OneH

主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

これまでに、The Time のサードアルバム「Ice Cream Castle」(1984年) の全6曲のうち、「Ice Cream Castles」、「Jungle Love」、「Chili Sauce」、「If The Kid Can't Make You Come」の4曲を取り上げました。

一般に、アルバム「Ice Cream Castle」を全曲チェックしたことのある方は、この作品にどのような感想を抱くものでしょうか? おそらく、中にはあまり感銘を受けなかった人もいるのではないかと思います。ファーストやセカンドアルバムのようにクールでバッチリ決まっているのは「My Drawers」くらいで、他の5曲はユーモラスだったり (「Jungle Love」、「Bird」)、滑稽だったり (「If The Kid Can't Make You Come」)、毛色が違ったり (「Ice Cream Castles」)、曲のていをなしていなかったり (「Chili Sauce」) します。確かにこのアルバムは、1曲ずつじっくり聴き込まずに、ただ流すように聴いた場合はさほど強力な印象は残さないタイプの作品かもしれません。それに加え、間違って「プリンス」の作品よりもヒットしてしまう事態を避けるための意図的な判断だったのかもしれませんが、全6曲という曲数の少なさも物足りなく感じるのではないかと思います。

しかし、オフィシャルリリースされた作品だけが The Time の全てではありませんでした。プリンスは他にも The Time 用に色々と曲を作成しており、この時点でお蔵入りにされた未発表曲の中には、オフィシャルリリース曲の水準を凌ぐほど傑出してファンキーな曲も含まれていました。

そのひとつが、今回取り上げる「Velvet Kitty Cat」です。

ん?

おっと間違えました。もとい、今回取り上げるのは「Chocolate」です。ちなみに次の記事ではもう1曲、1981年に最初のレコーディングが行われた曲で、後の1990年に同じく「Pandemonium」で発表され、The Time 最大のヒットシングルとなった「Jerk Out」を取り上げる予定です。


ブート音源になってしまいますが、この曲は1983年4月にレコーディングされた初期バージョンが特に面白いです。というか、「Chocolate」の初期バージョンは必聴モノです。というのも、初期バージョンは、後にオフィシャルリリースされたバージョンよりも格段にタイトでファンキーなのです。そして、元々タイトなこの曲を、さらに輪をかけて凄まじくタイトにしているのが、プリンスの奇妙なボーカルです。また、"Gimme some horns" と言った後に、本物のホーンの替わりにシンセが鳴るのも、この時期のプリンスならではで最高です。

このプリンスの奇妙なボーカルについては、Duane Tudahl の本で「SUNDAY MARCH 27, 1983 - Cloreen Bacon Skin / My Summertime Thang」のページを参照すると言及があります。ちなみに「Cloreen Bacon Skin」は1998年の「Crystal Ball」で、隠し玉のような形でオフィシャルリリースされた曲です。

Songs like this were done in a character created by Prince and Day. The voice was often considered to be the mythical producer Jamie Starr, but when Prince took the lead vocal for a song by the Time, he was channeling someone else altogether. "It's funny," reminisced Rogers, "when Prince would do that funny voice - that was him imitating men of his father's generation, you know barber shop guys. 'Cloreen Bacon Skin' was the same kind of a voice and same kind of . . . 'Why do you want to fuck with me, I’m too old!' He was doing his dad."
こういった曲は、プリンスとモーリス・デイによって創られたキャラクターで演じられた。その声はしばしば謎のプロデューサーであるジェイミー・スターのものだと考えられてきたが、ザ・タイムの曲でプリンスが入れるリードボーカルでは、全くの別人が乗り移っていた。
「とても可笑しかったわ」
スーザン・ロジャースはそう回想する。
「プリンスのあの変な声は、父親世代の男性の真似だったのよ。床屋の主人とかのね。『Cloreen Bacon Skin』では同じ類の声を出して、『俺にちょっかいを出すつもりかよ? 俺は年がいきすぎてるぜ!』って、プリンスはお父さんの真似をしていたの」

