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主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

前回からの続きです。前回は、プリンスの音楽をきちんと聴くためにはヘッドホンやイヤホンがほぼ必須アイテムであり、また、この点においてプリンスと比較できるアーティストは他に誰もいない、ということを書きました。今回は、その具体的な例として次の2曲を取り上げます。この2曲を一緒に取り上げる理由は、「Thunder」は「When Doves Cry」の焼き直しと批判されることがあるためです。

  • 「When Doves Cry」 (1984年、Purple Rain)
  • 「Thunder」 (1991年、Diamonds And Pearls)

唐突ですが、昔、学校の古文で出てきた徒然草の「仁和寺 (にんなじ) にある法師」という話を覚えているでしょうか。仁和寺のある僧侶が、岩清水八幡宮を拝もうと旅行したが、付属の神社などを本体と勘違いし、本体である岩清水八幡宮には参拝しないまま、帰ってきてしまった、という話です。

個人的に、「Thunder」は「When Doves Cry」の焼き直しという批判は、この話と似ていると思います。 プリンスの音楽を聴いてそのような批評しか出てこないというのは、とても残念なことです。まるで、山の上に岩清水八幡宮の本体があることを知らず、ふもとの神社だけを見て「ありがたや、ありがたや」とお参りして帰ってくるようなものです。

「仁和寺にある法師」では、教訓として、話は次の言葉で締め括られます。プリンスの音楽を聴いていても、これは身に沁みる言葉だと思います。

すこしのことにも、先達 (せんだち) はあらまほしき事なり
(ちょっとしたことにも、その道の指導者・案内者はあってほしいものだ)

When Doves Cry

「When Doves Cry」は言わずと知れた「Purple Rain」からの大ヒット曲で、1984年の Billboard 年間1位になったシングル曲です。荒涼としたマルチトラックボーカルが印象的で、巧妙にベースラインが取り除かれている見事な曲です。しかし、パッと聴いた感じでは、サウンドにはすき間が目立ち、曲は単調なメロディの繰り返しでしかないようにも感じられます。プリンスを知らない人が聴けば、「大ヒットしたという割にはずいぶんシンプルな曲だな、プリンスってこんなものか」という感想を抱くかもしれません。

しかし、この曲をまともなヘッドホンで聴くと、その感想は一変するはずです。

Dig if u will the picture / Of U and I engaged in a kiss
想像してごらん / 君と僕がキスに夢中になっているところを

最初に歌われるこのラインの後、注意深く聴くと「パッチン」と指を鳴らす音がします。この「パッチン」という音は、曲の中でこの一回しか出てきません。

また次の歌詞では、それぞれのラインの区切り毎に、プリンスは、仔犬が甘えるときのような声を出して懇願します。プリンスがこんな声を出すのも曲の中でこのときだけです。ちなみに、歌詞はこの後、お腹の蝶々が云々…と続きますが、これは別にお腹が空いているのではなく、英語では苦しい恋心を訴えるようなニュアンスの表現になります。

Touch if U will my stomach
僕のお腹を触ってごらん
Feel how it trembles inside
中で震えているのを感じるだろう

普通に聴いたのではあまり目立たないバランスで挿入されているこれらの仕掛けは、なんだそんなことか、と思うような小さなものかもしれません。しかし、ヘッドホンで聴いた場合、これらの仕掛けは突如として存在感を増して響き出します。思いがけずドキッとさせられ、曲はより印象深いものへと変化します。

実のところ、表面的に聴くとシンプルで単調に感じられるこの曲は、フルでは6分近くの長尺曲であるにもかかわらず、同じものが繰り返されることは一度たりともありません。印象的なシンセのエンディングに向かって、最初から最後までずっと変化を続けながら曲は展開していきます。この曲をヘッドホンで聴くと、シンプルで単調な曲という印象がとんでもない勘違いであることを思い知らされます。実際、これほど「複雑」なポップソングというのは、他にはまずないのではないでしょうか。

