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主にトレーニングとダイエットのブログ。それとプリンス。

「Purple Music」は11分近くにも及ぶ長尺の未発表曲で、1982年に書かれました。未発表ではありますが、あまりにも最高すぎるために逆にリリースタイミングが見つからず、そのままお蔵入りになってしまったような曲です。「1999」の時代から個人的なお気に入り曲を1つ選ぶとしたら、私の場合これになるかもしれません。「Purple Music」はそれほど最高な曲です。

それにしても、この曲のとんでもなさは、どのように表現すべきなのでしょう?

例えば、最近映画で再注目されている Queen の「Bohemian Rhapsody」は、オペラやバラードやロックといった異なるジャンルの音楽パートを繋ぎ合わせてひとつの壮大な楽曲を成しています。また、プリンスの「Crystal Ball」は、変幻自在の目まぐるしい展開で魅せる、凄まじい大曲です。

その一方で「Purple Music」は、「Bohemian Rhapsody」や「Crystal Ball」などの大曲と比べると、ぱっと聴いた感じ単調で変化に乏しい曲という印象を抱くかもしれません。しかし、この曲をヘッドホンできちんと聴いてみてください。「単調?」「変化に乏しい?」 いやいや、とんでもないです。ただのぬかるみかと思って足を踏み入れたら最後、あの手この手で聴く者を曲の奥底にズブズブと引きずり込む、まるで底無し沼のような恐ろしい曲です。異なる音楽ジャンルを繋ぎ合わせて複雑にしなくても、変幻自在の目まぐるしい展開で魅せなくても、これほどのとんでもない曲が存在するのです。


プリンスは1985年のローリング・ストーン誌のインタビューで、「1999」の follow-up アルバムがあると語っています。インタビュアーの聴き取りの記憶を辿って書かれたインタビューであるため、本当にそのようなアルバムをまとめる構想があったかどうかは不明ですが、もし実際にそのようなアルバムがあったとしたら、「Purple Music」は間違いなく主役曲のひとつでしょう。

I write all the time and cut all the time. I want to show you the archives, where all my old stuff is. There's tons of music I've recorded there. I have the follow-up album to 1999. I could put it all together and play it for you, and you would go "Yeah!" And I could put it out, and it would probably sell what 1999 did. But I always try to do something different and conquer new ground.
僕は四六時中、曲を作っているし、録音をしている。僕の保管庫を見せてあげたいよ。そこに過去に録音した音楽を大量に保管しているんだ。「1999」の第二弾アルバムだってあるよ。それをまとめて聴かせたら、君は「やったあ!」って言うだろうね。そしてそれを発表したら多分「1999」と同じくらいは売れると思うよ。だけど、僕はいつだって違うことに挑戦して新しい境地を切り開きたいんだ。

In people's minds, it all boils down to "Is Prince getting too big for his breeches?" I wish people would understand that I always thought I was bad. I wouldn't have got into the business if I didn't think I was bad.
きっと世の人々はこう考えるだろうね。「プリンスは思い上がりが過ぎるんじゃないか?」って。でも世の人に分かって欲しいのは、僕はいつだって自分が Bad だと思ってたってことだよ。もし僕が自分を Bad だと思っていなかったとしたら、僕はこの世界に足を踏み入れなかっただろうね。

余談になりますが、このインタビューにマイケル・ジャクソンが刺激を受けたであろうことは想像に難くありません。「Bad」を巡るマイケルとプリンスの駆け引きについては、スーザン・ロジャースのインタビューを過去のブログ記事で紹介しています。

ピンとこないかな?と思ったら

「Purple Music」を聴いてみたけれど、どこがそんなに最高なのかピンとこない人もいるかもしれません。その場合、この曲を正しく聴けていない可能性があります。自分には合わないと諦める前に、以下のポイントをご確認ください。

ヘッドホンは装着済みですか?

ヘッドホンがなければイヤホンでも可です。この曲は単調なコード進行が延々と繰り返され、最初から最後まで大きな変化を見せることなく曲が終わります。このため、散漫な意識でこの曲を聴くと、その複雑さを見落してしまう可能性があります。この単調な曲に「複雑」という言葉が適切かどうかは分かりませんが、ヘッドホンでこの曲をきちんと聴いたなら、あなたはおそらく驚愕し、圧倒されます。そして、なぜこの曲に10分以上もの尺が必要なのかが理解できるはずです。

歌詞は確認しましたか?