この説明を読むと、「Chocolate」ほどのタイトでファンキーな傑作がお蔵入りにされてしまった理由は、歌詞が不適切であったためなのだろうと推測できます。なにせモーリスは、「Ice Cream Castles」で次のように歌っているのです。

We are young, we are free
On earth together
Let's fall in love
俺達は若い
この地上で共に自由さ
さあ恋をしよう

そこで「Chocolate」を採用したらキャラが崩壊してしまいます (笑)。

Can't nobody fuck with me, I'm 2 old
俺をナメたらタダじゃすまないぜ、俺は年がいってるからな

ちなみに、次に取り上げる予定でいる「Jerk Out」も初期バージョンには不適切な歌詞があります。「Jerk Out」が非常に強力な曲でありながらいったんお蔵入りにされたのも、やはり歌詞に問題があったためだろうと推測されます。

また、前述の「Cloreen Bacon Skin」はプリンスのベースとモーリスのドラムによる15分超の即興ジャムです。プリンスが変な声でモーリスにドラムの指示を出しながら進行していきます。最高にファンキーなジャムで、歌詞も最高なのですが、歌詞は気にしたことがない人もいると思います。全部訳すような曲ではないような気がするので、「Cloreen Bacon Skin」の歌詞を一部だけ訳しておきます。

(31秒〜)
This song is called
This song is called Bacon Skin, hit me
It's dedicated 2 my first wife
Her name is, oh lord, Cloreen
Shes just fat, hit me
この歌の名前は
この歌の名前はベーコン・スキンだぜ
俺の最初の妻に捧げる歌さ
彼女の名前は、ああ、クロリーンだぜ
とにかくファットな女さ

(4分34秒〜)
Cloreen, I got somethin 4 ya
Whats the matter, dont U like me?
Am I 2 old?
Splash, oh shit!
Oh shit
I can't stand it, I can't stand it
When I look in the mirror
And I see this ugly face, good God
I just want 2 run, I want 2 run over 2 your place, yes
I want 2 see, good God, someone that's uglier than...
I said, I said uglier than me
Uglier than me
Cloreen Bacon Skin
クロリーン、お前にプレゼントがあるんだ
どうした、俺のことが好きじゃないのか?
俺はジジイすぎるのか?
スプラッシュ! (モーリスへのドラム指示)
ちくしょう
我慢できねえぜ、我慢できねえ
俺が鏡を覗き込むと
この醜い顔が見えるじゃねえか、ちくしょう
駆け込みたいぜ、お前の家に駆け込みたいぜ
見たいんだよ、誰かもっと醜い奴を・・・
ああ、ああ、俺よりもっと醜い奴を
俺よりもっと醜い奴だよ
クロリーン、ベーコン・スキン

(10分24秒〜)
Cloreen, I wanna talk 2 ya
Cloreen, oh lord
Cloreen, U're the ugliest woman that I've ever seen
Im not jivin
Baby, theres one thing the lord loves and that's the truth
And baby, U one ugly motherfucker
I'm not lyin 2 ya
U know the lord loves the truth, dont ya?
Well, why the hell can't U take a bath?
Cloreen bacon skin
クロリーン、お前に話がしたいんだ
クロリーン、ああ
クロリーン、お前は今までで一番醜い女だ
ジョークで言ってるんじゃないぜ
ベイビー、神が愛するものがひとつあるんだ - それは真実さ
ベイビー、お前は本当に醜い女だ
嘘で言ってるんじゃないぜ
神は真実を愛すってお前も知ってるだろ?
お前はなんで風呂に入らないんだ?
クロリーン、ベーコン・スキン


以下は「Pandemonium」でオフィシャルリリースされた The Time のバージョンです。初期バージョンのウェンディ・メルヴォインのギターソロがそのまま使われていますが、呼び掛けの相手はジェシーに変更されています。


Aah!
Uh
2 funky, uh
Ha, uh...
あ゛あ゛あ゛!
ファンキーだぜ

Every time we're out on a date
I want 2 love U, U make me wait
U went and told me I look like a pimp
But honey, I noticed U waited till after dinner
18 jumbo shrimp, damn!
俺達はデートに出掛けるといつも
俺が求めているのにお前は待たせてばかり
俺の見た目がまるでポン引きだと言いやがる
だがハニー、お前はディナーの後まで待ってたのか
18匹のジャンボシュリンプを、全く!