Thunder

続いて「Thunder」です。個人的な話で恐縮ですが、1991年のアルバム「Diamonds And Pearls」のオープニングを飾るこの曲は、私にとってプリンスの原体験ともいえる曲です。このアルバムからプリンスを聴き出した私は、それまで聴いたことのない、ぶ厚いマルチトラックのボーカルや、たった1曲の中で、まるで魔法のように次から次へと目まぐるしく湧き出てくる大量のメロディに、「なんてとんでもない音楽なんだ」と驚かされました。ちなみに、「When Doves Cry」はその前に聴いたことがありましたが、英語が分からず「鳩が…あの公園にいるくすんだ灰色の鳩が…鳴くとき?ポッポ?」という理解力だったのと、「ビートに抱かれて」という邦題のせいで、まさかあんなに深い曲だとは思いもよらず、プリンスに特別な印象を抱くことはありませんでした。

それにしても、当時、アルバム「Diamonds And Pearls」は音楽評論家からずいぶんと酷評を受けました。特に「Thunder」は、日本ではファンの間でもプリンスの歴代ワーストソングか、というくらい悪い評価を受けているイメージが私にはあります。

まあその話は置いといて、この曲に関しては、Peach & Black Podcast のレビューを紹介したいと思います。レビュアーが変われば評価も変わるということで、このポッドキャストでは、 4人の意見は満場一致で、「Thunder」はグレイト・ソングという評価でまとめられています。その中でも Captain という人のレビューが特に傑作なので、発言を少し切り取りながら紹介します。内容もさることながら、話しぶりが興奮気味で面白いので、英語が分からなくても一聴の価値があります。紹介しているのは5分9秒頃からの部分です。

Captain: それはそうとして、この曲については話すことが沢山あるよね。それを語るのは僕はやぶさかではないけどね。もちろんこの曲は、あのプリンスならではのマルチトラックボーカルで始まる。多分アルバム全体においても、プリンスのマルチトラックボーカルの凄さが最もよく分かる部分だと思う。もしもプリンスのマルチトラックボーカルの凄さを知らなかったとしたら、この曲を聴くといいよ。まさにこの1曲目で惜しみなく披露してくれているからね。続いてぶっといベースがあって、トライアングルが鳴って…

Toejam: トライアングル!

Captain: トライアングルね。これ鳴らすのスキル要るからね。そして25秒のところで、僕のお気に入りのパートになる。あの、「Partyman」のミックスのひとつで出てくるのと同じぶっといギターサウンドね。Musical Portrait って TV ドキュメンタリーで、「Partyman」に合わせてプリンスがベースギターを演奏しているのを見たことがあれば、それと同じやつだよ。同じやつ。

MC: へぇ、それは確認しなきゃ。

Captain: ああ、この曲は延々と語ってしまいそうだよ。続いて "Yeah, yeah, yeah" があって、あの "Ding, ding-ding-ding-ding-ding, ding, ding, ding" っていうメインリフになる。だけど、そのバックグラウンドでは別のシンセのリフが重なるんだ。

Toejam: ああ、そうだよね。

Captain: それも全く別のメロディでね。"Du-du-du-du-du-du-du-du..." って。これが凄く良いんだ。あ、僕は歌上手くないからね。それは指摘しなくていいよ。そして第1ヴァースでは、ウッドブロックみたいな音が出てくる。これはカウベルではなくってウッドブロックだと思う。

Toejam: ウッドブロック!

Captain: それが (ヘッドホンで聴くと) 右に左に散りばめられている。そして第2ヴァースでは、ヘッドホンで聴くと分かるんだけど、巨大なシンセ音が右に左にうねるように鳴り響く。そして90年代クラシックな歯切れいいピアノが鳴る。そしてこの曲のギターワーク。この曲のギターワークは、これまた素晴らしくキレが良いんだ。

それと、MC も言っていた "Only the children born out of me (= Jesus) will remain" のところね。あそこは凄くクールなんだよ。なぜならば、意図的なのかどうかは分からないんだけど、プリンスはバックボーカルで、"will remain" を凄く短く歌うんだ。だけど、メインボーカルでは、ここを長く伸ばして歌ってるんだよ。聴くと分かるんだけど。意図的にやったのか、たまたまこんなトリッキーなことになったのかは分からないんだけど。

そして、3分41秒頃に大きなブレイクダウンがあって、ボーカルがバシッと決まる。そういえばプリンスは自分の声で、楽器としてベース音を出してるよね。"Hmmm" っていう低音が通して使われている。それも凄く格好良い。4分36秒からはギターソロで、リードシンセも重なって、それにバックグラウンドのシンセラインも良いよね。5分26秒からはパワーコードが始まって、頭がぶっとばされるような勢いになって、曲は終わる。グレイト・ソングだよね