この曲で奏でられる様々な音には意味があります。その意味は、曲の歌詞を知ることでよりきちんと理解することができます。ちなみにこの曲は歌詞も最高です。

以下、曲の流れに沿って少しコメントしていきます。

0:00

曲が始まります。アルバム「1999」の「All The Critics Love U In New York」と同じようなビートで、大変ドープな雰囲気です。

0:34

最初のヴァースは、ズッと鼻で吸い込む音に続いて次のように歌われます。個人的には、この時点で既に割と最高です。

Don't need no reefer, don't need cocaine
Purple music does the same 2 my brain
And I'm high, so high
マリファナも要らない、コカインも要らない
パープルミュージックが僕の脳に同じことをしてくれる
僕はハイだ、凄くハイだ

1:55

この曲では展開に合わせて様々なエフェクトが入ります。ここではキーが下がっていく効果音が入ります。

Every subject, any key
Purple music can't be judged, it happens naturally
It's alright, alright, oh
どのサブジェクトも、どのキーも
パープルミュージックは裁きを受けずに自然に生まれるのさ
それでイイのさ、それがイイのさ

2:36

何か怪しげな儀式をするかのような効果音が入ります。

We'll find a serpent 2 sacrifice
We'll make a wish and then we'll visit purple paradise
We get high, yes we will, so high
蛇を探して生贄にしょう
祈りを捧げてパープル・パラダイスを訪れるのさ
僕達はハイになる、そうさ、凄くハイにね

4:00

ここからグワングワンという音が鳴ったり、しばらく様々な遊びが入ります。

I'd love some
少し頂こうじゃないか

6:09

ここは・・・私はここのエフェクトは天才だと思います。

If U understand my color
Put your hand in your crotch
No, no, no, no, no, yes!
僕の色が理解できるなら
自分の股間に手を当てるんだ
違う、違う、違う、違う、違う・・・そうだ!

8:19

この歌詞が出てくるのは二度目になります。今度はキーが上がっていきます。

Every subject, any key
Purple music can't be judged, it happens naturally
Ain't it alright? Ain't it alright?
Don't try 2 fight it
どのサブジェクトも、どのキーも
パープルミュージックは裁きを受けずに自然に生まれるのさ
とってもヨクないかい? とってもヨクないかい?
無理に抗っちゃダメさ

8:35

何が起こっているのかは分かりませんが、プリンスの曲なのでお風呂が出てきます。

It's time 4 your morning bath, sir
What would U like 2 bathe in this morning?
With all due respect sir, I think that it...
I think that it might...
Oh, oh no
I... don't wanna play anymore
I don't want 2 play anymore
ご主人様、朝のお風呂のお時間ですよ
今日は何のお風呂になさいますか?
僭越ながら申し上げますが、それは・・・
それは些かばかり・・・
オオ・・・オー・ノー
これ以上は・・・できません
これ以上はでき・・・ませ・・・ん

10:49

この曲はエンディングまでずっと最高です。



Don't need no reefer, don't need cocaine
Purple music does the same 2 my brain
And I'm high, so high
マリファナも要らない、コカインも要らない
パープルミュージックが僕の脳に同じことをしてくれる
僕はハイだ、凄くハイだ

Don't need no cymbals, no saxophone
Just need 2 find me a style of my own
And I'm high, so high
シンバルも要らない、サックスも要らない
僕はただ僕自身のスタイルを自分にあつらえてやるだけさ
僕はハイだ、凄くハイだ

Some people can't understand
Just bein' inside a church don't make a righteous man
U're high, so high
中には理解できない人もいる
単に教会の中に居るだけじゃ正しい人間は作れないってね
君はハイだ、凄くハイだ

In time we all die, all music gone
So we better try our best 2 get along
And get high, mmm, so high, oh
いずれ僕等はみんな死ぬ、音楽も全部無くなる
だから最善を尽くして手を取り合って
ハイになるんだ、凄くハイにね

Ain't got no theory, ain't got no rules
I just let the purple music tell my body what 2 do
And I'm high, oh, so high, mm
セオリーは要らない、ルールも要らない
何をすべきかはパープルミュージックが僕の体に教えてくれる
僕はハイだ、凄くハイだ