Chocolate
Uh, U gotta give me some of your chocolate
I said what U waiting 4? Uh
Chocolate
Uh, give me some of that chocolate, U gotta
Just can't wait no more
チョッコレート
ちょっとおくれよ
チョッコレート
もったいぶるなよ
チョッコレート
ちょっとおくれよ
もう待てないんだよ

Every night when I take U home
U say U got a headache, U wanna be alone
I ain't tryin' 2 brag, baby, but if I ever get U in the bed
I'd work that body so hard, U'd wish all U had was an achin' head
Look out!
毎晩俺がお前を家に送ると
お前は頭痛がするから一人になりたいと抜かしやがる
だが自慢じゃないが俺がお前とベッドを共にしたら
お前のカラダを激しく酷使してやるぜ
お前が頭痛で済んでほしかったと願うほどにな
ほら!

Chocolate
Give me some of your chocolate
Baby, what U waitin' 4?
Chocolate
Oh Lord, give me some of that chocolate
I just can't wait no more, uh
チョッコレート
ちょっとおくれよ
チョッコレート
もったいぶるなよ
チョッコレート
ちょっとおくれよ
もう待てないんだよ

Aah!
Look out
Ha
Ha, back up, uh
Chocolate
Chocolate (Chocolate)
Tootsie Roll, hit me (Chocolate)
Uh, aah (Chocolate)
Back up
Uh
Come on now, yes

When I sleep, I dream of U
I dream about doin' the things I want 2 do
I'd make it so nice if only I could
Don't U wanna see my Tootsie Roll? Baby, I'm sure U would
Look out!
俺は眠りにつくとお前の夢を見る
夢の中でお前を思うがままに弄んでやるぜ
俺はたっぷり気持ち良くしてやるんだがなあ
俺のトッツィーロールが見たくないのか?
ベイビー、もちろん見たいに決まってるだろう
ほら!

Chocolate
Aah! (Chocolate)
What U waitin' 4?
Chocolate
Uh, give me some of that chocolate
I just can't... sing it! (Chocolate)
Look out, gimme some of your chocolate, uh
What U waitin' 4?
Chocolate candy
Aah! (Chocolate)
I just can't wait no more
チョッコレート
ちょっとおくれよ
チョッコレート
もったいぶるなよ
チョッコレート
ちょっとおくれよ
もう待てないんだよ

Oh baby, what's the problem?
What's the matter, don't U like me?
U don't want no young man, U need somebody with experience
I could make it so nice
Don't U wanna see my Tootsie Roll?
おいベイビー、どうしたんだよ?
なんだい? 俺のことが嫌なのか?
お前は若いのよりも手慣れてる奴のがイイんだろ?
俺がたっぷり気持ち良くしてやるよ
俺のトッツィーロールが見たくないのか?

3:30
Uh, look out (Chocolate)
Give me some of that chocolate
What U waitin' 4?
Chocolate
Give me some of that chocolate (Look out)
I just can't wait no...
チョッコレート
ちょっとおくれよ
チョッコレート
もったいぶるなよ
チョッコレート
ちょっとおくれよ
待てないんだよ

Chocolate, Milky Way
Give me some, baby (Chocolate)
Give it today
Look out (Chocolate)
Give me some of that chocolate
チョッコレート、ミルキーウェイ
ちょっとおくれよ
チョッコレート
今日おくれよ
ちょっとおくれよ
チョッコレート

