情になったよね
もし君がまたそんな風に泣くことが起こっても
僕はここにいるよ

[Chorus]
'Cause I'm Violet the Organ Grinder
And I grind all the live long day
I live 4 the organ, that I'm grinding
I'll die, but I won't go away
何故なら我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
我はひねもすグラインドし続ける
我は生きる、我がグラインドするこのオルガンのために
我はいずれ死ぬ、だが我が消え去ることはない

[Ad lib]
Not even...
(Peace 2 the mutha)
(Who turned the mother out)
決して・・・

[Chorus]
I am Violet the Organ Grinder
And I grind all the live long day
I live 4 the organ, that I am grinding
I'll die, but I won't go away
我は手回しオルガン奏者のヴァイオレット
我はひねもすグラインドし続ける
我は生きる、我がグラインドするこのオルガンのために
我はいずれ死ぬ、だが我が消え去ることはない

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