Every subject, any key
Purple music can't be judged, it happens naturally
It's alright, alright, oh
どのサブジェクトも、どのキーも
パープルミュージックは裁きを受けずに自然に生まれるのさ
それでイイのさ、それがイイのさ

We'll find a serpent 2 sacrifice
We'll make a wish and then we'll visit purple paradise
We get high, yes we will, so high
蛇を探して生贄にしょう
祈りを捧げてパープル・パラダイスを訪れるのさ
僕達はハイになる、そうさ、凄くハイにね

Don't need no reefer, don't need cocaine
Purple music does the same 2 my brain
And I'm high, mmm, so high
マリファナも要らない、コカインも要らない
パープルミュージックが僕の脳に同じことをしてくれる
僕はハイだ、凄くハイだ

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Don't want reaction, I just want the act
It's easier 2 give love than it is 2 give it back
Cuz I'm high, oh, so high
リアクションは要らない、僕に要るのはアクションさ
愛は報いてもらうよりも与える方が簡単なのさ
だって僕はハイだからね、凄くハイだから

Mmm oh...
No reefer, don't need cocaine
Purple music does the same 2 my brain
And I'm high, oh... mmmm
マリファナも要らない、コカインも要らない
パープルミュージックが僕の脳に同じことをしてくれる
僕はハイだ、ああ

Don't need no cymbals, no saxophone
Just need 2 find me a style of my own
And I'm high, oh...
シンバルも要らない、サックスも要らない
僕はただ僕自身のスタイルを自分にあつらえてやるだけさ
僕はハイだ、ああ

I'd love some
少し頂こうじゃないか

I'm high, so high
僕はハイだ、凄くハイだ

Don't need no reefer, don't need cocaine
Purple music does the same 2 my brain
And I'm high, so high
マリファナも要らない、コカインも要らない
パープルミュージックが僕の脳に同じことをしてくれる
僕はハイだ、凄くハイだ

We'll find a sacrifice 2 get some purple paradise
So nice, purple paradise is so nice
Yeah
生贄を探してパープル・パラダイスにありつこう
ああ、パープル・パラダイスは最高さ

Baby, baby, I say...
Oh yeah...

If U understand my color
Put your hand in your crotch
No, no, no, no, no, yes!
僕の色が理解できるなら
自分の股間に手を当てるんだ
違う、違う、違う、違う、違う・・・そうだ!

No reefer, don't need cocaine
Purple music does the same 2 my brain
And I'm high, so high
マリファナも要らない、コカインも要らない
パープルミュージックが僕の脳に同じことをしてくれる
僕はハイだ、凄くハイだ

Don't need no cymbals, no saxophone
I just need 2 find me a style of my own
And I'm high, ooh, so high
シンバルも要らない、サックスも要らない
僕はただ僕自身のスタイルを自分にあつらえてやるだけさ
僕はハイだ、凄くハイだ

Some people can't understand
Just bein' inside a church don't make a righteous man
And U're high, U got 2 be high
中には理解できない人もいる
単に教会の中に居るだけじゃ正しい人間は作れないってね
君はハイだ、凄くハイだ

In time we all die, music gone
So we better try 2 get along
And get high, oh no, no
いずれ僕等はみんな死ぬ、音楽も無くなる
だから最善を尽くして手を取り合って
ハイになるんだ、凄くハイにね

Oh, get high
ハイになるんだ

Ain't got no theory, uh, ain't got no rules
I just let the purple music tell my body what 2 do
And I'm high, so high
Yeah
セオリーは要らない、ルールも要らない
何をすべきかはパープルミュージックが僕の体に教えてくれる
僕はハイだ、凄くハイだ

Every subject, any key
Purple music can't be judged, it happens naturally
Ain't it alright? Ain't it alright?
Don't try 2 fight it
どのサブジェクトも、どのキーも
パープルミュージックは裁きを受けずに自然に生まれるのさ
とってもヨクないかい? とってもヨクないかい?
無理に抗っちゃダメさ

It's time 4 your morning bath, sir
What would U like 2 bathe in this morning?
With all due respect sir, I think that it...
I think that it might...
Oh, oh no
I... don't wanna play anymore
I don't want 2 play anymore
ご主人様、朝のお風呂のお時間ですよ
今日は何のお風呂になさいますか?
僭越ながら申し上げますが、それは・・・
それは些かばかり・・・
オオ・・・オー・ノー
これ以上は・・・できません
これ以上はでき・・・ませ・・・ん

Purple music does things 2 my brain
And I'm high, ooh
パープルミュージックは僕の脳に直接キくんだ
僕はハイだ、ああ

Step on it
That's right, drive, U idiot
Faster, faster!
踏み込むんだ
そうだよ、発進するんだよ、このマヌケ
もっと速く、もっと速く!