Melvoin, play your guitar, I'ma tap on the cowbell
Yes
Old and nasty, play it
It's on, huh? Yes
Gimme some horns, uh {repeat}
I said gimme some horns, uh
Horns
メルヴォイン、ギターを弾いてくれ
俺はカウベルを叩きにいくぜ
そうだ
老練でタマらないぜ、演ってくれ
キてるだろ? キてるよな
ホーンをくれよ
ホーンだよ
ホーン

Old and nasty (Chocolate)
Uh, what U waitin' 4, baby?
Chocolate (Yeah)
Haha, say baby (Chocolate)
Chocolate, mm (Chocolate)
Have no fear, baby, I'm 1 of the 3 Musketeers, unwrap me (Chocolate)
Aah, ha (Chocolate)
What U waitin'... look out (Chocolate)
Aah, ha (Chocolate)
老練でタマらないぜ
もったいぶるなよ
ほらベイビー
怖がるなよ、ベイビー、俺は三銃士の一人さ
俺を包み紙から取り出してくれよ

Listen 2 me now, Milky Way, Tootsie Roll
Can't nobody fuck with me, I'm 2 old
Look out, watch (Chocolate)
聞いてくれ、ミルキーウェイ、トッツィーロール
俺をナメたらタダじゃすまないぜ、俺は年がいってるからな
ほら、見ろよ

Aah
Melvoin (Chocolate)
Melvoin, U gon' have 2 step on the gas
We gotta get the hell outta here, come on, uh (Chocolate)
Chocolate
Chocolate
メルヴォイン
メルヴォイン、アクセルを踏んでくれよ
そろそろずらかる頃合いだ

Mashed potatoes, gravy, cranberry sauce, stuffin' (Chocolate)
Green beans, chitlins, candy sweet potatoes, black...
Black-eyed peas, grits, cabbage (Chocolate)
I can say anything I want 2, y'all can't fuck with me, look out
Chocolate
2 old, nasty, super bad (Chocolate)
Bad 2 the bone (Chocolate)
What U gon' do with me?
I'm all alone, look out (Chocolate)
Uh
マッシュドポテト、グレイビー、クランベリーソース、スタッフィング
グリーンビーンズ、チトリンズ、キャンディスイートポテト、ブラック…
ブラックアイドピーズ、グリッツ、キャベッジ
俺は何でも言いたいことを言うぜ
俺をナメたらタダじゃすまないぜ
老練すぎてタマらないぜ、半端なくキてるぜ
骨の髄までキてるぜ

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「If The Kid Can't Make You Come」は The Time の 1984年のアルバム「Ice Cream Castle」に収録されている曲です。スムーズな肌触りで心地良く、また、面白い曲ではあるのですが、我が家では教育上の理由でスピーカーでの再生禁止、という憂き目にあっている曲のひとつです。

The Time のフロントマンであるモーリス・デイは、アルバム「Ice Cream Castle」の発表を待たずして、ソロのキャリアを模索し、プリンスの元を去りました。プリンスとモーリスの関係にもヒビが入った状況だったのでしょうが、Duane Tudahl の本を読むと、二人の不和に関する話はどうも誇張されすぎている、との記述があります (参照ページ: FRIDAY, JANUARY 13, 1984 - Ice Cream Castles)。特に、スタジオでのレコーディング作業は良いムードの中で行われたようです。普段スタジオでは寡黙なプリンスも、モーリスと一緒にレコーディングをするときはオープンになって色々な話をしたのだそうです。ジェシー・ジョンソンもこれに同調したコメントをしており、モーリスとプリンスと一緒のときは、二人がふざけるのでとにかくよく笑ったと回想しています。