「Partyman」に合わせてベースギターを演奏するシーンというのは、1989年の Musical Portrait という TV ドキュメンタリーのことです。このドキュメンタリーには、プリンスがスタジオでベースギターを演奏する、短いけれども超絶に格好良いシーンがあります。下のリンクで2分54秒頃からです。

また、ポッドキャストでは、この前にまず MC という人がレビューをしており、この曲を喩えて「万華鏡 (kaleidoscope)」のようだ、と評しています。この人は、プリンスが作る複雑なサウンドを指してこの言葉をよく使います。「Thunder」において、サウンドが目まぐるしく色を変える様子は、まさに「万華鏡」という表現がぴったりだと思います。

しかも恐るべきことに、これだけのものをプリンスはたった一人で作り上げているのです。「When Doves Cry」も「Thunder」も、ボーカルや演奏は全てプリンスによるものです。

おわりに

今回、プリンスの音楽をヘッドホンで聴くとどうなるかの具体的な例として、「Thunder」と「When Doves Cry」の2曲を取り上げました。両者は似ていると言われることがありますが、実際にこれらをヘッドホンで聴いた場合、そのような感想を抱く余地はなかなか出てこないのではないかと思います。

一方で、上記で紹介したポッドキャストでは、この後、「Thieves In The Temple」、「Thunder」、「7」の3曲はまとめて三部作みたいだよね、という議論が出てきます。個人的には、こちらの組み合わせはかなりしっくりきます。アラビア風だったりエジプト風だったり、オリエンタルな雰囲気を持っているのと、マルチトラックのボーカルが繋がりを感じさせます。

少し余談になるのですが、マイテの本「The Most Beautiful」の第3章に、こんなやり取りが出てきます。それはマイテが初めてプリンスのコンサートに行ったときのことです。本当はその日は別なことをする計画もあったのですが、プリンスのコンサートが Nude Tour という名前であることを知ったマイテのお母さんの即決により、家族はプリンスのコンサートに行く方を選びます。そして、そのバルセロナの地でのコンサートで、プリンスは「Thieves In The Temple」を演奏します。これを聴いてマイテのお父さんは興奮し、マイテの腕を掴んでこう言います。

Mayte, do you hear that? It's Arabic - this music - this is your music!
マイテ、聴こえるか? これはアラビックだ - この音楽 - これはお前の音楽だよ!

マイテのお母さんも一緒になってマイテを急き立てるので、マイテは苦笑いをする、というエピソードです。

このときはただのオーディエンスでしかなかったマイテは、後にプリンスと出会い、そしてわずか2年ほどの時を経て、「7」のミュージックビデオに登場し、プリンセス役としてプリンスと一緒に踊ることになります。「Thieves In The Temple」、「Thunder」、「7」の3曲はまとめて三部作と言われると、個人的にはこのマイテのエピソードを思い出します。

これでプリンスとヘッドホンについてはお終いかと思いきや、もうちょっとだけ続きを書くつもりでいます。

今回の話は、日本の音楽評論家によって語られることはほぼないような気がするのですが、これに触れずしてプリンスの音楽を語ることなかれ、というくらい重要なことです。何となく遠慮して先延ばしにしていましたが、本来であれば一番最初に言いたかったことです。

そのこととは、これです。

プリンスの音楽をきちんと聴くためには、ヘッドホンやイヤホンは、殆ど必須と言って良いくらいに重要なアイテムです。

何だそんなことかと思うかもしれません。しかし実のところ、この一点だけを持ってしても、プリンスは他のどんなアーティストとも違う、と言い切ることができます。これはそれほど特異な特徴であり、この特徴を持つアーティストというのは、おそらくプリンス以外には誰もいません。というのも、プリンスの場合、ヘッドホンやイヤホンが必要になる理由が、他のアーティストとは根本的に異なるのです。

ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴く利点というと、普通、より良いサウンドや臨場感を楽しんだり、周囲に迷惑をかけずに音楽を楽しんだりできることなどが挙げられると思います。もちろん、プリンスを聴く場合であってもこれは当てはまります。しかし、これだけの理由であれば、ヘッドホンやイヤホンは必須アイテムというほどのものではありません。プリンスの場合、これとは全く別の理由からヘッドホンやイヤホンを使用する必要が生じます。