No reefer, don't need cocaine
Purple music does the same 2 my brain
And I'm high, oh Lord, yeah
マリファナも要らない、コカインも要らない
パープルミュージックが僕の脳に同じことをしてくれる
僕はハイだ、ああ

Oh, don't need no cymbals, no saxophone
I just need 2 find me a style of my own and I'm high
I'm high... yeah, oh
シンバルも要らない、サックスも要らない
僕はただ僕自身のスタイルを自分にあつらえてやるだけさ
僕はハイだ、ああ

Some people can't understand
Just bein' inside a church don't make a righteous man
Oh, yeah, oh
中には理解できない人もいる
単に教会の中に居るだけじゃ正しい人間は作れないってね
ああ

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前回の記事では、私のトレーニング観を変えたことを3つ挙げました。

  1. ビクター・マルティネスの慣習にとらわれないトレーニングフォーム
  2. ロニー・コールマンは胸のトレーニングでフライ種目を一切しなかったこと
  3. ドリアン・イェーツは背中のトレーニングでワイドグリップのプルダウンやチニングを一切しなかったこと

今回の記事は3つめの点に関するものです。

ラットプルダウンで肩甲骨を寄せるという誤解・再び

ドリアンの話をする前にひとつ。広背筋のトレーニング、特にラットプルダウンのやり方に関して、個人的に面白いと思うことがあります。まず、ラットプルダウンのやり方について一般的なフィットネスサイトなどを参照すると、ほぼ必ず「肩甲骨を意識してしっかり寄せるように」といった指示がされています。一般的な情報源では、肩甲骨を意識することは、あたかも絶対に外してはならない超重要な必須ポイントであるかのように扱われがちです。

しかしその一方で、プロのボディビルダーが広背筋のトレーニングについて話をするときに、「肩甲骨を寄せる」という表現が使われているのを私は聞いたことがありません。それどころか、「肩甲骨」という単語すらまず出てこないように思います。

どうも一般のフィットネス情報源とプロのボディビルダーの間には、広背筋のトレーニングについて根本的な意識の違いがあるように私には思われます。これに関連して、2015年に以下の記事を書いています。

広い背中を作るためにワイドグリップでトレーニングすべきという迷信

20年程前は一般に「広い背中を作るのに最適なトレーニングはワイドグリップのプルダウンやチニング」と言われていましたが、今はどうなのでしょう? 今でもその考えは広く信じられているのでしょうか? いずれにせよ、「ドリアン・イェーツは、チャンピオンとして君臨した時代、ワイドグリップのプルダウンやチニングを1セットたりとも行わなかった」というのは、個人的にはとても興味深い事実です。2011年の Muscular Development の記事に、その理由をドリアンが解説した記事が見つかるので引用します。

The Myth of Wide-grip Superiority
ワイドグリップの優位性に関する迷信

One myth that has held back the development of lats the world over is the persistent idea that using a wide grip on chins and pulldowns is the best way to build wider lats. This myth probably has its origins in the fact that using a wide grip on any vertical pulling motion will selectively recruit the smaller upper back muscles like the teres major and minor, the upper portion of the traps, and the rhomboids.
ワイドグリップのチニングやプルダウンが広い背中を作るのにベストな方法だという根強い考えは、世界中で広背筋の発達に悪影響を与えている迷信だ。おそらくこの迷信は、ワイドグリップで上下方向のプル動作を行うと、大円筋や少円筋、僧帽筋の上部、菱形筋などの小さな上背部の筋肉が選択的に動員されることから生まれたのだと思う。