さて、何をどこから書いたらよいものか悩みますが、今回取り上げる「If The Kid Can't Make You Come」は色々とおかしな曲です。

まず、曲を聴かずとも明らかにおかしな点は、モーリスが自分をキッドと呼んでいることです。モーリスは「Chili Sauce」でも自分をキッドと呼んでいますが、映画「Purple Rain」を知る人にとって、キッドとは、モーリスのライバルであるプリンスのことです。「Chili Sauce」や「If The Kid Can't Make You Come」がレコーディングされた1983年4月の時点では、アルバム「Purple Rain」の曲はまだ何も出来ておらず、映画の仮タイトルは「Dreams」で、撮影可能な脚本も作られていませんでした。そのため、モーリスは何も知らないまま、一般的な呼称としてキッドという言葉を受け入れたのだと思いますが、だとしたらプリンスは悪戯がすぎるというか、本当に人が悪いです (笑)。

また、実際に曲を聴いてみて明らかにおかしいと分かる点は、曲のテンポです。この曲は最初はゆったりとしたテンポでとても良いムードで始まります。しかし、段々とテンポが上がっていき、最後はせわしなくアップテンポな曲になってしまいます (笑)。この曲でドラムを叩いているのはジェシー・ジョンソンです。最初はモーリスがドラムを叩いたのだそうですが、テンポがどんどん速くなってしまい、それじゃあと次にプリンスがドラムを叩いてみたら、やはりテンポがどんどん速くなってしまい。結局、最終的にジェシーが飲めないワインを飲んで頭グルグルの酷い気分の中でドラムを叩いた、というエピソードをジェシーが明かしています (PrinceVault のリンク)。

このどんどんテンポが速くなる意味不明な展開は、おそらく曲を犠牲にしてコントを優先させた結果で、モーリスもプリンスも当然ふざけてわざとそんなことをしたのでしょうが、あまりの悪ノリに、クラス委員に見つかったら「ちょっと男子! 真面目にやってよ!」と怒られそうなレコーディングだったのではないか思います。それにしてもプリンスがモーリスと組んでできた作品には、どれも独特な良さがあります。


最後に、個人的に言及しておきたいのですが、歌詞に目をつぶって音楽だけに注目すると、この曲の序盤はとてもスムーズで心地良いです。具体的にここから想起される曲名を挙げると、この柔らかく琴線に触れる感じはまるで私の好きな Donald Fagen の「One The Dunes」のようです。そして歌詞を見比べて、その落差に何とも言えずトホホな気持ちになります (笑)。


U like my crib, baby?
Well, come a little closer. Don't be shy
俺の家、気に入ったかい、ベイビー?
もう少しこっちに来なよ、恥ずかしがらないで

Darling, I want U so bad
I can almost taste the smell of your skin
And honey, I'd be so sad if U didn't break down and let me in
U better let me in, baby
Don't U know...
ダーリン、君がたまらなく欲しい
君の肌の匂いで舌鼓を打ちそうなほどさ
ハニー、君が心を許して俺を受け入れてくれなかったら
俺はとっても悲しくなるよ
俺を受け入れてくれよ、ベイビー
だってそうだろう

If the Kid can't make U come
Nobody can
Am I gettin' through, baby?
もしこのキッドが君をいかせられなかったら
誰にだって無理さ
俺の言ってること分かるかい、ベイビー?

Sweetheart, I can be gentle as a lamb
If that's what gets U off
I wanna get U off, baby
And lover, straddle my brass
And we'll dance in the land of the hard and soft
I don't care, baby
Whatever gets U off?
スウィートハート、俺は羊みたいに優しくできるんだ
それで君が感じてくれるならね
君に感じてほしいんだ、ベイビー
あのさ、俺のブラスに跨がってよ
一緒に硬いのと柔いのでできた地で踊るんだ
俺なら構わないさ、ベイビー
君が感じてくれるのなら何だってね

If the kid can't make U come
Nobody can
もしこのキッドが君をいかせられなかったら
誰にだって無理さ

Need I say more, baby?
Do U wanna straddle my brass?
もっと言わなきゃダメかい、ベイビー?
俺のブラスに跨がりたいかい?