今回の話はプリンスの音楽をよく聴く人には納得してもらえると思うのですが、どこの馬の骨かも分からない私が力説してもあまり説得力がないので、替わりに Peach & Black Podcast の Musicology レビューでのやり取りを意訳して紹介します。

MC: ここで少しだけプリンスをヘッドホンで聴くことについて触れておこうかな。このアルバムは、というか、どのプリンスのアルバムでもそうなんだけど、僕らのレビューを聴いた後は、あるいはそれに限らずプリンスのアルバムを聴く時は、機会があればヘッドホンで聴いてみてほしいんです。

Captain: それもショボイやつじゃなくて良いヘッドホンでね。ゼンハイザーとか、マトモな品質のヘッドホンね。イヤホンとかショボいやつが多いからね。

Toejam: それは本当に同意するよ。ヘッドホンだと、プリンスの音楽はクるんだよね。その、よりクるんだよね。まともなヘッドホンで聴くとね。

MC: それも遥かに。今回は Musicology のレビューだけど、少しプリンスをヘッドホンで聴くことについてコメントしておこうかな。これはこれだけで一つの独立したポッドキャストが作れるような話題だけど。プリンスを、他の商業的に売られているポピュラー音楽のアーティストと比べると……僕は実際に様々なタイプの音楽をヘッドホンで沢山聴いた上で言っているんだけど、そういった音楽は、どれも、ヘッドホンで聴いても完全に同じように聴こえるだけか、あるいは、ヘッドホンで聴くことによって寧ろがっかりさせられる (makes me appreciate it less) かのどちらかなんです。なぜならば、曲が単純すぎるか、結局のところ大して手の込んだものが入っていないかのどちらだから。だけど、プリンスの場合は、それが逆転するんです。

普通、ヘッドホンで音楽を聴くと、より良いサウンドが楽しめてハッピーな気分になるものだと思います。なので、ヘッドホンで音楽を聴いて逆にがっかりするというのは、多くの人にとってはあまり馴染みがない感覚かもしれません。しかし、プリンスを知っていると、他の音楽を聴いたときに本当にこういう感覚になります。

一般に流行っているポピュラー音楽の場合、ヘッドホンで聴き直したときに、「曲に驚く」ということは殆ど起こらないのではないかと思います。大抵こういった音楽は、ヘッドホンで聴いたらどうなるかは事前に予測できるものです。なぜならば…それは既に知っている曲がそのまま流れてくるだけだからです。変わるのはあくまでサウンドであって、大元の曲自体が変化するわけではありません。「サウンドに驚く」ことはあっても、「曲に驚く」ことは殆どないのではないかと思います。

しかしプリンスは違います。プリンスの場合、既に知っているはずの曲であっても、ヘッドホンやイヤホンで聴き直したら事前に予測した範囲外のものが出現し、大元の曲そのものが変化して驚かされる、ということが何度も起こります。それまで存在を認識していなかった仕掛けが突如として姿を現したり、平坦だと思っていたのに実は微細な突起物があり全く平坦ではなかったり、単純な曲だと思っていたのに実はそれまで気に留めていなかった展開があり全く単純な曲ではなかったり、ということが何度も起こります。また、プリンスにはただ聴き流したのでは意味を見落としてしまうような曲も多いので、ヘッドホンやイヤホンを使い、音楽をより耳に入ってきやすい環境で聴くことによってそれに気付くチャンスが増えます。こういった理由により、ヘッドホンやイヤホンで聴くプリンスの音楽は、時に普通に聴くのとは別の音楽である、と言えるほどの違いをもたらします。

いったんここで終わりにします。次の記事では、これが具体的にどういうことを言っているのか、少し例を出して続きの話を書くつもりでいます。

2006年のアルバム「3121」からもう一つ、「Beautiful, Loved And Blessed」を取り上げます。この曲は、アルバムの中でプリンスがサポートに回る唯一の曲で、リードボーカルを主に歌うのは女性シンガーのテイマーです。