When a bodybuilder feels these smaller muscle groups at the top of the back working, he often assumes he is making his lats wider. But the lats actually originate under the armpits and insert near the waist. Using a wide grip does not provide anywhere near a full range of motion for them. A narrower grip, in contrast, allows both a better stretch and a more complete contraction. If you don't believe me, pantomime two types of pulldowns right now as you read this, doing your best to contract the lats as hard as possible: a wide-grip pulldown and a narrow, underhand grip. I guarantee you that you will feel a more powerful contraction of the lats with the narrow underhand grip.
ボディビルダーは背中のトレーニング中にこれらの小さな筋群を感じると、しばしば広背筋を広くするためのエクササイズをしていると勘違いしてしまう。しかし、広背筋は実際には脇の下あたりに停止部があり、そこから伸びてウエスト付近に付着している。ワイドグリップでは広背筋のフルレンジ動作はカバーすることができない。それに対して、ナロウなグリップではより優れた伸展とより完全な収縮を得ることができる。私の言うことが信じられないというなら、これを読みながら今すぐ2つのタイプのプルダウン動作をパントマイムで実行してみてほしい。ワイドグリップのプルダウンと、ナロウのアンダーハンドグリップのプルダウンのジェスチャーをして、広背筋を最大限に収縮させてみてほしい。ナロウのアンダーハンドグリップの方が、より力強い広背筋の収縮感を得られるはずだ。

In my early career, I experimented with various types of grips, and I found that using a closer grip with the hands either parallel (facing each other) or fully supinated (underhand) actually provided the best contraction and most complete range of motion for the lats. Throughout my Mr. Olympia reign, I never did a single set of wide-grip chins or lat pulldowns. My two choices for vertical pulling were always a narrow underhand grip for lat pulldowns, which I would go up to 400 pounds on, and the Hammer Strength Iso-lateral pulldown machine.
私はキャリアの初期に様々なタイプのグリップを研究し、狭めにしたパラレル (両手の平が向かい合わせ) または回外位 (アンダーハンド) のグリップが、広背筋の最も強い収縮と完全な稼動域をもたらすことを見出した。ミスター・オリンピアのタイトル保持期間、私はワイドグリップのチンやラットプルダウンを1セットたりとも行うことはなかった。私の上下方向のプル・エクササイズの選択肢は常に2つ、最大400ポンドで行うナロウ・アンダーハンドグリップのラットプルダウンと、ハンマー・ストレングス・アイソ・ラテラルのプルダウン・マシンだった。

まとめとして、記事は次の言葉で締め括られます。

これらの知識を活用すれば、君にも私やロニー・コールマンのような背中を作り上げられるだろうか? それには私は答えられないが、少なくとも、適切な背中のトレーニングをすることで、その可能性に挑むことはできるだろう。そして、背中の発達度合いを改善させるにあたって、適切なトレーニング知識に基づいた自信を持てば、必ずや、現時点の背中よりも、より広く、より厚く、より素晴らしい背中を作り上げることができるだろう。

ベントロウの上体の角度について

ついでなのでもうひとつ触れておきます。前回の記事にも同じ画像を貼りましたが、ドリアンのベントロウは一般的なお手本フォームとは異なり、上体を割と立たせた状態でバーベルを引きます。その理由は、上体はある程度立てた姿勢の方が、下背部の耐久性を確保しやすくなるとともに、広背筋がより強く力を発揮できるからだとドリアンは説明しています。実際に真似をしてみると、ドリアンのアドバイスに従った方が一般的なフォームよりも広背筋にフォーカスしやすいと感じるはずです。

dorian-yates_back-3-bent-over-rows
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前回からの続きで、私がウエイトトレーニングの「正しいやり方」の鎖を断ち切るにあたって、その後押しをしてくれたことを具体的に3つ紹介します。今回の BGM も同じくプリンスの1996年のアルバム「Emancipation」から、タイトルトラックです。

Emancipation - free 2 do what I wanna
Emancipation - see U in the purple rain
Emancipation - free 2 do what I wanna
Emancipation - break the chain, break the chain
解放 - 自由にやりたいことができる
解放 - 紫の雨の中で会おう
解放 - 自由にやりたいことができる
解放 - 鎖を断ち切れ、鎖を断ち切れ


1. ビクター・マルティネス、2004年の Titans ビデオ

ビクター・マルティネスは、私のトレーニングに最も強い衝撃を与えてくれた人です。私のトレーニング観は、この人のビデオ、具体的には2004年のミスター・オリンピア前に撮影された「Titans」シリーズのビデオを見て変わりました。ネットにはこの人の動画は色々と見つかりますが、他の動画は結構普通だったり、インストラクション動画も平凡なことしか喋っていなかったりするので、「Titans」に限定しておきます。「Titans」は当時のトップビルダー達のトレーニングを収めたビデオシリーズで、そのパート3にこの人が登場します。