If the kid can't make U come, nobody...
もしこのキッドが君をいかせられなかったら
誰にだって・・・

That's a pretty blouse
Thank U
Take it off
Is that better?
A little bit, I'd rather see it live in concert though
Well, I'll tell U what, cutie
I'll let U take that off
Oh, yes!
とっても素敵なブラウスだね
- ありがとう
脱いでよ
- これでどう?
悪くはないね、でももっとライブコンサートで見せてほしいな
- それならこういうのはどうかしら
- あなたに脱がせてもらうの
そう、そうこなくっちゃ!

This little hook went 2 Holland
This little hook went 2 France
This little hook went 2 London
And this little hook went 2...
Uhmm
Oh Lord!
Honey, don't U ever try and breastfeed no baby
Why not?
Never mind
このホックはオランダに行っちゃった
このホックはフランスに行っちゃった
このホックはロンドンに行っちゃった
そしてこのホックは・・・
- ウフン・・・
おや、まあ!
ハニー、このおっぱいは絶対に赤ん坊にはあげたらいけないよ
- どうしてダメなの?
いや何でもないさ

What time is it?
Tea time
I know that's right
Uhmm
今は何の時間かい?
- お茶の時間かしら
そういうことさ
- ウフン・・・

What's my name?
Morris
No, come on baby
What's my real name?
Uuh, uh, uhh
Talk 2 me, talk 2 me
M ... Mo ... Mor ... Morris!
Yes!
Oh, baby, U're just 2 sexy
俺の名前は何だい?
- モーリス
違うよ、違うったらベイビー
俺の本っ当の名前は何だって訊いてるのさ
- あ、あ、あ・・・
そうだ、言ってくれよ
- ム・・・モ・・・モ・・・モーリス!
そうさ!
ああベイビー、君はセクシーすぎるよ

Morris?
Yeah, baby
What's my name?
It's "Baby", ain't it?
Oh, Morris, what's my ...
Ah ga ga ga ga!
Oh, Morris!
2 sexy!
- モーリス?
何だい、ベイビー
- 私の名前はなあに?
君の名前は「ベイビー」じゃないの?
- ああモーリス、私の・・・
ああ、ガ、ガ、ガ、ガ!
- ああ、モーリス!
セクシーすぎるよ!

I bet U never thought I'd be this good, did U?
俺がこんなにすごいなんて思わなかっただろう?

Let me hear the pledge of allegiance, baby
What do U mean?
U know, like U used 2 do in school
U got 2 be kidding
I guess U're not
Come on, baby
Morris is listening
忠誠の誓いを聞かせておくれよ、ベイビー
- どういうこと?
ほら、昔学校でやったようにさ
- ちょっと冗談でしょう?
- そういうわけではなさそうね
ほら、ベイビー
モーリスがここで聞いててあげるから

OK...
I pledge allegiance...
2 the flag... of the United States... of America...
And 2 the republic... 4 which it stands
- いいわ・・・
- 私は忠誠を誓います・・・
- アメリカ・・・合衆国・・・国旗と・・・
- それが象徴する・・・共和・・・国に・・・

Oh Lord!
U're just 2 sexy
Uuh
Ain't nobody bad like me?
ああすごい!
君は何てセクシーなんだ
- ウフン
俺ほどの男はいないだろ?

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「The Beautiful Ones」は1984年のアルバム「Purple Rain」に収録されている曲です。この曲は、この世で最も高貴で格式の高いバラードのひとつと言って良いのではないかと個人的には思います。少なくとも、好むと好まざるとに関わらず、この世に二つとない曲であることは確かだと思います。

この曲は映画では32分過ぎ頃から歌われます。アポロニアがモーリスに口説かれているのを見たキッド (プリンス) は、ステージに立ち、この曲を歌い始めます。最初は美しく優雅な調子で曲が進行しますが、歌唱は次第に激しさを増し、最後は絶叫に変わります。キッドは、モーリスと自分とどちらを取るのかとアポロニアに問いかけ、そして絶叫の中で「君が欲しい」と想いを訴えます。

ちなみにこの曲の特徴的なリズムは、なぜか前回取り上げた The Time の「Chili Sauce」と一緒です。そして「Chili Sauce」の歌詞の一部は、前述のモーリスがアポロニアを口説くシーンにも使われています。本当にプリンスという人は何なんでしょう……言葉が見つかりません。