プリンスには、後になってから意味に気付くような曲や、後になってからより深い意味が与えられる曲が沢山ありますが、これもその一つだと思います。この曲の第2ヴァースには次の歌詞があり、このパートはテイマーではなくプリンスが歌います。プリンスが自ら書く予定でいたという自伝、実際に取り掛かっていて、50ページほど書き進めていたという話をどこかで読んだような気がしますが、この曲の美しさに触れるにつけ、ついつい感傷的な気分になります。

If I were 2 ever write down my life story
I could truly say with all the fame and glory
I was just a piece of clay in need of the potter's hand
もしも私が自伝を書くことがあれば
大いなる名誉と栄光の下に心から言うだろう
私は陶芸家の手を必要とする、ただの一塊の粘土だったと

それはそうとして、今この曲を単体で聴いて初めて知ったという方は、これはとても良い曲だと思うのではないでしょうか。メロディーはキャッチーだし、歌詞も美しいし、一聴しての印象はかなり良いのではないかと思います。

しかし個人的には、この曲に対しては素晴らしく美しいと思う反面、何とも煮え切らない気持ちがあります。何かこう、何と言ったら良いのか…。その煮え切らない思いを、歯に衣を着せずにズバッと言ってしまっているポッドキャストがあるので紹介します。このブログで何度か紹介している Peach & Black のレビューです。このレビューでは、この曲はアルバムの最低曲ということで全員意見が一致して、延々と愚痴が続きます。1:39:20頃からの最後のまとめ部分だけ取り出して、雰囲気で適当に訳しました。文字にすると結構キツいかもしれませんが、実際聴くと面白いです。

MC: 続く10曲目は「Beautiful, Loved And Blessed」。この曲は…

〜全員ひたすら延々とこの曲に関する愚痴 (笑)。省略〜

Toejam: テイマーの声は悪くないと思うよ。でも、最近プリンスと一緒にやっている、シェルビーやマーヴァ・キングといったシンガーを思うと、個人的に、ボーカルに個性のないテイマーは、3人の中では間違いなく一番下の順位になるね。

Captain: だからテイマーのアルバムはお蔵入りになったのかもね。

MC: あのーちょっといいかな? この曲については言い訳しか出てきてないような気がするんだけど。かれこれ10分くらい、話しているのはそればっかりになってるよ。

Captain: まあこれは口ずさむのに良いね。明るくて… だけど大した曲じゃないよね。

MC: みんな、そろそろまとめに入りたいんだけど、いいかな?

All: いいよ。

MC: この曲は、とても平凡。それなりなビート、それなりにファンキーなアウトロ。ファンキーっていうのは… だってプリンスだからね。

Captain: この曲のレベルに合った程度のファンキー具合ね。

MC: そうだね。とにかく凡庸。プリンス・ロジャース・ネルソンというアーティストの全作品を見渡しても、僕にとって、これは商業リリースされたプリンスの全曲の中で、最低の10曲に入ると思う。それがこの曲に対する僕の気持ち。それほどこの曲は凡庸だってこと。この曲に悪い所や酷い所は一切ないよ。だけど所詮は平凡な R&B 曲なんだよね。
そんな曲がプリンスというアーティストの「3121」という標準レベルを遥かに越えたアルバムの中に入っているものだから、場違いなんだよ。ここに居場所を与えられるべきではなかった。取り除いてくれよ。この曲は一体ここで何をしているつもりなんだろうね。

Toejam: 広告スペース。

MC: 第一に言っておきたいんだけど、僕はこのアルバムがすごく好きなんだ。それで、9曲目の「The Word」が終わった後、あの "目を覚まして" という囁きやエレクトリックドラムが聴こえると、ガッカリ感で、ただ溜め息が出るんだ。

Toejam: "眠りに戻って! 眠りに戻って!"