YouTube に全体が挙がっているのでリンクします。背中のトレーニングは44分頃〜1時間3分30秒頃までです。

この動画に、私は強い衝撃を受けました。ビクターは、トレーニングの手本を示すべきトップビルダーの一人でありながら、教科書的な「正しいフォーム」を完全に無視してトレーニングしていたからです。この動画で、ビクターは様々な背中の種目を行っていますが、そのフォームは、どれもこれもフィットネスのインストラクターから駄目出しをされそうな「間違った」フォームばかりです。

一例として、V字グリップのプルダウンを GIF にしました。

victor-martinez_titans-close-grip-pulldown

私は「こんなんで背中のトレーニングになるのか?」と驚きましたが、実際に真似をして二度驚きました。「こんなんでいいのか?」どころか、私は「 背中のトレーニングとはこうするものなのか!」ということが生まれて初めて分かったのです。そして、「正しいフォーム」が、いかに意味のないことに拘っており、本質を見誤ったやり方であるかに気付かされました。

2. ロニー・コールマンは胸のトレーニングでフライを一切しなかった

1998年から2005年まで8度のミスター・オリンピアを獲ったロニー・コールマンは、チャンピオンとして君臨した時代、マシンでもダンベルでも、胸のトレーニングでフライ種目を一切しませんでした。

これを知ったときも私は驚きました。私がトレーニングを初めた当時、胸のトレーニングではマス種目のプレスで筋量を作り、アイソレーション種目のフライで形を整える、という考え方が一般にありました。このことは、プレスとフライは互いに補完し合い、両方やってこそ完璧な胸は作れるものだと信じて疑わなかった私には、衝撃の事実であり、胸のトレーニングについて考え直す切っ掛けになりました。

これについては過去に記事を書いています。

ロニーが「Yeah, buddy! Light Weight!」と言って200ポンドのダンベル・プレスをする動画です。

3. ドリアン・イェーツは背中のトレーニングでワイドグリップのプルダウンやチニングを一切しなかった

ドリアン・イェーツといえば1992年から引退となる1997年まで6度のミスター・オリンピアのタイトルを獲り、ロニー・コールマンと並んでボディビル史上最高の背中を作り上げた人です。そのドリアン・イェーツは、チャンピオンとして君臨した時代、ワイドグリップのプルダウンやチニングを1セットたりとも行いませんでした。

もう三度目になりますが、これはまたしても私には衝撃の事実でした。ワイドグリップのプルダウンやチニングといえば、背中の超基本種目で、バーベルのベントロウと並んで、トレーニングを始めた人が背中で最初に覚える種目です。それを一切行わなかったというのは、一体どういうことなのか・・・。これは要するに、ワイドグリップのプルダウンやチニングは完璧な背中を作るにあたって必須な種目ではないということです。たとえボディビル史上最高の背中であっても、です。

これについては、少し先になるかと思いますが、また機会を改めて記事を書くつもりです。ここではとりあえず、ドリアン・イェーツの「Blood And Guts」のビデオをリンクしておきます。背中のトレーニングは35分22秒頃からです。

ちなに、過去にも同じことを言っていると思いますが、私はこのビデオはボディビルトレーニングの最高のお手本だと思っています。見事なフォームでトレーニングをしている動画なら他にもあります。とんでもない高重量でトレーニングをしている動画も他に見つかります。しかし、その両方を同時に行っているトレーニングビデオは、私はこれ以外に知りません。一見すると特殊なことは何も起きていないように見えるかもしれませんが、実はドリアンは、誰にも真似のできない非常におかしなことをやっています。

各種目のスクリーンショットを貼っておきます。

ノーチラスのプルオーバー・マシンです。

dorian-yates_back-1-nautilous-pullovers

ハンマー・ストレングスのプルダウンです。ナロウグリップのマシンであることに注意してください。

dorian-yates_back-2-hammer-pulldowns

バーベル・ベント・オーバー・ロウです。上体が結構立っていることに気付くと思います。教科書的には平行近くまで上体を下げるのがセオリーですが、ドリアンはそのフォームに肯定的な考えを持っていません。

dorian-yates_back-3-bent-over-rows

ハンマー・ストレングスのシーテッド・ロウです。

dorian-yates_back-4-hammer-seated-rows

ドリアンは他にもリアデルトの種目やデッドリフトを行っています。

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