時を遡って、この曲について私の思い出を少し書きます。

私がこの曲と出会ったのは中学生の頃でした。私にとってプリンスの原点である、1991年の「Diamonds And Pearls」が発売される少し前、私はダビングされたカセットでアルバム「Purple Rain」を聴きました。しかし、この時点では「Purple Rain」は私の心には全く響きませんでした。

そして、アルバムの中でも特に理解不能だったのが、この「The Beautiful Ones」です。当時は歌詞がさっぱり分からなかったので、私にとって、これはただ「ベイビー、ベイビー、ベイビー♪」がもっさりと繰り返される曲でしかありませんでした。サビでメリハリが付くような曲でもなく進行ももっさりしていますし、終盤の絶叫も素頓狂だとしか思えませんでした。中学生の英語力では、だいたい「ビューティフル・ワンズ」というタイトルからして意味不明でした。基本的にプリンスは猫撫で声のような声質をしていますが、「The Beautiful Ones」のプリンスの歌声は特に猫撫で声に聴こえます。そのためか、私にはこの曲に「美しい犬たちに禁断の恋をする猫の歌」というイメージが付いています。

「ビューティフル・ワンズ、君はいつだって僕の心を傷付ける・・・♪」

the-beautiful-ones

今になって昔の私を思うと、まるで初めてウニを食べた子供のようだな、と思います。せっかくの食材も、舌がまだ肥えておらず未熟なために、その価値が理解できない状態でした。「猫に小判」、「豚に真珠」、「中学生にビューティフル・ワンズ」です。


その後プリンスについて色々と知るようになってからも、「The Beautiful Ones」は邦楽にはないタイプの曲ですし、分かりやすいロックやファンクの曲でもないので、ずっと寝かせた状態が続きました。ただ、海外ではやたらと評価の高い曲なようで、それについては何とも不思議な感覚がありました。そして、それを象徴する出来事が1997年に起こりました。マライア・キャリーがこの曲をカバーしたのです。

マライア・キャリーといえば、当時の音楽界で歌唱力において頂点に立っていた人です。そんなマライアが「The Beautiful Ones」を歌うとは! 私は期待を膨らませました。そして、マライアのカバーをラジオで聴いた私は、衝撃を受けました。

……そのあまりの凡庸さに。

まあ今になって冷静に聴けば、マライア・キャリーのカバーもおしゃれなレストランで食べる生ウニパスタのような上質さがあるとは思います。しかし、当時の私はこのカバーを聴いて愕然としました。プリンスのオリジナルの「The Beautiful Ones」は、これとはもう全くの別物です。プリンスのオリジナルは、強い磯の香りが漂う港を訪れて、殻を割ってそのまま食べるウニのような……。私は生ウニパスタを食べたこともないし、穫れたてのウニを港で食べたこともないのですが、とにかく私は衝撃を受けました。そしてこのカバーは、私にとって考えを改める切っ掛けにもなりました。音楽雑誌では批評の対象に上がることすらなく、評論家からは全く無視されているようだけれども、「実はプリンスのボーカル能力ってとんでもなく凄いのではないか?」と。


曲の説明に戻ります。

長年、この「The Beautiful Ones」という曲はスザンナ・メルヴォワンのために書かれた、という話がありました。スーザン・ロジャースも「スザンナのために書かれた曲は沢山あり、これはその最初の曲だ」という旨の話を1989年にローリング・ストーン誌に語っています。しかし、2015年になって、プリンスは沈黙を破り、Ebony 誌のインタビューにて、この長年の噂を全否定するコメントをしました。ついでに、興味深いことにプリンスはスーザン・ロジャースの分析や言動に不快感を示す発言もしています。これらの話については「365 Prince Songs in a Year」の解説ページとローリング・ストーン誌のリンクを以下に貼り付けておきます。