MC: はは (笑)。口汚ない言葉を使うけど、"オー、シット" だよ。プリンスったら、またしてもやらかしちゃったんだよね。全てがとても上手く行ってたのに。でもどうしても我慢できなかったんだよね。ねえプリンスさん。どうしてもこういうのを入れてしまうんだ。

Captain: 無料広告。無料広告スペース。

MC: 生のポッドキャストなのにこんな言葉遣いで悪いんだけど、とにかく気分を害するね (it just pisses me off)。

(一同笑い)

MC: ちょっと憤慨して興奮してきたんだけど、でも本当おかしいよ。この曲には良い所も素晴らしい所もなくって、でも酷い所もない。それで、素晴らしい所も酷い所もない平凡な曲なのに、何でこういう R&B 曲をアルバムに入れちゃうんだろう。アルバムから外しておけば良いのに。あんまりキツいことは言いたくないからこの辺にしておくけど。

Playa: これって何だか分かる? 「3121」における、テヴィン・キャンベルの「Round & Round」だよね。

(一同笑い)

Captain: 僕はその曲好きだよ。

MC: それは… 理由には深入りしないでおこうか。

Playa: 正直、あれがこの曲とどう違うっていうんだろう。それ自体は良い曲だけど。

MC: 何が違うっていうと、こうだよね。一方のアルバムは…

Toejam: (つまらない曲が) いっぱい。

MC: そう、(「Graffiti Bridge」は)、つまらない曲が沢山入っている。でも「3121」は、個性的な曲が並ぶのでシームレスという感じではないんだけど、それぞれの曲が互いに結び付き合っていて、アルバムとしてとても優れた流れが出来ている。後半、スピードが乗ってきてギアをトップに入れて、最高な気分でいるところに、道路の前にでっかい障害物を置かれた状況。だから… ああ、フラストレーションが溜まる。

Playa: その障害物はよけて通れる?

MC: 出来るよ。それはスキップって言うんだ。それではスキップボタンを押して、次の11曲目「The Dance」に行こう。この曲の話はもう終わり。

私自身は、「Beautiful, Loved And Blessed」をここまで酷くは思っていません (笑)。個人的には、凡庸さを遥かに上回る美しさを持った曲だと思います。

ここで広告スペースと揶揄されている理由は、この曲は、当初はアルバム収録予定のリストに入っておらず、半ばテイマーのデビューアルバムのプロモーション目的で収録されたという側面を持っているためです。しかし、テイマーのデビューアルバムは正式なリリースがされぬまま、プロジェクト自体が消えてしまい、何とも中途半端な結末を迎えます。

それにしても、"「Beautiful, Loved And Blessed」は「3121」 の「Round & Round」" という喩えは絶妙だと思います。アルバムの価値を高めるのにあまり貢献していないどころか、見方によってはアルバムの評価を落としているとさえ思えるのに、どちらも楽曲そのものは素敵だし、ボーカルもとても秀逸です。プリンスのアルバムにさえ入っていなかったら、こんな言われようはされなかったのに、と思います (笑)。


プリンスの作品は、ファンの間であっても、絶賛と酷評で意見が真っ二つに割れることがままあります。私の場合、アルバム「3121」自体にそれほど強い思い入れがないためか、多少の複雑な気持ちはあれど、「Beautiful, Loved And Blessed」は素晴らしく美しい曲だと思います。皆さんはどう思うのでしょうか…?


Wake up
U're beautiful, loved and blessed
U feel me? (Think I don't?)
目を覚まして
あなたは美しく、愛され、祝福されている
感じる?

When U found me, I was just a piece of clay
I was formless, U gave me a new name
With the breath of life I now live abundantly
All I needed was the potter's hand
And the blood on Calvary (That's right)
あなたが私を見つけた時、私はただの一塊の粘土でしかなかった
形を持たなかった私に、あなたは新たな名前を与えてくれた
私は生命の息吹を得て、いま大いに生きている
私に必要だったのは陶芸家の手と
カルバリの血

But 2 much power (Tell it)
Can sometimes turn 2 shame
2 much desire
Sometimes make U feel the same (Come on)
But 4giveness is how U win the game
I begged 4 truth, now I know the truth
And that is when U came and said I was...
大きすぎる力は時に汚辱に変わり
大きすぎる欲望もまた時に同様になる
しかし許しこそがゲームに勝つ方法
私は真実を懇願し、真実を知った
それはあなたが現れ私にこう言ってくれた時 - 私は…

Chorus:
Beautiful, loved and blessed
I'm better than the day b4
Cuz U made me confess that I am...
Beautiful, loved and blessed
When U're free U're really free indeed
All U gotta do is just plant the seed
美しく、愛され、祝福されている
私は前の日よりも良き人間になった
なぜならあなたは私に告白を促したから - 私は…
美しく、愛され、祝福されている
自由であるとは真に自由なことであり
そしてすべきは種をまくこと