また、プリンスのコメントを引用します。

If they look at it, it’s very obvious. 'Do you want him or do you want me,' that was written for that scene in Purple Rain specifically, where Morris would be sitting with [Apollonia] and there'd be this back and forth. And also, 'The beautiful ones you always seem to lose,' Vanity had just quit the movie.
曲の内容を見れば全く明らかなんだけどね。「彼が欲しいのか、それとも僕が欲しいのか」、これはパープル・レインのあのシーンのために書いたんだ。モーリスがアポロニアと一緒に座っていて、どちらにするのかを訴えるところだね。そして「美しいひと、君はいつだって負けてしまう」というのはね、ヴァニティが映画から降りたことを引き合いにしてるんだ。

双方の意見がありますが、この曲は映画のコンテクストにこれ以上ないほどにピッタリと嵌っているので、パープル・レインのあのシーンとヴァニティのために書いた、というプリンス本人の言葉は、個人的には十分にすっきり納得できます。


Baby, baby, baby
What's it gonna be?
Baby, baby, baby
Is it him or is it me?
Don't make me waste my time
Don't make me lose my mind, baby
ベイビー、ベイビー、ベイビー
どうするんだい?
ベイビー、ベイビー、ベイビー
彼にするの? それとも僕にするの?
僕の時間を無駄にさせないでおくれ
僕の心を狂わせないでおくれ、ベイビー

Baby, baby, baby
Can't U stay with me tonight?
Oh baby, baby, baby
Don't my kisses please U right?
U were so hard 2 find
The beautiful ones, they hurt U every time
ベイビー、ベイビー、ベイビー
今夜は僕と一緒にいてくれないの?
ベイビー、ベイビー、ベイビー
僕のキスじゃ君を喜ばせることはできないの?
やっとの思いで遂に見つけた君なのに
美しいひと、それはいつだって人を傷付ける

Paint a perfect picture
Bring 2 life a vision in one's mind
The beautiful ones always smash the picture
Always everytime
完璧な絵を描くんだ
頭の中に浮かべる情景に命を吹き込んで
美しいひとはいつだってその絵を打ち砕く
いつだって、何度でも

If I told U, baby
That I was in love with U
Oh baby, baby, baby
If we got married, would that be cool?
U make me so confused
The beautiful ones, U always seem 2 lose
もし君に打ち明けたら、ベイビー
僕は君を愛しているのだと
ああベイビー、ベイビー、ベイビー
もし僕らが結婚をしたら、それは素敵なことだと思う?
君は僕をひどく混乱させる
美しいひと、君はいつだって負けてしまう

Baby, baby, baby
Baby

What's it gonna be, baby?
Do U want him or do U do want me?
Cuz I want U!
Said I want U!
どうするんだい、ベイビー?
彼が欲しいのかい? それとも僕が欲しいのかい?
だって僕は君が欲しいんだ!
そうさ、僕は君が欲しい!

Tell me baby, do U want me?
I gotta know, I gotta know do U want me?
教えてよベイビー、君も僕が欲しいの?
教えてよ、教えてよ、君も僕が欲しい?

Baby, baby, baby, listen 2 me!
I may not know where I'm going, baby
Whoo! Look here
I said I may not know what I need
ベイビー、ベイビー、ベイビー
僕はどこへ向かっているのかも分からないかもしれない
ああ!
僕は何を必要としているのかも分からないのかもしれない

1 thing, 1 thing's 4 certain
I know what I want, yeah
And it's 2 please U baby, please U baby!
I'm begging down on my knees, I want U!!
Yeah, I want U!!
Baby, baby, baby, baby, I want U!!
Whoo!
Yes I do!
だけどひとつだけ、ひとつだけは確かさ
僕は何が欲しいかは知っているんだ
君が望むのなら、君が望むのならベイビー!
ひざまずいてお願いするよ、君が欲しいんだ!
そうさ、君が欲しい!
ベイビー、ベイビー、ベイビー
君が欲しい!
ああ!
誓って本当さ!

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