A constant battle 2 stay ahead of the game (Stay ahead of the game)
Is anybody famous when everybody wants fame?
Always trying 2 break U down
Thinkin' that it'll raise 'em up
I just wanna be happy
Come take this bitter cup from me
ゲームで出し抜くための絶え間ない争い
全ての人が名声を欲しがるならば、誰がそれを得ようか?
奮い立たせようと思いながら裏腹に
常に挫けさせようとする
私はただ幸せでいたいだけ
さあ私からこの苦杯を取って

If I were 2 ever write down my life story
I could truly say (truly say) with all the fame and glory
I was just a piece of clay in need of the potter's hand
Cause when U whispered in my ear
The words I so now understand, oh...
もしも私が自伝を書くことがあれば
大いなる名誉と栄光の下に心から言うだろう
私は陶芸家の手を必要とする、ただの一塊の粘土だったと
なぜならあなたが私の耳に囁いた言葉を
私はいまこそ強く理解したから

Chorus:
Beautiful, loved and blessed
I'm better than the day b4
Cuz U made me confess that I am...
Beautiful, loved and blessed
When U're free U're really free indeed
All U gotta do is just plant the seed
美しく、愛され、祝福されている
私は前の日よりも良き人間になった
なぜならあなたは私に告白を促したから - 私は…
美しく、愛され、祝福されている
自由であることは真に自由なことであり
そしてすべきは種をまくこと

Everything U made U said, "That's good"
B4 the fall of man U said, "That's good"
Every time I walk in faith, that's good
U let me see another day, that's good
B4 the earth was made U said, "Tamar,
I will lead the way and U'll go far"
Knowledge and understanding
Understanding is good
And when I wake up in the morning
All I hear in my hood
Is people saying that they're...
あなたが作ったもの全てに言った - "それで良い"
アダムとイヴの堕落を前にあなたは言った - "それで良い"
私が信心のもとに歩く時 - それで良い
あなたのお陰で私は明くる日を迎えられる - それで良い
地球がつくられる前にあなたは言った
"テイマー、私が先導し道を遥か彼方へと導こう"
知識と理解 - 理解は良きもの
朝目覚める時、私の周りに聴こえるのは人々の上げる声 - 彼らは…

Beautiful, loved and blessed (Beautiful)
Will U rescue me from the darkness?
And now I just must confess that I am...
Beautiful, loved and blessed
When U're free, U're free indeed
All U gotta do is just plant the seed
美しく、愛され、祝福されている
私をこの暗闇から救ってくれる?
そして私は告白をする - 私は…
美しく、愛され、祝福されている
自由であることは真に自由なことであり
そしてすべきは種をまくこと

Hey, hey, hey
Wake up it's a new day
Hey, hey, hey (That's right)
Wave your hands in the air and say
Hey, hey, hey
Wake up it's a new day (New day, y'all)
Hey, hey, hey
Wave your hands in the air and say
目を覚まして、新しい日がきたわ
手を高く振って声を上げて
目を覚まして、新しい日がきたわ
手を高く振って声を上げて

Beautiful, loved and blessed (Beautiful)
U rescued me from the darkness in the wilderness
That's why I am beautiful (beautiful), loved and blessed (blessed)
No matter what the challenge
I'll always pass the test
That's what I am
美しく、愛され、祝福されている
あなたはこの荒廃した暗闇から私を救ってくれた
だから私は、美しく、愛され、祝福されている
どんな試練であろうとも
私はそれをくぐり抜ける
それが私

Beautiful, that's what I am {x2}
I don't mean 2 put nobody down
Still I must confess that I am...
Beautiful, that's what I am
That's what I am
美しい、それが私
誰かを悪く言うつもりはなく
確かに私は告白する、私は…
美しい、それが私
それが私

When U wanna give up, don't cuz U know
U always got a friend
挫けそうな時も負けないで
あなたには常に友がいるのだから

That's what I am, that's what I am, That's what I am
Beautiful, beautiful
That's what I am, that's what I am, That's what I am
Beautiful, beautiful
Oh yeah (Oh yeah)
それが私、それが私、それが私
美しい、美しい
それが私、それが私、それが私
美しい、美しい

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